メンター制度とは何か。導入目的、社員の離職を防ぐポイントとは

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メンター制度とは

メンター制度とは、先輩社員に仕事のことや人間関係を相談できる制度です。

新しい会社に入社して、「仕事、うまくできるかな」「上司や先輩と仲良くやれるかな」と不安に感じている人は多いのではないでしょうか。 メンター制度は、こういった不安や悩みに先輩社員が相談に乗り、サポートをして”精神的な支柱”になるものです。 メンター制度では、サポートをする先輩社員をメンター、若手社員をメンティーと呼んでいます。メンターの選出は、直属の上司とは別に、第三者として客観的にメンティーを見れるという意味で、異なる部署の社員を選ぶという点に特徴があります。期間としては、大体1年間であることが多いようです。

OJTやブラザー・シスター制度との違い

このような制度との違いとして挙げられるのが、”なに”を教えるか、”だれ”を対象にするかという2点です。 OJTは、現場を通じて、”業務”を教えるのに対して、メンター制度では業務だけでなく、職場環境や会社のことを教えます。 一方、ブラザー・シスター制はメンター制度と似ている制度です。違いとしては、ブラザーシスター制度が”新入社員”を対象として同じ部署の先輩社員がつくのに対して、メンター制度は”全社員”を対象に他部署の先輩社員が担当することが多くあります。 時には、社長を対象にメンター制度を利用している企業もあります。 OJTもブラザーシスター制度もメンター制度と似ていますが、メンター制度は、業務はもちろん、コミュニケーションの活性化を促し、人として成長するサポートをする点に重きを置いているところに特徴があります。 お役立ち資料「早期離職を防ぐための3つのポイント」はこちら

メンター制度を実施する目的

社員の不安を取り除き、早期の離職を防ぐため

メンター制度を導入する企業の目的として、社員の定着率の向上があります。若手社員が離職してしまう原因として、「仕事がうまくいかない」「社内での人間関係の悩み」などがあげられます。 このような理由での離職を防ぐために、先輩社員が若手社員の抱えている不安や悩みを解消し、いち早く会社に馴染めるようなサポートをしています。

メンター制度のメリット

1)メンティーの不安解消に繋がり、会社にいち早く馴染める

入社したばかりの時は、誰がどんな人かが分からず、不安が多いものです。また、職場や人間関係に馴染めないと仕事もうまくできず、お互いにとって良くありません。 そんな時に、仕事やプライベートのことなど、何でも相談に乗ってくれる先輩がいると心強く、頼りになります。その不安をなるべく早く解消し、会社がいち早く解消できれば、早く会社に馴染むことができ円滑に仕事ができるようになります。

2)教える側のメンターも成長できる

人に教えるということは、自己成長にも繋がります。人に教えるために自分が理解することが必要となるため、メンターはより仕事のことや会社のことを学び、理解しなければなりません。そのようなメンター側の成長も考えたうえで人選をすると良いでしょう。

3)部門間のコミュニケーションの活性化

基本的にメンター制度では、メンターを担当する社員は、メンディーの他の部署の社員にすることが多くあります。そのため、通常の業務では関わることのない社員と接する機会が増え、社員同士のコミュニケーション活性化が期待できます。

メンター制度のデメリット

1)メンターとメンティーの相性

メンター制度は人と人との関係によって成立する制度です。ペアとなった人同士の相性が悪い場合、悩みや不安を打ち明けることができず、メンティーにとってストレスとなる可能性も否定できません。人材を見極めるプロの人事の方の腕の見せ所になります。

2)メンターの負担が大きい

メンター制度に任命されることで、自身の業務に加えて、メンターとしての仕事も増加することになります。場合によっては、負担と感じてしまうこともあります。 メンターをお願いする場合は、業務内の時間でどれくらいのことをどのように行えばいいのか、具体的な業務を可視化し、各メンターの上司にも了解を得たうえで進めましょう。

3)メンターによって能力にばらつきがある

メンターの知識やスキルによって、メンティーの成長度にばらつきが出てしまう可能性があります。メンターを依頼する場合は、メンターとなる人を事前に集め、目的や指導方法など、具体的なメンターとしての接し方のレクチャーを行うようにしましょう。 現場任せにしすぎるとメンター制度の効果が最大限に発揮されません。責任を持って進めましょう。

メンター制度の導入ステップ

メンター制度を導入する際は、以下のステップで導入をしていきます。厚労省のメンターマニュアルを参考にご紹介しますので、ご参考ください。

1)メンターとメンティーのマッチング

メンターとして適正のある社員(もしくはメンターを通じて成長を促したい社員)をピックアップし、メンター候補のリストを作ります。その後、メンターとメンティーに対してヒアリングやアンケートを実施し、どのメンティーにどのメンターを担当させるかを決定します。

2)ガイダンス

メンター制度を行う目的や、必要なスキルのすり合わせをメンター、メンティー双方に行います。メンター向けには、メンターとして行うべきことや必要なスキルなどについて別途研修を実施しても良いでしょう。

3)メンター制度の実施における運用ルールなどを告知

活動報告を行ってもらったり、定期的にミーティングを実施するなど、メンター制度を実施するうえで必要なルールや予定を決め、対象者に告知します。できる限りメンターが取り組みやすい環境づくりを心がけましょう。

4)メンター制度の実施

ここからは一旦メンターの方に実践をお願いする形となります。随時メンターが困った場合の相談にのったり、メンティーにストレスがかかっていないかなどをウォッチしましょう。

