社内通貨導入のポイントとメリット・デメリット、事例をまとめました

社内通貨とは
そもそも社内通貨とは何なのか、どのような使い道があるのかを紹介します。社内通貨(社内ポイント制度)とは?
社内通貨とは、企業が従業員向けに発行する社内限定の通貨のことです。社内ポイント制度、企業内通貨、社内仮想通貨などと呼ばれることもあります。 ただし、普段私たちが通貨として使っている紙幣や硬貨のようなものを発行するのではなく、アプリやシステム上でポイント形式でやり取りする形が一般的です。社内通貨の使い道は?
貯まった社内通貨は企業が用意した商品・特典と交換できたり、インセンティブとして毎月の給与とは別に与えられることが多いです。企業によって違いはありますが、具体的には以下のような使い道があります。書籍の購入
貯まった社内通貨の分だけ書籍の購入を補助してもらうことができます。従業員の自己研鑽や学びに力を入れている企業で多いです。資格取得やセミナー参加
同じく自己研鑽関連で、資格取得やセミナー参加の補助として社内通貨を利用できるケースもあります。社割
飲食業や小売業の企業などでは、自社製品を購入したり自社のサービスを利用する際に社割として社内通貨の分だけ割引を受けられる仕組みもあります。業務で使う物品の購入
キーボードやマウス、職種特有の道具など、業務で使う物品の購入に社内通貨を使えることもあります。オフィスのお菓子や飲み物と交換
オフィスにあるお菓子や飲み物と社内通貨を交換できる企業もあります。
社内通貨の作り方・導入のポイント
気になる社内通貨の作り方についてもご紹介します。冒頭でも紹介したように社内通貨はアプリやシステムでの運用が一般的なため、社内通貨の作り方もそれを前提に説明します。目的を整理する
社内通貨の失敗事例で多いのが、目的を整理しないままなんとなく始めた結果、従業員に利用されず形骸化してしまうか、あるいは一部の人だけで盛り上がって社内に温度差ができてしまうケースです。 そうならないためには、自社で社内通貨を運用する目的が何なのか、何を解決したいのかを整理することが非常に重要です。貯め方を決める
目的が決まったら、次に「従業員がどんな行動をしたら社内通貨が貯まるようにするのか」を決めます。これは、「社内通貨の目的をふまえて、従業員にどんな行動をとってほしいかを考える」という作業でもあります。 例えば、こんなパターンが考えられます。目的が「コミュニケーション促進」の場合
目的が「モチベーション向上」の場合
- 売上や目標を達成した従業員に社内通貨が付与される
- MVPに社内通貨が付与されるなど、表彰制度と結びつけて運用する
目的が「経営理念や行動指針の浸透」の場合
- 経営理念や行動指針に沿った行動にサンクスカードを送ると、送った人・もらった人は社内通貨が貯まる
- 会社の方針に沿った行動をしている人をピックアップして紹介し、社内通貨を付与する
使い道を決める
貯まった社内通貨の使い道として、従業員が何を利用できるかも明確にしましょう。ここが曖昧だと、やはり形骸化しやすくなります。貯め方と同じく、目的を考えて使い道を考えるのが重要です。- 他部署の人とランチや食事に行くときの食事代補助として使える
- 役員や社長にご馳走してもらえる食事会チケットと交換できる
- 業務利用する物品を購入するときの補助に利用できる
- 書籍の購入や資格取得の補助に利用できる
貯まる・使うときのポイント数と頻度を決める
目的・貯め方・使い道が決まったら、全体のバランスを見ながらポイント配分や利用可能な頻度を決めていきます。 社内通貨はこの配分が難しいところで、以下のような社内通貨の失敗例にならないよう、バランスよく設計する必要があります。社内通貨が貯まりにくく従業員に利用されない
一度に貯まるポイント数を増やしたり、定期的に貯まる仕組みを作りましょう。使い道のポイント数が高すぎて従業員が利用できない
利用に必要なポイント数を下げて調整したり、少ないポイントでカジュアルに利用できる仕組みを作りましょう。従業員のポイント数が貯まりすぎて会社の負担になってしまう
ポイント数を下げるか、「一定以上貯まると月に一回利用できる」など頻度を絞りましょう。社内通貨のアプリ・システムを選ぶ
社内通貨はアプリやシステムで運用・管理するのが一般的です。自社で社内通貨を運用する目的や使い道に合わせて、アプリやシステムを選びましょう。従業員に意図や背景を説明して運用スタート
