組織課題をデータで可視化し、的確なアプローチで離職率を改善。M&Aや急拡大を乗り越えたNS丸和ロジスティクスの「風通しの良い職場」づくり

生協委託配送事業を展開する株式会社NS丸和ロジスティクス。2018年にM&Aで2社が統合してできた会社で、配送難易度が高い「都心部」のシェア獲得に挑戦。わずか数年で車両台数を倍増させる急成長を遂げました。
しかし、事業の急速な拡大・他業界からの人材流入が重なり、社内のルールや教育体制の整備が追いつかず現場への負担が急増。1年未満の早期離職が続いていました。
こうした状況を打開するため、組織の現状を可視化するエンゲージメントサーベイTERAS(テラス)と、社内アプリTUNAG(ツナグ)を導入。約1年の取り組みを経て、サーベイ結果のスコア上昇や早期離職の改善を実現しました。
今回は、代表取締役社長の大湊様、執行役員の仁岸様、管理本部運営推進部の大久保様(以下、敬称略)に、これまでの取り組みについて振り返っていただきました。
(取材日:2025年11月19日)
【効果】現状を可視化し、正しいアプローチで離職防止を実現
課題だった早期離職率が改善。組織診断スコアも上昇

代表取締役社長 大湊様
〜組織改革に踏み切って約1年。どのような変化を得ましたか〜
仁岸:入社後1年未満の離職率を、40%→28%へと改善することができました。「大量に入社して、大量に離職する」という悪循環を断ち切る兆しが見えてきたと思います。
大湊:TERASの結果でいうと8つの項目のうち7つで改善が見られました。特に「会社理解・共感」「組織理解・共感」「承認欲求」の項目の上がり幅が大きかったです。

TERASのサンプル画面。8つの項目「会社理解・共感」「事業理解・共感」「相互理解共感」「上司との関係」「仲間との関係」「業務環境・待遇」「承認欲求」「成長機会」がございます。※結果数字は同社の結果ではございません。
仁岸:管理者を中心に、現場が確実に成長してくれていると感じます。明らかに会社や従業員に対する興味・関心が高まっていますね。
大久保:会社全体を見ても、今まで知り得なかった会社のビジョンや仲間の情報に触れるようになり、興味が向くようになってきています。「単に労働する」状態から、働くことに対する興味や意義が味付けされたように感じます。
〜そんなポジティブな変化も、一筋縄では実現できなかったとお伺いしています。組織変化を推進してこられた軌跡について、今日は掘り下げてお伺いさせてください〜
【導入前の課題】統合・急成長の中で、経営と現場のギャップが拡大

執行役員 仁岸様
〜 取り組みを始める前は、どのような組織課題を感じていましたか?〜
大湊:当社は2社が統合して生まれた組織で、まだ7年ほどの若い会社です。特に2020年から翌年にかけて急拡大を迎えて、車両数を倍近く増やし「配送シェアを取らなければ」という思いでひたすら走り続けてきました。
そんな急成長の中で、本来、忙しくとも取り組むべきだった会社の仕組み・教育体制の整備に手が回っていなくて。その結果、経営と現場にギャップができたように感じました。
経営から何か発信しても、従業員はそれを自分事としてイメージできない。この乖離を、丁寧に無くしていかなければならないという危機感がありました。
〜2社の統合は、組織運営の観点からどのような難しさがあったのでしょうか?〜
仁岸:創業時、統合の際に感じたのは従業員の「被害者意識」と「過度な期待」でした。
統合に対して従業員は「自分たちは、会社の都合でこうなった」というある種の被害者意識を持っている節がありました。それと同時に、丸和ホールディングスという大きな組織の一員になれることへの期待感も膨らんでいました。
不安と期待の入り混じる複雑な心境があったのではないかと思います。僕としてもできる限り従業員の期待に応えたいという思いでやってきましたが、そのためには増車を含む事業拡大を進めていかなければならない。
そうしたプレッシャーの中で走り続け、なんとか皆で事業成長を遂げられたのですが......。急速な変化の中、「みんなで目線を合わせて組織をつくる」ことができなかったと感じています。
〜コロナの影響も大きかったと思いますが、現場はどのような状況でしたか?〜
仁岸:以前から年間200台ペースで順調に増車していましたが、コロナが追い風となり多数の採用ができた時期がありました。この時期に、事業拡大が一層加速しましたね。
しかし、その後コロナが蔓延していって。PCR検査の対応や従業員が感染して欠員が出るなど「人材は増えているが現場に出られる人がいない」状況に陥りました。この時期は管理職も現場に出て、代配をしていました。
人々の暮らしに欠かせない「エッセンシャルワーカー」としての使命感で、なんとかみんな歯を食いしばって頑張ってくれていました。必死で現場を回しつつ、増車計画も遅らせるわけにはいかないので、現場に相当なストレスがかかりました。
大湊:こうした苦労を経て増車が進み、お客様である生協さんに認めてもらえるようになって。NS丸和が「社会に役に立っているんだ」と優位性を示せたのは良かったです。
一方で、急激な事業拡大に一区切りがつき、皆が「で、今後会社はどうなっていくの?」と立ち止まる時間ができて。後回しになっていた会社のルールや教育制度の整備、会社の今後を伝えるなど社内のことに目を向ける必要があると感じました。
【決め手】「叱責中心の文化」から、良い取り組みを称賛し合える組織づくりへ
〜そうした状況の中で、TUNAG導入の経緯を教えてください〜
大湊:コロナが落ち着いていくにつれて離職が増えました。特に1年未満の早期離職が課題で、「人材が定着しないから、ずっと採用を頑張らないといけない」悪循環に陥りました。
仁岸:TUNAGには、そんなタイミングで出会いました。最初に営業担当の方とお話ししたのは、物流業界全体が抱えている「マイナスな指導ばかりになりがちな文化」についてだったのを覚えています。
話すと長いのですが ……たとえば、荷物を時間通りに届けて当たり前で、遅延や事故などトラブルがあると叱責される。けれどその従業員が、日頃から丁寧な対応でお客様からの評判がとても良いということは会社や上司が知る機会がなく、評価されない。
人々の生活に欠かせない大切な仕事なのに「物を運ぶ作業」と見なされてしまう空気感があるんですよね。そうした文化を変え、称賛し合う文化をつくることが、みんなのやりがいや働きがいにつながって、最終的に定着率の向上に寄与するんだってその時気づかされました。
「会社からの発信」や「良い取り組み」を共有するための仕組みとしてTUNAGは必要だと感じましたし、どんな取り組みを進めていくか考えるためにまず現状を知る必要があり、TUNAGの導入とTERASの実施を決断しました。
【取り組み】ビジョンの発信と現場の声の可視化で、「共に創る経営」を目指す
まずは組織の現状を正しく把握し、アプローチを間違えない

