中期経営計画を“社長の言葉”で全員に届ける。「少人数×多拠点」でもつながり、頑張りが見える社内インフラができた

「地域の暮らしと移動を支える会社になる」を長期ビジョンに掲げ、岡山県内の各エリアにガソリンスタンド、中古車販売の『カーセブン』などを幅広く展開する株式会社マティクスホールディングス。

同社では、少人数×多拠点の組織体制の中で情報共有やコミュニケーションに課題を感じ、その解消のために「TUNAG(ツナグ)」と「TERAS(テラス)」を導入。中期経営計画の発信や拠点を超えたつながりの創出、相互理解の促進などに効果を実感しています。

「デジタルで全て解決するとは思っていない」と話すのは、代表取締役社長の松本直樹様(以下、敬称略)。それでもTUNAGを導入した理由や、「トップメッセージ」など具体施策の運用方法についてお話を伺いました。

(取材日:2025年6月)

会社として「3つの転換期」を迎えている

代表取締役社長:松本直樹様

〜はじめに、長期ビジョンと貴社を取り巻く現状について詳しく教えてください。〜

松本:弊社では、2030年までの長期ビジョンとして『地域の「暮らし」と「移動」を支える会社・人になりたい!』を掲げています。その背景には、弊社が現在「ビジネスモデル」「組織」「人材育成」の3つの転換期を迎えていることがあります。

まず「ビジネスモデルの転換期」についてですが、人口減少や自動車需要の減少によりガソリン需要は減少し続けています。石油に依存した収益構造のままでは経営リスクが高まると判断し、ガソリンスタンド以外の事業も強化していかなければなりません。

同時に、労働市場の中でも企業は淘汰されています。その中で勝ち残っていくには当然給与アップが欠かせませんが、そのためには従業員一人ひとりの生産性を高めることが不可欠です。そういった意味で、「組織の転換期」だと感じています。

また、若い世代の価値観を尊重したり女性社員の比率を増やすことや、組織拡大にともなって役職の構成を見直すことも必要になってくるので、そういった意味では「人材育成の転換期」でもあると捉えています。

【課題】少人数×多拠点ならではの難しさが各所に

情報共有が徹底しづらく、拠点間に温度差

〜TUNAG導入前の課題について教えてください。〜

松本:弊社では、ガソリンスタンドや中古車販売店など20以上の拠点に散らばって従業員が働いており、多くの拠点で従業員はたった1〜3名です。そのため、会社の方針など伝えたいことがあってもなかなか現場に広がらず、拠点によって温度差が出てしまうという問題を抱えていました。

情報共有のやり方も「FAXで送る」「会議で責任者に伝える」という感じで、現場までなかなか情報が伝わらず大きな課題だと感じていました。会社が情報を直接伝えられるのが店長やマネージャーまでで、従業員一人ひとりに向けて社内の情報共有ができていなかったんです。

頑張りが見えず称賛が生まれない。コミュニケーションにも課題感

〜情報共有以外に、課題に感じていたことはありますか?〜

松本:売上などの数字は各拠点から本部に送られていたのですが、「いま誰が何を頑張っているのか」が社内で見えづらく、称賛の文化が非常に薄いと感じていました。

また、同じ県内に拠点があるとは言ってもエリアがバラバラなので、従業員同士のコミュニケーションも難しかったです。会議や研修がない限り、同じ職種、同じ年代の人に会う機会もなかったんです。

【決め手】情報共有などを幅広くカバー。カスタマイズ性の高さも魅力

〜TUNAG導入のきっかけについて教えてください。〜

松本:もともとは、BCP(事業継続計画)の一環として安否確認ができるツールを探していたのですが、調べていくうちに、ビジネスチャットやTUNAGなど、総合的に社内の情報共有ができるサービスもたくさんあると知りました。

どうせツールを導入するのであれば、単なる安否確認にとどまらず、現場への情報共有や社内コミュニケーションの課題を解決できるものが良いと感じたんです。

実際に今、弊社にとってTUNAGは「2030年の長期ビジョンに向けて一丸となるきっかけづくり」を目的としたツールにまで進化しています。

〜ビジネスチャットと比較検討した結果、TUNAG導入に至った決め手は何でしたか?〜

松本:TUNAGはカスタマイズ性の高さが魅力的でした。「安否確認」「社長メッセージ」「ナレッジ共有」など幅広い施策を運用でき、「こういう工夫がしたい」と思ったらその都度設計を変更できる点が導入の決め手になりました。

「ツール導入=解決」ではない。デジタルとアナログの融合を重視

〜代表として、ツール導入を決断するにあたり大切にしていたポイントはありますか?〜

松本:前提として、全てがTUNAGで解決できるとも思っていないですし、そもそもデジタルで全て解決するとも思っていません。アナログでやるべきことはアナログでやればいい、デジタルとアナログの融合が重要、というのが私の考えです。

実際、現在TUNAGで社内に共有するとともに、店舗に来たお客様にも知ってもらえるよう各拠点にポスターで貼り出している内容もあります。社内報もTUNAGにPDFで載せてはいますが、紙媒体の作成をやめようとは思っていません。