アプリやシステムが揃ったら、従業員に社内通貨について説明していよいよ運用が始まります。しかし、説明の仕方によっては「よくわからないことが始まったなぁ」「また面倒なことが増えるんじゃないか」など、不満や不信感に繋がってしまうリスクがあります。 「どうしたら貯まるのか、どんな使い道があるのか」ももちろんですが、最も重要なのが意図や背景です。「なぜやるのか」「どんな会社にしたいからやるのか」などの部分を丁寧に伝えれば従業員も納得しやすく、社内通貨の仕組みがより活発に利用されるでしょう。社内通貨のメリット・運用目的
社内通貨の導入・運用には、次のようなメリットや目的があります。
Illustration by Storyset
コミュニケーション促進
社内通貨を仲間への感謝の気持ちとともに贈るという運用や、「ピアボーナス※」という形で第三の給与として活用されることもあります。 感謝を伝え合うことによって職場に称賛文化を浸透させたり、承認欲求を満たす一つの手段として用いられたりしています。 昔は飲み会などでコミュニケーションをとることが多くありましたが、コミュニケーションの形も働き方や価値観の多様化によって変わってきています。 参考記事:ピアボーナス※のメリットとデメリット、運用事例をご紹介モチベーション向上・称賛文化の醸成
自分の働きが評価されない、目で見えない頑張りが認められない。そういった不満が募ることを解消するため、社内通貨制度を活用して従業員の頑張りをこまめに称賛し、認めていくこともできます。 社内通貨の場合は「通貨」という形のため、目に見える報酬として実感しやすいのもポイントです。会社や他の従業員からの称賛・承認が可視化されるという点で、モチベーション向上につながる有効な手段の一つです。経営理念や行動指針の浸透
経営理念や行動指針を浸透させるには、どんな行動が経営理念や行動指針に沿っているのか従業員が具体的に理解することが重要です。 そこで、例えばサンクスカードを送るときは「どの経営理念や行動指針に沿っているか」を書く運用にして、サンクスカードで社内通貨が貯まる仕組みで動機づけをしてあげると、経営理念や行動指針が社内に浸透しやすくなります。スキルアップや学びの文化づくり
学びやスキルアップは従業員の仕事のやりがいにつながるだけでなく、会社としても生産性の向上などにつながります。 自己研鑽によって社内通貨が貯まったり活用できたりする仕組みを作れば、従業員もより積極的にスキルアップに取り組んでくれるでしょう。社内通貨のデメリット
メリットの多い社内通貨ですが、デメリットも存在します。コストがかかる
アプリやシステムを導入する必要があるため、社内通貨の運営にはコストがかかるケースが多いです。 また、最初の制度設計が不十分だと運用・管理の工数もかかってきます。使われないというリスクがある
せっかく社内通貨を導入しても、それが使われないというリスクもあります。 使う人がいなければ想定していた効果も生まれず、コストだけがかかる結果となってしまいます。社内通貨のデメリットを回避するには?
上記のようなデメリットを回避するには、解決したい課題や目的を明確にし、それに合わせて貯め方や使い道などの運用方法を決め、社内で推進していくことが必要です。 この記事の「社内通貨の作り方・導入のポイント」も参考に、自社に合った社内通貨の制度を設計しましょう。社内通貨の運用例
社内制度の運用例として、よくあるパターンをまとめました。
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1. 表彰制度やMVP受賞などのインセンティブ制度に活用
成績優秀者や、社内コンテストの受賞者など、表彰制度などに社内通貨を付与するという方法があります。 ただ、一部の従業員しか貯めることができない状態が続くと、うまく運用がまわらないため、小さなことでも付与する機会を設けるなどの工夫が必要です。2. 感謝を送る「サンクスメッセージ」と絡める
仕事を手伝ってもらえた、業務で学びを得たなど、感謝を感じるシーンで社内通貨を贈るという使い方もあります。 会社の理念によっては、そのような「他人に感謝する人」も増やしたいという気持ちがあるかもしれません。その場合は、感謝を伝えた人、伝えられた人どちらにも通貨を付与するような運用も考えられるでしょう。 関連記事:社内表彰のアイデア5種類や事例4社、選考基準について解説 | 社内ポータル・SNSのTUNAG3. 業務依頼に用いる
社内の部門間で業務を依頼する際にこのような社内通貨を用いることも活用方法の一つです。通貨を通して依頼するルールを決めることで、急な業務の依頼や曖昧な依頼を防ぐことができます。4. 健康経営の推進に活用する
社内通貨は健康促進のために活用することもできます。例えば、残業時間を抑えた場合、予防接種等の健康に関わる行動をした場合に社内通貨を付加するということが考えられます。また、1日に歩いた歩数に応じて社内通貨を付与するという仕組みを取り入れても面白いかもしれません。 このように社内通貨を健康促進や働き方改革などのために用いることもできます。社内通貨の導入事例
