江戸時代から続く老舗が挑む。直接会えなくても、部署を超えた温かな助け合いを生んだTUNAG活用

千利休の故郷である大阪・堺で創業し、「江戸時代から続く」老舗茶商としてお茶文化を紡いできた株式会社つぼ市製茶本舗。
同社では、商品の製造から販売、カフェ経営まで一貫して自社で展開しており、部署・拠点が分かれている中で、会社として情報共有の基盤がないことや組織の分断など、「ブランドを背負う一体感の醸成」に課題がありました。そこでTUNAG(ツナグ)を導入し、部署・拠点を横断したコミュニケーション基盤を整え、従業員の喜びや楽しさにつながる発信で組織活性を進めています。
今回は、従業員が働きやすい組織づくりを推進してきた、執行役員の谷本美花様(以下、敬称略)に詳しくお話を伺いました。
(取材日:2025年8月)
【課題】情報共有の基盤がなく、部門・拠点を超えた連携が生まれづらい

執行役員の谷本美花様
〜TUNAG導入前、どのような課題がありましたか?〜
谷本:私は約12年前に入社したのですが、最初に感じたのは「非常に属人的な会社だ」ということでした。これは良い面も悪い面もあって、職人さんの個性やその方にしかないスキルを活かせることは強みだと思います。
しかし情報伝達が口頭で、その場に居合わせた人しか知らないことが度々あったんです。マニュアルもなく、「手順が不明」「誰に聞けばいいのか分からない」という場面も多くて日常業務に支障をきたしていました。
また、私が配属されたカフェ「茶寮」の現場では、業務連絡をプライベートのチャットツールで行っていました。夜の遅い時間や休みの日に連絡が届くことがあり、それが現場の大きなストレスになっていました。
会社として情報伝達の仕組みやコミュニケーションの手段を整備できていなかったんです。
〜製造や販売、カフェの部門がある中で、組織内の雰囲気はどうでしたか?〜
谷本:職種や拠点がバラバラなため、従業員数はそれほど多くないのに組織に分断が生まれていると感じました。
製造部門は生産ラインを止められませんし、カフェ部門は店舗の営業時間があるので、従業員が一堂に会する機会はほとんどありません。そのためお互い顔を見たことのない従業員も多かったんです。
実際、業務を進める上でも課題が起きていました。たとえば私がいたカフェの現場は本部から指示を受けることが多いのですが、現場側で意見や疑問があっても「本社がこう言ったから」と諦めて従う風潮がありました。本社スタッフとの信頼関係があれば、自分の意見を伝え、変えられる可能性があるのにもったいないですよね。
このまま「顔が見えず、個人がどんな想いで働いているのかが分からない状態」では、何か起きた際に組織がバラバラになってしまうのではないかという危機感を持っていました。トップのリーダーシップは高く、顧客満足度や会社の利益追求はできている反面、組織の、内側に目を向けられているのかな?と。
【決め手】単なる情報共有ツールではなく、従業員同士をつなぎ「組織を良くする」ことにコミットするサービス
〜TUNAGはどんなきっかけで知りましたか?〜
谷本:「拠点や雇用形態を超えて人をつなぐ」デジタルの仕組みが必要だと思い、足を運んだ展示会でTUNAGを知りました。
〜展示会でたくさんのサービスを見かけたと思います。TUNAGの決め手は何でしょう?〜
谷本:2つあります。1つ目は、前述の情報共有・コミュニケーションの課題解消と、マニュアル整備など業務効率化をTUNAGでいずれも叶えられる点です。
組織の分断を解消することや、従業員同士のコミュニケーションを豊かにすることは、会社の未来のために重要である反面「費用対効果」が見えづらく投資の判断がしづらいのが本音です。TUNAGならマニュアルや報告など業務効率化の機能も活用でき、工数や人件費をどれだけ削減できるのか算出できる点も良かったですね。
2つ目の決め手は、単なるデジタルツールの提供ではなく、「組織を良くする」ところまで支援するサービスである点です。実際に営業担当の方の言動からも、その姿勢が伝わってきました。活用方法の検討はもちろん、導入に向けて社内の理解を得るための進め方についても相談に乗ってくれたんです。
【取り組み】思いや情報がタイムリーに伝わり、コミュニケーションが取りやすい組織に

〜TUNAG上で実施している具体的な取り組みを教えてください〜
谷本:導入当初は副社長と私が中心になって、会社の決定事項や「こういう会社にしたい」という理念を積極的に投稿してきました。課題だったマニュアルの整備を一気に進めることができたのも、ありがたかったですね。
広報担当からはメディア掲載の報告をしています。掲載予定日や内容、どの番組や雑誌で見られるのかタイムリーに共有できて助かりますね。また、商品のオンライン販売の担当部署からは、「お客様から届いた声」が共有されています。
加えて、営業部のメンバーを中心に「スーパーの売り場視察」の写真も盛んに共有しています。販売業において、自社商品が売り場でどんな販売価格・占有面積で扱われているかは重要な情報で地方出張に行った際にスーパーを視察するのですが、写真で即時に共有ができています。この情報をもとに商品企画部が、新しい商品の料金や方向性を検討するのに役立っていますね。
また最近は、製造部が部署を超えて全社へ「ヘルプ出勤」依頼をするなど、現場からの発信も増えてきました。
【効果】情報が届き、従業員のモチベーションが向上。部署を超えた温かな連携も生まれた

