POINT
- 課題:会社から従業員への連絡事項が漏れがちだった
- 課題:従業員同士のコミュニケーションが希薄だった
- 運用:強制ではなく「お願い」で登録者数を伸ばした
- 運用:「既読は最大の反応」と考えじっくり取り組む
- 効果:コミュニケーションが生まれ退職者が減った
- 効果:投稿を見ることで社内に一体感が生まれた

名古屋市を拠点とする中日運輸有限会社様は、スーパーマーケットやドラッグストア、外食チェーンへの店舗配送を手がける一般貨物運送事業者です。
「従業員同士が顔を合わせる機会が少なく、コミュニケーション不足や組織への帰属意識の低さが当社の課題だった」と話すのは、代表取締役社長の水谷嘉秀様。運送業者ならではの悩みに対しどうアプローチしているのでしょうか。
組織づくりに対する水谷様の思いや、TUNAGを活用した取り組みについて、お話を伺いました。
導入前に課題に感じていたこと
運送業ならではのコミュニケーションの希薄さに悩む
※代表取締役社長 水谷 嘉秀様
〜TUNAGを導入される前、御社ではどのような課題を抱えていましたか?〜
代表取締役社長 水谷 嘉秀様(以下敬称略):当時は会社からの連絡事項の伝達が組織に徹底できていないことに悩んでいました。
運送業ではドライバーがトラックに乗って出発してしまうと、基本的に1人の状態になってしまいます。配送を終えると事務所に帰ってくることになってはいますが、点呼を受けると連絡事項が書かれた掲示物を見ることもなくすぐに帰ってしまうので、会社からのお知らせを伝えようにもどうしても漏れが出てしまう状況だったんです。
朝礼でも連絡事項を伝えていましたが、皆さん聞いているのかいないのか、よくわからない。会社からの連絡事項をどうしたら全社員に漏れなく周知することができるのか、思い悩んでいました。
こうした会社と従業員間でのやり取りだけでなく、従業員同士でのやり取りにも課題がありました。従業員の中には自分から積極的にコミュニケーションを取らないタイプの人もいます。
仕事が辛いという理由で離職する人は、就職してからだいたい3ヶ月ほどで辞めていくんですが、コミュニケーションが取れずに孤立してしまった人が離職する場合、だいたい1年ほどで辞める傾向にあります。仕事が軌道に乗ってきた頃に、いつのまにか孤立して居づらくなって辞めてしまうんです。
周りの誰にも相談できない状態になってしまったときに、ひと言ふた言でも声を掛けていればこんなことにならなかったのではないか。そんな思いから、従業員同士のコミュニケーションを促すような取り組みの必要性を感じていました。
〜新型コロナウイルスがコミュニケーションに及ぼした影響はありませんでしたか?〜
水谷:弊社では週に一度、お客様の配送センターの場所を借りて朝礼をしていたんですが、人が集まって密になるのを避けてほしいということで、それができなくなりました。従業員はそれぞれ出勤時間もバラバラなので、一度に集まるということができなくなってしまったんです。
慢性的な悩みを解決する手段としてTUNAGを選んだ
〜そんな中、TUNAGを導入されたきっかけにはどのようなことがあったのでしょうか〜
水谷:当時は慢性的な悩みは抱えていたものの、なんとかしなければという思いだけで、対策の手段を思いつかず困っていました。
運送業者のような、どちらかというと体育会系の会社のコミュニケーションといえば、バーベキューなど従業員参加型のイベントを立ち上げることが多いのですが、業務外で強制的に参加してもらうことは難しい。そんなふうに悩んでいたときに声を掛けていただいたのがTUNAGだったんです。
TUNAGの営業の方とお話をしていく中で、これまで感じていた課題がTUNAGを使うことで解決できるのではないかと思い、導入を決めました。
TUNAGの運用方法
「既読が最大の反応」社員は投稿を見てくれている
〜TUNAG導入時、ツールを浸透させるためにどんな工夫をされましたか?〜
水谷:ドライバーという職業柄か、スマートフォンを持っている人はSNSや掲示板に触れる機会が多いんです。2020年11月に導入を開始して、12月1日から一斉に全社員に案内を流したところ、皆さん興味を持ってすぐに登録をしてくれました。
