ハイブリッドワークとは?導入事例10選!メリットとデメリットを3つずつ解説
働き方改革やテレワークの普及などにより、従業員の働き方の自由度は高まっています。そんな中、従業員の働きやすさを支援しつつ、業務のパフォーマンス向上につなげる新しい働き方のスタイルとしてハイブリッドワークが注目されています。ハイブリッドワークは、従業員と企業の双方にとってメリットがある一方で、いくつか注意すべき点もあるため、必要な対策を講じたうえで制度に組み込むことが重要です。
本記事では、従業員の働きやすさや生産性を高めていきたい経営者・人事総務担当者の方に向けて、ハイブリッドワークの概要やメリット・デメリット、ハイブリッドワークを導入している企業の事例などを解説していきます。
ハイブリッドワークとは?
ハイブリットワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方を意味します。たとえば、週に3日はオフィスに出勤して、残りの2日は自宅やコワーキングスペースで働くなど、自由度の高い働き方が実現可能です。また、一日のなかで多様な働き方を組み合わせることもできるでしょう。 新たなワークスタイルとして、ハイブリッドワークを取り入れる企業は少なくありません。 ハイブリッドワークを導入することで、従業員が働く場所や時間を柔軟に選択できるメリットがあります。
ハイブリッドワークが注目される背景
ハイブリッドワークは、より自由度の高い働き方として注目を集めています。それでは、ハイブリッドワークにはどれほどの価値があるのでしょうか。米国の調査会社のWakefield Research社が米国内で働く1,000人を対象に行った調査によると、「柔軟な働き方が提示されなければ、転職を考えたい」と回答した人が47%に上っています。 また、受付システムを提供する米国スタートアップEnvoy社が、2020年4月に世界各国の800の企業を対象に実施した調査では、77%の企業がハイブリッドワークの導入を決定しています。今後、このような多様な働き方を推進できない企業は、従業員の定着率に大きな影響を及ぼすかもしれません。
▼参照: What is hybrid work and why do employees want it?|Envoy
ハイブリッドワークの事例10選
各企業では、どのようにハイブリッドワークを推進しているのでしょうか。ここでは、代表的な4つの導入事例を紹介します。
1.マイクロソフト
マイクロソフトにおけるハイブリッドワークのルールとして、リモートワークは勤務時間の50%までです。また、イントラサイトを活用して管理者と従業員とのコミュニケーションを円滑にしています。業務の効率化だけでなく、従業員のウェルビーイングを確認することが目的です。ハイブリッドワークを導入することで、組織の根本的な変革を目指しています。世の中に幸せを量産するためにどのような行動や考え方を取るべきか、わかりやすくシンプルに明示されています。
▼参照: How Microsoft approaches hybrid work: A new guide to help our customers|Microsoft
2.Google
Googleでは、週3日のオフィスワークと週2日のテレワークを組み合わせたハイブリッドワークを採用しています。また、休暇シーズンに従業員が勤務地を自由に選べるようにするなど、柔軟な働き方への積極的な姿勢を見せています。コミュニケーション不足解消のために、Web会議の回数を増やしたり、オンラインイベントを開催したりするなどの対応が特徴的です。
▼参照: グーグルは1兆円超投資、加速する「オフィス回帰」とハイブリッドワークの本格胎動|ビジネス+IT
3.富士通
富士通では、ハイブリッドワークの実現に向けて、2021年に「Work Life Shift 2.0」を発表しました。 具体的な取り組みとして、以下の内容が挙げられます。
- ハイブリッドワークを前提にしたオフィスの転換
- 生産性や創造性を高める働き方の推進
- ウェルビーイングを実現するための施策