〜TUNAG導入後、どのような変化を感じていますか?〜
谷本:部署を超えた温かな声かけや自発的なサポートが増えたことを実感しています。
特に影響が大きいのは、メディア掲載の情報やお客様の声を、カフェ部門や製造部門、そしてパート・アルバイトも含めて、全従業員にタイムリーに届けられるようになったことです。「自分の会社が注目されている」「自分が携わった商品が褒められた」という喜びにつながり、従業員のモチベーションを高めています。
またちょうど先週、社内の助け合いの空気を感じる印象的な出来事がありました。近年、海外からの注目もありお茶の需要は急激に高まっていて、製造部は納品を間に合わせるため非常に忙しくて。そこでTUNAG上でヘルプを募る投稿があったんです。
土日だったので私も予定の調整が難しく、他の従業員からも全然コメントがなくて心配に思っていたんですが、翌日製造部から「喜びの声」というタイトルで投稿があり、当日たくさんの社員が手伝いに来てくれたことに対して感謝の言葉が綴られていました。
また、製造部からは「行けるかどうか確実じゃなくても大丈夫だから、気軽にコメントしてほしい」旨の記載もありました。実際ヘルプに来てくれた従業員も「予定が確実じゃないので、行けなくなったら申し訳ない」と遠慮してコメントできなかったみたいで。社内でお互いを思いやる発言が増えていて、とても温かい連携が増えたと感じています。
〜そういった会社の変化を、どう感じていますか?〜
谷本:導入前は、デジタル中心のコミュニケーションにすることでリアルの交流は希薄になってしまうかもしれないと覚悟していました。しかし、その予想は良い意味で裏切られましたね。
むしろ情報が増えたことで、リアルで顔を合わせた時に自然と話題が生まれたり、相手の状況を想像して思いやる言動が増えたと感じます。TUNAGを導入してから、社内で「ありがとう」が飛び交うようになりました。
また、パート・アルバイトにも情報を届けられるようになった点は大きいですね。最近は外国籍の従業員も増えているのですが、直接話すことはできなくても、テキストなら読んだりコメントしたりできるので、国籍を越えたコミュニケーションも活発になっています。
【運用の工夫】「便利で、楽しいから使う」従業員に寄り添う運用で組織の基盤に

〜職人や工場のパートなど、ご高齢のスタッフも使いこなせているのはなぜでしょう?〜
谷本:導入初期に従業員向けの操作説明会を開いて疑問を解消できたこと、従業員側が使いたくなるような便利さ・楽しさを心がけているのが良かったのかなと思っています。
実は導入前は、年代が高い方も多く、新しいことに対する抵抗感を持つ従業員もいたので、私も社内でちゃんと使われるのか不安に感じていました。
しかし、TUNAGのカスタマーサクセス担当者が一緒に説明会を開いてくれて、その不安は意外にあっさり解消されました。従業員も分からないことをその場で聞けて、使ってみたら便利だということがすぐに分かったみたいです。
〜業務だけでなく、交流のために積極的に使われるようになった理由はありますか?〜

谷本:きっかけの一つは「紙の年賀状を廃止した」ことです。紙で年賀状を送りあう風習がありましたが、正直、年末年始は繁忙期なので従業員の負担になっていたので、TUNAG上で新年の挨拶を投稿するだけでOKとしました。
紙で送りたい人は送っても良いのですが、送らなくても誰にも責められない状態を会社として作れたのは良かったかなと思います。今では、年始の挨拶でみんながTUNAGを使うのが当たり前になりました。
他にも、景品を用意したフォトコンテストの開催など楽しい企画を取り入れ、「TUNAGを見に行きたくなる」仕掛けを心がけています。
正直当初は、「TUNAGを見ないと業務が回らない」状態をつくってしまい強制的に利用を促そうかと思っていました。しかし、義務感では続かないかもしれないと考え直し、「楽しいから見たい」という従業員の気持ちに着目した運用を心がけています。
【今後の展望】自然と理念を体現でき、ありがとうが飛び交う組織へ

〜今後、TUNAGに期待することを教えてください〜
谷本:今後は、積極的にコメントする人をさらに増やしたいです。特にパート・アルバイトの方は「自分なんかが……」と消極的になりがちで。でも、TUNAG上でプレゼント企画を行った際には即座にたくさんのコメントが集まったんですよ。操作方法は分かっていて、動機やきっかけがあれば発信できるんだと感じました。
特に、注力しているフィロソフィーの浸透と絡めて組織づくりに活用していきたいです。「フィロソフィー」というと身構えてしまう人も多いのですが、優れた商品やサービスを提供する企業はフィロソフィーの浸透を徹底しているし、自分たちもカフェやホテルなどでそれを感じる機会があると思うんですよね。本来身近なものだと思うんです。
最近、TUNAG上で「ありがとうございます」という言葉が飛び交うようになってきたので、その中で「〇〇さんがフィロソフィーを守って行動してくれたから、こんなふうに助かりました」みたいなやり取りが生まれたら良いですね。新年会での永続年数表彰でも、その人がもらったサンクスカードを紹介するなど、普段光が当たりにくい人にもスポットライトを当てていきたいです。
楽しくやり取りしているうちに、気づいたらフィロソフィに巻き込まれていた。TUNAGなら、そんなイメージで浸透させていけると思います。TUNAGを通じてさらに温かい組織文化を育み、みなさんがより自信を持って仕事に打ち込める会社にしていきたいと思います。
〜谷本様、お話しいただきありがとうございました〜

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