ハンズが取り組む、本部と店舗の「情報共有」と「タスク管理」をスマホアプリで効率化する方法
株式会社ハンズ様は、暮らしに根ざしたさまざまな商品を幅広く取り揃えた「ハンズ」、小型専門店型のライフスタイルショップ「ハンズ ビー」、地域密着型店舗の「プラグス マーケット」を、国内外に94店舗展開しています。
店舗スタッフまで情報がタイムリーに届きづらく、本部が指示したタスクの進捗が見えにくいという課題があったことから、TUNAG(ツナグ)を導入。情報共有やタスクの進捗管理をどのように実施しているのか、顧客マーケティング部の城野様(以下、敬称略)にお話を伺いました。
※記載の内容は、インタビュー時点の情報です。
「従業員への情報共有」「タスクの進捗管理」が課題で、TUNAGを導入
当時の社内イントラはパソコン用メニューが多く、タイムリーな情報共有が困難
〜TUNAG導入前、貴社ではどんな課題を抱えていましたか?〜
城野:当社は小売業で、従業員のほとんどが店舗スタッフなので、1人1台パソコンを持っているわけではありません。もともと、内製の社内イントラを使っていたんですが、パソコンでしか見られないメニューがかなり多くて。情報を見るには、事務所に入ってパソコンの順番待ちをするという感じで、「全従業員がタイムリーに情報を見て対応する」というのができない状況だったんです。
特に、タスクの進捗管理ですね。以前の社内イントラだと本部から依頼をしても、そもそも見てくれたのか分からず、やったかどうかの後追いができなくて、依頼した店舗のうち、何店舗が対応済みなのかの進捗も分かりませんでした。管理職や店長も、自分のお店のスタッフが対応したのか把握できない状況でしたね。
ただ、iPhoneは1人1台配布していたので、スマホで見られる形で情報が出せないかと考えました。TUNAGはスマホアプリがあり、「タスク依頼機能」で進捗管理もしやすくなりそうだということで、導入しました。
「必要な情報だけを届けられる」ことも、TUNAG導入の決め手に
〜その他に、TUNAG導入の決め手になったことはありましたか?〜
城野:以前の社内イントラは、従業員ごとに必要な情報が制御できず、全員に対してすべての情報が届いていたんです。
例えば、本来なら「ヘルス&ビューティ」の担当は「DIY」の情報はそんなにしっかり見なくても良い。「社員」「契約社員」「管理職」「店長」という従業員の区分によって、必要な情報は変わる。そういった区分けができずに、ものすごい量の情報が届いて、その中から自分に関係あるものを探すという情報収集の手間が発生していました。
TUNAGは「ヘルス&ビューティの人だけ」「ハウスウェアの人だけ」とか、「管理職だけ」「店長だけ」と細かく設定ができて、「その役職・役割の人に必要な情報だけを届けられる」というのも決め手の1つになりました。
タスクの進捗管理や、情報の一斉伝達にTUNAGを活用
タスクの発行から完了報告、進捗確認まで、「タスク依頼機能」をフル活用
※ハンズ様の実際のTUNAG画面を、一部編集しています。
〜タスクの進捗管理というのは、具体的にTUNAG上でどのように行なっているのでしょうか?〜
城野:「タスク依頼機能」を使っています。主に、本部のバイヤーとディストリビューターの2部署から、店舗の従業員に向けてタスクを依頼します。
例えば、ダイアリーの返品指示を出す場合、ステーショナリーのバイヤーが、全店のステーショナリー担当スタッフに対して「〇月〇日までに、この商品の返品を完了させてください」「だいたい〇分ぐらいかかる作業です」とタスクを発行します。
すると、各店のステーショナリー担当スタッフに「タスクに対応してください」とプッシュ通知が届き、タイムライン上部にも表示されます。担当者が指示内容を確認して「タスクを受ける」ボタンを押すと、ステータスが「〇〇さんが対応中」になり、同じ店舗の人たちも、誰が対応しようとしているか把握できます。
※ハンズ様の実際のTUNAG画面を、一部編集しています。
城野:担当者が対応を終えたら、本人がTUNAG上で「完了しました」「〇分かかりました」と報告をします。報告は同じ店舗の人たちにも見えるので、「うちの店はこのタスク終わったんだな」と分かります。