【取り組み】情報共有、社内の見える化、称賛文化の3点でTUNAGを活用

従業員一人ひとりに、直接情報を共有する

実際のTUNAG画面です。中期経営計画に関する内容も含め、社長自身が一人ひとりに考えや想いを伝える「トップメッセージ」や、管理者からの達成報告、労りの言葉などが投稿されています。

〜現在、TUNAGでどのようなことを実施していますか?〜

松本:大きく分けて「情報共有」「社内の見える化」「称賛文化」の3点で活用しています。

まず情報共有では、私から「トップメッセージ」を発信しています。特にTUNAG導入当初は、週に1回ペースで長期ビジョンや中期経営計画の数字などを従業員に伝えていきました。

あとは、管理者から業務指示や注意喚起などの連絡をしたり、新しい企画の共有もTUNAGで行っています。従業員一人ひとりのスマホに文章や動画で情報を直接送ることができ、非常に良いですね。

今後は社内制度や社内ルール、マニュアルなどもTUNAG上で従業員に共有できそうだと感じています。

現場の様子から委員会活動まで、社内のあらゆることを「見える化」

実際のTUNAG画面です。各店舗からの実績報告のほか、従業員個人から振り返りや工夫を共有する週報の取り組みがあります。週報の「カジュアル出来事」という項目があることで、従業員同士がTUNAG上でコミュニケーションをとるきっかけにもなっています。

〜続いて、「社内の見える化」について具体的に教えてください。〜

松本:現場からの投稿で言うと、「販売報告」として拠点から実績や目標進捗を報告してもらっています。

また、従業員個人が投稿する「今週のグッドニュース」という週報もあります。「今日はこういうことができた」「お客様にこういう伝え方をすると感触が良かった」などの振り返りやナレッジを投稿する取り組みです。

〜他に「見える化」していることはありますか?〜

松本:委員会活動ですね。たとえば、働きやすい社内環境を考える「改善委員会」ではTUNAGでアンケートを取ったり、決定事項を周知しています。

他にもヒヤリハットの共有や、地域貢献の一環で行っている清掃活動の報告もTUNAGで行っています。

紙のサンクスカードをデジタル化

〜「称賛文化」については、どのような取り組みを実施していますか?〜

松本:長年紙で運用していたサンクスカードをTUNAGでデジタル化しました。

「いつも業務に真摯に向き合っていて感心します」「仕事の依頼に笑顔で対応してくれてありがとう」など、日々の業務に埋もれがちな、従業員の良いところが分かる内容が多いですね。

組織診断を活用し、全社で納得感を持ちながら組織改善

〜貴社では組織診断サービスTERASも利用されていますね。TERASのご活用についても教えてください。〜

松本:TERASのスコアを、中期経営計画の「組織の転換期」の達成目標として定めました。「TERASのスコアが上がっているということは、従業員の皆さんの満足度が上がっているということ」という論理です。

カスタマーサクセス担当者が社内の状況を踏まえてスコア変化の要因分析までしてくれるので、「なるほど、こういう理由なんだな」と理解しながら組織改善に取り組めていますね。

【効果】社内でタテ・ヨコの関係性を大幅強化。組織診断でスコアが10pt改善

中期経営計画を、代表の言葉で直接伝えられた

〜TUNAG導入後、どのような効果を感じていますか?〜

松本:役職を飛び越えて、スマホを通して従業員全員に情報共有できるようになった点は、やはり非常に大きいです。

「管理職に伝えて、管理職から部下に伝える」というのも大事なので続けるんですけど、たとえば中期経営計画などは、「トップメッセージ」として私から従業員一人ひとりに直接伝えられて良かったと思います。

拠点を超えて横のつながりができ、称賛や相互理解の文化ができた

〜課題に感じていたコミュニケーションや称賛文化についてはいかがでしょうか?〜

松本:少人数かつ拠点が多い組織体制の中でも、横のつながりができてきたと思います。また、各拠点で頑張っている従業員にしっかりとフォーカスが当たるようになってきたとも感じます。

〜実際、TERASでは相互理解や組織風土のスコアが10pt近く上昇したそうですね。〜

松本:実を言うと、私自身は点数が高いことが全てではないと思っているんです。「前回と比べてこういう理由で点数が落ちたんだな」と分かっても、心配しすぎないようにしています。

ただし、数字は嘘をつかないので従業員にフィードバックする際にはしっかり使わせてもらっています。

「会社理解のスコアが上がっているということは、皆さんの相互理解が深まってきていますね」「成長機会スコアがこれくらいだったので、この半年間は〇〇に取り組んでいきます」と伝えているので、従業員にとっても納得感があるのではないかと思います。

DXの第一歩が踏み出せた。社内報運用で思わぬ収穫も

〜その他に感じている効果はありますか?〜

松本:中小企業ということもあり社内のデジタル化がやや遅れていたのですが、情報共有や社内コミュニケーションをデジタル化する「最初のスタート」を切れたと思っています。