5)振り返り

メンター、メンティーに対してアンケートを実施し、今後の改善につなげます。

メンターマニュアルとは

厚生労働省では、企業内でのコミュニケーションの活性化や、若手社員の早期離職防止のため、企業にメンター制度を推奨しており、「メンターマニュアル」を作成して展開しています。 女性活躍をテーマとして作られたマニュアルですが、メンター制度を検討している方みなさんに参考になる資料となっています。 参考:メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル -厚生労働省-

導入時の注意点

メンターとメンティーの信頼関係を築くこと

上記のステップでメンター制度を導入していきますが、注意しなければいけない点もあります。この制度で非常に大切なことは、メンターとメンティーの信頼関係をしっかりと築くことです。 メンティーは、若手社員の悩みや不安を聞く立場のため、聞いた内容は口外しないとルールとして決めるなど、メンターとしての立ちふるまいに十分注意するよう自覚してもらいましょう。

メンターを慎重に選ぶこと

メンターの選び方で一般的なのは、人事や教育担当、経営層などがメンターとメンティーを指名する方式です。 人事担当などが会社全体の社員を客観的に見て、相性を考えながら決定していきます。1年目の新入社員に対して、入社3~5年目の先輩社員をアサインする企業が多いのも、年齢が近く相談がしやすい相手であり、メンティーの気持ちを察しやすいからです。 女性社員には女性のメンターがいいかというとそうでもありません。社員の個性を考え、誰にどんなメンターが良いのか、慎重に検討していきましょう。 そのためには、担当が日頃から各部署の管理職クラスの社員ともコミュニケーションをとり、社員の情報収集をすることもポイントです。

導入している企業の事例

メンター制度は様々な業界の企業で導入されています。ここでは、実際にメンター制度を取り入れている企業をご紹介します。

導入事例 ~株式会社高島屋~

シフト勤務等で職場でのコミュニケーションがとりづらく、人材育成としてOJTが機能しなくなり、メンター制度を導入。入社後10年間の人材育成の一環として、メンター制度を導入しています。 具体的には、入社4年目社員をメンティーとし、入社10年目前後の社員をメンターとすることが決まっています。新入社員ではなく、今後会社の中核を担うポジションにいる中堅社員をメンティーとすることで長期育成をしている一例になります。

導入事例 ~株式会社資生堂~

「メンター制度」をユニークに活用している企業の一つが資生堂です。 資生堂は、「リバースメンター制度」という変わった制度を行なっています。2017年、日経新聞では、リバースメンター制度を導入した資生堂の記事が掲載されていました。この制度は、その名の通り、若手社員が役員や先輩社員のメンターとなる、逆の制度となっています。 この制度が生まれた背景は、社内でITをもっと活用したいという意図があります。ITツールに疎いベテランの社員に、ITリテラシーが高い若手社員が知識を教えるという主旨で実施されています。普段話す機会が少ない役員や上司とコミュニケーションがとれるメリットもあります。

導入事例 ~損保ジャパン日本興亜ホールディングス~

ダイバーシティの一環として女性活躍推進にも力をいれている損保ジャパン日本興亜ホールディングス(SOMPOホールディングス株式会社)。女性の管理職を育成・排出するため、女性社員をサポートする「メンター制度」を導入しています。 女性ならではの悩みやキャリアアドバイスは、やはり女性がむいていることも多くあります。あえて女性のためにメンター制度を実施するのも一つかもしれません。 参考:ダイバーシティ&インクルージョン

人材確保等支援助成金の活用も

目標達成時に助成額57万円が給付されます

平成28年4月から職場定着支援助成金が改正され、従業員の離職率の低下に取り組む場合に、助成金が給付されることとなりました。もちろん、メンター制度も対象です。※「メンター制度」を助成対象としていた「職場定着支援助成金」は、この人材確保等支援助成金に統合されました。 この助成金は、目標達成時に助成額57万円が給付されます。(生産性要件を満たした場合は72万円)詳細は、管轄のハローワークまでお問い合わせください。 参考:人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース)

メンター制度は、社員の定着を促すメリットの大きい制度

メンター制度は、新人教育や会社の風土作りで取り入れる企業が増えてきており、導入する目的は企業によってさまざまです。しかし、メンター制度実施により、離職率が低下し、社員の定着率に貢献した事例もありますので、メリットは大きい制度だといえます。 企業理念の浸透や、コミュニケーション活性化の手段の一つとしてもメンター制度は効果のあるものです。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。 【関連記事】社員の離職を防ぐ「リテンションマネジメント」の施策とは? 〜青山学院山本教授インタビュー(後編)〜

TUNAG(ツナグ)では、メンター制度の運用を支援します!

『TUNAG(ツナグ)』は、会社とメンバーのエンゲージメントを高めるための様々な社内制度の運用を行うことができるサービスです。 例えば、従業員のコミュニケーションを促すサンクスカードで褒める仕組みを導入したり、上司と部下で行う1on1MTGで縦のつながりの強化を行ったりと、様々な取り組みを一つのサービスで行うことが可能です。 TUNAG(ツナグ)を導入いただいてる企業様で「メンターランチ」という制度を活用しています。メンター制度を利用する際に、会社からランチの補助を出して、活動報告や活動の促進を行なっています。 メンター制度で行われている会話やコミュニケーションをクローズドな世界で行うのではなく、会社全体に知ってもらうことで、「あのメンターはこんな話をしているのか」「このようなランチ形式でミーティングするのもいいな」など、メンター同士の刺激になるだけでなく、「うちの会社はこんなに制度が充実しているんだ」と、会社への満足度が上がる波及効果も期待できます。 メンター制度にかかわらず、様々な取り組みをTUNAG(ツナグ)で運用することが可能です。活用事例などもご紹介できますので、気になる方は下記よりお気軽にお問い合わせください! お役立ち資料「早期離職を防ぐための3つのポイント」はこちら

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