社内表彰制度の作り方を解説。具体的なアイデアや事例、メリット・デメリットまで完全ガイド

優秀な人材の離職が続き、組織の一体感が薄れていると感じることはないでしょうか。こうした課題に対して、社内表彰制度は効果的な解決策となります。本記事では、社内表彰制度の基本から具体的な設計方法、成功事例まで体系的に解説します。自社に合った表彰制度を構築し、従業員エンゲージメントを高めるヒントを見つけてください。

社内表彰制度とは?

社内表彰制度とは、企業が従業員やチームの成果・貢献を正式に認め、表彰や報奨を通じて称える仕組みです。

単なる感謝や称賛ではなく、組織が重視する価値観や行動指針を明確に示し、それを体現する人材を可視化することで、社員に望ましい行動を促す戦略的な人事施策となっています。

具体的には、「目標を達成した」という数値的成果だけでなく、「企業理念に基づいた行動をとり、他の社員の模範となった」といった行動面も評価対象とします。

このように「どのような行動が評価されるのか」を全社的に共有し、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めながら、組織文化の醸成と業績向上の両立を実現することが、社内表彰制度を導入する目的です。

社内表彰制度を導入するメリット

社内表彰制度を導入することで、組織には様々なプラスの効果が生まれます。ここでは、代表的な4つのメリットを詳しく見ていきましょう。

1.従業員のモチベーションの向上

日々の業務で成果を上げても、それが適切に評価されなければ、努力を続ける意欲は薄れていくでしょう。表彰という形で公式に認められることで、従業員は自分の価値を実感できるのです。

特に表彰式などの公の場で称賛される経験は、従業員の自己肯定感を大きく高めます。同僚や上司の前で評価されることは、日常の業務における些細な称賛とは異なる重みを持ち、組織の一員として認められたという実感につながるためです。

こうした経験は、表彰された本人だけでなく、それを見た周囲の従業員にも影響を与えます。表彰された人の行動を目にすることで、他の従業員も同じような成果を目指すようになり、組織全体のパフォーマンス向上につながる好循環が生まれるでしょう。

2.理念やビジョンの浸透

多くの企業が理念やビジョンを掲げています。しかし、それらが日常業務にどう結びつくのか、従業員が理解できていないケースは少なくありません。表彰制度を通じて具体的な行動例を示すことで、理念が実践レベルに落とし込まれます。

例えば、顧客第一主義を掲げる企業が、顧客満足度向上に貢献した従業員を表彰するとします。その結果、顧客第一主義が単なるスローガンではなく、実践すべき行動指針であることが伝わるでしょう。

この取り組みを継続することで、表彰される人物の行動は、組織内のロールモデルとなります。新入社員や若手社員は、表彰された先輩の行動を見て、組織が求める姿を学びます。社内表彰制度は、一般的な研修やマニュアルよりも、自社の社員教育に効果的です。

3.部署間連携や相互理解

組織が大きくなるほど、各部署は独立して業務を進めがちです。営業部門は営業の成果を、技術部門は技術の成果を追求します。しかし、本来は全ての部署が協力して企業の目標を達成すべきです。

表彰式で様々な部署の取り組みが紹介されることで、従業員は他部署の重要性を理解できます。例えば、営業部門の従業員が、バックオフィスの業務改善によって自分たちの仕事がスムーズになっていることを知る機会になるでしょう。

チーム表彰を設けることも効果的です。複数の部署が協力したプロジェクトを評価することで、部署間連携の重要性を組織全体に示せます。

組織全体の一体感を醸成するためにも、社内表彰制度は有効な施策です。

4.離職率の低下

給与や待遇に対する不満以外に、自分の貢献が認められていないという不満が離職につながるケースも少なくありません。社内表彰制度は、こうした不満を解消する効果があるのです。

特に優秀な人材ほど、正当な評価を求めています。成果を上げても評価されなければ、より評価してくれる環境を求めて転職を考えるでしょう。表彰制度によって適切に評価することで、優秀な人材の流出を防げます。

表彰は、従業員と組織の間に感情的なつながりを生みます。金銭的な報酬以上に、称賛されたという記憶は長く心に残ります。これが組織への愛着心を育てるのです。

また、表彰制度がある企業は、従業員を大切にする文化があると外部からも評価されます。採用活動においても、社内表彰制度の存在はプラスに働くでしょう。

長期的な人材定着のためにも、社内表彰制度の整備は重要な投資です。

社内表彰制度を導入するデメリット

社内表彰制度には多くのメリットがありますが、設計や運用を誤るとマイナスの効果も生じます。導入前にデメリットを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