ワークスタイルの最適化を行うことで、従業員が主体的に時間や場所を選択する働き方を推進しています。
▼参照: 一人ひとりのWell-beingに向き合うDX企業としての働き方へ「Work Life Shift」の進化|FUJITSU
4.NEC
NECでは、新たな働き方改革として「Smart Work 2.0」を2021年から本格展開しています。 具体的な取り組みは、以下のとおりです。
- ハイブリッドワークに最適な空間
- 次世代デバイスの導入による生産性の向上
- 客観的なデータを基に、AIで組織の状態を分析
また、遠隔地で居住勤務、週休3日制を導入するなど、柔軟な働き方を推進しているのが特徴です。
▼参照: NECグループの新たな働き方改革「Smart Work 2.0」を本格展開|NEC
5.サイボウズ
サイボウズは2010年から、自由な働き方を追求し、テレワークに取り組んでいます。オフィスに出社しなくても、自分のライフスタイルにあわせて、働く場所を選べる環境を作っています。同社は、情報格差を解決するために、ちんとした報告が求められる「日報」とは別に、宛先を指定せずに何でも気軽に書き込める「分報」という仕組みを運用しています。SNSに投稿するように気軽に投稿できるため、情報共有が活発になっています。
▼参照:THE HYBRID WORK
6.ぐるなび
株式会社ぐるなびは、2020年4月より「働き方進化プロジェクト」を立ち上げ、オフィスの集約をはじめ働き方改革を推進していました。2021年10月より、これまで原則リモートワークとしていた第1フェーズから、より柔軟な働き方が可能となる第2フェーズ「Hybridな働き方」へと移行しました。
「Hybridな働き方」は以下の通りです。
・フリースペース席 440席の利用開放
・出社業務の目安の撤廃
席数が増え、部署や個人の判断での出社が可能になったため、より働きやすい環境に整備されました。
▼参照:出社とリモートワークを併用する「Hybridな働き方」へと進化
7.サーバーエージェント
サイバーエージェントでは、2016年6月に健康推進室を立ち上げ、対話を重視し、社員一人ひとりの意思を尊重することをポリシーとして、健康的な働き方を推進する様々な施策をスタートしました。全従業員を対象に特定の曜日はリモートワークとする「リモデイ」、健康推進室と共にチームメンバーの労働時間を可視化する「雪かき会議」などを行い、従業員をサポートしながら、高いパフォーマンスを発揮できる環境作りに努めています。
8.ベネッセコーポレーション
株式会社ベネッセコーポレーションでは、 2020年2月以来取り組んでいる「withコロナ時代の新しい働き方」でさまざまな施策を実施しています。2020年に10月に導入された、「勤怠共有ツール」では、各人の「勤務場所・勤務時間 ・体調等」といった日々の勤怠の情報や業務報告、さらに「今後の出社予定」などの 入力も一括して行うことが可能で、事務面での生産性を高めています。また、各社員の勤務状況がリアルタイムで一覧することが可能であり、働く場所が多様になったハイブリッド勤務環境下での課題になりがちな社員間のコミュニケーションにも対応しています。
▼参照:ベネッセコーポレーション、 出社・在宅の「ハイブリッド勤務」環境を推進|株式会社ベネッセコーポレーション
9.日本マイクロソフト
日本マイクロソフトでは、2007 年に開始した在宅勤務制度を皮切りに、本格的な働き方改革に着手し、2018 年には、より一層の改革を推進すべく組織横断の「ワークスタイル変革チーム」を発足しました。
ハイブリット対応する環境の実現のために以下が行われました。
・ハイブリットワークに対応した会議室の設置
・緑の配置やデトックスルームによる社員の健康のサポート
・お客様の仕事にもお使い頂けるスペースの用意
このように日本マイクロソフトは多様性のある働き方をサポートしています。
10.リコー
株式会社リコーは、2020年10月から在宅勤務などのリモートワークを標準化しています。社員が自律的に働く場所を選択し、リモートワークと出社を組み合わせて、効果的に対面・非対面を使い分けて業務を行うハイブリッドな働き方を促進しています。
