コンピテンシーとは。行動特性の作成から評価や面接に活用する方法

こんにちは、エンゲージメントプラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」を提供する株式会社スタメンの編集部です。 近年、ビジネスの世界で「コンピテンシー」というキーワードが注目されています。 コンピテンシーとは、優れた業績や成果を生み出す個人の行動特性を示すもので、これを適切に理解し活用することで、企業・個人の成長や、従業員のエンゲージメント向上に繋がると言われています。 しかし、このコンピテンシーを「なんとなく」理解するだけでは、その真の効果を引き出すことは難しいでしょう。 私たちが作成した「エンゲージメント向上施策50選」では、エンゲージメントを高めるための具体的な手法を、分かりやすいイメージ画像と共に紹介しています。ご自由にダウンロードください。 お役立ち資料「エンゲージメント向上施策50選」はこちら 「エンゲージメント向上施策50選」 ダウンロード(無料)⇒こちらから

コンピテンシーとは

高い成果を出す人の「行動特性」を表す概念

「ハイパフォーマー」はどのような行動を行っているのかを分析し、その行動特性が明らかになったものをいいます。 わかりやすくいうと、営業成績が常にトップの社員は、他の社員と比べて何を行っているのか、その行動の特性を把握することを指します。 単純に数字化できないものも含め、モデル化・パターン化し、他の従業員に展開することで、会社として業績向上を目指していこうとする考え方です。

人事評価や研修など、人材活用に活用されています

コンピテンシー評価、コンピテンシー面接などの言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、主に企業における人事評価や採用、教育の場で活用されています。 あらゆる人事制度において「核」となる概念ですので、企業によって活用のされ方、モデルの構築については様々あり、同じものはありません。

職種や業界によってコンピテンシーは異なる

コンピテンシーはこういうものである。と学術的に確定されたものはありません。 業界や職種によってその行動特性は異なるため、企業ごとにコンピテンシーモデルを構築しているのが現状です。まずは自社においてハイパフォーマンスを上げている従業員の行動分析が必要となります。 お役立ち資料「人的資本経営で押さえるべき4つのポイント」はこちら

注目された背景

個人の成果を、会社全体に広める必要がある

人事評価において、成果そのものを評価するだけでは、評価の対象は個人にとどまり、全社に広めていくことはできません。 成果を出すための「行動」や「背景」も評価基準に活かし、会社全体で成果を上げてく組織づくりをしなければ、業績向上につながらないと考えられるようになりました。

「能力」だけでは結果を出すことにつながらない

これまで、成果を出すためには人材の「能力開発」が重要だとされてきました。具体的には知識の習得や○○の資格を持つなど、スキル開発に近いものになります。 しかし、高い能力を持っていれば成果が出るとは限りません。能力は高いのに成果が伴わない人もいるでしょう。成果を上げるには、「能力」と「行動」どちらも必要なのです。

コンピテンシーを企業に導入する目的

1)業績の向上

ご紹介した通り、コンピテンシーは業績向上に貢献しているハイパフォーマーの行動特性になります。そのため、その行動特性を他の従業員も身につけることで、会社全体での業績向上につながることが考えられます。

2)生産性の向上

業績を上げるための行動特性を全社に広めていくことになりますので、従業員の行動が変わり、結果生産性の向上につながります。

3)従業員の行動や意識を変革させる

企業としてコンピテンシーを明確にし、発信することで、従業員にとっても「求めらている行動・人物像」が分かりやすくなります。そのため、日々の行動や意識に変化が表れ、結果的に従業員全体の意識の変革につながります。

コンピテンシーモデルの作成

コンピテンシーモデルを作成するには、ハイパフォーマーの行動特性を把握し、コンピテンシーの項目を作成する必要があります。コンピテンシーモデルの作成には、おおまかに以下のようなステップが必要になります。

1)目標となる人物像を明確化

まず、従業員はどのような人を目標としていくべきなのかを明確にする必要があります。 「成果を上げ、業績に貢献している」という人、「業務を効率化し、生産性が高い」という人など、企業によって異なります。その目標を決めるには、経営者を巻き込んで明確化していく必要があるでしょう。 目標が決まったら、そこからどのようにコンピテンシーモデルを作成するのかを検討していきますが、その考え方のベースには、「理想形モデル」「実在型モデル」「ハイブリッド型モデル」の3つがあります。 自社にハイパフォーマーがいない場合は「理想形モデル」として理想とするモデルから細かい評価項目を設定していきます。「実在型モデル」については、実際に組織にいるハイパフォーマーの行動特性を分析して項目を設定します。 実際にはこの方法を使うケースが多くあります。「ハイブリッド型モデル」は、「理想形モデル」と「実在型モデル」の良い点をあわせて作成するモデルになります。

2)行動特性の把握・項目の作成

行動特性を把握していくために、ハイパフォーマーに当てはまる人物を抽出し、ヒアリングを行います。行動特性を把握するには、評価できる項目を適切にヒアリングできなければなりません。 事前にどのような成果を上げて、そのために何をしたのかということをヒアリングできるよう、準備しておく必要があります。 一般従業員とハイパフォーマー従業員の違いが何なのかを把握しながらモデル化していきますが、行動特性の把握は非常に難しいため、具体的にはコンピテンシーディクショナリーなどを活用して評価項目を作成していきます。