評価基準の曖昧さによる従業員の不満

表彰の選考プロセスが不透明だと、従業員は公平性に疑問を持ちます。誰がどのように評価されているのか分からなければ、表彰は単なる人気投票のように見えてしまうでしょう。

特定の社員だけがいつも表彰されていたり、努力した社員が評価されていなかったりする印象を与えると、表彰されなかった従業員のモチベーションが下がり、組織全体の活性化を目的とした制度が逆効果になってしまうのです。

対策としては、評価基準を明文化し全従業員に公開することが重要です。どのような行動や成果が評価されるのかを具体的に示し、選考プロセスについても可能な範囲で透明性を確保すべきでしょう。

特定部署への偏りと不公平感の醸成

営業部門など成果が数値で見える部署ばかりが表彰されると、不公平感が生まれます。事務職やバックオフィス部門など、成果が見えにくい職種の従業員は疎外感を感じるでしょう。

そうならないためにも、多様な評価軸を設けることが有効です。数値的な成果だけでなく、プロセスや姿勢を評価する賞を設けましょう。業務改善賞やチームワーク賞など、全ての部署が対象になり得る表彰を用意すべきです。

部署ごとの表彰枠を設けることも一つの方法です。各部署から一定数の表彰者を選ぶことで、偏りを防げます。ただし、これは部署間の公平性を重視するあまり、本当に優秀な人材が表彰されないリスクもあります。バランスが重要です。

全社的な視点で制度を設計し、全ての従業員が表彰の可能性を感じられる仕組みを作りましょう。

従業員間の関係性悪化とチームワーク低下

表彰を目指すこと自体は悪いことではありません。しかし、それが行き過ぎると、同僚を蹴落とすような行動につながる可能性があります。情報を共有しない、協力を拒むといった行動が見られるようになるでしょう。

特に個人賞のみを設けている場合、この問題が顕著になります。従業員同士がライバル関係になり、組織全体の協力体制が崩れてしまうのです。

営業部門では、顧客の奪い合いが発生することもあります。自分の成果を優先するあまり、チーム全体の利益を考えなくなる従業員が出てくるでしょう。

対策として、表彰基準に協力姿勢を含めることも効果的です。単に個人の成果だけでなく、他のメンバーをサポートした実績も評価することに加え、数値を出してもコミュニケーションに課題がある場合は表彰を控え、課題を上司から伝え、改善が見られた場合に改めて表彰するといったステップを踏むのが良いでしょう。

制度運用にかかる時間的・金銭的コスト

選考プロセスには多くの工数がかかります。候補者の推薦を受け付け、業績を確認し、選考会議を開催する必要があります。公平性と透明性を保つためには、丁寧な選考が不可欠です。

表彰式の開催も負担になります。会場の手配、式の進行計画、記念品の準備など、様々なタスクが発生します。規模が大きくなるほど、準備にかかる時間は増えるでしょう。

そのため、制度運用に関わる社員については、時間と予算を確保し、通常の業務に支障をきたさない配慮が必要になります。また金銭的コストにも配慮し、定期的に実施が可能な体制を構築することが重要です。

社内表彰のアイデア10種類

社内表彰制度には様々な種類があります。自社の文化や目的に合わせて、適切な表彰の形を選びましょう。ここでは、代表的な10種類の表彰アイデアを紹介します。

1.バリュー賞

企業が掲げる価値観(挑戦、誠実、協働など)を、日常業務の中で具体的な行動として示した従業員を表彰する制度です。企業理念を絵に描いた餅にせず、実際の行動に結びつける役割を果たします。

評価基準の例

  • 「挑戦」のバリュー:新規プロジェクトに挑戦し売上20%増を達成
  • 「協働」のバリュー:部署横断でチームを組織し課題を解決
  • 「顧客第一」のバリュー:クレーム対応で顧客をリピーター化

選考では「○○プロジェクトで、△△という課題に対し、□□という行動をとった」といった具体的なエピソードが重要です。抽象的な理由ではなく、いつ・どこで・何をしたのかを明確にしましょう。

四半期ごとや月次で実施し、賞状と1〜3万円程度の報奨金を授与するケースが一般的です。受賞者の行動を社内報で共有することで、他の従業員の模範となり、企業理念が組織全体に浸透していきます。

2.社長賞・年間MVP賞

その年に最も顕著な成果を上げた従業員を、社長が直接表彰する最高位の賞です。組織全体のトップとして認められることで、大きな名誉とモチベーション向上につながります。

評価基準の例

  • 売上目標150%達成など顕著な営業成績
  • 業務プロセスを刷新し、全社の生産性30%向上
  • 新規事業立ち上げで次期の主力商品を創出

社長が直接表彰することで、従業員は自分の努力が経営層に届いていることを実感できます。評価軸を事前に公開し、「経営層の好みで選ばれた」と思われないよう公平性を確保しましょう。受賞者は組織全体のロールモデルとなり、他の従業員の目標となります。