本部スタッフも自分が発行したタスクを一覧で確認でき、それぞれ「残り〇件」と表示されるので、何店舗に依頼して、何店舗が完了したのか把握できます。リマインドでプッシュ通知を飛ばせる機能もあるので、状況によってはそれを使いながら、達成率100%を目指します。
〜店舗スタッフの方は日々の業務もある中で、どういったタイミングでタスクに気づくのでしょうか?〜
城野:店舗スタッフは基本的にフロアで接客をしているので、常にTUNAGを見ているというよりは、朝礼の前とか、休み時間から戻るときにタイムラインを見ているようです。「基本的に、出勤時は毎回タイムラインを見ましょう」というルールにしています。タスク発行時にプッシュ通知が飛ぶようにしているので、通知で気づいたりもするかもしれませんね。
売り場ごとの共有連絡や、商戦計画の一覧化、メディア掲載情報の発信も
〜先ほどの「情報の区分けが課題だった」という部分については、TUNAGをどのように使っていますか?〜
城野:情報を制御するために、カテゴリー別に「営業連絡板」というのを用意しています。例えば、「ヘルス&ビューティ」の営業連絡板は、「ヘルス&ビューティ」の担当スタッフにしか見えません。カテゴリーごとに場所を作って、そのカテゴリの担当スタッフにだけ閲覧権限を付けています。
発信する内容としては、「〇月〇日から『〇〇〇〇』という特集をやる予定で、そのPOPを公開したので、印刷して指示書の通りに展開してください」「今度出る新商品はこんな条件で販売するのでよろしくお願いします」とか、いろんな情報ですね。タスク依頼ほどではない、共有連絡レベルの情報を本部のスタッフから伝達しています。
〜情報共有の取り組みで、他にやっていることはありますか?〜
城野:毎月「季節商戦」というページを作って、商戦計画として、その月に行われるキャンペーンやイベント、季節商品の展開を一覧化して共有しています。出勤した人が今やっているキャンペーンやイベント一覧が見られるように作っている感じです。以前はパソコンでしか見られなかったんですが、スマホで見られるようにTUNAGへ移行しました。
あとは、「メディア掲載情報」として、「〇月〇日に、このテレビ番組でこの商品が紹介されるので、お客様から問い合わせがあったら対応してください」という内容をお知らせしています。商品がメディアに掲載されると、フロアでお客様から「今朝、〇〇の番組で見たんですけど、商品名までは覚えてなくて…」と尋ねられることが多いので、店舗スタッフが対応できるように発信しています。
直営店とフランチャイズ店舗、合計2,000名以上でアプリ運用
地道な声掛けで、「情報を見ることの習慣づけ」からスタート
〜直営店だけでなくフランチャイズ店舗でもTUNAGを利用中かと思いますが、実運用の部分についても教えてください〜
城野:直営店は契約社員以上の全員をTUNAGに招待していて、アルバイトは対象外にしています。フランチャイズの店舗の方は、全員は招待していなくて、「この人に権限を付けてください」と店舗から申請があった人をTUNAGに招待しています。各フロア数人ずつで、1店舗に10人とか、そのくらいの店が多いかなという状況です。
運用体制は、TUNAGの操作方法や人事異動による担当情報メンテナンス等の担当が実質1〜2名で、店舗のオペレーション全体を管理・改善する部署でもう数名が、タスクの完了率を見て各店の状況を確認したり、店舗に働きかけて完了率100%に近づけたり、というサポートをしています。
〜TUNAG導入後、運用を開始するにあたって、何か工夫した点はありますか?〜
城野:社内イントラを使っていたときは、パソコンでしか情報が見られなかったので、フロアスタッフはそもそも情報を見に行く習慣がありませんでした。そのため、TUNAG導入当初は「情報を見ることの習慣づけ」から始めないといけない店舗も多かったので、朝礼のときに「TUNAG今日見てない人、見てね」と声掛けをしましたね。
今は、本部からの投稿に対して、各店舗が「確認しました」とコメントを返してくれるんですけど、一日中ポツポツとコメントが来ています。「出勤したら毎回タイムラインを見ましょう」というルールですが、見るタイミングには明確なルールはなく、「見られるタイミングで見てくれている」という感じですね。
