組合からの情報発信をTUNAGに集約。コミュニケーションの活性化とペーパーレス化を図る
ワコール労働組合では、「会社と組織の発展を通してより働きがいのある職場を作り、充実した豊かな人生を実現する」を活動目的に掲げ、労使の相互信頼のもと組合活動を行っています。
組合員数、約3,600名。京都、札幌、東京、福岡に全部で5つの拠点を設ける同労働組合では、コロナ禍をきっかけに対面でのコミュニケーションの機会が減り、組合員同士のつながりが希薄になってしまったことを課題に感じていました。
「活動の軸は対面に置きながら、情報発信をデジタル化していくことで活動の幅を広げたい」そう話す中央執行副委員長の山内一樹様に、TUNAG(ツナグ)の運用方法や期待する効果についてお話を伺いました。
導入前に感じていた課題
コロナ禍でコミュニケーションが希薄に
広報誌をペーパーレス化し、コンテンツの幅も広げたかった
山内:コロナ禍がきっかけで、コミュニケーションが希薄になってしまったというのが一つです。もともと、組合活動以前に株式会社ワコールとして、飲みニケーションなど対面コミュニケーションがあったんですが、コロナ禍でこれが激減してしまって、つながりが薄くなってしまったことが一番大きな課題でした。
他にも、広報誌を紙で全組合員に発送してたことも課題で、ペーパーレス化したい思いがあったんです。
広報誌だと情報をリアルタイムに発信できず、発信した情報が見られているのか、定量的に可視化できないという課題もありました。
組合のホームページでは閲覧数を管理できるツールを入れてたのですが、そもそもホームページの更新に手間がかかる仕様で。
内容も、広報誌のデータをアップするのと、広報誌のプレゼント企画の応募フォームを設定するくらいなので、基本的に、広報誌を読んでプレゼントに応募する人にしか訪問してもらえない。
それならば、プラットフォームを1つ作って、全てそこに集約すれば、自分たちのやりたいことが実現できるのではないか、と感じていました。
TUNAG導入のきっかけ
導入の決め手は、専任の担当者と二人三脚で運用できること
〜そのような課題がある中で、TUNAG導入の決め手は何だったのでしょうか?〜
山内:もともとはTUNAG以外にもう1つ別のアプリを検討していたんですけど、専任の担当の方がいるか、いないかの違いでTUNAGに決めました。
TUNAGが展開しているサービス自体にももちろん興味はあったんですが、一番の決め手になったのは、カスタマーサクセスの担当の方がいるところですね。
自分たちだけで運用しないといけないとなると、少しハードルが高くて、他の業務に追われて更新頻度が低くなってしまうんじゃないかと思ったんですが、専任の担当の方と二人三脚でできるというのが一番の決め手になりました。
どういうふうに更新していったらいいか相談できるのも大きかったですし、他の労働組合さんの取り組みを横展開で紹介してもらえる点も、非常に魅力でした。
TUNAGを活用した取り組み
組合からの情報発信をTUNAG上に集約、コミュニケーションを促すコンテンツも発信
〜今後TUNAGをどのように活用される予定ですか?〜
山内:一番に取り組まないといけないと思っているのは、組合からの情報発信をTUNAGに集約することです。
今までメールや郵送などいろんなツールを使っていたので、そこをTUNAGに統一したいですね。
中央執行委員会での内容や、事前の資料の共有、出欠確認について、現在はチャットツールを使って行なっていますが、その辺りもすべてTUNAGでやってしまおうと思っています。
TUNAGを完全に軸にしながら、一部どうしても「紙でなければ...」という人たちもいると思うので、うまく併用しながらやっていきたいですね。
発信情報ツールを集約するという意味では、組合ホームページのコンテンツはすべてTUNAGに移行して、TUNAGを組合員に対してローンチしたタイミングでホームページは閉鎖しました。
紙で送っていた広報誌も、「今後はTUNAGで見ます」と希望してくれた人の分は減らせたので、ローンチから2週間足らずで約2,600部から約2,000部まで紙を削減できています。
〜コミュニケーションの課題も挙げられていましたが、この点についてはTUNAGでどんな取り組みをしていくのでしょうか?〜
山内:コミュニケーションについては、もともと広報誌の中にコンテンツとして入れていた「シェアフォト」や、組合員の声を紹介するコーナーを、TUNAGに移行しています。
それにプラスして、何か面白い事例があったら取り入れていきたいと思っています。
コロナ禍でつながりが希薄になってしまったのは、中央と現場の組合員だけでなく、ブロックの役員と現場の組合員も同じです。
まずはブロックの役員の人となりを知ってもらうように、輪番で「今こんなことにハマってます」とか、些細なことでいいので発信してもらうコンテンツを検討しています。
そういったことをきっかけに、各ブロックが活性化していけばいいなと思っています。
TUNAGの運用について
スタート直後ながら、初回登録キャンペーンで登録率が約60%に