3.新人賞

入社1年以内の従業員を対象に、早期活躍や成長を評価する制度です。新入社員の努力を認めることで、組織への帰属意識を高め、早期離職を防止します。

評価基準の例

  • 業務習得の速さ:3ヶ月で独り立ち、先輩と同等の成果
  • 新人ならではの視点:業務フローの改善提案を実行
  • 積極的な学習姿勢:資格取得や社内勉強会での活躍

ベテランと同じ基準で評価する必要はありません。新入社員の努力を認めることで、「組織に受け入れられている」と実感でき、定着率の向上につながります。

また、育成に携わった先輩従業員も評価されたと感じ、育成文化の醸成にも貢献します。表彰式では受賞者のエピソードを詳しく紹介し、他の新入社員の刺激としましょう。

4.ピアボーナス制度

従業員同士が日常的に感謝や称賛を送り合う仕組みです。上司からの評価だけでなく、同僚からの承認も得られることで、横のつながりでの貢献が可視化されます。

評価基準の例

  • 急な依頼に快く対応してくれた
  • 他部署との調整を円滑に進めてくれた
  • 困っているときにサポートしてくれた

多くの場合、ポイント制で運用されます。従業員が他の従業員に感謝の気持ちとともにポイントを送り、受け取ったポイントは金券や商品と交換できる仕組みです。

年に一度の表彰式だけでなく、日々の小さな貢献も認められる点が大きな特徴です。部署を超えたコミュニケーションも促進され、組織全体に感謝の文化が根付きます。導入する際は、ポイント付与ルールを明確にし、特定の従業員に偏らないよう注意しましょう。

5.永年勤続表彰

長期間にわたって組織に貢献した従業員を称える制度です。勤続10年、20年、30年といった節目で表彰を行い、長年の貢献に感謝を示すことで、従業員の帰属意識を高めます。

評価基準の例

  • 勤続10年:記念品+特別休暇3日
  • 勤続20年:金一封+特別休暇5日
  • 勤続30年:高額記念品+特別休暇7日

表彰の際には、記念品や特別休暇、金一封などが贈られることが多く、長年の労をねぎらう意味を込めて従業員が喜ぶものを選ぶべきです。

若手従業員にも良い影響を与え、長く働いている先輩が表彰される姿を見ることで、自分もこの組織で長く働きたいと思うようになります。ただし、単に在籍しているだけでなく、組織に価値を提供し続けた従業員を評価しましょう。

6.ベストチームワーク賞

優れた協力体制を築いたチームを表彰する制度です。個人の成果ではなく、チーム全体の連携を評価することで、協働の重要性を組織に示します。

評価基準の例

  • 部署横断プロジェクトで目標を上回る成果を達成
  • 困難な状況下でメンバー全員が協力し課題を解決
  • 効果的な役割分担と円滑なコミュニケーションを実現

現代のビジネスでは、チームでの協働が不可欠です。評価のポイントは、チームメンバー間のコミュニケーション、役割分担の適切さ、目標達成への貢献などです。チーム表彰を受けることで、メンバー全員が達成感を共有でき、個人表彰よりも喜びを分かち合える点が大きな魅力です。表彰の際には、チームがどのように協力したのか、具体的なエピソードを紹介しましょう。他のチームにとって良い参考事例となり、組織全体の協働文化を強化します。

7.サンクスカード

サンクスカードは、従業員同士が感謝の気持ちを手書きのカードで伝え合う制度です。日常的な小さな貢献を認め合う文化を醸成し、誰でも気軽に参加できる点が特徴です。サンクスカードを多くもらった従業員を表彰するといった制度も、社員のエンゲージメント向上に役立ちます。

評価基準の例

  • 月間で最も多くのカードを受け取った従業員を表彰
  • 最も心温まるメッセージを送った従業員を表彰
  • 部署を超えて多くの人に感謝を送った従業員を表彰

サンクスカードを導入する際は、カードを書きやすい環境を整え、カードの設置場所や回収ボックスを用意します。また、サンクスカードの送信や従業員ごとの総受信数を管理できるコミュニケーションツールも多くあるので、工数や印刷費に悩む場合、導入の検討をおすすめします。

