承認欲求スコアが20近く上昇。寿司の世界で「見て覚えろ」を脱却し、若手定着に挑む

長崎県を中心に地域密着型の寿司チェーン『若竹丸』を営む株式会社おおやま。九州4県に約30店舗を展開しており、正社員約60名、パート・アルバイト約180名が働いています。
同社では、飲食業界ならではの離職率の高さや現場への理念浸透の難しさに課題を感じて「TUNAG(ツナグ)」を導入。組織診断サービス「TERAS(テラス)」でエンゲージメントの状態をチェックしながら、施策の内容やターゲットを定め、TUNAGで運用しています。
その結果、「20代社員の事業理解や組織理解のスコアが10以上増加した」「承認欲求のスコアが20近く増加した」など、着実に組織の変化を実現しています。
組織診断から具体的な施策への落とし込みや、現場の声を吸い上げ風通しの良い組織を作る方法について、取締役 専務の嘉村様(以下、敬称略)にお話を伺いました。
(取材日:2025年3月)
離職率の高さと理念浸透に課題
飲食業の大きな課題である「離職率」を改善したい

取締役 専務:嘉村様
〜TUNAG導入以前、貴社ではどんな課題を抱えていましたか?〜
嘉村:一番は離職率の高さですね。飲食業やサービス業は他の業界と比べて離職率が高い中で、少しでも改善したいと思っていました。
少子化もあって、そういった業界では特に人材の奪い合いなんですよね。その中で、せっかく採用できた人が辞めてしまうのが一番痛い。だからこそ離職改善は必須だと考えていました。
そもそも飲食の店舗はある種の閉鎖された空間で、ブラックボックス化するとお互いの店舗のことが見えず、同じ会社に勤めていても仲間意識が育づらいんですよね。別の店舗にも頑張っている仲間がいると知ってほしくて、どうにか店舗を超えて情報発信する方法はないかと考えていました。
プライベートチャットに代わるツールを探していた
〜当時、社内の情報発信はどのように行っていたのでしょうか?〜
嘉村:主にプライベートチャットを使っていました。本部から店長・副店長までは専用のチャットルームで直接情報を伝達できていたのですが、店舗は店舗でそれぞれチャットルームがあり、店長から現場の正社員やパート・アルバイトに情報を伝え直す感じでした。
伝達の過程で言葉って変わっていくもので、店長の解釈によって本部が意図しない形で情報が伝わるなど、本部から現場への情報共有には苦戦していましたね。
社内イントラもありましたが、本部と店長・副店長が業務のファイルを共有するために使われているだけでした。
現場に理念を浸透させ、風通しの良い組織を作りたい
〜その他に会社として課題に感じていたことはありますか?〜
嘉村:理念浸透にも課題がありました。理念を知っている人は社内のごく一部で、現場社員やパート・アルバイトだけでなく店長も理念を知らないような状態でした。いま一度、全体に向けて理念を発信していきたいと思ったんです。
また、トップダウンの指示は行き渡る一方、現場からの声や報連相が本部まで届かない状態で、ボトムアップの伝達も改善の余地がありました。
私が店舗を回って現場の声を吸い上げるには限界があったので、風通しのよい会社にするためにも何か対策をしなければと思っていました。
「感覚ではなく数値を見て改善」TUNAGとTERASを導入
同業他社の導入事例を見て活用イメージを持てた
〜離職改善のために、どういったツールを検討しましたか?〜
嘉村:人事評価とエンゲージメント向上のツールをそれぞれ探し、TUNAGの他にも2つほど比較検討しました。
先にどちらに着手すべきか考えましたが、ボトムアップの組織を作るにはやはりエンゲージメントだろうということで、最も自社に合うと感じたTUNAGを導入した形です。
〜TUNAG導入の決め手は何でしたか?〜
嘉村:本部からパートも含めた店舗スタッフにスピーディーな情報共有ができる点や、サンクスカードが使える点です。
TUNAGの公式サイトで同じ寿司チェーンの導入事例を読んで「これは上手くいきそうだ」と自社での運用イメージを持ちましたね。実際のTUNAG画面を見て、こんなふうに使えばいいのか、と非常に参考にさせてもらいました。
組織の改善状況を数値で追えるよう、組織診断サービスも併用
〜貴社では、弊社の組織診断サービス「TERAS(テラス)」(※1)も導入されていますね。なぜTUNAGだけでなくTERASも利用するに至ったのか、背景をお聞かせください〜
嘉村:組織改善が進んでいるかどうか感覚ではなく数値でしっかりと効果測定をするために、組織診断サービスが必要だと考えました。
過去に別の社内アンケートや組織診断を利用したこともありましたが、TUNAGのカスタマーサクセス担当者がTERASの結果も踏まえてサポートしてくれると聞いて、TERASの導入を決めました。

