ナレッジマネジメントの成功事例4社、よくある失敗3パターンについて解説

ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは、ナレッジ(=個人の知識や経験、ノウハウ)を、マネジメント(=社内で共有し活用)することです。生産性の向上や競合に打ち勝つためには、企業価値を高められるナレッジマネジメントは欠かせません。 まずは、ナレッジマネジメントについて簡単に解説します。

暗黙知を形式知に転換すること

個人の知識やノウハウを共有し、経営に活かす「ナレッジマネジメント」。1990年代に一橋大学の野中郁次郎名誉教授が提唱した経営理論です。ナレッジマネジメントにおいて、組織が持つ知識は「暗黙知」と「形式知」の2種類に分けられます。 【暗黙知】 暗黙知とは、個人が持つ知識やノウハウ、長年の勘のこと。 他人には上手く説明できない、独自のナレッジを意味します。 【形式知】 形式知とは、文章や図表などで説明できる知識のこと。 他者でも活用できるように、データ化されたナレッジを意味します。 個人が有する暗黙知を形式知へと転換し、社内で共有することがナレッジマネジメントの基本的な考え方です。ナレッジマネジメントを組織内で浸透させることにより、業務効率化や生産性の向上につながると注目されています。 ▼参照 ナレッジマネジメントの手法とは?導入方法や考え方を知って活用! | ITトレンド ナレッジマネジメントとは? 意味、手法、システムを解説 | Zendesk Blog

ナレッジマネジメントの成功事例4社

ナレッジマネジメントは数多くの企業で導入されています。ここでは、実際に取り組んでいる企業のなかから成功事例を見ていきましょう。

1. 株式会社再春館製薬所

株式会社再春館製薬所では、コールセンター業務でナレッジマネジメントを取り組むことで、業務の効率化を図っています。従来は、膨大な資料のなかから商品情報などを探し出す必要がありました。企業内の検索エンジンであるエンタープライズサーチを導入した結果、必要な情報を素早く引き出せるように改善しています。 また、コールセンターにおけるナレッジ共有は離職率の低下も期待される効果の一つです。理不尽な怒りなどに対する適切な対処法が社内で共有できれば、オペレーターの負担軽減につながるでしょう。 ▼参照 ナレッジマネジメントよくある失敗事例と具体的成功事例5選 | Neuron

2. 富士フィルムビジネスイノベーション株式会社

富士フィルムイノベーション株式会社(旧社名:ゼロックス株式会社)は、国内でいち早くナレッジマネジメントに取り組んできた企業です。 社内には「何でも相談センター」という、営業からの問い合わせに答えるためのヘルプデスクが存在します。質問と回答は50のカテゴリーに分類され、共有のデータベースに蓄積されるのです。共有されたナレッジは営業スタッフ以外も閲覧可能なため、業務の効率化を実現しています。 ▼参考文献 ナレッジマネジメントの成功事例や失敗事例を導入効果と併せて徹底解説 | Sciseed

3. スーパーサンシ株式会社

多店舗展開をしている企業でも、ナレッジマネジメントは有効です。 スーパーサンシ株式会社は、エンゲージメントプラットフォーム『TUNAG(ツナグ)』を活用し、スーパーの各部門の作業工程を動画マニュアルとして共有しています。例えば、惣菜部門において「カツ丼のつくり方」の説明動画を撮影し、TUNAG(ツナグ)上にアップロードすることで、業務効率化やナレッジ共有を推進しているのです。 文章化して伝えづらい知識やノウハウを動画にしてまとめることで、従業員にノウハウがより正確に伝わるようになり、新入社員の不安の軽減や人材教育のコスト削減につながっています。 ▼参照 従業員ファーストを実現するため、TUNAG(ツナグ)を運用しながら社内制度をブラッシュアップ | TUNAG(ツナグ)

4. 国土交通省

民間企業だけでなく、国の行政機関でもナレッジマネジメントは積極的に導入されています。 国土交通省では、コンテンツ内の検索性能が高く、編集も比較自由にできるイントラネット用のブログツールに着目しました。各職員の防犯対応業務におけるノウハウを集積し、従来のマニュアルだけでは補えない知識を共有できた事例です。ナレッジマネジメントの導入で、経験の少ない職員への効率的な教育につながり、災害時における迅速な対応が可能になっています。 ▼参照 防災対応力の向上に資する知の伝承について | 国土交通省