実際に社内通貨を導入している企業の例を紹介します。自社での導入・運用の参考にしてみてください。株式会社DISCOの「will」
まず紹介するのは半導体切断装置の最大手であるDISCOの「will」です。この会社は、厚生労働省の選ぶ働きやすい企業の部門で最優秀賞を取ったことがあります。その理由の一つがここで紹介する「will」です。月の収入や支出、社内業務の受発注などをこの通貨を用いて行っています。 また、社内プレゼンの賞金として「will」が贈られたり、「will」保有者の上位者はホームページ上で発表されたりするなど、仕事のモチベーションアップや競争心を煽るために使われています。 参照: https://www.disco.co.jp/recruit/management/system/スーパーサンシ株式会社の「サンシコイン」

株式会社牛若丸の「ウシポ」

株式会社オロの「Oron」
株式会社オロでは、"感謝"や"お祝い"の気持ちをポイントにして相手に伝える「Oron」を運用しています。貯まった社内通貨は、人気の商品や社内のオリジナルグッズと交換できます。 この社内通貨は従業員同士で贈り合うことができるので、コミュニケーション活性化にも繋がっているそうです。 参照: https://note.com/oro_official/n/n50e46cb0c86a , https://www.peerbonus-enforce.net/purpose/oron.html株式会社Wizの「Wizコイン」
株式会社Wizでは「Wizコイン」という社内通貨が運用されています。この社内通貨は、社内の良い行動に対して贈られます。 仕事内容以外にも、社内イベントの企画、プライベートでの引っ越しの手伝いなども評価の対象になっています。貯まった社内通貨は1枚から景品と交換でき、スリッパやノートなど日用品のほか、加湿器や豪華チェア、オーダーメイドスーツ、上司との食事券などと交換することができます。 参照: https://www.peerbonus-enforce.net/purpose/wiz.html株式会社じげんの「GAT」
株式会社じげんでは、社内通貨として「GAT」が運用されています。毎月お世話になった人に感謝の気持ちを込め、一言コメントとともに社内通貨を贈ります。 社内通貨を貯めると、豪華景品と交換することができます。 参照: https://uwork.jp/systems/114カブドットコム証券株式会社の「OOIRI」
ガブドットコム証券株式会社では、コミュニケーション活性化を目的に「OOIRI」という社内通貨を導入しました。 この社内通貨は、社内で進めている施策のインセンティブとして付与したり、社員のアドバイスに感謝を伝えたり、効率的な会議運営へのお礼として付与するなどの方法で貯まります。貯まった社内通貨は、近隣の飲食店などで利用できるようです。 参照: https://kabu.com/company/pressrelease/20161017_1.html株式会社リンクアンドモチベーションの「LIMO」
株式会社リンクアンドモチベーションでは、社内通貨「LIMO」を運用しています。研修や自社理解テストの成績に応じて社内通貨が配布され、社内表彰制度の報酬としても付与されます。さらに、社内教育や仕事の報酬をポーカーやビンゴといったカジノゲームに見立てた人事教育制度「カジノルール」の報酬としても、社内通貨を獲得できます。 この社内通貨は円との交換が可能なため、ピアボーナスとして社員の働きを還元することもできます。 参照: https://www.peerbonus-enforce.net/purpose/lam.html社内通貨制度は設計と運用が重要
社内通貨を作るだけでは目的を果たせない
社内通貨を導入することで、コミュニケーションの活性化やモチベーションの向上につながる運用が可能です。 しかし、ただ導入するだけでは目的を果たすことはできません。このような社員の方を巻き込んだ組織改革を行う場合は、継続的な実行と改善が必要です。誰も使わない状態になってしまうと、従業員は逆にしらけてしまったり、会社としての本気度が伝わらず不信感を募らせてしまうことになります。 どんな状態にするために導入するのか、目的と達成イメージを明確にしたうえで検討していきましょう。『TUNAG』なら、設計・運用までトレーナーが伴走してサポート


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