課題解決とは?問題解決との違いやプロセス、押さえるべきポイント
組織の目標を達成するためには、課題解決に取り組むことが重要です。現状よりさらに良い方向へ改善され、目標達成に向けた取り組みがスムーズに進むようになるでしょう。課題と問題の違いや課題解決のプロセス、活用できるフレームワークを解説します。
課題解決とはどのようなものか
課題解決とは課題を解決することですが、理解を深めるためには問題と課題の違いを知る必要があります。課題解決とはどのようなものなのか、まずは言葉の意味を押さえておきましょう。
現状と目標のギャップを埋める取り組み
ビジネスシーンで使われる課題とは、現状と目標のギャップを意味します。これを埋める取り組みが課題解決です。
例えば、従業員が高いモチベーションを持って働くことを目標とする場合、従業員のモチベーションが低いならそれが課題になります。モチベーションを高めるための取り組みが、この場合の課題解決です。
課題は顕在化していることもあれば、まだ課題として認識されていないケースもあります。課題解決に取り組むための課題を明確化するためには、組織としての目標をしっかりと定めることが大切です。
問題と課題の違い
問題と課題は厳密には意味が異なります。課題解決と同じ意味で問題解決という言葉を使うケースもありますが、意味の違いを理解して使い分けるようにしましょう。
課題と比較した場合の問題とは、組織が直面するネガティブな事象のことです。既に深刻化していることが多く、放置すると損害を被る恐れもあります。コストの増大や人材不足、不良品の発生などが代表例です。
一方の課題は、緊急性は低いものの目標までのギャップがある状態です。課題解決に取り組むことで目標達成に近づき、現状より良い状態に改善されます。
課題解決のプロセス
組織の課題解決はどのように進めればよいのでしょうか。経営課題の具体的な解決プロセスを見ていきましょう。
課題を特定し原因を分析する
課題解決で最初に行うべきことは課題の特定です。組織において何が課題になっているのかを明確にし、課題発生の原因を分析する必要があります。
課題の特定方法としておすすめなのが、問題から課題を見つける方法です。問題が発生する背景には課題があることが多いため、現在や過去の問題が課題を特定する材料になります。
例えば、頻繁にシステムが故障することが問題になっている場合、背景にある課題はシステムの不安定さです。常に安定して動作することを目標とすれば、課題解決として故障を防ぐための対策に取り組めます。
解決策を検討・実行する
課題を特定し原因を分析できたら、解決のための施策を検討します。解決策の作成に必要な要素をまとめました。
- 責任者と実行者
- 具体的な数値目標
- 具体的な取り組み内容
- 実施期間
- 成果確認方法
解決策の骨子がまとまったら関係者と協議を行い、実現可能かどうか確認しましょう。解決策が複数ある場合は、効率的に取り組むためにも優先順位をつけるのがおすすめです。
PDCAを回す
解決策を実行に移した後は、PDCAを回すことが重要です。解決策がうまく機能しているか評価し、効果が低い場合は解決策を見直す必要があります。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのプロセスを繰り返すことで、業務を継続的に改善していく手法です。
改善策を断定する必要はなく、結果から改めて分析することがPDCAのポイントになります。
また、解決策に一定の評価を与えられる場合もそこで分析を止めるのではなく、効果の最大化や再現性について検討することが大切です。
課題解決に活用できるフレームワーク
課題解決でフレームワークを活用すれば、課題の切り出しに役立つでしょう。フレームワークによっては対策まで落とし込むことも可能です。課題解決に活用できる代表的なフレームワークを紹介します。
SWOT分析
SWOT分析とは、組織の状態を以下の4要素に分けて分析し、課題の発見や解決策の立案に役立てるフレームワークです。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
強みと弱みは内部環境の要素、機会と脅威は外部環境の要素です。強みと機会の特長を強化し、弱みと脅威を克服することが、SWOT分析における基本の考え方となります。
ロジックツリー
ロジックツリーは、事象の構成要素をツリーの形に整理して原因を探り、解決策につなげるフレームワークです。大きく次の3種類に分けられ、目的がそれぞれ異なります。
- WHYツリー:「なぜ」を繰り返し原因を究明する
- HOWツリー:「どうすべきか」の視点で問題を解決する
- WHATツリー:「何で構成されているか」を整理する
上記3つのうち、課題解決に役立つのはHOWツリーです。いずれの種類も、ツリーの階層が深いほどより論理的に分析できます。
ECRS
組織の課題を解決するために業務効率化の必要がある場合は、業務改善のフレームワークであるECRSを活用しましょう。次の順で業務を見直すことで、業務の最適化を図れます。
- Eliminate(排除):無駄な業務を排除する
- Combine(結合):複数の業務をまとめる
- Rearrange(交換):業務の順番を入れ替える
- Simplify(簡素化):業務の内容を簡素化する
上にいくほど業務改善効果が高いため、上記の順番で実行することが重要です。業務効率化にECRSを活用すれば、手間やコストを抑えやすくなります。
課題解決を進める際のポイント
実際に課題解決に取り組む場合は、従業員の課題解決力を鍛えたり、課題と目標を共有したりする必要があります。DXの推進も課題解決に有効な取り組みです。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
従業員の課題解決力を鍛える
課題解決で実際にプロセスを進めるのは現場の従業員です。課題解決を適切に進めるためには、従業員の課題解決力を鍛える必要があります。
課題解決力を養う訓練方法としては、研修の実施がおすすめです。実際の業務をベースに進められる研修を受ければ、現場ですぐに実践できるでしょう。
MBOの導入や1on1ミーティングの実施も、課題解決力の訓練として効果的です。いずれも従業員自身で課題を発見する必要があるため、実際の業務を通じてスキルアップできます。
課題と目標を共有する
課題と目標はセットであり、目標達成に向けた取り組みがそのまま課題解決になります。目標をしっかりと認識していなければ、課題解決の取り組みも理解できないでしょう。
組織として課題解決に取り組む場合は、関係者全員が課題と目標を共有している状態でなければなりません。全員の中で目標が明確化されていれば、それぞれのパフォーマンスを最大化しやすくなります。
DXを推進する
課題の内容によっては、DX推進が課題解決につながるケースがあります。例えば、人材不足が課題ならDXで多くの業務を自動化できるため、少ない人員でも業務を回しやすくなります。DXでアナログ業務が減れば、バックオフィス業務の効率化にもつながるでしょう。
従業員エンゲージメントに課題があるなら、エンゲージメント向上プラットフォーム「TUNAG」の導入がおすすめです。
コミュニケーションが活性化する機能や称賛文化の醸成に貢献する機能が備わっているため、さまざまなエンゲージメント施策を具体的な仕組みとして取り入れられます。
従業員が日常的に利用したくなるような空間設計になっていることも魅力です。さまざまなデータを活用すれば、施策の効果や組織と従業員の状況も把握できます。
課題解決で組織をより望ましい姿へ
経営における課題解決とは、現状よりもさらに良い方向に改善するための取り組みのことです。マイナス要因をなくして危機を脱する問題解決とは意味が異なります。
課題の洗い出しや解決策の立案には、フレームワークの活用が効果的です。また、実際に課題解決に取り組むためには、従業員の課題解決力の訓練も求められます。
課題解決の意味やプロセスを理解し、組織の目標達成に向けて適切な取り組みを進めていきましょう。