タスク完了率が改善し、「本当に必要な情報だけ」が届くようになった
タスク完了率が上がり、データをもとに全社で完了率を意識づけ
〜TUNAGでタスクの進捗管理をするようになり、効果を感じる部分はありますでしょうか?〜
城野:以前の社内イントラのときはタスクの完了率を追えていなかったので、TUNAGを導入して完了率が変化したかどうか、数字では明確に出ないんですが、実感としては上がっていると思います。あと、TUNAGでモニタリングを開始した当初よりは、確実に完了率が上がっていますね。
完了率が見えなかったときは、完了率が高いとか低いとかを意識せずに店舗運営をしてきたんですが、TUNAGで完了率を見える化したことで、店舗や本部で「うちの店、他の店と比べて低いじゃん」「あと0.7%なのになんで達成できないんだろう?」と、数字をもとに話ができるようになりました。そもそもデータがないと、そういう話もできないですよね。
数字で状況が把握できるようになって、「期日があるものは期日までにやるものだよね」と全社で完了率を意識できるようになったのは良いところかなと思います。
「これやった?」「どれ?」が不要になり、店舗内での進捗共有が効率化した
〜実際に、店舗スタッフの方が業務をする上で、良い影響などはありましたか?〜
城野:店舗スタッフはシフト制で交代で出勤しているので、自分が出勤していないときに何が起きたか分かりづらいんですよね。以前は店舗内でもタスクの状況がさっぱり分からなかったり、「これやった?」「どれ?」という口頭でのコミュニケーションがあったはずなんです。
今は一覧でタスクが見られるので、自分が休みの日に誰かが終わらせてくれたタスクも、遡って見ることができる。進捗管理をするうえで、コミュニケーションを頑張らなくても状況が分かるようになり、効率的になりましたね。
各担当に本当に必要な情報だけが届く:受信件数が43%に減ったケースも
〜タスクの進捗管理以外で、情報共有の効率化を実感していることはありますか?〜
城野:カテゴリーごとに情報を出し分けるようになってから、情報の受信件数がぐっと減ったケースも多いです。例えば、1カテゴリーのみ担当している契約社員は、受信件数が以前の43%になり、3カテゴリー兼務している一般社員も、以前の65%になっていて、かなり削減できましたね。「本当に大事な内容だけ届くようになったから、自分でしっかり情報を見ましょうね」という話ができて、そこは良かったかなと思っています。
店舗スタッフも、情報を見に行きやすくなったと思います。もちろん、新しいツールになかなか慣れなくて「前の方が良かった」「使いづらい」と感じる方もいると思うので、満場一致でというわけではないと思いますが、伝言ゲームで知るとか、パソコンで見るのではなくて、スマホで自分で情報を見られるようになった分、情報にアクセスしやすくなっているはずです。
やるべきことをやりつつ、接客もきちんとして、売上を上げられる組織へ
TUNAGのデータを活用し、情報伝達の仕方や頻度を改善していきたい
〜今後、ハンズ様としてどんな組織を作っていきたいか、どのようにTUNAGを活用していきたいか、お聞かせください〜
城野:今は「やるべきことを期日までに100%達成する」というところがまだできていないので、タスク依頼機能を使いながら、まずはそこがしっかりできる組織になっていきたいと思っています。
また、「今、完了率は何パーセントか」「30分で終わると思ったタスクが1時間かかってるな」というデータが見えるようになったので、「1時間のタスクが毎日〇本、月に〇本だとして、接客する時間がちゃんとあるか」「達成できている店はなぜできているか、達成できていない店はなぜできないのか」など、発信者側でも情報伝達の仕方や、頻度を改善していきたいですね。
やるべきことをちゃんとやりながら、接客もきちんとして、売上も取っていく。そんな組織にするためのネタがTUNAGのデータから見つかると思うので、しっかり活用して、あるべき組織の姿を目指していきたいと思います。
〜城野様、お話いただきありがとうございました!〜