送られたカードを社内で共有することで、誰がどんな貢献をしているのかが可視化され、組織全体に感謝の文化が広がります。

8.失敗賞・チャレンジ賞

結果だけでなくプロセスや挑戦する姿勢を評価する制度です。失敗を恐れずチャレンジする文化を作り、イノベーションを促進します。

評価基準の例

  • 新規事業に挑戦し、失敗から学びを組織に共有
  • 前例のない手法を試み、プロセス改善のヒントを獲得
  • リスクを取って新しいアプローチに取り組んだ姿勢

失敗賞では、失敗そのものではなく、そこから学んだことや次への改善策を評価します。失敗を公開し、組織全体の学びにつなげることが目的です。チャレンジ賞は、結果にかかわらず新しい取り組みに挑戦した従業員を表彰します。この制度を導入すると、従業員は失敗を恐れなくなり、積極的に新しいアイデアを試すようになります。ただし、単に失敗を奨励するだけでは意味がありません。失敗から何を学び、どう改善するかが重要です。そのプロセスをしっかり評価しましょう。

9.ベストティーチャー賞・育成担当者賞

ベストティーチャー賞や育成担当者賞は、後輩や部下の育成に貢献した従業員を表彰する制度です。人材育成の重要性を組織全体に示し、育成文化を強化します。

評価基準の例

  • 育成した新人が早期に独り立ちし高い成果を上げた
  • 独自の育成手法を開発し部署全体に展開
  • 後輩から高い信頼を得て、育成満足度調査で高評価

人材育成には多くの時間と労力が必要ですが、数値目標が重視される評価制度では適切に評価されないことが少なくありません。この表彰は、そうした見えにくい貢献に光を当てます。

育成された側からのフィードバックを選考に取り入れることも効果的です。ベストティーチャー賞を設けることで、育成に積極的に取り組む従業員が増え、優れた育成担当者の手法が共有されることで、組織全体の育成レベルが向上します。人材育成を重視する企業文化を作りたい場合、非常に有効な制度です。

10.業務改善賞・アイデア提案賞

業務の効率化や新しいアイデアを提案した従業員を表彰する制度です。現場の創意工夫を奨励し、組織全体の生産性向上につなげます。

評価基準の例

  • 業務プロセス改善により作業時間を30%削減
  • ツール導入の提案でコストを年間100万円削減
  • 小さな改善を継続的に実施し部署全体に展開

評価のポイントは、改善による効果の大きさ、アイデアの独創性、実行の難易度などです。小さな改善でも、継続的に取り組んだ場合は高く評価すべきです。

業務改善賞を設けることで、従業員は日常業務を見直す習慣がつき、言われたことをこなすだけでなく、より良い方法を考えるようになります。現場の主体性を引き出したい企業におすすめの制度です。

社内表彰の景品おすすめ5選

表彰の際に贈る景品は、従業員の満足度に大きく影響します。適切な景品を選ぶことで、表彰の価値がさらに高まるでしょう。ここでは、代表的な5つの景品を紹介します。

トロフィー・メダル

トロフィーやメダルは、表彰の記念として形に残るものです。視覚的なインパクトがあり、受賞の喜びを長く保ち続けられます。

オフィスのデスクにトロフィーを飾ることで、日々の業務の中でも受賞の記憶が蘇ります。これは、長期的なモチベーション維持に効果的です。

ただし、トロフィーやメダルは実用性がありません。金銭的価値も高くないため、これだけでは従業員の満足度が十分に得られない可能性があります。他の景品と組み合わせることをおすすめします。

金一封

金一封は、最も実用的な景品です。受賞者が自由に使えるため、満足度が高い傾向にあります。

金額は、表彰の重要度に応じて設定しましょう。社長賞のような最高位の賞では数十万円、部門賞では数万円といった具合です。金額が明確であることで、表彰の価値も明確になります。

