事なかれ主義の意味とは?具体例2選、その9つの心理、職場での改善方法3つを解説

事なかれ主義の意味とは

物事に波風が立たないようにすること

事なかれ主義とは、物事に対し、波風が立たないように対応することを言います。事なかれ主義の人は、争いや紛争、喧嘩ごとを嫌い、何よりも平穏なことを優先する傾向にあります。

事なかれ主義を言い換えると?

・態度が消極的である

面倒なことや、もめるようなことからは回避する態度をさします。事なかれ主義は、常に態度が消極的ではないということを言いますので、「回避する」という点で違いがあります。 事なかれ主義は、周りに求めるということを常に避けようとしているため、消極的なように映ることもあります。

・官僚主義である

官僚主義とは、規則に対して執着するする考え方を指し、組織が大きい場合に生じやすい独特の行動や態度です。事なかれ主義と官僚主義が似ているのは、いずれもトラブルを避けたいという点でしょう。公務員や政治家などの大きな組織の中にいる人に多いという印象を持たれています。

・保守的である

保守的とは過去から実施されてきたことに従って重要視することを指します。広い意味としては、新しいことを取り込まず、これまで実施されてきたことを曲げないということです。 しかし、行動が常に消極的であるというわけではありません。保守的だからこそ、過去の慣例を守るために積極的な行動に出ることもあります。その点が事なかれ主義と少し違う点となります。

職場における「事なかれ主義」具体例2選

1. 上長に当てはまる場合

上長が事なかれ主義を貫くタイプの場合は、職場の対人関係や仕事におけるトラブルなどが起きても、知っていても知らないふりをすることが多いようです。部下のミスやトラブルなどが、「自分の評価を左右する」と考え、トラブルが起きることを恐れています。 また、周りからの視線を必要以上に気にしたり、規則を守ることにこだわったりと、成果ややりがいなどよりもそのようなことを優先する場合もあります。 そのため、上長が事なかれ主義の場合は、部下が成長したり、チャレンジしたりする可能性が少なくなるでしょう。

2. 公務員に当てはまる例

事なかれ主義は、公務員の世界でもあるといわれています。公務員は、業績につながる売上のような成果について、強いプレッシャーを与えられることはあまりありません。 民間企業とは違う大変さはもちろんありますが、成果の有無で自身の評価が大きく変わるということは少ないでしょう。 そのため、仕事の成果を出したり、業績をアップすることよりも、仕事をする際に面倒なことやトラブルが起きないことを重要視する人もいます。 このようなことから、公務員が事なかれ主義の場合は、仕事をする際にあまり向上心などがなく、考え方や姿勢が保守的になると言われています。

事なかれ主義が起こる9つの心理・原因

1. 自信がないため問題が解決できない

問題が発生した時は、何かしらの対応をして解決する必要があります。しかし、事なかれ主義の人は、自信がないために問題と向き合い解決することができません。 過去の経験からどのように解決すればいいか分からない、大きな問題であるため自分のみでは対応できないなどと、自分で解決することは困難だと思ってしまいます。 そのため、実際に発生している問題に対して、目をそむけずに向き合うことは難しい場合が多いです。

2. 自分がダメージを受けるのが恐ろしい

実際に発生している問題が明らかになると、他の人から責任を追及される場合もあります。そのため、自分が責任を追及されているシーンをイメージし、初めから問題が発生していなかったこととして、問題を隠蔽することが多くあります。 しかし、問題を隠蔽しても、解決が根本的にできていないため、問題がさらに大きくなることがあります。

3. 当事者であるという考えがない

強い責任感がある人は、自分が原因でなくても、自分自身が発生させた問題として解決しようと考えます。しかし、当事者であるという考えがない人は、自分が原因ではないため関係ないと考え問題と向き合おうとはしません。 特に、組織や会社の中においては、問題の当事者に自分自身がなっていない場合でも、同じように組織や会社の問題であるため、問題に対して一丸となって取り組むことが大切です。 事なかれ主義の人が組織や会社の中にいると、問題に対して誰も考えなくなり、問題解決を互いに押し付け合って職場の対人関係が悪くなります。 そして、将来的には問題だけでなく、対人関係についても非協力的な関係に繋がる恐れがあります。

4. 自分が悪者になりたくない

責任を転嫁したり言い訳をしたりする人は、問題が生じたのは自分のせいだと否定されたと感じ、自分の自尊心が傷つかないようにするために、そのように反応することがあります。 言い訳をしたり、問題を回避することによって、自分は悪くない、と自分を守ろうとしているともいえます。

