今更聞けないEQとは?重視すべき理由や人材育成のポイントを解説

EQ(Emotional Intelligence Quotient)は主にビジネスシーンにおいて、近年ますます重要性を増しています。感情を理解しコントロールする能力は、円滑なコミュニケーションや柔軟な対応力を支える鍵となります。EQが重視される理由や、効果的に高める方法を知っておきましょう。

EQとは?ビジネスで重視される理由

EQは、感情を理解しコントロールする能力を測る指標で、職場での人間関係の構築に重要な役割を果たします。まずは、EQの基本的な定義や関連する概念、構成要素などを確認しておきましょう。

「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」の定義

EQとは、感情的知性を数値化した指標であり、自己の感情を理解し、他者と適切に関わる能力を指します。単に知的能力を測るIQとは異なり、EQは感情や対人関係に焦点を当てているのが特徴です。適切に伸ばすことで、チームメンバーとの信頼構築や、ストレス管理の場面で役立ちます。

また職場だけでなく、家庭や友人関係といった日常生活でも、EQは大いに役立つ能力です。さまざまな場面で変化に柔軟に対応し、他者と協力して成果を上げる力が高ければ人間関係が円滑になり、周囲からの信頼を得やすくなるでしょう。

IQやEIなどとの違い

IQは主に論理的思考や記憶力、問題解決能力を測定する指標であり、学術的な能力や知識の習得力を評価する際に役立ちます。一方で、EQは感情の知性を測る指標で、自分の感情を理解し制御する能力や、他者の感情を察知して、適切に対応する力を示したものです。

一般的に、IQは個人の学術的な成功や技術的なスキルに影響を与える一方で、EQは対人関係やリーダーシップにおいて重要な役割を果たします。

また、EI(Emotional Intelligence)は「感情知性」と呼ばれる能力で、EQよりも包括的な概念です。上記のように、EQは感情知性を数値化したもので、あくまでも測定可能な部分にフォーカスしているのが特徴です。

EQを構成する能力

EQは次のように、大きく4つの能力で構成されています。

  • 感情の識別:自分の感情がどのようなものか識別する能力
  • 感情の理解:感情の原因を分析・理解する能力
  • 感情の利用:分析・把握した感情を、状況に合わせてコントロールできる能力
  • 感情の調整:分析・把握した感情を調整し、その場に合った行動を起こす能力

いずれもバランスよく伸ばすことで、個人としての成長や職場でのパフォーマンスの向上につながります。人間関係の構築や意思決定・問題解決など、さまざまな場面で重要な役割を果たす能力であり、EQはこれらの複合的な力といえます。

ビジネスシーンにおいてEQが重視される理由

EQがビジネスシーンで注目される理由としては、主に以下の点が挙げられます。仕事で成果を上げるには論理的な思考だけではなく、感情をコントロールし、他者と効果的にコミュニケーションを取る能力が不可欠です。

スムーズなコミュニケーションが求められるため

社内では、異なるバックグラウンドを持つ人々が集まり、チームとして協力し合う場面が多くあります。相手の意図や感情を正確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝えるために、相応のコミュニケーション能力が必要です。

EQが高い人は、相手の言葉だけでなく、表情や態度といった非言語的な情報にも敏感であり、的確なアプローチが可能です。EQは周りとの誤解や衝突を未然に防ぎ、協力的な関係を築く上で、非常に重要な能力といえるでしょう。

冷静な対応が必要な場面が多いため

ビジネスシーンでは、突発的な問題や予想外のトラブルに直面することが珍しくありません。精神的に負荷のかかる状況でも、感情的にならずに冷静に対応できる能力は極めて重要です。EQが高い人は、自分の感情を適切にコントロールしながら、現状を分析し、最善の解決策を見つけられる傾向にあります。

また、他者が感情的になっている場合でも、その感情を理解しながら適切に対応できるので、混乱を最小限に抑えられるでしょう。このようなスキルは、特にリーダーや管理職に求められます。