金一封の利点は、受賞者のニーズに合わせて使えることです。生活費の足しにする人もいれば、趣味に使う人もいるでしょう。自由度の高さが魅力です。

ただし、金一封だけでは記念品としての要素が薄れます。何年か後に振り返った時、記憶に残りにくいという面もあるのです。

対策として、金一封とトロフィーや表彰状を組み合わせる方法があります。記念品としての価値と実用性の両方を満たせるでしょう。

確実に従業員に喜ばれる景品として、金一封は有力な選択肢です。

休暇

特別休暇を景品とすることも、近年人気が高まっています。ワークライフバランスを重視する従業員にとって、休暇は貴重な贈り物です。

通常の有給休暇とは別に、数日間の特別休暇を付与します。家族との時間を過ごしたり、趣味に没頭したりする機会を提供できます。

休暇を景品にする場合は、業務への影響を考慮する必要があります。繁忙期を避けて取得してもらうなど、ルールを明確にしましょう。

また、休暇を取りにくい職場文化がある場合は、この景品の効果が薄れます。日頃から休暇を取りやすい環境を整えることが前提です。

従業員の心身の健康を重視する企業には、休暇が適切な景品となります。

商品券・旅行券など金券

商品券や旅行券などの金券は実用性の高い景品です。使途が限定されるため、受賞者に特別な体験を促せます。

商品券は、百貨店や大手スーパーで使えるものが一般的です。日常の買い物から特別な贈り物まで、幅広い用途に使えるでしょう。

旅行券は、家族との旅行や自分へのご褒美として使えます。非日常の体験を提供できる点が魅力です。受賞者の思い出作りを後押しします。

金券の利点は、現金よりも特別感があることです。わざわざ商品券や旅行券で受け取ることで、受賞の記念として心に残りやすくなります。

一方で、使用期限がある場合は注意が必要です。受賞者が期限内に使いきれるよう、十分な期間を設定しましょう。

カタログギフト

カタログギフトは、受賞者が好きな商品を選べる景品です。食品、家電、雑貨、体験型ギフトなど、多様な商品の中から受賞者は自分の欲しいものを選ぶ楽しみも味わえるでしょう。

企業側としても、在庫管理や配送の手間が省けます。カタログギフト会社に委託できるため、運用の負担が軽減されます。

多様なニーズに対応したい場合、カタログギフトは最適な選択肢となります。

社内表彰の表彰金や物品に税金はかかるのか

社内表彰を実施する際、税金の取り扱いについて正しく理解しておくことが重要です。従業員にとっても、企業にとっても、予期しない税負担が発生しないよう注意が必要でしょう。

表彰金は課税対象になる

金銭で支給される表彰金は、原則として給与所得として課税対象になります。所得税と住民税が課されるため、従業員の手取り額は表彰金額よりも少なくなるのです。

表彰金が課税される理由は、労働の対価とみなされるためです。業務上の成果に対する報酬という性質上、通常の給与と同様に扱われます。

従業員に表彰金を渡す際は、課税対象であることを事前に説明しておくべきです。額面と手取りの差について理解してもらうことで、後のトラブルを避けられます。

ただし、表彰金の金額が少額である場合、実質的な税負担は小さくなります。それでも、原則として課税対象であることは変わりません。

税務処理を適切に行うためにも、人事部門と経理部門が連携して表彰金の管理を行いましょう。

金銭以外の物品が非課税となる場合の要件

トロフィーや記念品といった金銭以外の物品は、一定の条件を満たせば課税対象になりません。

国税庁の規定では、以下の要件をすべて満たす場合、非課税となります。

創業記念品の場合

  • 社会一般的に記念品としてふさわしいものであること
  • 処分見込価額が10,000円以下(消費税・地方消費税を除く)であること
  • おおむね5年以上の間隔で支給すること

永年勤続表彰の場合

  • 勤続年数や地位に照らして社会一般的に相当な金額以内であること
  • 勤続年数がおおむね10年以上の人を対象とすること
  • 同じ人を2回以上表彰する場合、前回からおおむね5年以上の間隔をあけること

商品券や現金を支給する場合、また本人が自由に記念品を選択できる場合は、給与として課税されます。

判断に迷う場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。表彰制度を設計する際は、税金の取り扱いについても考慮しましょう。

参考:No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき|国税庁

社内表彰の取り組み事例5社

実際に社内表彰制度を導入し、成果を上げている企業の事例を紹介します。これらの事例から、自社に合った表彰制度のヒントを見つけてください。

1【ホテル・レジャー業界】株式会社BP

ウェディング事業を中心に、ホテル、レストランの運営や、映像事業、不動産事業、保険事業など、幅広いサービスを展開する株式会社BPでは、サンクスカードに表彰制度を紐づけて運用しています。導入開始後から3ヶ月で、サンクスメッセージのやりとりが10,000回を超え、2018年の『TUNAGエンゲージメントアワード2018』では従業員500人以上の企業の中で「ベストエンゲージメントカンパニー」を受賞されました。

表彰制度の内容

3ヶ月に一度、全社で表彰式を行い、サンクスカードを送った数・もらった数で評価して表彰をしています。人に感謝を伝える行為も素晴らしいことだという思いから、サンクスカードを送った数も評価に入れています。

従来の表彰制度では「受け取った数」だけを評価するケースが多いですが、同社では積極的に感謝を伝える行動自体も評価対象とすることで、組織全体に感謝を送り合う文化を醸成しています。

導入の効果

アルバイトスタッフが「すごくしんどい時期があって心が折れかかったときにサンクスカードが届いて、その内容を見てもう少し頑張ろうと踏ん張れた」と話し、学校を卒業するまで勤め上げてくれました。

数値面でも大きな成果が現れています。TUNAG導入前のアルバイト定着率は63%でしたが、2023年時点では93%となり、アルバイトの定着率が30%改善しました。サンクスカードだけでなく、日報やリファラル採用も活用しており、総合的な従業員エンゲージメント向上に成功しています。