スマホを使ったデジタル化という意味ではTUNAGが本当に初めてだったので、そこは良かったと思っています。

社内報もPDFでTUNAGに載せているのですが、たとえばスマホさえあれば新卒採用の際に、候補者に「うちの会社、こんな感じです」と社内報を見せられるじゃないですか。それこそ、人事だけじゃなく従業員が友達に見せるとか、そうやって誰でも採用につながる動きができますよね。

あとは、社内報で使う画像もTUNAGで探せるようになったのも想定していなかった嬉しいポイントですね。社内イベントとか懇親会とか、今はみんなで写真を撮ったら何かとTUNAGに載せるので、社内報を作るときに非常に楽なんです。

【運用の工夫】ツールの位置付けはぶらさず、従業員の声を聞きながら社内に浸透

業務ツールである一方、従業員が親しみを持てるように初期設計

〜TUNAGの初期設計時に気をつけたことはありますか?〜

松本:カジュアルすぎず、それでいて「見たい」「使いたい」と思ってもらえるツールになるよう設計にしました。

TUNAGはカジュアルに使うこともできると思いますが、弊社では「プライベートのSNSの延長」のような扱いにはしたくなかったんです。

あくまで「業務の一環として会社が支給するコミュニケーションツール」と位置づけ、仕事の頑張りにスポットが当たる場所、他の従業員から刺激を受ける場所にしたいと考えていました。

一方で、あまりにも「業務ツール」として堅くなりすぎると誰も使わなくなってしまいます。そのバランスや親しみを持ってもらうための工夫については、カスタマーサクセス担当者にいろいろと相談しながら取り組んでいます。

反発もあったが、一度使えば納得。従業員が負担なく使える環境も整備

〜導入時、社内で反対意見などはありませんでしたか?〜

松本:最初はネガティブな意見もありましたが、業務で一度使ってみると納得するというか。そのうちTUNAGを仕事で使うのが当たり前になって、新しく入ってくる従業員もそれを受け入れてスムーズに使ってくれていますね。

〜従業員の方も実際に使ってみて「便利かも」と感じたことで、社内に当たり前のツールとして浸透していったんですね。〜

松本:そうですね。あとは、社員全員に社用スマホを渡しているわけではないので、私用のスマホでTUNAGを見ている従業員も多いんですが、導入後に「通信量の負担が……」という声がありました。

そこで全拠点にWi-Fiの環境を整えて、「仕事でTUNAGを使うときは会社のWi-Fiにつないでください」と伝えるようにしましたね。

【今後の展望】デジタルとアナログを使い分け、シナジー効果を高める

若手社員も含め、一丸となって長期ビジョンの達成を目指す

〜最後に、貴社の今後の展望について教えてください。〜

松本:2030年までは当然、長期ビジョン『地域の「暮らし」と「移動」を支える会社・人になりたい!』の達成に向けて走っていきます。そのためには、長期ビジョンを達成することで会社にとってはもちろん、従業員にとってどんな意味があるのかも、引き続きしっかりと発信していきたいですね。

管理者や中堅社員だけでなく、若手社員も含めて、従業員に会社をもっと深く知ってもらう機会を作っていきます。

どんなに良いツールを導入しても、効果測定や改善をしなければ意味がない

〜その中でTUNAG活用のイメージがありましたら、教えてください。〜

松本:TUNAGは素晴らしいツールですが、当然ながら組織の万能薬ではありません。油断すればマンネリ化しますし、まだログイン率が低い従業員もいます。

これは「TUNAGが悪い」「別のツールにすれば良い」という話ではなく、ツールを使うならログイン率や利用率などを見て効果測定までやる必要があるということだと思うんです。「どうしたらもっと多くの人が参画してくれるか?利用してくれるか?」を継続的に考えていかなければなりません。

TUNAGの良い機能と、弊社の活用。組織づくりや経営を進めていくには、どちらも必要なのだと思います。

TUNAGを活用し、事業部間のシナジーを加速させたい

〜貴社の場合、TUNAGを活用してデジタルで取り組んでいくべきことは何だと考えていますか?〜

松本:狙っているのは、事業部同士のシナジー効果ですね。

たとえば、ガソリンスタンドの従業員がお客様との会話の中で『カーセブン』や保険を紹介する。お客様が工場で働いていらっしゃるなら「うちの会社、潤滑油も取り扱ってるんです」「もしよければ灯油も配達できますよ!」と伝えてみる。

今後も人口減少は続き、一人あたりのガソリン消費量も減っていきます。その中で、今まで他の会社で買っていた「ガソリン以外のもの」を弊社で買っていただく動きをする。そういったシナジー効果で収益を上げていかなければなりません。

だからこそ、社内の横のつながりを増やしていく必要がありますね。他の事業部がどういうビジネスをやっているのか、自分の業務が会社にとってどういう意味を持つのか。やっぱり、そういう横のつながりをもっと広げていくのに、TUNAGをさらに活用していきたいです。

〜松本様、お話しいただきありがとうございました!〜

TUNAGがすぐわかる資料3点セット

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