ナレッジマネジメントのよくある失敗3パターン

1. 共有されたナレッジが乱立して失敗

A社では、ナレッジマネジメントツールが浸透して、情報共有の文化が根付いていました。しかし、わずか1年という短期間で膨大な量のナレッジベースが乱立したために、導入は失敗に終わっています。 共有される情報は多いほど役立つ可能性は高まりますが、必要な情報を取り出すのに時間がかかるのがデメリットです。ただ知識やノウハウを蓄積するのではなく、体系的に整理する仕組みづくりも必要でしょう。

2. 運用ルールの整備が不十分で失敗

B社では、ナレッジマネジメントが社内に浸透しないまま失敗に終わっています。ナレッジマネジメントツールは導入したものの、運用ルールの整備が不十分であったことが原因です。ツールが活用されなければ、ノウハウの蓄積ができません。ただツールを導入すれば良いのではなく、導入後こそしっかりとした整備が大切です。また、社内で浸透させるためにも、ツールの活用が苦手な社員へのフォローなども行いましょう。

3. 社員から不満の声が続出して失敗

ナレッジマネジメントの必要性を感じたC社では、それなりの費用をかけてツールを導入しました。しかし、社員からは「使いにくい」「業務量が増える」などの理由から、不満の声が続出します。結果的にツールはほとんど活用されず、ナレッジマネジメントは失敗に終わりました。 管理職だけで導入を決定すると、現場との乖離が起こる可能性があります。社員と対話をしながら、導入を検討することが大切です。

ナレッジを共有するための3つのコンテンツ

企業の成功事例でも触れたように、ナレッジの共有にはITツールが欠かせません。ここでは、ナレッジマネジメントを成功に導くおすすめのコンテンツを3つ紹介します。

1. 社内wiki

社内wikiとは、組織内におけるナレッジの共有を円滑にするためのツールです。Wikipedia(ウィキペディア)のように、従業員であれば誰でもアクセス・編集ができます。いつでも知りたい情報を素早く見つけられるのがメリットです。ナレッジが共有されていれば、社員の不在など急な事態にも対応できるでしょう。また、引き継ぎ業務にかかる時間の短縮につながるなど、業務の効率化も期待されます。 ▼参照 社内Wikiとは?代表的なツール8選と、運用のポイント・注意点を解説 | TUNAG(ツナグ) エンタープライズサーチの比較、要件定義を考える | TUNAG(ツナグ)

2. FAQ

FAQとは、よくある質問に対する最適な回答をデータベース化するツールです。たとえば、コールセンターのようにユーザーからの問い合わせに対応する部署への導入を検討してみましょう。ユーザーが商品やサービスで疑問や不明点があった場合に、活用するのがコールセンターです。 もしFAQを導入すれば、ユーザー自身が知りたい内容を検索して回答を得られます。オペレーターの負担を軽減できるだけでなく、FAQの閲覧ですぐに解決できれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。 ▼参照 【保存版】ナレッジマネジメントに基づく「FAQ運用のすすめ」 | OKBIZ.ブログ

3. 動画マニュアル

動画マニュアルとは、社内で必要な知識やノウハウを動画で伝える方法です。細かい動きが求められる技術の手文章による表現では上手く伝えられません。一方で、動画マニュアルを活用すればすべての動きをしっかりと教えられます。 また、社内のデータベースで共有されれば、何度でも繰り返し見返すことが可能です。これらのことからも、動画マニュアルを導入すれば、人材育成にかかるコストの削減につながるでしょう。 ▼参照 動画によるナレッジ共有の3つの効果と3つの課題を解説!おすすめのツールも紹介 | NotePM

ナレッジマネジメントの2つのメリット・デメリット

近年、注目されるナレッジマネジメントですが、その背景には多くの導入効果が認められています。その一方で、注意すべきポイントがあることも理解しましょう。ナレッジマネジメントに取り組むうえで知っておきたいメリット・デメリットを解説します。

ナレッジマネジメントの2つのメリット

個人のナレッジを共有し、経営に活かすナレッジマネジメントは企業に多くの成功事例をもたらしています。ここでは、ナレッジマネジメントに取り組む2つのメリットを確認しましょう。

メリット1. 業務の効率化につながる

ナレッジマネジメントで知識やノウハウの共有が進めば、それだけで業務効率化につながります。営業であれば不明点をすぐに解決でき、オペレーターならFAQの活用で負担軽減が期待できるでしょう。 ひとり一人の業務時間が短縮されることで、生産性の向上も図れます。また、社員の退職や休職による業務の停滞なども防げるでしょう。 ▼参照 ナレッジマネジメントとは?目的と手法、導入メリットを解説 | noco can

