長時間労働が減らない原因は管理職と職場風土。対策・取組事例とは

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長時間労働の現状

長時間労働とは

長時間労働とは、労働時間が本来予定されている時間数と比較して長いことを指していますが、具体的にどのくらいの時間数であれば当てはまるのかの明確な定義はありません。 厚生労働省では“時間外労働や休日労働が月45時間を超えた場合”、労働時間が長くなるにつれて健康障害のリスクも上がるとし、事業主や労働者向けに注意喚起を行っています。 時間外労働と休日労働の時間が“月45時間”を超えるかどうか、という点が一つの目安となります。 ※参考:長時間労働削減に向けた取組 -厚生労働省-
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日本の長時間労働の実態

週49時間以上の“長時間労働者”が先進国の中で一番多い

日本の長時間労働の実態は、欧米諸国と比較しても年間の平均労働時間が長い特徴があります。(「過労死等防止対策白書」による)その中でも時間外労働(週40時間以上)者の割合が多く、特に週49時間以上働いている労働者の割合がアメリカ、イギリス、フランス、ドイツの先進国に比べワーストの21.3%と高くなっています。 出典:平成29年版過労死等防止対策白書 こういった状況で長時間労働が問題視される中、労働経済白書「平成29年版 労働経済の分析」によると92.6%の企業が削減の取り組みをしているにも関わらず、「短縮された」と回答している企業は52.8%に留まっています。 またこのような長時間労働の中にはサービス残業と呼ばれる違反行為の横行もあり、日本労働組合連合会のアンケート調査では実に4割以上がサービス残業を行なっている事がわかりました。 ※参考:過労死等防止対策白書 -厚生労働省- ※参考:平成29年版 労働経済の分析 -労働経済白書- ※参考:労働時間に関する調査 -日本労働組合連合会-

日本における労働時間について

労働基準法

日本における労働基準法で定めている“法定労働時間”は原則として1日8時間、1週間に40時間であり、使用者はそれを超えて労働させてはいけません。

三六協定

三六協定とは正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。 労働基準法第36条が根拠になっていることから、一般的に「三六協定」という名称で呼ばれています。 原則として週40時間以上の労働を課すことは労働基準法違反になります。ただし、三六協定の締結、いわゆる職場の代表者と労使協定を結び、労働基準監督署に届ければ例外として限度時間の範囲であれば労働させる事が可能となります。 さらに、特別な事情の場合に限度時間の延長をして労働させることもできる「特別条項付き36協定」があります。この三六協定が労働時間を際限なく伸ばしたり、時間外労働を合法的に課す事ができる制度として以前から問題視されているもの事実です。 社内に三六協定がある場合は、従業員または管理職に目的や注意点などを会社としてしっかり伝わっているか、改めて振り返る必要があるでしょう。 ※参考:時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引き -厚生労働省東京労働局-

長時間労働の原因

経済産業省の「働き方改革に関する企業の実態調査」によると、長時間労働の原因として経営企画・事業企画と経営管理のぶ朝食以上に調査した結果、以下のような回答が得られました。一つずつご紹介いたします。

一番多い回答は、管理職の意識・マネジメント不足(44.2%)

特に、情報・通信業、製造業において高い割合が出ています。現場の従業員の仕事量や内容を上司が把握できていないと、なぜ長時間労働につながっているのかを理解し、その改善にあたることもできません。管理職と現場のコミュニケーション不足も原因の一つではないでしょうか。

人手不足による業務過多(41.7%)

コストカットのため、一人で抱える業務量をどんどん増やし、ギリギリまで対応させるような状態になっている企業も多いのではないでしょうか。業務効率化は可能なのか、人の採用が必要なのか、見直しがされないままになっている業務があるのかもしれません。

部長クラスは「長時間労働を是とする人事制度・職場の風土」(40.0%)と回答

役職別に見た場合、長時間労働を良しとする制度や職場風土があるとの回答も多い結果となりました。「自分たちは遅くまで頑張っていたものだ」と、成果主義を重視しない風潮が影響しるともいえます。 ※参考:働き方改革に関する企業の実態調査 -経済産業省-

長時間労働がもたらす企業への影響

従業員の心身の不調・過労死リスクの増加

長時間労働によって最も起こりうる問題としては、過労死のリスクがあげられます。昨今、過労死問題についてはニュースなどでも報道されていますので、問題視している経営者の方も多いでしょう。 週80時間以上の労働が過労死ラインと呼ばれていることから、過度な長時間労働は従業員に深刻な問題をもたらすことは明確です。

生産性やモチベーションの低下

また、労働時間が長くなるほど体は疲れますので、集中力が低下します。そのため、長く働けば働くほど業務の効率は悪くなり、結果、生産性も下がります。そのような毎日が続くと、慢性的な睡眠不足や疲労が回復しないことによるストレスの増大により、モチベーションも低下することになるでしょう。

離職者の増加、採用費の負担増

体や心を壊したら、働くことはできなくなります。そのため、長時間労働が長く続く従業員は、離職しやすくなります。また、上述のようにモチベーションが低下した従業員は、離職を検討するようになります。このように離職者が増加することで、企業としては新たな人員を採用し続けなければならず、採用コストが上昇し、負のスパイラルに陥ることもあります。 参考:年次経済財政報告-技術革新と働き方改革がもたらす新たな成長-(内閣府)