ただ、一部なかなか登録をしていただけない人もいて、こちらで登録の状況を見ながら「協力してほしい」とお願いをしました。スマホは個人のもので会社から貸与しているわけはないので、強制的にではなく、お願いベースで進めています。
〜TUNAG運用で苦労された点はありますか?〜
水谷:導入した当初「もっとコメントをくれればいいのに」と悩んだことはありましたね。しかし、スタメンの加藤社長があるときセミナーで言っていた「既読が最大の反応だ」という言葉に救われました。
加藤社長自身、社員からの反応が薄く悩んでいたときに「既読が最大の反応だ」と考えてがんばってきたと言っていて、今でもその言葉を思い出しながら従業員が投稿を見てくれることを励みにしています。
現在はTUNAG上で従業員同士でコミュニケーションが取れる掲示板や、非常事態を想定した安否確認チャンネル、事故報告チャンネルなどを運用しています。会社からの連絡事項や私のつぶやきを発信すると、すぐ見てくれている人もいるようですね。

※オリジナル社内制度「事故発生速報」と実際の投稿画面です。各配送に回っているドライバーの方や本社の方から事故が発生した道路の速報を共有し、他のドライバーが渋滞の回避や事故防止を行えるような情報共有を行っています。
〜弊社のサポート体制についてはどのように感じていらっしゃいますか?〜
水谷:私自身、何に困っているか未だにわからないようなことがあるんですが、サポートの方に「こうしたらどうですか?」といったことを提案いただけるので、心強く感じています。
ツールについても導入前から非常にわかりやすく、こと細かに説明していただけました。また、他社の活用事例を紹介していただける点でとても助かっていますね。
TUNAGの効果
TUNAG導入で従業員間に一体感。お互いの距離が近づき退職者が減った
〜TUNAGを実際に活用されて、どんな効果が得られたと感じていますか?〜
水谷:運用してまだ半年ほどなので定量的な効果は実感できていませんが、この春は退職者が減少しました。例年4月は退職者が多くて、昨年などは一度に5人が退職してしまったんですが、今年は2人にとどまりました。
TUNAGのプロフィール画面を見ることによって、誰がどんな仕事をしているか知ることができる。それが従業員同士のコミュニケーションにつながって、社内に一体感が出てきているのではないかと感じています。
働いている時間や場所が異なるために、たまに事務所で顔を合わせるだけという間柄の人たちもいます。これまではお互いに名前すらわからなかったのが、今ではTUNAGで見たあの人だ、と思う。TUNAGを通じて会社と個人、個人と個人の距離が近くなったのではないでしょうか。
まれにTUNAGの投稿に対してネガティブな意見も聞きますが、それがドライバーたちのあいだで話題に上がるということは、彼らも投稿を見てくれているということです。投稿された情報を見るという点では、当初の目的が達成されていると思いますね。
〜今後TUNAGにどんなことを期待されていますか?〜
水谷:サポートも含めて、現在とても有用な形で利用させていただいているので、これ以上臨むことはありません。
ただ、弊社で取り組むべき課題として、TUNAG上で従業員のコミュニケーションが十分に活性化できているとはいえないところがあるので、今後はコミュニケーションの活性化に重点をおいてやっていきたいと思っています。
先日、「脳のMRI検査を会社で実施した方がいいですか?」というアンケートをTUNAGで取ってみたんです。すると、従業員からいい反応が得られました。以前、車庫の警報装置についてのアンケートを取ったときよりも反応がよかったので、皆さん少しずつTUNAGの活用に協力していこうという気持ちになってくれているのではないでしょうか。
連絡事項の徹底や周知、私からのつぶやきなど、会社からの案内として投稿した情報には従業員から反応が返ってくるようになったので、次は従業員同士のコミュニケーションですね。

※業務連絡の制度一覧画面とアンケートを実施している実際の投稿画面です。会社からの重要なお知らせを発信するだけでなく、アンケート形式で会社の改善事項について現場から意見をもらうようにしています。アンケート結果をもとに会社のお取り組みが改善されており、ドライバーの方の意見を経営側がしっかり受け取り改善していく流れができています。
組織に対する思い
希薄だった帰属意識。TUNAG運用でより組織を重視するように