※1:株式会社おおやまでは、組織状態を可視化して打ち手を設計する組織診断サービス「TERAS」を活用しています。
若手の離職を防ぎ、本部と現場をつなぐ取り組み
離職率の高い20代社員を集め勉強会を開催
〜離職改善の具体的な取り組みについて教えてください。〜
嘉村:TERASの結果から20代社員や新卒社員のスコアが低いと分かったので、カスタマーサクセス担当者にアドバイスをもらって、若手社員を集めて勉強会を開催しました。
チームで協力して戦略を立て、一つのことをやり遂げるという経験を積んでもらうために、チームビルディングのゲームをやりましたね。ペーパーチャレンジといって、制限時間内にA4用紙だけでタワーを作るものや、バースデーチャレンジといって無言で誕生日順に並ぶゲームなどです。
〜ゲームを通して若手社員同士のつながりを作ったり、コミュニケーションの取り方を楽しく学べそうですね。〜
嘉村:今後外国人採用を進める中で、遊びながら言葉以外で意思疎通を図る方法を探ったり理念浸透やコミュニケーション能力の向上を図っています。
ゲームではありますが、景品もあるのでかなり真剣勝負です。前回は私の包丁をプレゼントしたのですが、かなり喜んでもらえました。
店舗から投稿する「日報」「みんなの投稿」

実際のTUNAG画面です。従業員同士で感謝を送り合う「サンクスカード」、店舗スタッフが投稿する「日報」「みんなの投稿」など、幅広いコンテンツをTUNAGで運用しています。
〜プライベートチャットに代わりTUNAGを導入後、情報共有の面ではどういった取り組みを実施していますか?〜
嘉村:1つが日報です。もともと店舗から本部へ売上数値が送られてくるだけでしたが、TUNAGの日報では一日の振り返りもしっかり記載しています。
ログイン率を高める目的とスタッフ自身でしっかり振り返りをして一日を俯瞰的に見てほしいという意図から、正社員なら誰でも投稿でき、なおかつ店舗スタッフ全員が見られるように権限を設定しています。
内容としては、新しく入った従業員にどんな業務を教えたか。クレンリネスで言えば掃除をした場所の写真をスマホで撮って投稿する。本部に提出する書類があれば添付する、みたいなイメージです。
〜その他にも店舗スタッフが投稿するコンテンツはありますか?〜
嘉村:誰でも投稿できる「みんなの投稿」というコンテンツがあります。その日のまかないを写真付きで投稿するのがブームになっていますね。
現場からもボトムアップで投稿できるようにと思って作ったものですが、同時にTUNAGに愛着を持ってもらいたいという狙いもあります。
本部と現場の「壁」を壊し、安心して相談できる仕組みを整備

実際のTUNAG画面です。役員の過去の失敗談など、本部と現場の距離を埋める発信にも注力しています。相談などを書き込める「何でもBOX」は投稿者本人と嘉村様しか閲覧できない設定のため、現場スタッフがスマホから安心して相談できる仕組みとなっています。
〜本部からの情報発信としてはどんな取り組みをされていますか?〜
嘉村:社会人としての振るまいや考え方など、飲食以外の知識も含めて幅広い情報を私から発信しています。もともと私が各店舗を回って1on1面談のような形で一人ひとりに伝えていた内容を、全社向けに発信してしまおうという取り組みです。
特に人気だったのは、私の失敗談を短編小説風にした投稿です。「そんな経験をしていたなんて思えないです!」みたいな反応が多かったですね。
〜どういった意図で始めたコンテンツなのでしょうか?〜
嘉村:役職がある私たち本部の人間に対して、どうしても現場スタッフたちは「壁」を感じやすいと思うのですが、「皆さんと同じようにスタートしてるんですよ」と言いたかったんです。壁を取り払ってフランクに接してもらいたい気持ちがありますね。
現場で悩む人の駆け込み部屋「なんでもBOX」
〜本部の方がそういったフラットな姿勢だと、現場の方も色々と相談しやすいのではないかと思いました。〜
嘉村:そこは大切にしていますね。実は、直通で私宛に連絡できる「なんでもBOX」という相談場所もTUNAGに設けています。一緒に働く店長には相談しづらい悩みや不安もあると思うので、そういう人たちに逃げ道を用意したかったんです。
TUNAGを通して相談が来たらすぐに私が電話して、そのまま店舗まで会いに行き、一緒に解決策を考えます。こうした取り組みも通して、離職防止につなげられたらという想いがありますね。
若手の会社理解が進んだ。職人の世界で称賛文化が根付く
組織診断で20代社員のスコアが大幅に向上

