情報に“熱”を乗せて「感性の共鳴」を生む。ウェルカムにおける人と組織のつながり方

食とデザインの二つの軸で「DEAN & DELUCA」や、「GEORGE’S 」「CIBONE」など、良質なライフスタイルを提案するブランドを展開されている株式会社ウェルカム。 お互いが感じたことを伝え合い、「それいいね」と言い合える仲間でありたい。その想いをベースに作られた“感性の共鳴”という経営理念や人と会社のあり方について、代表取締役の横川様にお話を伺いました。
会社名:株式会社ウェルカム 従業員規模:1,001名〜 事業内容:小売及び飲食業を通したライフスタイル事業・輸入食品および加工食品等の製造・販売、カフェの運営 会社HP:https://www.welcome.jp/

経営理念“感性の共鳴”に込められた想い

まず自分で「感じ」、それをブランド、グループ同士で「いいね」と響き合える関係でありたい

〜まずはじめに、「感性の共鳴」という経営理念が印象的でした。理念ができたきっかけを伺えますでしょうか?〜 代表取締役 横川様(以下敬称略):もともとインテリアの事業から始めていたのですが、ただお店を作るのではなく、街の顔の一部として、街の“色”を作っていくようなことを、周りのお店と仲間になってできると嬉しいなと思っていたんですね。 そこから、インテリア事業だけでなく、カフェやギャラリーなど、事業の幅が広がっていきました。2010年にちょうど10年目を迎えた頃から、展開しているブランドの方向性や価値観を一つにしたいと思い、理念を作ることにしました。 ブランドごとに色々なミッションがありますが、例えばDEAN & DELUCAってそもそも何なのかとか、その先を考える時、会社としての価値観が必要で。 社内の多くのメンバーとディスカッションをして、いきついた言葉が「感性の共鳴」だったんです。 〜「感性の共鳴」という言葉にはどのような想いがこめられているのでしょうか?〜 横川:お互いに「いいね」って言ったり、言われたりする仲であること。そのためにはまず自分で”感じる”ということをまず一番最初に大事にしよう。弊社はありがたいことに、どのブランドにおいても「このお店・商品が好き」という気持ちを持って入社してくださる方ばかりなので、自然とブランドの中ではその感性が共鳴しているんですよね。 それをブランド同士、さらにグループ同士で「いいね」が響き合うようにしたい。そういった想いをベースにして経営理念を作りました。

ウェルカムという会社は、いろいろな船が集まった「船団」

〜ブランド、グループを一つに、という想いをこめて理念を作られているということなんですね。ウェルカムという会社は、例えると「船団」のようだ、と先日伺いました。会社を一つの船に例えることは多いと思うのですが、そうではなく、「船団」とした理由は何でしょうか?〜 横川:うちはみんな自由というか、こだわりを持ったメンバーが多いんで、そもそも一つの船にならないと思うんですが(笑)感性が共鳴しあって、いろいろなブランドがありながら、お互いが「いいね」って言い合える仲間であればいいなと思っているんです。その共通の想いの中であれば、逆に何をやってもいいなと。 新しいことをスタートして、まだ手漕ぎボートに乗っている人もいるだろうし、事業が大きくなって今はもう大きな船に乗っている人もいる。小さな船も、大きくなった船も、それぞれがミッションを持って航海を続けているので、「まるで船団みたいだね」っていう話になったんですよね。 海が穏やかで天気がいい時は自由に広がって、逆にうねりが悪くなってすごく厳しい時はお互い寄り添い合い、助け合いながら進んでいく……そういうチームになりたいと思っています。 〜船員同士で、こっちの船に乗っている時もあれば、あっちの船に乗り換えてみよう、みたいなこともありそうですね〜 横川:そうありたいですね。ずっとボイラー室にいる人、デッキにいる人みたいに、自分の見える範囲しか見えなくなるような一艘の大きな船でいるよりも、ある程度自分が“どこ”にいて、“何“に関わっているか、どこに向かっているかが分かるくらいの規模をベースに、それぞれ自由にやっていきたいんですよね。 これからの時代は、そういう自由度や柔軟性が大事なんじゃないかと思います。