〜TERASの結果はいかがでしたか?〜
仁岸:エンゲージメントサーベイの結果は、会社にとって「通知表」のようなものだと思っています。担当の方にも「結果は、覚悟して見るように」と言われていたので、そのつもりで臨みました。
大湊:TERASでは、事業所別にスコアで組織状態を確認でき、設問ごとの結果が分かりやすく可視化されます。当社の場合、意外な結果はほとんどなくて「やっぱりな」という印象でした。
本社として「あの事業所はこういう傾向があるだろうな」と感じていたことが、数字でも確認できました。感覚だけに頼らず、数字でも確認した上で各事業所への打ち手を考えることができ、間違ったアプローチを回避できる点は大きかったですね。
会社からの情報や機会を平等に提供し「風通しの良さ」を目指す

〜TERASの結果もふまえて、どのような取り組みから進めましたか?〜
大湊:意識したのは、統率ではなく「風通しの良さ」を実現することでした。
ここまで課題を中心にお話ししましたが、事業所の中には、もともと定着率が高い拠点もありました。管理者がしっかりと現場を守ってくれていたのですが、本社から距離が近く、経営陣が顔を出す機会が多い拠点ほどその傾向が強かったのです。
言い換えると、離職が多い事業所についても管理者だけの責任ではなく、会社として均等に情報や機会を与えていないことに問題があると考えたんです。我々の熱量を、本社からの距離に関係なく届けていこうということになりました。
〜情報共有において、具体的にどんな点を変えましたか?〜
大久保:従来だとメールで連絡ができるのは管理者のみでした。現場の従業員はアカウントを持っていないので、管理者がメールを確認して、朝礼などで直接落とし込んでいくしかなくて。TUNAGでは重要な情報から些細なお知らせまで、本当に現場の末端まで情報を届けることができています。
TUNAG上で過去の情報を遡って見ることができるので、入社して日が浅い従業員も会社のことや仲間のことを知れる手段があります。
仁岸:ビジョン発表会を実施したり、TUNAG上での発信も行っています。経営陣が描く理想を、従業員が「聞いただけで」具体的にイメージするのは難しいと思っています。それでもまずは、組織の上にいる人間が何を見てどう感じているのかを従業員に伝えたくて。
今後は、理念やビジョンなどの抽象的な話だけでなく、給与制度や働き方など、身近な制度の変化も含めて従業員にイメージしてもらいやすい伝え方をしていくつもりです。
各現場を守る責任者の活躍を支える取り組み
〜1on1、管理者研修など、責任者向けの取り組みもされていると伺いました〜
仁岸:最前線に立つ従業員と日々接する責任者に、まずは自分自身が仕事を楽しんでほしいと考えていて。
これは僕自身の考えなのですが、やっぱり大変な仕事だし、しんどい時もある。でも少なからず自分なりに楽しみながらやってこられたんです。その理由は「自分がやりたいことに対して、自由にやらせてもらえた」からだと思っています。
だから特に責任者には、主体的に取り組み楽しんで欲しいという気持ちで、管理者への1on1を実施しています。
大湊:管理者研修も行いました。自身の仕事との向き合いに加えて、他の責任者との関わりが生まれたことも良かったなと思っています。
事業所にいると本社より得られる情報が少なく、分からないことや悩みがあったみたいで。管理者研修のグループワークでは、普段会う機会がない他の事業所責任者との会話が生まれ、「そんなやり方があったのか!」みたいな話が結構出ていました。
早期離職の対策から着手。「称賛」を起点に、従業員のつながり促進