メリット2. 人材育成がスムーズになる

従来の人材育成では、業務を一から教える必要がありました。しかし、ナレッジマネジメントを導入すれば、人材育成がスムーズになります。また、独り立ちして仕事を始めたあとも、共有された知識やノウハウをいつでも学べるのがメリットです。経験豊富な社員のスキルを身に付けられるため、ひとり一人のスキルアップへの期待もできるでしょう。 ▼参照 ナレッジマネジメントツール導入のメリットとデメリットを徹底解説 | Neuron

ナレッジマネジメントの2つのデメリット

ナレッジマネジメントを取り組むうえで注意すべきポイントを解説します。失敗事例とならないためにも、2つのデメリットについて確認しましょう。

デメリット1. システムの導入にコストと時間がかかる

ナレッジマネジメントを取り組むうえでツールの活用は不可欠です。しかし、システムを導入するには費用がかかります。実際にいくらかかるのか、比較検討する必要があるでしょう。 また、導入に向けて環境を整えなけならず、導入までに時間がかかることも理解することが大切です。

デメリット2. 社内に浸透しない可能性がある

社内でナレッジマネジメントへの理解度が低ければ、社員に浸透しない可能性があります。いくらシステムを導入しても、活用されなければナレッジマネジメントへの取り組みは失敗に終わるかもしれません。 また、ベテラン社員や優秀な社員がナレッジの共有を嫌がることも考えられます。通常の業務に加えて新たなツールの導入はデメリットと捉える人もいるため、導入後のフォローが重要です。 ▼参照 ナレッジマネジメントツール導入の効果とメリット・デメリットを詳しく解説 | ITトレンド

SECI(セキ)モデルの活用

ナレッジマネジメントを実践する際に重要なのが、暗黙知を形式知へと転換することです。この転換には「SECI(セキ)モデル」というフレームワークを用います。SECIモデルで分類される以下の4つのプロセスを絶えず繰り返しましょう。

1. 共同化プロセス

共同化プロセスでは、暗黙知を組織内で共有していきます。OJTや営業同行などで個人から個人へと伝達して、同じ体験をすることが狙いです。このフェーズでは言語化を行わず、暗黙知の相互理解を図ります。特に、経験に基づく知識の共有は言葉のみでは難しく、まずは実体験をすることが大切です。

2. 表出化プロセス

表出化プロセスでは、実際に暗黙知から形式知へと転換していきます。共同化プロセスで複数人が同じ体験をしたことにより、文章や図式での表現がしやすくなるでしょう。このフェーズで大事なことは、互いに論理的に話し合い、暗黙知を経験していない人でも理解できるように深堀していくことです。

3. 連結化プロセス

連結化プロセスでは、形式知同士を組み合わせて新たなノウハウを見出していきます。個人の暗黙知を組織内で活用するために重要なフェーズです。新しくマニュアルを作成したり、ITツールと連結させたりします。より実践を意識しながら、活用できる知識に変化させることが大切です。

4. 内面化プロセス

内面化プロセスでは、新たに作られた形式知を実践し、個人の知識として暗黙知化させます。経験から得られる気づきは、個人の知識として蓄積されるでしょう。新しく暗黙知として成功体験が生まれれば、ナレッジマネジメントによって形式知へと転換します。 ▼参照 ナレッジマネジメントの方法からメリット・成功事例・問題点を解説! | 識学総研

ナレッジマネジメントを促進する、ITツールという選択肢

企業がナレッジマネジメントを導入し、従業員が持っているノウハウを社内に展開することで、スムーズな人材育成や業務効率化、業績向上が期待できるでしょう。 弊社が提供するエンゲージメントプラットフォーム『TUNAG(ツナグ)』なら、社内のマニュアルをTUNAG(ツナグ)上にまとめたり、動画を使って作業工程を従業員にわかりやすく共有することができます。また、TUNAG(ツナグ)はスマートフォンからも利用可能で、現場の従業員一人ひとりの手元までナレッジを届けることができるのも特徴です。他にも日報機能により、店舗や部署を超えたナレッジ共有も可能。各社にあった社内制度運用でナレッジマネジメントに取り組めますので、ご興味のある方はぜひ資料をご覧ください。 参考:技術伝承・ノウハウ共有におけるシステム活用の方法 | TUNAG(ツナグ)
社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」の3分でわかるサービス資料はこちら

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