スーパーフレックス制度の導入企業は?導入のメリット・デメリットも解説

働き方改革により、多くの企業が、リモートワークやリフレックス制度を導入しています。今回はその中の1種である、「スーパーフレックス制度」についてご紹介いたします。 スーパーフレックス制度は、従業員の自由な働き方をサポートするための制度であり、ソフトバンクや味の素といった日本の有名企業も導入しています。この制度は、従業員のワークライフバランスを向上させることと、生産性を高めるための手段として注目されています。しかし、この制度を「なんとなく」で実施しているだけでは、従業員の真のニーズに応えることは難しいでしょう。 そこで今回は、スーパーフレックス制度の導入方法や、メリット・デメリットをご紹介します。自社に合う制度か検討してみてください。 私たちが作成した福利厚生制度30選のまとめ資料では、スーパーフレックス制度のような福利厚生の具体的な策を紹介しています。ご自由にダウンロードください。

スーパーフレックス制度とは

スーパーフレックス制度とはどんな特徴があるのでしょうか。具合的にご紹介します。

従来のフレックス制度をもとに、より自由度を高めた勤務形態

スーパーフレックス制度はまだ日本で始まったばかりで、企業によって細かい基準は異なります。 共通するのは「自分で働き方を決められる」という点で、定められた月間の労働時間の基準を満たせば、出社時間や退社時間を自分の都合で決められるという制度にしている企業が多いようです。 中には、出社の必要もなくリモートワークでの業務がスーパーフレックス制度で認められているという企業もあります。

フレックスタイムとの違いは、コアタイムの有無

フレックスタイム制度を導入している企業は多いですが、フレックスタイム制度には、自由に働ける「フレキシブルタイム」と、必ず出勤していなくてはならない「コアタイム」があるのが特徴です。 自由度が高い働き方といっても、コアタイムには必ず出社している必要があるため、十分にフレックスタイム制度の恩恵を受けられない従業員もいました。 スーパーフレックスタイムは、フレックスタイム制度のコアタイムを無くしたものです。必ず出社しなくてはならない時間が存在しないため、いつでも好きな時に出社と退社ができます。 従業員の自主性に任せるため、勤怠管理の徹底や業務計画の共有などの整備が必要ですが、少しずつ大企業でも取り入れられ始めてきました。

働く場所、働く時間を自由に決められる

スーパーフレックス制度は、従来のフレックス制度からさらに踏み込んで、働く時間や働く場所まで自由に自分で決められるという画期的な制度です。 今はまだ導入している企業も少なく実験段階ではありますが、既にスーパーフレックス制度を取り入れ、社員の生産性の向上に役立てているというところもあります。 従業員それぞれが自由に出勤時間を決められるため、スーパーフレックス制度を取り入れている企業の多くは、GoogleカレンダーやSlackなどのツールを活用し、リアルタイムでの情報共有を行っています。 欧米の企業では既にスーパーフレックス制度を活用し、時間や場所に関係ないフレキシブルな働き方が浸透しています。 日本の企業でも、スーパーフレックス制度を取り入れるところが今後増えてくるでしょう。
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スーパーフレックス制度を導入している企業例

日本の大企業の中にも、スーパーフレックス制度を取り入れている企業が増えてきました。具体的な企業事例をいくつかご紹介します。

ソフトバンク株式会社

スーパーフレックス制度を導入している企業のなかでも最も有名な企業といえばソフトバンクです。 これまであったコアタイムを廃止し、完全なスーパーフレックス制度を取り入れました。個別の業務状況に応じて自由に就業日や就業時間を決められるなど、1万人を超える従業員がフレキシブルに働いています。

味の素株式会社

味の素も、ソフトバンクと同様にコアタイムを作らないスーパーフレックス制度を導入しています。 社外との打ち合わせや会議の予定などはあらかじめ部署内で情報共有しておき、必要に応じて勤務時間をずらすことが可能です。

株式会社ユーザーベース

「SPEEDA」や「NewsPicks」などのサービスを提供している株式会社ユーザーベースでは、勤務時間だけでなく、働く場所も自由にした「出社の概念がない」スーパーフレックス制度を持っています。 GoogleカレンダーやSlack等で情報共有をしながら自由に働くことで、全社員がこれまで以上に生産性の高い働き方ができるようになりました。

アメリエフ株式会社

遺伝子解析に関するシステム開発などを行っているアメリエフ社は、従来のフレックスタイム制からコアタイムを廃止し、スーパーフレックスタイム制度を取り入れました。 部署に関係なく全社員が対象で、クラウド勤怠管理システムを導入して勤怠を管理し、自分以外の勤怠情報を知ることができます。 そのため、打ち合わせが必要な場合の調整などもしやすく、スーパーフレックスタイム制度の課題だったコミュニケーションの低下を回避しました。

花王株式会社

家庭用品などで有名な花王では、これまで10時から15時のフレックス制度を導入していました。 しかし、コアタイムがあることで結局他の時間にしわ寄せが行ったり、海外とのやり取りがある部署は夕方以降に業務が集中することが多かったため、結果的にコアタイムの存在が重荷になっていました。 今では好きな時に出勤して休める制度が整っているため、コアタイムがあった時代に比べ、業務の時間的比較が自由になりました。