〜TUNAGの運用開始にあたり、具体的に何からスタートしたのでしょうか?〜
山内:組合員向けにTUNAGをスタートした直後は、「初回登録キャンペーン」で登録を促しました。
期間中に登録してくれた人に1,000円分のデジタルギフトをプレゼントするんです。
このキャンペーンをしたことで、組合員約3,600名のうち、現時点で2,145名と、約60%が登録してくれました。
今後は、残りの40%ぐらいの人にどう登録してもらうかが大きな課題だと思っていて、一つアイデアとしては「紹介ギフトプレゼント」みたいなものをやろうかなと思っています。
〜TUNAGの運用体制や、役割分担について教えてください〜
山内:コンテンツの構築をメインで行なっているのは、専従メンバー5名です。
ホームページからコンテンツを移すなど、大枠を作る作業をしたのが私ともう一人の2名。
その他の3名は、担当している組織の活動や、労使間活動について、記事を作っています。
今後の運用にあたっても、この5名を中心として、それぞれが担当しているブロックの役員たちと連携をしていきます。
各ブロックからの連絡は、そのブロックの統括と副統括がメインになって回してもらう予定です。
なので、全部で20名ほどでTUNAGを運用するイメージですね。
〜組合員の方々はどのように利用するのでしょうか〜
山内:うちは大きく2つの雇用形態に分かれていまして、正社員と販売正社員があります。
TUNAGを利用するのは、正社員と販売正社員で、契約社員やアルバイトは含みません。
販売正社員というのは、商業施設や百貨店の販売員の方々がほとんどですが、一部内勤職の方もいます。
販売正社員の9割ぐらいは会社からタブレットを貸与されているので、タブレットのブラウザでTUNAGを見るか、私用のスマートフォンで見るかの、どちらかですね。
TUNAGに期待する効果
KPIは利用率80%、「このアプリいいよ」の連鎖を生みたい
〜期待する効果について教えてください〜
山内:KPIとしては、今期末までに利用率80%を目指しています。
「2:6:2の法則」で、「6」の人たちにどれだけ利用してもらえるか。
TUNAGのホームページにも書かれていますが、組合活動をしていくうえで、大きな組織を動かすなら8割の人に情報が届くかどうかだと思っているので、80%を1つの目標値にしています。
こちらが重要だと思ってる情報を、TUNAGの「必読」の設定で発信して通知を飛ばして、80%のうち半分くらいの方に記事を読んでもらえたらいいのかなと思っています。
指標以外の状態や効果でいうと、「人が人に紹介する」というのが一番効力が強いと思っているので、「これおもしろいからやってみたほうがいいよ」という連鎖が表れる状態を目指したいなと思っています。
組織の目指す姿
自己成長の機会や情報を自ら掴みにいく能動的な組織を目指す
山内:ワコール労働組合では、中長期的ビジョンとして「WLU ビジョン2030」を掲げています。
「One WLU,HAPPINESS for ALL ~WLUは全ての幸せのために~」という副題があって、そのためにまず自分が成長する、組合員の成長を促していくということを掲げています。
その中で今、人材育成に非常に力を入れており、「まずやってみる」「興味を持ったことに対して行動してみる」というところに軸を置いています。
なので、TUNAGもそうですが新しいことがどんどん入ってくる中で、まず触れてみる。関わってみる。
そこを組織として実現していきたいですね。お互いに、自己成長の機会を自分でつかみにいく。
情報も自分から主体的に取りにいく。そういう能動的な組織を目指していきたいです。
その一環として、これからTUNAGを利用していきたいと思いますが、だからといってデジタルに疎い方を取り残していくわけではありません。
情報はTUNAGに集約していく一方で、デジタルに慣れない方も一緒に、みんなで組織を運営していけたらなと考えています。
固定概念を破ってアクションを起こせば、組合活動の幅も広がる
〜最後に、他の労働組合の方にメッセージをお願いします〜
山内:私が3年前に労働組合の役員になったとき、組合活動はアナログだなと感じることが非常に多くありました。
「労働組合とはこういうものだ」という固定概念のようなものがあって、声を挙げづらい部分があったと思うんです。
でも、その殻を破ってアクションを起こすことで、組合活動はどんどん改善していい方に向かうと思っています。
今後そういう組合活動が展開されて行けば、より労働組合というものにスポットライトが当たっていくんじゃないかなと。
ただ、完全に脱アナログというわけではなくて、やはり組合活動は人から人に波及することで伝えていくものだと思っています。
それを一番うまく伝えられるのは対面で表情を見ながらだと思うので、活動の軸は対面に置く。
一方で、情報発信に関してはデジタルのほうが「誰でも」「どこでも」情報を取れるし、早いし、利点しかないと思っているので、活動によって棲み分けをしながら、デジタルにシフトできるところはしていくほうが、活動の幅が広がると感じていますね。
〜山内様、ありがとうございました!〜