働きやすい職場とは? 目標設定の手順からメリット、具体的な施策・事例まで解説


働き方改革の推進とデジタルトランスフォーメーションの加速に伴い、従業員が求める職場環境は大きく変化してきました。離職率の低下や生産性向上のため、働きやすい職場環境作りが企業には求められています。ここでは、理想的な職場づくりに向けた具体的な施策と、実践的な取り組み事例をご紹介します。

働きやすい理想的な職場とは?

一口に働きやすさと言っても、その定義は人によって様々です。

まずは「働きやすい職場とは何か」という基本的な定義と、その実現に欠かせない重要な概念について解説します。

働きやすさを構成する3つの要素

働きやすさは、大きく以下の3つの要素によって構成されています。これらがバランス良く満たされている状態が、理想的な職場環境と言えるでしょう。

  1. 物理的要素(ハード面) オフィス環境(レイアウト、照明、空調)、業務に使用するPCやツール、立地、清潔さなど、働く「場所」や「モノ」に関する要素です。快適性や業務効率に直結します。
  2. 心理的要素(ソフト面) 職場の人間関係、コミュニケーションの活発さ、企業風土、ハラスメントの有無など、従業員の心に関する要素です。精神的な健康や安心感に大きく影響します。
  3. 制度的要素(ルール・仕組み) 労働時間、休暇制度、評価制度、福利厚生、給与体系、キャリアパス、テレワークの可否など、働き方を支えるルールや仕組みに関する要素です。

これらの要素は独立しているわけではなく、例えばフリーアドレス(物理的)がコミュニケーション(心理的)を活性化させるなど、相互に関連し合っています。

特に重要なのは心理的安全性の確保

上記3つの要素の中でも、近年特に重要視されているのが心理的要素であり、その核となる「心理的安全性」です。

心理的安全性とは、「この組織(チーム)の中では、自分の意見や考えを安心して発言でき、失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる」と従業員が感じられる状態を指します。

どれだけ物理的な環境が快適で、素晴らしい制度が整っていても、上司の顔色を伺わなければ発言できなかったり、失敗が許されなかったりする職場では、従業員はストレスを感じてしまいます。心理的安全性が確保されてこそ、活発な意見交換やイノベーションが生まれ、従業員は安心して能力を発揮できるのです。

働きやすさと働きがいの違いとは?

「働きやすさ」と似た言葉に「働きがい」がありますが、この2つは異なる概念です。

  • 働きやすさ 労働環境や条件面の快適さを指します。残業が少ない、休暇が取りやすい、人間関係が良い、ハラスメントがないなど、主に「苦痛やストレスがない状態」を目指すものです。これは企業が整備すべき土台と言えます。
  • 働きがい 仕事そのものに対するやりがいや誇りを指します。仕事を通じて成長を実感できる、会社に貢献できている、自分の仕事に誇りを持っているなど、「ポジティブな意欲がある状態」です。

企業が目指すべきは、まず「働きやすさ」という土台をしっかりと整備し、従業員のストレスや不満を取り除くことです。そしてその上で、従業員が「働きがい」を感じられるような施策(適切な目標設定や権限移譲、キャリア支援など)を実行していくことが重要です。この両輪が揃ってこそ、従業員が長期的に活躍できる職場が実現します。

働きやすい職場における6つの特徴

理想的な職場環境を実現するには、様々な要素が複雑に絡み合っています。まずは、働きやすい職場に共通する6つの特徴を解説していきます。一つひとつの要素を丁寧に見直すことで、自社の現状把握と改善点の特定が可能となるでしょう。

コミュニケーションがスムーズにとれる

組織の生産性と革新性を高める上で、円滑なコミュニケーションは最も重要な要素の一つです。

特に近年ではリモートワークの普及により、対面とオンラインのコミュニケーションを効果的に組み合わせる必要性が高まっています。

従来の縦割り組織では、情報の伝達遅延や認識の齟齬が生じやすく、ビジネスチャンスの損失や業務の非効率化を招くリスクがありました。

一方、風通しの良い組織では、従業員間の信頼関係が醸成され、自発的な情報共有や協力体制が構築されやすくなります。

これは、先に述べた「心理的安全性」が高い状態とも言え、従業員が「こんなことを聞いたら迷惑かもしれない」といった不安を感じることなく、安心して情報を発信・相談できる環境が整っている証拠です。

新入社員を受け入れる体制が整っている

入社直後の数か月間は、技術的なスキルの習得だけでなく、企業文化への適応や人間関係の構築など、様々な課題に直面する時期となります。

この時期をいかに支援できるかが、その後の定着率や生産性に大きな影響を与えます。

特に、画一的な育成プログラムではなく、価値観が多様化する若手人材の個性を考慮し、個々の特性に応じた柔軟な支援体制の構築が求められています。

新入社員の早期離職は、採用や教育にかかるコストの損失を招くだけでなく、組織の活力低下にもつながる深刻な問題です。

さらに、SNSの普及により、新入社員の職場体験は即座に外部へ発信される時代となりました。充実した受け入れ体制の構築は、企業の評判や人材採用にも直結する重要な経営課題となっているのです。