事例記事はこちら>>アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで | TUNAG

2【飲食業界】株式会社活美登利

回転寿司チェーン「回し寿司活」「寿司活」を展開する株式会社活美登利では、従業員同士が感謝を伝え合う「サンクスメッセージ」機能を活用し、称賛文化の醸成に取り組んでいます。

導入の背景

同社では、IT化を進める中で、コミュニケーションを改善したり、働きがいを伸ばして離職率を下げるツールを探していました。また、改善点を指摘することはあっても、良いところを褒めることが会社として少なかったため、従業員が楽しく働ける環境を整備する必要がありました。

表彰制度の内容

称賛文化を醸成するために、月間表彰を実施しています。あくまで「評価制度」にならないよう、「サンクスメッセージを積極的に送る」など、ツールをうまく活用してくれている人を表彰する形式をとっています。

また、清掃報告では、投稿者が「今日掃除を頑張っていた人」を選び、選ばれた人に社内ポイントが付くようにしています。日常業務の中でも、小さな貢献を認め合う仕組みを整えました。

導入の効果

本部に良いイメージを持っていなかったアルバイトスタッフが、意外にも積極的にサンクスメッセージを送ってくれるようになりました。「普段接点があるわけじゃないのに、見ていてくれて嬉しかったです」とメッセージを送ってくれるなど、本部と店舗スタッフの関係性が改善されました。

サンクスメッセージによって褒める文化を根付かせ、従業員が楽しく働ける環境を整備できるようになり、コミュニケーションの改善や働きがいの向上といった効果が現れています。

 事例記事はこちら>>店長で止まっていた情報が、アルバイトまで行き届く。回転寿司店が現場DXを推進し、称賛文化の醸成に取り組む

3【人材派遣・人材紹介】コクー株式会社

「人財」×「デジタル」領域で、ITインフラ事業やEXCEL女子事業、デジタルマーケティング事業、RPA事業などを展開するコクー株式会社様では、会社を「アメーバ」というグループに分けて組織運営を行なっており、「褒める文化」の浸透のために毎月のアメーバ会のときカードを送り合う時間をとっています。

表彰制度の特徴

同社の社内表彰においては、各アメーバのリーダーがメンバーを推薦し、事業部長や役員が受賞者を決定するというフローを取っています。特徴的なのは、受賞者やその受賞理由だけではなく、選ばれなかった社員の推薦文も社内に共有している点です。過去に推薦・表彰された社員の選出理由も可視化されるため、評価制度の透明性が高まり、社員のモチベーションアップにもつながっています。

導入の効果

「会社として褒める文化や感謝する文化を大切にしているので、サンクスカードでみんなが言い合えるのってなんかすごくいい」「社員同士のコミュニケーションがあって『ありがとう』が生まれているのが見えるので、やっぱり元気がもらえる」と代表は語ります。また、「これから産休・育休を取ります」という社員に対して「頑張ってね!」といった応援が自然に発生していたり、「子どもが生まれました!」とかのおめでたいニュースも共有され、組織全体に温かいコミュニケーションが生まれています。

社員満足アンケートでもコミュニケーションの数値が上昇しており、褒める文化が組織に浸透していることが実証されています。

事例記事はこちら>>客先常駐で離れていても、”体温のあるコミュニケーション” で社員が切磋琢磨し合う会社へ - コクー株式会社のTUNAG活用事例

4【美容業界】株式会社牛若丸

美容室やネイルサロン経営、ブライダル事業、振袖レンタル事業など、「美」にまつわる事業を幅広く展開する株式会社牛若丸様では、「サンクスカード」と「ポイント制度」を併用することで、サンクスカードの利用を活性化させています。

ポイント制度の内容

同社では、「ウシポ」というポイント制度を導入し、TUNAGでサンクスカードを送ったとき、もらったとき、その他対象制度へ投稿したときなどにポイントが貯まるようにしています。貯まったポイントに応じて商品と交換できる仕組みです。

交換できる商品としては、アシスタント・スタイリスト向けに練習で使えるウィッグやクリップ、グローブなどを用意し、ネイリスト・アイリスト・フロント担当の社員も利用できるよう「店舗で使える1,000円分商品券」も加えました。現場の声を聞きながら、交換商品のラインナップを充実させています。

導入の効果

サンクスカードでは、「おしゃれ」「プロ」「クリーン」といった褒めるジャンルが選択でき、コメントのところに「ありがとうございました」「今日のあの作業よかったね」「今日のあのギャグ面白かったよ!」など、フランクな感じでコミュニケーションを取ることができます。