コンピテンシーディクショナリーとは

コンピテンシーディクショナリーはライル・M. スペンサーが執筆した『コンピテンシー・マネジメントの展開』によると、6つの領域、20項目に分類されています。 井村直恵氏による『日本におけるコンピテンシー ―モデリングと運用―』によるものと合わせてご紹介いたします。
▼6つの領域 1)達成・行動 自身が達成するためにアクションしていること 2)援助・対人支援 他の方のニーズに応えるための努力を指します(対人関係理解や顧客サービスなど) 3)インパクト・対人影響力 他の方を説得したり、印象づけることなど 4)管理領域 他の方の育成やリーダーシップなど 5)知的領域 論理的思考能力や専門性など 6)個人の効果性 セルフコントロールや柔軟性、自己管理など
▼20項目を合わせた内容 出典:日本におけるコンピテンシー ―モデリングと運用― 井村直恵 このような項目を参照しながら、コンピテンシーモデルの作成を行います。ハイパフォーマーへのヒアリングは1度だけでは難しいこともあります。何度も面談を重ねたり、コミュニケーションをとっていきましょう。

3)制度の開始

会社としてのコンピテンシーがまとまったら、具体的にどう運用するかを決め、制度の導入を開始します。コンピテンシーの内容、目的や運用ルールは事前に明確にしたうえで、従業員の理解を得なければなりません。 まずは経営層、管理職に十分にコンピテンシーモデルの導入や目的を説明、理解してもらい、研修の機会などを設けましょう。その後、従業員全体に導入する際、目的と重要性を十分に案内しましょう。最大の目的は、従業員全体の行動を変え、業績を向上させることです。

コンピテンシーの活用

コンピテンシーモデルは、企業の様々な場面で活用できます。

人事評価

業績向上のためのコンピテンシーモデルを、他の従業員が実施することで行動が変わり、成果が上がることを目的としています。そのため、そのモデル通りに従業員が行動できたかどうかを人事評価制度に入れることは有効です。

教育・育成

従業員の教育や育成にコンピテンシーを取り入れることも行われています。コンピテンシーモデルで定められた行動をとれるように指導、育成することで成果を出す従業員を増やすことができます。

採用面接

自社で活躍するハイパフォーマーのコンピテンシーが言語化されていれば、そのコンピテンシーに対して共感している、またはそういった経験により成果を上げたことがある応募者であれば、入社後すぐに会社に貢献することができます。 自社で求める人材が明確になることは、採用の面でもミスマッチを防ぎやすくなるメリットがあります。 関連記事:ミスマッチが起こる理由は? 離職を防ぐには採用時と入社後のフォローがポイントミスマッチが起こる理由は? 離職を防ぐには採用時と入社後のフォローがポイント

効果を出すには「徹底した全社導入」と「PDCA」が必要

コンピテンシーを常にブラッシュアップしていく

コンピテンシーは一度決めたら二度と変わらないものかというと、そうではありません。新規事業を立ち上げたり会社が大きくなるに連れて変わっていくこともあるでしょう。 作成したコンピテンシーモデルはあくまでも現段階におけるベストな項目ですので、必要なタイミングで改善していく必要があります。 常に、「成果を上げている従業員の行動を分析し、その行動を全社で取り入れていく」ということを意識していくことが重要です。

全従業員に認知・理解されていなければ意味がない

せっかく作った人事評価制度や研修制度も、従業員が理解していなければ実際の行動につながりません。従業員の評価につながる大事なことですので、認知・理解のための働きかけは徹底して行いましょう。

運用した結果、成果が出る従業員が増えたかを検証する

コンピテンシーモデルがうまく機能しているのか、実際にその行動は実行できるものだったのか、成果を上げるハイパフォーマーは増えているのかなど、検証すべき点は多数あります。 うまくまわっていないのであれば、コンピテンシーモデルを活用した社内施策や制度そのものの改善が必要です。

▼社内施策のPDCAを実行できるプラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」について▼

『TUNAG(ツナグ)』は、様々な社内制度を一覧化し、その社内制度の利用促進と見える化で、各企業の課題解決のためのPDCAを回すことが可能なプラットフォームです。 コンピテンシーモデルを作成するために、ハイパフォーマーの行動を分析するには、情報収集が欠かせません。TUNAG(ツナグ)上で情報共有を積極的に行う仕組みづくりを導入したり、良い行いに対してメッセージを届けられる制度を運用したりすることで、そのベースが蓄積されれば、モデル作成をスムーズに行うことができるでしょう。 TUNAG(ツナグ)は、会社の課題を診断し、課題に合った社内施策をご提案、その後の設計や運用のサポートまで一貫して行っています。課題の診断は、弊社の診断ツールを使い把握することが可能です。 会社と従業員および従業員同士の信頼関係の構築を実現するためには、長期的な取り組みが必要です。課題に合わせた様々な社内施策を組み合わせ、効果を見ながら運用していく必要があります。 ツールと専任のトレーナーの支援で、経営課題を解決に貢献いたします。
▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。
会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。
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