メンタルヘルスの強化が必要なため

EQが高い人は自分の感情を客観的に理解し、ストレスの原因を把握することで、適切に対処する力を持っているため、メンタルの不調にも陥りにくいのが特徴です。また、同僚や部下の心理状態を察知し、サポートする能力も備えているため、職場全体の精神的な健康を守る役割も期待できます。

社員のEQを高めることでメンタルヘルスを強化できれば、生産性の向上にもつながり、結果的に組織全体のパフォーマンスも高まるでしょう。EQの高さは個人だけではなく、職場環境の改善にも寄与します。

EQが高い人の特徴は?

EQが高い人には、自己認識力や共感力・ストレス管理能力の高さや、優れたコミュニケーション力といった共通点があります。上記のように、自分の感情を正確に理解し、適切にコントロールする力を持っているのが特徴です。

また相手の感情を汲み取る能力も高く、信頼関係を築きやすいので、新しい環境にも早く適応できる傾向があります。ストレスの多い場面でも冷静さを失わず、周囲を安心させられる人も多くいます。こうした能力は、円滑な人間関係を構築するのに役立つのに加えて、リーダーシップを発揮する上でも重要な要素です。

EQの高い人材を育成するには?

EQは訓練によって向上させられる能力です。企業として、EQの高い人材を育成するためのポイントを簡単に押さえておきましょう。

傾聴力を高める

EQ向上の第一歩は、他者の意見や感情に耳を傾ける傾聴力を養うことです。社内でロールプレイングやディスカッションを実施するなどして、実践的なスキルを学ぶ機会を設けるとよいでしょう。

相手が何を求めているのか、どんな気持ちで話しているのかを汲み取る力を養うことで、社員間のコミュニケーションが活性化し、チーム全体の信頼感が深まります。

EQに関する研修を充実させる

EQを高めるには、専門的な研修を実施するのも有効です。自己認識や感情コントロールの基本スキルを学べるだけではなく、実践的なケーススタディを通じて他者との関わり方を訓練できる研修が多くあります。

また、ストレスがかかる状況での適切な反応方法や、チーム内でのコミュニケーションを向上させる手法について、体験的に学べるプログラムも少なくありません。オンライン研修やワークショップなども活用することで、多様な働き方に対応した学習機会も提供できます。

管理者のトレーニングに注力する

社員のEQの育成において、管理職のトレーニングも重要です。管理者のEQを高めることで、部下とのコミュニケーションが円滑になり、信頼関係が深まるでしょう。上司の行動が部下の良いロールモデルとなり、職場全体のEI(感情知性)も向上します。

管理者のトレーニングには、感情の識別や調整のスキルを高めるプログラムや、部下のストレスやモチベーションを把握する力を養うセミナーなどが効果的です。

採用面接でもEQ評価を取り入れる

EQの高い人材を育成するのに加えて、採用活動に力を入れるのも、企業として重要な施策です。従来の面接では学歴や職歴、スキルが重視されがちでしたが、EQの高い人材を採用することで、組織のコミュニケーション力やチームワークの向上が期待できます。

面接時に、相手の共感力や自己認識力を測る質問を取り入れる方法や、グループディスカッション形式の採用などがおすすめです。面接を通じて、他者との協力関係を構築する能力や、感情面での柔軟性などを確認しましょう。

社員のEQを高めて組織力を強化する

社員のEQを向上させることは、組織全体の生産性や、働きやすさを向上させるための重要な要素です。感情を適切にコントロールできる社員が増えることで、職場でのストレスが軽減され、社内のコミュニケーションが円滑になります。

また、EQが高い人材は問題解決能力にも優れている傾向があり、困難な状況にも柔軟に対応し、組織の目標達成を後押しする存在にもなるでしょう。EQの向上を目的とした研修の実施や、管理職のトレーニングを充実させることで、社員一人一人が力を発揮できる環境を整えることが大事です。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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