サンクスカードの利用が活発になることで、従業員のコミュニケーションも促進されています。言葉にして褒めるのが難しかったり、仕事が忙しくて話す時間が取れなかったりしたときでも、先輩や後輩関係なく、軽い気持ちで気持ちを伝えられるので、以前よりも社員同士が仲良くなったと実感されています。

また、新入社員が入ってきた時に、サンクスカードを新入社員同士で送り合ったり、講師に御礼のコメントを送ったりといった使い方をしています。気軽に送りやすい雰囲気があるので、組織に溶け込むのによいツールとしても機能しています。

事例記事はこちら>>社内ポイント制度の活用で従業員のコミュニケーションが活性化「ほめ合う」文化でエンゲージメント向上を実現

5【制作・システム開発】株式会社クレイジー・ティブィ

テレビ放送番組を制作する株式会社クレイジー・ティブィ様では、社内表彰制度の一環として、TUNAG上で「ありがとうポイント」と「ハッピーニュース」を運用しています。

ありがとうポイント制度

ありがとうポイントは、TUNAGを介して感謝を贈ったり贈られたりするとポイントがたまる制度です。一定期間の間に一定数たまると、「サイコロチャレンジ」という特典が与えられます。サイコロを投げて出た目に合わせて、5連休や旅行券、商品券などの特典を選べる仕組みです。

感謝を可視化し、ポイント化することで、日常的に感謝を伝え合う文化が醸成されます。また、サイコロチャレンジというゲーム性のある要素を取り入れることで、楽しみながら制度に参加できる工夫がなされています。

ハッピーニュース

ハッピーニュースは、活躍している従業員を取り上げたコンテンツです。同社では若手従業員にスポットを当てる企画はあっても、入社5年目以降のベテラン従業員にスポットが当たる機会が少ないという課題がありました。

「先輩従業員の頑張りは、新入従業員にとって目標や励みになる」というコンセプトのもと、新しくディレクターやエディターとしてデビューした人、大きな仕事を任されるようになった人など、節目のタイミングでインタビューし、コンテンツ化しています。

ベテラン従業員の功績や経験を可視化することで、若手従業員のロールモデルとなり、組織全体のモチベーション向上につながっています。

事例記事はこちら>>

「良い行動や活躍を楽しく見える化」人にスポットを当てながら、理念浸透を促進する取り組みとは | TUNAG(ツナグ)

社内表彰を形骸化させないために

社内表彰制度は導入しても、運用方法を誤ると従業員のモチベーション向上につながりません。制度が形骸化せず、組織の活性化に貢献するためには、戦略的な運用が求められます。

制度を有効に機能させるための4つの実務的ポイントを見ていきましょう。

1.周知の徹底

表彰制度で最も重要なのは、全従業員への周知徹底です。制度の存在や評価基準を知らなければ、従業員は目標を持った行動ができません。

人事部門としては、制度導入時に説明会を開催し、表彰の目的や評価基準、選考プロセスを丁寧に説明する必要があります。

具体的な行動例を示すことで、従業員の理解が深まり、実際の業務での行動変容につながるでしょう。新入社員や中途入社者に対しても、入社時のオリエンテーションで表彰制度を説明することで、早期に組織の価値観を理解してもらえます。

2.従業員の頑張りを可視化する

従業員の日々の努力や成果を可視化する仕組みがなければ、公平な評価は困難です。日報やプロジェクト報告書を活用し、業務内容を記録することで、表彰の選考時に客観的な参考資料として活用できます。

社内SNSやコミュニケーションツールを導入し、従業員が自分の成果を投稿できる環境を整えることも効果的でしょう。

上司は部下の頑張りを積極的に記録し、数値化しにくい業務については具体的なエピソードとして残しておく必要があります。

可視化の仕組みがあることで、表彰の選考が属人的にならず、データに基づいた公平な評価が可能になるのです。

3.関連するコンテンツを発信する

表彰制度への関心を維持するには、継続的な情報発信が欠かせません。過去の受賞者インタビュー記事を社内報に掲載し、どのような取り組みが評価されたのか、受賞後の変化などを紹介することが効果的です。

表彰基準に関連する成功事例を共有することで、他の従業員も同様の行動をとりやすくなります。表彰式の様子を動画や写真で記録して社内共有すれば、他の従業員のモチベーション向上につながるでしょう。

経営層からのメッセージ発信も重要で、トップが表彰制度の意義を語ることで、制度が組織文化の一部として定着していきます。

4.日常的な称賛を実施する

年次の表彰式だけでなく、日常的な称賛文化を構築することが重要です。上司は部下の良い行動を見つけたら、その場でタイムリーに称賛すべきでしょう。

朝礼や定例会議でメンバーの頑張りを紹介する時間を設けることで、チーム全体で認め合う文化が生まれます。サンクスカードやピアボーナスといった仕組みを活用し、従業員同士が日常的に感謝を伝え合える環境を整えることも効果的です。