〜導入理由でもある「称賛し合う文化」や従業員同士のつながりについてはいかがでしょう〜
大久保:早期離職に対する課題感が大きかったこともあり、まずは「入社1年未満」の方が働きやすい職場づくりを進めるための環境整備を進めました。
TUNAG上では自己紹介の発信で、上司以外の先輩からもリアクションを受け取るなど、社内で関係構築を進める上できっかけとなるようなコンテンツを設けました。「祝!独り立ち」という取り組みでは、研修を終え先輩の同行が不要になった新人の方を紹介。どんな方なのか、頑張ってきたことや今後に向けたエールを発信しています。
仁岸:「面白い情報があるから、暇な時にちょっと見てみようと思える」ような、SNS感覚で見るコミュニティにしたくて。いろんな人からの発信を増やしていきたいですね。
【支援内容】求めていたのは、単なるシステムではなく「会社がよくなる」未来
TUNAGは組織改善のパートナー

〜経営陣が奮闘して組織変革を進めている中、当社の立ち位置について教えてください〜
仁岸:TERASやTUNAGなどシステムを利用させていただく中で、データが取れたり、情報を平等に届けるため「システム」としても魅力を感じています。
しかしそれ以上に、会社を良くしていく上での「パートナー」のような存在ですね。
今の世の中、便利なシステム自体は他にもたくさんあります。しかし、実際に組織を変えていこうと奮闘する中では、そもそもシステムに何を落とし込んでいくか?を考え、判断する部分が非常に重要です。
そんな中で担当の方は「TUNAG上でできること」だけに留まらず、会社のために本質的にやるべきことを提案してくださって。自分たちだけでは、思いつかなかった取り組みも多かったと思います。
「自社のことを1番分かっているのは自分たちだ」と自負していますが、中にいるからこそ見落としてしまうこともありますし、他の会社さんがどうしているかといった知見を得ることって楽ではなくて。外部の力をお借りすることで会社を良くできるなら、積極的にやっていきたいと感じますね。
【今後の展望】会社の“色”を再定義し、異業種連携で物流業界の未来を変える

〜これからの組織づくりや、TUNAG・TERASへの期待を教えてください〜
大湊:急激な成長が落ち着いた今、改めて「この会社は何を目指しているのか」「どんな色の組織なのか?」道標となるMVVを立て直し、共通言語にしていく必要があると感じています。
従業員と話していて、皆それなりに今後への関心や「こうしていくべきだ」と意見を持ってくれています。MVVは、上層部で決めたものを一方的に落とし込むのではなく、みんなを巻き込む形で作っていきたいですね。全部全員で決めるのは難しいですが、まずは所長を中心に意見をもらいたいと思っています。
自分が代表の役割ではありますが、元から会社にいてくれる人たちの意見も大事にしていきたい。それこそが、当社の原点だと思っています。次の100年を見据えた「当社のあるべき姿」を、みんなでつくりあげていきたいです。
仁岸:従業員が自ら考えてくれるようになった分、今後は、意見が合わない場面や会社への不満も生まれてくるだろうと考えています。
だからこそ、これからの組織にマッチした仕掛けを考えていく必要がありますし、その土台づくりとして引き続きTERASやTUNAGが役割を果たしてくれると期待しています。
〜物流業界全体に向けて、メッセージがあれば教えてください〜
仁岸:現状維持では絶対にダメだと思っています。今までやったことのない取り組みに、型破りで異端的なチャレンジをしていかないと、そのまま流されていくだけになってしまう。
だからこそ、成功事例をみんなで共有しながら、今の悪い流れをひっくり返していくような取り組みを、業界全体で進めていけたらいいなと感じています。
大湊:物流業界で働く人は目の前の仕事を一生懸命やる人が多いので、「新しいことを考えろ」と言われても難しいと感じる方もいるかもしれません。だからこそ、異業種の会社と組んだり接したりすることで、新しい考え方や仕組みを取り入れていくことが大事だと思っています。
自分たちだけで何とかしようとするのではなく、誰かの力を借りながら、業界を超えた関係を広げていく。NS丸和ロジスティクスとしても、そういった姿勢でこれからもチャレンジしていきたいですね。
〜大湊様、仁岸様、大久保様、貴重なお話をありがとうございました〜

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