ウェルカムで働く人に対する想い

会社の情報は常にオープンに。そして、ただの情報を届けるのではなく、”熱”と一緒に届けたい

〜そこで働く「人」についてのお話を伺いたいのですが、みなさんのことを「メンバー」「パートナー」と呼んでいると伺いました。その理由は何かあるのでしょうか?〜 横川:大事にしていることがあるんです。一番最初にできたお店の時の人との関係性は、規模が大きくなっても変わってはいけないと思っているんです。役割や雇用形態に関係なく。それを表現できる一番いい言葉は「仲間=メンバー」だよね、と。誰かをバイトさん、とか、PAさん、とか呼ぶとドライで記号みたいだし、熱が無いですよね。 全てにおいてですが、ただの「情報」を扱うのではなく、「熱」を一緒に届けることを大事にしたいんです。少なくともお互い一緒にいる仲間同士は熱が伝わる呼び方がいいよね、ということで「メンバー」「パートナー」と呼んでいます。 〜TUNAG(ツナグ)を導入された際も、まずは正社員から……という形ではなく、最初から全社導入をされていますよね。とはいえ、アルバイトで入社した人がTUNAG(ツナグ)を見て、いきなり社長からのメッセージが投稿されていると驚くんじゃないかと思いました。こういった情報の届け方はどういった点を意識されていますか?〜 横川:常にオープンでいたいんです。とにかく開いていたい。経営方針、会社の数字、いい事もよくない事も知ってたほうがいいじゃないですか。「伝えたら不安になるんじゃないかな、誤解するんじゃないかな」と思って、親が子供に何も言わない、みたいなことをしてると、子供が不安になるのと同じだと思うんです。 なので相手に合わせたやり方でできるだけきちんと話すようにしています。

働く人同士の価値観を合わせる「ものさし」は、無駄話から生まれていく

※横川社長が実際に投稿されている「Mac’s Talk」内容の一部です。店舗のイベントへの感想や、地域に関するニュース、メンバーに対する想いなど、その種類は様々です。 〜実際にMac’s Talkを拝見させていただいたのですが、情熱といいますか、その時の「熱」が伝わってきます。何か投稿ルールや意識されていることはあるのでしょうか?〜 横川:最近内容が長いと言われるんですよね(笑)毎週1回という目安は置いていますが、厳密に動いているわけではないですね。もともとはメールで月に1回マンスリーレターという形で送っていました。当時の社内では人事異動とか、新店情報……とか、業務連絡が中心で、それとは違うものを届けたいと思いスタートしたんです。 業務連絡の前にお互い一緒にいるんだから、誕生日を祝ったり世間話してもいいし、「あのお店がおいしい」とか、普通に思うことや感じることを共有したかったんですよ。現場のみんなの目線や価値観って、いつも一緒じゃないし、揃えるためにルール化できるものでもないですよね。 “感覚的”なものだからこそ、その感覚を常に合わせる「ものさし」を作るために、普段から無駄話をするってすごく大事だと思っているんです。だからMac’s TalkはTUNAG(ツナグ)の中では一番無駄話が多いですね(笑) 〜TUNAG(ツナグ)ではマンスリーからウィークリーに投稿頻度が増えていますが、変えてみていかがですか?〜 横川:マンスリーの時は情報量が多かったですね。印刷するとA4用紙3枚分とか。「1枚にまとめてください」って言われたんですが、1ヶ月に起きた大事なことを入れていくとどんどん増えてしまってなかなか読んでもらえず。TUNAG(ツナグ)になってから、写真が投稿できるようになって、既読率もぐっと高くなりました。

会社と、働く人とのコミュニケーションのあり方

情報に「熱」を載せて現場まで届けること

〜同じように多店舗経営されている会社の課題で、本部と現場の情報のやり取りに苦労されているという声も伺うのですが、どういうことを意識されていますか?〜 横川:弊社も課題はあるんですが、中央集権型にしないようにしています。情報をちゃんと現場まで伝えきる、大きな決定をするときはエリアごとにみんなで集まって決める。例えば各エリアごとの責任者が何人かいて、そこで決めたとして、さらにそこから各店長やメンバーへ伝えていく。 私一人から全体へ伝えるより、濃い情報として伝えられるように、「熱」を大事にしています。同じ情報をコピーアンドペーストで伝えるのではなく、自分で咀嚼して、自分の言葉で伝えていく、そうすると熱が加わり、アップデートされるんですよね。 〜その情報の起点となる横川社長の熱が一番熱いのでしょうか?なかなか自分の熱を込めて他人へ伝えるということができない人もいるのではないかと思ったのですが。〜 横川:僕だけ熱くてもダメなので、熱を伝えやすいツールやコンテンツをどう使うかですね。今回キャンプを実施した後に作った冊子は、話した内容をほぼそのまま起こしているので、同じことを何回も言っていたりとか、話がちょっと前後してたりとかするんです(笑) でも、それが生なんですよ。整えちゃうと綺麗になって「情報」になっちゃう。ですので、あえてのらりくらり喋った内容も含めて全部生で起こしてこのボリュームになっています。今回はこういう形にしましたが、部分的にもう一回クローズアップして話す場を作ったり、写真や動画で伝えたり。いかに熱を落とさずに伝えるか、という時、使えるツールは色々あると思います。

