日本のテレワークの歴史とは?年代ごとの取り組みをご紹介します
【関連記事】テレワークとは?導入企業事例や、効果を高めるためのポイントを解説
⇒社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」が3分で分かるサービス資料はこちら
テレワークとは
情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。リモートワークという言葉もほぼ同義として扱われています。(参照;一般社団法人日本テレワーク協会「テレワークとは」) 【関連記事】リモートワークとは?導入未経験企業が陥りやすい3つのデメリット このテレワークは大きく3種類、自宅で勤務する「在宅勤務型」、顧客先やカフェ、移動中などで仕事をする「モバイルワーク」、普段の勤務先以外でのオフィスで勤務する「サテライトオフィス型勤務」があるとされています。テレワークの歴史
1984~1987年
アメリカで普及していた勤務形態を参考にして、テレワークを導入していく企業が現れ始めた時期です。 象徴的なのが、NECが取り入れた「サテライトオフィスの設置」です。 これは、結婚や出産といったタイミングで辞めてしまう女性社員の通勤負担の軽減のためにテレワークを導入しています。 この導入は、INSと呼ばれていた新しいデジタル総合通信ネットワーク(のちのISDN)の活用の可能性を探るための実験的な実施だったとされているため、普及とまではいっていません。1988~1992年
この時期は、バブル経済の最盛期であったため、全国で地価が高騰していました。 企業は都心部にオフィスを構えると、維持に莫大なコストが発生するため、大人数確保できるようなオフィスを構えることが難しいことや、都心部近くに従業員が住めず、通勤時間2時間ほど離れた住まいを選ばざるを得なかったことから、テレワーク導入企業が増加しました。 また、バブル期は優秀な人材の確保のため、テレワークで働きやすさをアピールする企業もあり、結果的にテレワークが増加していました。 この時期のテレワークは、まだインフラが普及しているとはいえず、パソコンですら十分に普及していなかったので、在宅勤務やモバイルワークは困難でした。 しかし、サテライトオフィスの普及は進んでおり、複数社が共同で利用できる執務スペースがあったり、コピー機や事務サービスといったサポート体制も充実したオフィスが増えてきていました。 また、NTTでは電気通信事業を行っていたこともあり、サテライトオフィスが本社と変わらない環境が用意でき、音声会議室やテレビ電話ブースの設置などがあったため、本社オフィスとのコミュニケーションも円滑に行えていました。1993~1997年
バブルの崩壊とともに、テレワーク導入の背景にあった地価や労働市場環境が変化し、テレワークへの取り組みは少なくなりました。 しかし、新たなテレワークの形への模索も引き続き行われてきました。この頃から、地方での雇用創出を目的としたサテライトオフィスや、身体障害者用サテライトオフィスなど、新たな働き方の模索も見られていました。 この背景には、郵政省(当時:現総務省)の支援するテレワークプロジェクトといえる地域生活情報基盤高度化事業があったからだと言えるでしょう。1998~2005年
1998年以降、仕事でのパソコンやインターネットの利用が一般的になってくるとともに、テレワークが再び注目を浴びるようになりました。 この年代のテレワークは、バブル期の地価高騰や労働市場環境の変化による対策としてではなく、BPRの一環として、より効率的な働き方を模索したっ結果として発生しているという背景に違いがあります。 バブル崩壊後は、倒産する企業が相次ぎ、生産性がより求められる時代になっていました。これによるサテライトオフィスを基盤としたテレワークが広がっていく中、在宅勤務の認識がし始められた時代でした。2006年~現代
2006年に安倍首相政権は、2010年度までにテレワーク人口の倍増を掲げたことによって、テレワークが更に注目されました。 また、当時の所信表明では、地域の雇用創出や、地球温暖化に対してのモーダルシフト施策などの解決手段としてのテレワークというわけではなく、世界最高水準のインフラを活用した生産性向上戦略の手段としてのテレワークを普及させると宣言していました。 さらに、テレワークでの「IT新改革戦略」によって、企業構造の改革が進められていたと同時に、「ワークライフバランス」の実現も行おうとしていました。しかし、現代において、ワークライフバランスの重要性が高まっている中、未だにテレワークの普及率は伸び悩んでいます。現代のテレワークにおける4つの懸念
テレワークの導入を簡単にできない理由として、下記のような理由があります。1.情報セキュリティ
テレワーク行うということは、社内の情報を外部に持ち出すということなので、情報漏えいに対しての対策は必須です。 ・認証システムを利用する ・クライアントが保存やプリントアウトができない仕組み ・紙の資料等の持ち出し禁止 などの対策をすでに行っている企業は安心ですが、そのあたりの体制が整っていない企業はテレワーク導入を検討する前に対策すべきです。2.労務管理
基本的に注意すべきは労働時間です。 これらは、テレワーク導入後も出退勤の管理やフレックスタイムの適用など、柔軟に時間を管理する体制を整えている企業はそれらを適用して管理しています。 テレワークによる時間外勤務は、そもそもテレワークの導入目的から反する行為であるため、原則禁止であるはずですが、時間の管理をどのように行っていくかが企業において非常に重要な観点になるといえるでしょう。▼関連記事 ・テレワークの労務管理を適切に行うために抑えたい3つのポイント
3.業績管理
テレワークの1つの欠点として、業績が見えづらくなってしまう点があります。 また、業績も見えづらいと、業績までの進捗も見えづらいので、その管理が非常に重要とされています。 対策としては、 ・長期的な業績管理だけではなく、短期・中期の業績も設定することで管理する ・日々の進捗報告頻度を多くする など、テレワーク導入企業に限らず多くの企業で採用され始めている業績管理方法を行うことが効果的です。 しかし、通常の勤務と比較すれば、業績が管理しにくくなっていることに違いはないので、テレワーク導入時の業績管理、進捗管理などに関してもっと詳細に定義づけることが必要になってきます。4.コミュニケーション
コミュニケーションは近年、リモートワーク導入企業において重要視されてきている問題点です。 現状、テレワーク導入企業の多くは、業務用チャットやメール以外のやり取りを利用していません。 そのため、対面のコミュニケーションはもちろんのこと、オンラインでのコミュニケーションも激減してしまいます。 そもそもコミュニケーションがなぜ重要とされてきているのかというと、コミュニケーション不足による従業員のモチベーション低下や離職などにつながっているケースが多いからです。 企業に問わず、組織やチームはコミュニケーション量に比例して、お互いの信頼関係の構築や組織・チームへの愛着心などに結びついています。 このコミュニケーション課題を解決するため、テレワーク導入企業をはじめ、多くの企業は社内SNSやコミュニケーションツールの導入・開発を合わせて行っています。 業務的なコミュニケーションだけでなく日常的なコミュニケーションが促進される仕組みや、縦割組織からフラットな組織づくりなど多くの企業が実践している施策を、テレワーク導入企業はより優先度を上げて取り組まなければなりません。▼関連記事 ・テレワークの課題はコミュニケーション不足、解決策は? ・リモートワークとは?導入未経験企業が陥りやすい3つのデメリット