リコーは、新しいワークスタイルを自ら実践し、生産性向上や生活・健康の質の向上を図ることで、2036年ビジョンとして掲げる「“はたらく”に歓びを」を社員一人ひとりが実現していくことを目指しています。
▼参照:リコー、対面・非対面を組み合わせたハイブリッドな働き方を促進|株式会社リコー
ハイブリッドワークの3つのメリット
ハイブリッドワークの導入で得られる3つのメリットを紹介します。
1.従業員の満足度・生産性の向上が期待できる
企業がハイブリッドワークを可能にすることで、ひとり一人が最適な働き場所を選択できるため、従業員の満足度向上が期待できます。たとえば、育児や介護との両立が必要な従業員に多様な働き方を推進すれば、離職率の軽減にもつながるでしょう。 また、効率よく仕事ができる環境は従業員によって異なります。オフィス勤務のほうが業務に集中できる人もいれば、テレワークのほうが向いている人もいるかもしれません。ハイブリットワークの導入で、それぞれが最適な環境で働けるようになるため、生産性の向上も期待できます。
2.新たな人材を採用しやすくなる
ハイブリッドワークの導入は、企業の採用活動にも影響を与えます。求職活動をするうえで、多様な働き方ができるかどうかは企業選びの条件の一つです。従業員の適切なワークライフバランスを実現しやすい環境を整えることで、人材の確保をしやすくなるでしょう。 たとえば、オフィスワークのみが難しくても、「ハイブリッドワークがあるなら応募したい」となるかもしれません。結果的に採用者の幅が広がり、優秀な人材の採用が期待できます。
3.オフィスの最適化でコスト削減につながる
ハイブリッドワークでは、すべての従業員が一度に出勤することも少なくります。ひとり一人の専用スペースが不要になるため、オフィスのスペースに余裕が生まれます。 オフィス勤務の人数に合わせた、最適な職場づくりがしやすくなることもメリットの一つです。たとえば、余裕のあるスペースに快適性を意識した休憩室の設置などが挙げられます。また、不要なスペースをなくして縮小することで、コスト削減にもつながるでしょう。
▼参照: 企業がハイブリッドワークを真剣に検討すべき理由。採用活動へのメリットとは?|ヘイズジャパン
ハイブリッドワークの3つのデメリット
ハイブリッドワークの導入はメリットだけでなく、いくつかの課題も浮き彫りになっています。ここでは、企業内で議論する必要のある3つのデメリットを紹介します。
1.コミュニケーションが取りづらい
ハイブリッドワークのデメリットの一つが、社内コミュニケーションの不足です。従来の出社を前提とした対面の話し合いが難しくなるため、従業員間による意思疎通の方法を見直す必要があります。 これを解決するためには、情報共有や連絡の手段をどうするのかについて、ルールを決めておきましょう。たとえば、チャットワークやSlackなどのツールを導入して、業務の最適化を図るなどがあります。生産性を高めるためにも、ITツールの活用は必須です。
2.セキュリティリスク
セキュリティ面の課題も、ハイブリッドワークを導入するうえで懸念すべき材料です。テレワークが普及して以降、電子メールを媒介に感染を広げるマルウェアによる被害相談が増加したデータもあります。 また、コワーキングスペースやカフェで働く場合、第三者がパソコンの画面など社外秘の情報を覗く可能性も考えられます。従業員ひとり一人がセキュリティの意識を高めるのはもちろん、企業側が研修などを実施することが大切です。
▼参照: 最近のサイバー攻撃の状況を踏まえ、経営者の皆様へサイバーセキュリティの取組の強化に関する注意喚起を行います|経済産業省
3.人事評価制度の見直しが必要