リアルの場とツール、その組み合わせで、熱くなった気持ちを持続させることができる

※WELCOME CAMPという全社方針会開催時に撮影した集合写真。 〜全社方針会として開催している WELCOME CAMPの取組みなども、その場で終わらせず、内容を冊子にしたり、イベントとツール双方を使って現場に届けたり、現場の声を拾ったりしていらっしゃいますよね〜 横川:「イベント」「ツール」「イベント」……という、流れは効果がありますよね。リアルの場で何かを行うと、みんな熱くなるんですよ。でも、その場で熱くなっただけで、冷めてしまうと何も残らないので、熱い内に整理して、冊子を作ったり、TUNAG(ツナグ)で写真や動画を投稿する。そうすると、熱い気持ちを思い出させてくれますよね。 ツールで初めてこれを見た人は、そこからさらに熱に変えるように、次のリアルなイベントにつなげる。この繰り返しを行うことで、自分の血肉になっていくと思うんです。

本音で語り合い、心から喜び合える時間や場を作っていく

※2019年夏、WELCOME CAMPにて代表の横川様が話した内容の反響が大きかったため、改めて冊子にして全メンバー・パートナーに配布した冊子 〜先日、現場のメンバーの方とその冊子の「読書会」を開催されたと伺いましたが……〜 横川:大事なのは実は「飲みニケーション」だと思っているんですよ。別にお酒を飲む必要は無いんです。「立ち上げ大変だったよね」っていう打ち上げをしたり、色々苦労して泣き出しちゃったメンバーとその後飲みに行ったり。仕事のスイッチを切ったうえで、本当に言いたいことを言い合って、一晩寝てもう1回整理して。 本音でぶつかりあって、心から喜び合う、そういう時間が一番大事だと思うんです。 とはいえ、時代の変化によって対応すべきところもあるでしょう。そういう声が出たら、工夫していけばいい。「読書会」はもっと深く話をしたい!とメンバーから声がかかり、開店前にコーヒーを飲みながらやりました。飲み会には参加できない主婦のパートナーも参加してくれて、頭もスッキリした朝にとても良い時間が持てました。

個人の気持ちを引き出すために、日々会社の考えやミッションを伝えていく

〜同じ業界で採用や離職に課題をお持ちの企業の人事担当者や経営者の方に何かアドバイスがあるとしたら、どのようなことがあるでしょうか?〜 横川:人をパーツで扱わないようにする。人を人としてちゃんと向き合うことでしょうか。「最近の若い人はこう」と決めるのではなく、そういう結果を生んでいるのはコミュニケーションに課題があるからでは?と思います。 「この人はこの程度しかできないだろうからこの仕事だけ任せよう」と思い込んでいると、「これしかやらせてもらえないなら辞めます」ということってありますよね。 人を信じて、年齢、経験、働き方、役職、国籍、で決めつけずコミュニケーションをとる、そういう場をつくる、その結果、人はやる気になっていきます。やりたいと思っていることをやる人と、やらされている人では、前者の方が圧倒的にパフォーマンスが高いですよね。 本人がどんなことがやりたいのか、チャレンジしたい人にはチャレンジできるようにするし、安定して仕事に向き合いたいという人にはそういった仕事を任せます。アルバイトだからチャレンジできない、社員だからできる、という切り分けはないようにしています。 若くても、年齢が高くてもチャレンジしたい人には任せていくし、ライフステージが変わった人にはその人の今やりたいことを聞きながら任せていく。そういう個人の気持ちを引き出していくために、日頃の会社の考え、ミッションなどをしっかり伝えていく必要があるんだと思います。 横川様、お話いただきありがとうございました!
  ▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。

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