株式会社ポッケ

WEBのコンテンツ作成などを中心に行っている株式会社ポッケでは、2018年3月からコアタイムなしのスーパーフレックスタイム制度を取り入れました。 当月定められた労働日数さえクリアすれば、1日の中でいつ出社しても、短時間勤務でもOKという働き方です。 現在は正社員のみに適用されていますが、子供の送り迎えや急な発熱、介護の付き添いなど、どうしても休めないという時に有効です。 >>【無料eBook】なぜ、社内制度は続かないのか? 活用されるためにとるべき7つのステップ

スーパーフレックス制度が取り入れられる背景

働き方改革推進において、生産性向につながる働き方を目指すため

日本はかねてから少子高齢化が大きな社会問題となっています。女性は家庭を守り、男性は大黒柱となって長時間働くという家族像はもはや過去のものとなりつつあります。 高齢者が増加する半面、働き手となる年代が減少することで、働き方そのものを見直さなくてはならない時代がやってきました。 そこで、政府は官民一体となっての働き方改革を始めました。育児や介護と仕事の両立、女性や高齢者でも働きやすい環境の整備などをすすめ、短時間労働でも生産性の高い働き方をできる社会を目指しています。 ブラック企業や過労死の問題が深刻化したことで、世の中全体の流れも変わってきています。「会社のために尽くす」のではなく、「好きなこと」「プライベート」「家庭」など、個人が重要視するものを尊重する方向へシフトしています。 今は、自分らしく働ける企業が優良な企業といわれる時代になってきました。スーパーフレックス制度の導入などで勤務形態を見直し、従業員の負担をより少なくするように、各企業が工夫を凝らしています。

スーパーフレックス制度を導入する方法

スーパーフレックス制度を導入するには、スーパーフレックス制度を導入するには、暫定規則の改正や労使協定の締結が必須です。具体的には下記4つになります。

スーパーフレックス制度の概要を就業規則に記載する

スーパーフレックス制度を導入するためには、準規則的に「労働者が自らで始める業務および終業の時刻を自由に決められる」といった内容を記載する必要があります。
第32条3 労働基準法第32条の3第1項に定められる労使協定を締結し、スーパーフレックス制度を適用する従業員は、その協定で定める時間帯の範囲内において、始業、就業の時間を各人が自由に決定できる。

労働組合または従業員代表者と労使協定を締結する

事業所で過半数を占める労働組合、または過半数代表者との間で労働協定を締結しましょう。 労働使用協定では、以下の内容について協議する必要があります。
・対象となる労働者の範囲 例:全員従業員を対象にするのか、特定の配置や区域のみに限定するのか ・清算期間 例:1〜3ヶ月以内で清算 ・清算期間中の総労働時間 例:法定労働時間の範囲内で調整 ・1日の標準労働時間 例:1日7時間など。有給休暇の計算 ・フレキシブルタイムの設定(任意) 例:開始業または終了業が可能な時間帯を決定します。
また、清算期間が1か月を超える場合は、管轄の労働基準監督署への届出が必要です。 なお、フレキシブルタイムの設定は必須ではありませんが、深夜労働を避けたい場合などの都合は事前に設定しておくと効果です。

清算期間が1ヵ月以上の場合は労基署へ届け出る

通常は月給に合わせて1カ月単位で清算期間を設定しますが、業種や業務内容によっては繁忙期や閑散期に対応するため、2カ月または3カ月の清算期間を採用する場合、届け出の提出を行うことで法的に適正な処理が保証されます。清算期間の設定および届け出の提出は、制度導入を協議するために非常に重要なステップです。

勤怠管理システム等の正確に管理できる環境を整備する

スーパーフレックス制度を導入するためには、勤怠管理の複雑化を見据え、効率かつ正確な管理体制を構築することが重要です。 従来のタイムカードを使った管理方法では、管理者の負担が増加し、ミスが発生するリスクがあります。そこで、スーパーフレックス制度に対応した勤怠管理システムの活用を検討することをお勧めします。勤怠管理システムは、労働時間の自動計算や残業時間の処理が簡単に行えるため、管理業務を簡略化できます。 効率的で正確な勤怠管理の実現により、従業員の生産性向上につなげることが可能です。

スーパーフレックス制度を導入する際の注意点

では、スーパーフレックス制度を導入する際の注意点とはどんなものがあるのでしょうか。具体的には下記のとおりになります。

残業代の計算について

スーパーフレックス制度では、清算期間中の総労働時間を超過すると時間外労働として扱われ、残業代の支払いが必要となります。 特に清算期間が1か月を超える場合、月の実労働時間の週平均が50時間を超えた場合も時間外労働となるため、注意が必要です。 また、通常の中抜けは休憩時間や時間単位の有給休暇として扱いますが、この制度では中抜けの時間も労働者が自由に設定できるため、特別な規定は必要とされています。ただし、22時から翌5時の労働は深夜勤務に該当し、深夜割増賃金の支払いが必要です。