長時間労働の対策

まずは時間外労働の実態を把握する

時間外労働を削減するためには、まず時間外労働時間の見える化が必要です。労働状況を会社としてしっかり把握し、どの部門に問題がありそうか、人員配置は適当か、現場の意見も聞きながら改善していく必要があります。 厚生労働省では、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、企業が労働時間を把握するよう、情報発信を行っています。 ※参考:長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します -厚生労働省-

管理職研修の実施

長時間労働の原因として「管理職の意識・マネジメント不足」があげられたように、管理職への研修を行うことが重要です。研修は一度だけでなく、定期的に実施したり、テストを行行ったり、部下からのアンケートをとるなど、定着するために様々な施策が必要です。

人事考課項目を見直す

「長時間労働を是とする人事制度・職場の風土」が、長時間労働につながったとする回答があったように、「残業して頑張って働く」人が高い評価を得るということがあれば、変えていかなくてはなりません。 そのためには、人事評価制度を見直し、限られた時間での生産性や成果に応じて評価する仕組みを整えていく必要があるでしょう。

ノー残業デーや朝型勤務などの制度による抑制

会社全体での意識を変えていくために、ノー残業デーなどを導入する企業も増えています。その一方で表面的な取り組みに留まったり、持ち帰り残業が増える、顧客対応へのサービスレベル低下、職場が殺伐とするなどのデメリットもあり、社内外への信頼と充分なコミュニケーションが必要となります。 会社全体での意識付けとして始めながらも、定着するためにはただ取り入れるだけでなく、実態を把握してPDCAをまわしていくことが求められます。 【関連】形だけの「ノー残業デー」から卒業!成功する導入ポイントや他社事例を解説

厚生労働省の取り組み

長時間労働削減推進本部や働き方改革推進本部の設置

厚生労働省は長時間労働の対策に関する取り組みを積極的に行なっています。長時間労働削減推進本部や働き方改革推進本部の設置、過労死等防止対策推進法などを整備し、平成27年5月からは違法な長時間労働をさせている企業名の公表も実施しています。 その中でも特に注目されているのが“働き方改革関連法案”です。ポイントとなるのが罰則付きの時間外労働の上限規制の導入です。2018年5月31日の衆院本会議で賛成多数で可決され通過しました。今国会で成立されれば大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から施行になる予定です。 ※参考:長時間労働削減に向けた取組 -厚生労働省-

過労死等防止対策推進法の施行など、過労死防止のための取組

この法律は、過労死などを防止することを目的に成立し、平成26年11月1日から施行されている法律です。この推進のため、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定めています。
「過労死等」について 過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおり定義づけられています。 ・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡 ・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡 ・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害
また、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を目指すため、事業主の取組を紹介したり、労働者が相談できる窓口について記載したりと、過労死に関することを知ることがでこいるサイトを公開しています。 ※参考:STOP!過労死 -厚生労働省-

長時間労働削減のための企業事例

長時間労働削減に向けた各企業の好事例 ~「働き方・休み方改善ポータルサイト」掲載例~を参考に、企業事例をいくつかご紹介します。

東京海上日動火災保険株式会社「休暇取得の促進や定時退社日を設定」

目的:「夜型長時間労働」を変革し、多様な働き方を認め、生産性高い働き方を追求し続ける事で個人・組織の力を高める好循環を生む。 取り組み ・ボランティア休暇、リフレッシュ休暇の付与および取得促進 ・毎月各課・支社ごとの残業時間のデータ管理および話し合い ・Go Go Challenge Dayと呼ばれる週1日、17時半に業務終了する日の設定 ・テレワークの活用 結果 ・年次有給休暇の取得率約50% ・連続特別有給休暇の取得状況が初回約90~95%、2回目も約70~80%の取得 ・所定外労働時間が月23時間程度(所定労働時間は1日7時間)

アサヒグループホールディングスで「時差勤務やモバイルワークなど働く時間や環境整備を実施」

目的:多様な社員が活き活きと働き、短時間で高い成果を出す事で、新たなイノベーション想像に繋げる。 取り組み ・時差勤務、フレックスタイムなどの柔軟な勤務体系 ・モバイルワークによる直行直帰の推奨 ・リフレッシュ休暇、メモリアル休暇などの目的別の休暇制度および取得管理 ・ノー残業デーの設定、一定時刻の消灯 ・生産性重視の報酬および人事評価制度 ・テレワークの活用 結果 2014年:所定外労働時間267時間、年休取得率52.2%
※参考:厚生労働省:第3回 長時間労働削減推進本部(平成28年4月1日開催)、長時間労働削減に向けた各企業の好事例 ~「働き方・休み方改善ポータルサイト」掲載例~

まとめ

働き方改革が頻繁に叫ばれる中で、特に大きな割合を占めるのが長時間労働に関するものです。長時間労働による健康障害や過労死は、社会問題にまで発展しています。 そういった現状を改善するためには、複雑に絡んでいる様々な要因を理解していく事が重要です。改善のためには会社の強い意志と発信、会社の風土に合わせた効果的な取り組みのどちらも重要となるでしょう。

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