〜TUNAG導入後、どのような効果を感じていますか?〜
嘉村:TERASでは、20代社員の「事業理解・共感」「組織理解・共感」のスコアが10以上も上昇しました(※2)。
若手社員向けの研修やTUNAGの投稿で理念について発信することで、現場でも理念に沿った会話をする機会が増えています。実際に、店長や副店長などが定期的に投稿するコンテンツでも理念について投稿してくれる人が増えましたね。
TUNAGで他店舗の様子が見える分、良い意味でライバル意識を持って頑張ってくれる若手も出てきました。

※2:TERASでは、自社の課題がどこにあるのか8要素に分けてスコアを測ることができます。「新卒 / 中途」「部署」「役職」などセグメント別の分析もでき、誰を対象にどういった施策を実施するか具体的に検討しやすくなっています。
「ありがとう」が飛び交う職場に。承認欲求スコアが20近くアップ
〜コミュニケーションの活性化についてはいかがでしょうか〜
嘉村:TERASの数値を見ると、複数店舗で「承認欲求」のスコアが20近く向上しました。実際に「ありがとう」という言葉が飛び交う頻度が増えましたね。
これまでお客様には「ありがとうございます」とお伝えする一方、スタッフ同士ではなかなか伝え合うことがなかった。けれどもTUNAGを導入したことで、対面でのやり取りを含めて感謝を伝える文化ができつつあると感じています。
〜そういった文化はどのようにできていったのでしょうか?〜
嘉村:寿司屋は職人気質な人も多く、以前は仕事の教え方も「見て覚えてください」というスタイルが主流でした。同僚に感謝を伝えることを恥ずかしく感じる人も多かったと思います。
でも、TUNAG導入後は後輩とのコミュニケーションが増えて、仕事も手取り足取り教えてくれるようになりました。
以前は寿司職人の修業期間は長いのが定説でしたが、TUNAGや現場で「どんどん握ってお客様に提供していこう」と発信してきたことが、少しずつ伝わり始めたのではないかと思います。
運用のカギは飽きさせないコンテンツと地道な広報活動

〜TUNAG運用で大変だったことはありますか?〜
嘉村:プロジェクトリーダーのような形で私がTUNAGの導入を推進したのですが、初期設計で初めてコンテンツを設計するときは少し苦労しました。
あとは、カスタマーサクセス担当者と常に新しいコンテンツを考えたり、動画配信をしたりと、従業員を飽きさせないように試行錯誤しています。
〜各店舗でTUNAGが定着するために工夫したことはありますか?〜
嘉村:店舗に行ったときに「それTUNAGに載せようかな」「動画撮ろうか!」という感じで、常にTUNAG活用を促しています。
現場がどんどんTUNAGに投稿するように広報活動をしている感じですね。
引き続き、従業員が長く働いてくれる組織づくりを推進

〜貴社では今後、どんな組織を目指していきたいと考えていますか?〜
嘉村:「楽しく働けて、キャリアアップを望める」という環境を作って、離職を減らし、入社してくれた人に長く働いてもらえる組織にしていきたいです。
TUNAGを利用するコストはかかりますが、それを単なるコストと考えるのかどうかでいうと、私は「エンゲージメント向上のために自ら動いてくれる部下を1人雇っている」と思っているので、この金額を高いとは思いませんね。
〜TUNAGをどのように活用していこうと考えていますか?〜
嘉村:TUNAGを弊社のリビングルームのような場所として活用していければと思っています。
みんなが立ち寄る憩いの場であり、意見交換の場でもある。TUNAGを活性化することで現場が活性化し、売上向上につながる。そんな流れを作っていきたいです。
引き続き理念浸透や称賛文化に取り組みつつ、組織が大きくなってきているのでマニュアル掲載など教育の仕組みもTUNAGで整えていきたいと思っています。
〜嘉村様、お話しいただきありがとうございました!〜

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