5. 面倒なことに関わりたくない

揉めごとや争いごとが起きると、メンタル的に疲れるためストレスが溜まります。面倒くさいと感じることもあるでしょう。 そのため、可能な限り毎日を平穏に暮らすために、事なかれ主義の人はできる限り揉めごとや争いごとから回避しようとします。

6. あまり向上心がない

向上心があまりない人は、物事に対してチャレンジすることが少なく、現状を維持しようと考える人が多くいます。確実性や安定性を、仕事においても重視します。 そのため、環境が目まぐるしく変化することからは回避しようとするため、新しく物事に挑戦しようとは考えません。

7. 目立ちたくない

目立つことが好きでない人は、目立つと他の人から嫌みを言われたり、注目されることを恐ろしいと思っている場合が多くあります。問題が発生すると、他の人からの注目が集まるため回避しようとします。

8. 自分でアピールできない

相手に素直に自分の気持ちを伝えられるか、上手に相手とコミュニケーションが図れるかが不安になり、自己アピールすることが苦手な人もいます。 自己主張することで、自分とは違う意見の人から悪く言われるのではないかと心配になるので、アピールが難しくなります。 自分でアピールが苦手な人は、話し合いや意見が飛び交うところは得意でないので、その場の雰囲気に合わせてしまうことも多くあります。

9. 人にへつらうのが上手い

立場が上の人に好かれたい人や、権力が欲しく出世したい人は、権力者に歯向かうようなことをしません。 立場が自分より上の人と下の人で態度が全く違う人は、波風を立てることで自分の立場が不利になるか有利になるかをベースに考えます。 >>【無料eBook】マンガでわかる!『エンゲージメント経営』

職場における事なかれ主義の3つの改善策

1. 責任の所在を、過去ではなく未来の対処に置く

「自分は悪くない」「評価が下がるのは嫌だ」と、自分に起こるマイナスな影響を防ぎたいために、事なかれ主義に走ってしまっています。 そのため、起こってしまったミスやトラブルについてあれこれ責任を追求したり追い詰めるのではなく、「そこからの対処」に対して責任を持つことを求めるよう、組織風土を変えていく必要があるでしょう。 辞任や離職をさせてしまえばOK。という解決方法では、責任をとったとは言えません。問題の原因をともに考えて解決していくことを会社として支援するようにしなければなりません。

2. ミスやトラブルを責めず、挑戦を称賛する文化づくりを

何か悪いことがあってもある程度の寛容さが必要です。また、従業員が挑戦したことによる失敗やミス、トラブルについては「挑戦したこと」自体は称賛する文化を作る必要があります。挑戦や失敗を恐れ、自分の立場を守るばかりの従業員では、事業は成長していかないでしょう。サンクスカードや表彰制度などを活用し、称賛文化を醸成することが、延いては事業や組織の成長にもつながります。 ▼関連記事 サンクスカードとは? 会社で導入する5つのコツとメリット | TUNAG(ツナグ) 社内表彰制度 – アイデア4種類、選考基準、事例3社を解説 | TUNAG(ツナグ) >>3ヶ月で10,000通の感謝のメッセージが贈られた株式会社BP様の取り組み事例を見てみる

3. 発言しやすく、心理的安全性の高い組織づくり

「こんなことを言ってはいけないかもしれない」「とても言える雰囲気にない」「上司が信頼できない」など、チームの心理的安全性が低い状態では、何かリスクに気づいた時も発言することができません。 日頃から相互の信頼関係を築き、困ったこと、問題だと思うことに手をあげて発言ができる環境づくりが必要です。

事なかれ主義をなくすには、相互の信頼関係の構築が必要

事なかれ主義、職場における事なかれ主義例についてご紹介しました。事なかれ主義とは、物事に波風が立たないようにすることです。事なかれ主義が起こる原因は、自信がないため問題が解決できない、自分がダメージを受けるのが恐ろしいといったところにあります。 組織がより成長していくためには、従業員同士の信頼関係、また、従業員と会社の信頼関係が必要不可欠です。一人ひとりの積極性を抑圧してしまう事なかれ主義が蔓延してしまうことを未然に防ぐことが大切です。

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TUNAG(ツナグ)は、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。

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エンゲージメントは、会社と従業員、従業員同士の信頼関係の構築がなされていることを指しています。従業員の意識を変えるためには、長期的な取り組みが必要です。改めて従業員と会社の関係を見直してみてはいかがでしょうか。


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