〜水谷様が会社を運営されていく中で、組織を重視されるようになったきっかけをお聞かせください〜
水谷:運送業は従業員の入れ替わりが多い業界です。一方で、残る人は長く残る、高齢化が進みやすい業種でもあります。弊社でも高齢化が進んでいるので、若いドライバーにもう少し会社との距離を近く感じてもらえたらと考えました。
組織を大事にしなければいけないということは常々思っていましたが、TUNAGの営業の方とお話したことでそれがより明確になりました。若いドライバーはみんなスマホを持っているので、会社の思いを届けるためにITツールで何かできればという思考になったんです。
〜当時、組織運営にどんな課題を感じていたのでしょうか〜
水谷:運送会社では管理職が数人いて、それ以外がドライバーという会社がほとんどです。規模にもよりますが、上下ではなく平らな状態の組織であることが多いんですね。
それではいけないのではないかと思い、班分けをして、課長職、係長職といった役職を振ったことがあったのですが、きちんとした組織を作ることは難しかった。ドライバーの多くは「仕事は1人で完結させたい」という考えなので、組織の長としての責任を持たせるのは困難でした。
今思えば、当時は会社と個人というつながりができていませんでした。出社したら配送に出発し、無事帰ってお給料をもらえたらそれでいい、と考える人もいたかもしれません。従業員が事故を起こしたとき、朝礼で注意を促しても聞いているかどうかわからない。班やチームを作る以前に、組織に所属しているという意識が醸成されていなかったんです。
TUNAGを導入し、横も上も見えるような状況を作り出していく中で、まずはこういった帰属意識を生み出すところから具体的にやっていけばいいんだと手応えを感じました。
〜水谷様が組織のエンゲージメントを向上させるために取り組まれていることはありますか?〜
水谷:TUNAG上で日報を投稿する際、気になったことをコメントとして書いてくれる人がいるんですが、それについて丁寧に聞き取りをするようにしています。
これまで、日報は紙ベースで行っていて、何かあれば備考欄に記入するようになっていたんです。TUNAGだと紙で提出していたときよりも気軽に手をつけてもらえるので、従業員とのコミュニケーションが上向きになっているように感じます。

※実際の社長メッセージ「水谷のつぶやき」の制度画面です。業務上の情報共有に加え、水谷社長から定期的に会社の方向性や大事にしてほしいことを社長から直接伝えていただいています。社長からの伝達は、これまで会議や回媒体で伝えられていましたが、TUNAGによってタイムリーに直接従業員の皆さんへ届けられるようになりました。
今後TUNAGで実現したいこと
従業員と一体となって、持続性ある企業を目指す
〜実際にTUNAGを活用されてみて、どんな業界におすすめだと感じられましたか?〜
水谷:運送業は1人がで仕事をするのが好きという人たちが多い業種です。その分個人主義で、組織への帰属意識が希薄になってしまうことがあるので、運送業をはじめ、そういった悩みを抱えやすい業種には非常に相性がいいと思いますね。
導入時、TUNAGの活用事例として多店舗展開している飲食店の例を紹介していただきましたが、たとえば自分の店舗以外の様子がわからないような「自分の周り以外が見えにくい」といった業界の人にはマッチするのではないでしょうか。
TUNAGは社員それぞれのタイミングで会社からの情報に触れることができます。個人の時間や働き方を大事にしつつ、つながりをくれるツールだと思っています。
〜今後、TUNAGを活用してどんな会社を作っていきたいと思われますか?
水谷:従業員が安心して生活できる会社です。運送業は、運転免許証さえあれば何歳になっても体が動く限りできる仕事なので、入る際のハードルは低いんです。しかしその分、業種として不安定な部分があります。
だからこそ、弊社では従業員が一体となって、安心して長く働ける環境を作りたいと考えています。
そのためには、企業としての持続性も大切です。私たちは地域の中で食品を運び続けてきました。運送業は世の中に必要な業種です。今後は業種としてだけでなく、なくてはならない会社として地域に必要とされるようになっていきたいですね。
〜水谷様、お話いただきありがとうございました!〜