従来の人事評価制度の見直しが必要になることも、ハイブリッドワークを導入するうえでの課題です。 株式会社あしたのチームが公表した調査データ(※全国の20~50代の会社員で2020年3月~2021年3月の期間に平均週2日以上のテレワーク、もしくは平均週2日テレワークをした部下のいる方が対象)によると、対象の管理職の61.1%が「テレワーク時の人事評価がオフィス出社時と比べて難しい」と回答しています。その理由はさまざまですが、おもに「勤務態度が見えない」ことが原因です。 また、オフィス勤務の従業員のほうが突発的なトラブルに対応しやすく、テレワークが中心の従業員よりも人事評価が高くなる可能性もあるでしょう。そのため、仕事の進捗状況を可視化できるツールを活用するなどの対策が必要です。
▼参照: ハイブリッドワーク時代に見逃せない人事評価制度の見直し|Sales Portal Site「人事評価制度を改訂すべき」8割も「改訂された」はわずか1割 テレワークと出社のハイブリッド型が求められる中、 人事評価制度の対応遅れが明らかに ~あしたのチームがコロナ禍のテレワークと人事の課題を調査~|あしたのチーム
ハイブリッドワークを採用するために必要な4つのポイント
企業がハイブリッドワークを採用するうえで必要な4つのポイントを紹介します。
1.従業員が何を求めているのかを調査する
最適な環境づくりをするためには、まず従業員が何を求めているのかを調査することが大切です。 従業員のモチベーションを維持することは、結果的に生産性の向上にもつながります。以下のような内容に関する意見を聞くとよいでしょう。
- 効率的に業務を進めるために必要なツールは何か
- 管理職への業務報告の仕方はどうするのか
- ミーティングのルールはどうするのか
このように、仕事をするうえでの細かなことまで従業員のニーズを拾い上げるようにしてみてください。管理職だけで決定するのではなく、従業員との対話を徹底しましょう
2.柔軟な働き方をサポートするための社内インフラを構築する
従業員同士が離れた場所でも円滑なコミュニケーションを図るには、社内インフラの構築が必要不可欠です。 オフィスワークとテレワークの両者が共有できるITツールを導入しましょう。チャットツールをはじめ、Web会議用のツール、勤務やスケジュールなどの管理ツールなどなどが役立ちます。社内SNSやイントラサイトを上手に活用することで、従業員の柔軟な働き方をサポートできるでしょう。
3.働きやすい職場環境を作り上げる
従業員の視点で見た、働きやすい職場環境を作り上げましょう。オフィスワークとテレワークを組み合わせるだけでなく、社内での働き方改革にも取り組む必要があります。たとえば、フリーアドレスを導入したり、目的に合わせて活用できるワークスペースを設置したりすることが大切です。また、Web会議の機会が増えるため、遮音性の高い個室ブースの設置も検討してみるとよいでしょう。
4.継続的に従業員にフィードバックをする体制を整える
理想的なハイブリッドワークを実現するには、従業員がフィードバックした内容を集めることも欠かせません。
- 現状に不満はないか
- やり方に不備は生まれていないか
- 業務は円滑に進んでいるか
これらを定期的にヒアリングして、改善するための資料として活用しましょう。従業員の意見を聞くことで、よりよい職場環境づくりにつながります。
ITツールを導入し、ハイブリッドワークの効果を最大化
ハイブリッドワークを推進するには、スムーズな社内コミュニケーションの仕組みづくりが重要
ハイブリッドワークを推進することで、従業員の満足度・生産性の向上が期待できます。働き方が多様化する中で、企業として社内のコミュニケーションが希薄にならないような、仕組みづくりをおこなっていく必要があります。 クラウド型の社内コミュニケーションサービスである『TUNAG(ツナグ)』は、以下のような制度を活用できます。
- 従業員のプロフィールを共有
- タイムラインで会社や人の「今」を知る
- 部署ごとの日報共有による、他部署の業務把握
- 定期的なトップメッセージの配信
- 1on1MTGの実施管理
また、『TUNAG(ツナグ)』では業務上のコミュニケーションにとどまらず、サンクスカードの制度などを活用して称賛文化の醸成を促進します。「ハイブリッドワークを成功させたい」「ハイブリッドワークの効果を最大化させたい」という方はぜひ『TUNAG(ツナグ)』をご活用ください。