顧客との連絡について

スーパーフレックス制度は、顧客との頻繁な連絡が求められる営業や広報には適しません。なぜならば、顧客からの連絡にすぐ対応できないく、取引先との関係が悪化するリスクも考えられるためです。部署、人員特性や配置を十分に考慮し、スーパーフレックス制度を導入するかどうか吟味する必要があります。

社員同士のコミュニケーション手段について

スーパーフレックス制度は、各社員が自由な時間で働くため、社内の社員同士によるコミュニケーションが繋がりにくくなります。プロジェクトやチームの事情によっては、休日や休憩時間に急な対応を求められる必要もあります。そのため、情報共有のツールなどを社内で統一しておく必要があります。TUNAGなどの情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをカスタマイズできるサービスの導入をおすすめします。
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スーパーフレックス制度を取り入れるメリット

自由度の高い働き方ができることで、企業にとっても従業員にとっても双方にメリットがあります。

1.多様な働き方の実現

従業員の中には、育児や介護など、さまざまな事情を抱えている人がいます。子供の送り迎えや通院の付き添いなどをしつつ、会社で定められた勤務時間通りに働くというのは難しいでしょう。 スーパーフレックス制度を導入することで、家庭の用事を済ませてから出社したり、子供のお迎えのために早めに退社したりということが自由にできるようになります。 在宅勤務が可能なスーパーフレックス制度を導入している企業なら、具合が悪くなって休んだ子供の面倒を見つつ、自宅で作業をするということも可能です。

2.労働時間の長時間化を防ぐ

これまでの働き方では、所定の時間をこえてからの勤務は残業となりました。スーパーフレックス制度なら、遅い時間に予定がある場合、その分朝の出社時間を遅らせて調整するということが可能になります。 無駄な残業時間を減らすことができるので、企業にとっても残業代の削減など、メリットが大きいです。

3.生産性向上につながる

朝晩の通勤電車や残業などの長時間労働は、疲労やストレスとなり従業員のパフォーマンスを低下させます。 自分で好きな時間に出退勤の時間を選べるスーパーフレックス制度は、自分にとって無理のない働き方ができます。 そのため、常に自分の最高のパフォーマンスを発揮しやすくなり、生産性の向上を後押しします。

4.優秀な人材確保につながる

優秀な人材を確保するのは、企業にとって重要な課題です。特に、能力のある人材が育児や介護で離職せざるを得ないというケースは増えています。 スーパーフレックス制度で柔軟な働き方ができるようにすれば、それが企業のアピールポイントとなります。 >>【無料eBook】なぜ、社内制度は続かないのか? 活用されるためにとるべき7つのステップ

スーパーフレックス制度のデメリット

スーパーフレックス制度はメリットの方が注目されやすいですが、もちろんデメリットもあります。

社内のコミュニケーションが低下する

それぞれが好きな時間に働けるため、社員同士が社内で直接顔を合わせる機会が減少します。 コミュニケーション不足はあらゆるトラブルの原因となります。情報共有の仕組みを整備して、対面せずともコミュニケーションがとれる仕組みを構築することが重要です。

取引先とのやり取りに支障が生じる

一般的な日本の企業は、9時から営業を開始しています。しかし、スーパーフレックス制度では、何時に出社しても構いません。 もし取引先から連絡があった時に、担当者が出社しておらず不在という事が続くと、社外からの信用を失いかねません。 特に、営業や広報など社外の取引先とやり取りすることが多い業務は、スーパーフレックス制度が逆にマイナスに働く場合もあります。

有給休暇の使用率が下がる

スーパーフレックス制度は勤務時間を柔軟に変更できる制度です。常にワークライフバランスの充実に特化した制度ともいえます。そのため、年次有給休暇の取得の割合が落ちる傾向があります。年次有給休暇の取得は国が定めているものなので、GW(ゴールデンウィーク)やSW(シルバーウィーク)といった時期などに取得することを促すことが効果的です。

スーパーフレックス制度で多様な働き方を実現

制度を始めるだけでなく、目的に沿った運用を

スーパーフレックス制度は、出社時間や場所と個人の裁量に任せることで、従業員の生産性を高めるのが目的です。 働き方改革を推進している日本政府にとっても、自由な働き方が可能なスーパーフレックス制度は非常に注目すべき制度です。 今後さらにスーパーフレックス制度を取り入れる企業が増えてくるでしょう。社員の適切な勤怠管理などの課題もありますが、うまく取り入れることができれば、企業にとって何かと役立つでしょう。 >>【無料eBook】マンガでわかる!『エンゲージメント経営』

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TUNAG(ツナグ)では、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。

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スーパーフレックス制度も、設けるだけではなく、どのように活用されているのかのデータを元に、目的に沿ったものなのかを検証していくことが重要です。 TUNAG(ツナグ)では、そういった社内制度の実行から改善、新しい提案を、ツールと人の力でご支援しています。
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著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
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