社内SNSで「いいね」やコメントを送り合うことも、簡易的な称賛の形として機能します。日常的な称賛が習慣化すれば、年次の表彰式はその集大成となり、より意味のある制度として機能するのです。

組織の活性化と従業員エンゲージメントの向上には、称賛文化の定着が不可欠です。組織改善プラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」を活用し、日常的な感謝や称賛を可視化する仕組みを構築しましょう。社内チャットや掲示板機能を通じて、従業員同士のつながりを強化し、表彰制度が真に機能する組織づくりを実現できます。

称賛文化が定着するツールTUNAG

社内表彰制度を効果的に運用するには、適切なツールの活用が不可欠です。ここでは、組織を良くする組織改善クラウドサービスである「TUNAG(ツナグ)」の機能を紹介します。

1.従業員の頑張りを可視化する日報機能

TUNAGでは社内表彰制度を効果的に運用できます。社長賞やMVP賞など、会社に貢献する活躍をした従業員を称賛し、社内に広く周知することが可能です。

タイムラインへの投稿には「いいね」やコメントをつけられるため、受賞者への称賛が組織全体に広がり、従業員同士のコミュニケーション活性化にもつながります。

日報機能を活用すれば、日々の業務における従業員の努力や成果を記録でき、表彰の選考時に客観的なデータとして参照できるでしょう。可視化された情報は公平な評価の基盤となり、表彰制度への信頼性を高めるのです。

2.日常的な称賛を実施するサンクスカード

サンクスカード機能を活用することで、従業員が気軽に「ありがとう」の気持ちを伝え合える環境を構築できます。

年次の表彰式だけでなく、日常的な感謝の気持ちを可視化することが、組織の称賛文化を定着させる重要な要素です。サンクスカードを経営理念や行動指針と紐付けて運用すれば、理念浸透にもつながります。

従業員が理念に沿った行動をとった際に、具体的なエピソードとともに感謝を伝えることで、組織として求める行動が明確になるでしょう。このような日常的な称賛の積み重ねが、年次表彰制度の効果を最大化するのです。

3.リワード機能でサンクスカードや社内表彰が形骸化しない

リワード機能を活用することで、サンクスカードの利用促進と表彰制度の活性化が期待できます。従業員の貢献に対して具体的な報酬を用意することで、称賛文化がより実感を伴うものになります。TUNAGはスマートフォンで簡単に利用できるため、職種や雇用形態を問わず、すべての従業員が活用できる点も大きなメリットです。

オフィスワーカーだけでなく、現場で働く従業員や在宅勤務者も、同じプラットフォームで称賛を受け取り、送ることができます。このような環境整備が、組織全体での一体感を生み出し、表彰制度を形骸化させない実効性のある運用につながるのです。

上記に関心をお持ちの方は、TUNAGの概要が3分でわかる資料をご用意しておりますので、お気軽にご覧ください。

「3分でわかるTUNAG」 資料ダウンロード

社内表彰で従業員のモチベーションを高めよう

社内表彰制度は、適切に設計・運用することで、従業員のモチベーション向上や組織文化の醸成に大きく貢献します。制度の成功には明確な評価基準の設定、多様な表彰種類の用意、そして継続的な運用が不可欠です。自社の組織課題や企業文化に合わせた制度設計を行うことで、表彰制度が真に機能する組織づくりを実現できるでしょう。

表彰制度を導入する際は、営業成績だけでなく、チームワークや育成貢献、業務改善など、多角的な評価軸を設けることが重要です。多様な評価基準を用意することで、全ての従業員が表彰の可能性を感じられる環境が生まれます。

年に一度の表彰式だけでなく、日常的な称賛文化を構築することも大切です。サンクスカードやピアボーナスといった仕組みを活用し、小さな貢献も認め合える環境を整えることで、表彰制度の効果が最大化されるのです。

社内表彰制度は単なる人事施策ではなく、組織が大切にする価値観を示し、それを実践する人材を可視化する戦略的なツールです。優秀な人材の離職、組織の一体感の欠如、従業員のモチベーション低下といった課題に直面している企業こそ、社内表彰制度の導入を検討すべきでしょう。

適切な制度設計と運用により、従業員エンゲージメントの向上と組織パフォーマンスの改善を実現できます。従業員一人ひとりの貢献を正当に評価し、称賛することで、より強い組織を作り上げていきましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

称賛文化」の他の記事を見る

TUNAG お役立ち資料一覧
TUNAG お役立ち資料一覧