法令遵守が徹底されている

労働関連法規の遵守は、単なる法的義務の履行以上の意味を持ちます。従業員が安心して働ける環境を整備することは、企業への信頼感を高め、長期的な人材定着につながります。

近年では、働き方改革関連法の施行や、ハラスメント防止法の強化など、職場環境に関する法的要件は年々厳格化しています。

特に注目すべきは、労働時間管理や同一労働同一賃金への対応です。これらの法令を形式的に遵守するだけでなく、その趣旨を理解し、従業員の権利を積極的に保護する姿勢が重要となります。

法令遵守の不備は、従業員の権利侵害だけでなく、企業イメージの低下や人材流出、さらには事業継続に関わる深刻なリスクとなり得ます。経営者には、変化する法的要件を的確に把握し、適切な対応を行う責任があるのです。

評価制度が公平・透明化されている

多様な働き方が広がる現代では、従来の評価基準では測れない価値創造の側面にも目を向ける必要があります。評価の不公平感は、従業員の意欲低下や組織への不信感を招く最大の要因となるでしょう。

そのため明確な基準に基づく評価と、その過程の透明性確保は、従業員のモチベーション維持に直結する重要な要素です。単なる成果主義ではなく、プロセスや成長度合いを適切に評価する仕組みが重要です。

また、世代や価値観の異なる従業員が共存する職場では、評価基準の設定自体が難しい課題となっています。そのため、評価制度の設計には、多様な視点からの検討と定期的な見直しが欠かせません。透明性の高い評価プロセスは、従業員の成長支援と組織の活性化につながるのです。

福利厚生が充実している

近年では、従業員のライフステージや個人のニーズが多様化しており、画一的な制度では十分な効果が得られません。ワークライフバランスの実現や、キャリア形成支援など、従業員の人生全体をサポートする視点が重要となっています。

従来型の住宅手当や健康保険といった基本的な制度に加え、育児・介護支援、自己啓発支援、メンタルヘルスケアなど、包括的なサポート体制が求められています。

さらに、選択型福利厚生制度の導入により、個々の従業員が自身のニーズに応じたサービスを選択できる柔軟性も重要です。充実した福利厚生は、従業員の安心感と帰属意識を高め、企業の持続的な成長を支える原動力となります。

活発な意見交換ができる

この特徴は、「心理的安全性」と最も強く関連します。年齢や役職に関係なく、誰もが自身の意見を表明できる環境は、新たな価値創造の源泉となります。特に心理的安全性の確保がとても重要です。

失敗を恐れずにチャレンジできる文化、つまり心理的安全性が確保されていてこそ、組織は進化し続けることができます。伝統的な日本企業に見られる同調圧力や過度な階層意識は、自由な発想や建設的な議論の妨げとなってきました。これを克服し、多様な視点や経験を持つメンバーが、建設的な対話を通じて相乗効果を生み出せる環境づくりが求められています。

活発な意見交換は、業務上の問題解決だけでなく、組織の変革や新規事業の創出にもつながる重要な要素なのです。

関連記事:働きやすい職場の特徴とは?職場環境を改善するポイントや実践例を解説
働きやすい職場の特徴とは?取り組むべき施策や環境作り、事例について解説

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働きやすい職場にするメリット

働きやすい職場環境の整備は、単なる従業員満足度の向上にとどまりません。働きやすい職場づくりがもたらす具体的なメリットについて解説していきます。

従業員のモチベーションが上がる

働きやすい環境の実現は、従業員一人ひとりの仕事に対する意欲を大きく高めます。自身の存在価値が認められ、成長機会が豊富に用意された環境では、自然とモチベーションが向上するものです。

ここで見落としてはならないのが、内発的動機付けの重要性です。金銭的な報酬だけでなく、業務を通じた自己実現や、チームへの貢献実感といった内面的な満足感が、持続的なモチベーション維持につながります。

そのためには、個々の従業員が持つ潜在能力を最大限に引き出せる職場づくりが求められます。適切な権限委譲や、自主性を重んじるマネジメントスタイルの採用により、従業員の主体的な行動を促進することができるのです。

生産性がアップする

快適な職場環境は、業務効率の向上に直結します。ストレスフリーな環境で集中して仕事に取り組めることで、個人およびチーム全体の生産性が大きく向上するのです。

特筆すべきは、創造的な業務における生産性向上です。心理的な余裕があることで、新しいアイデアが生まれやすくなり、イノベーションの創出につながります。

さらに、部門間の協力体制が円滑になることで、組織全体としての業務遂行能力も高まっていきます。この相乗効果により、企業としての競争力強化が実現するのです。

採用活動でアピールできる

働きやすい職場環境の実現は、優秀な人材確保における強力な武器となります。昨今の求職者は、給与水準だけでなく、職場環境や企業文化を重視する傾向が顕著です。

求職者の関心が特に高いのが、ワークライフバランスや成長機会の充実度です。働きやすい職場環境を整備し、それを効果的に発信することで、企業ブランドの向上につながります。

口コミサイトやSNSを通じた現役社員の生の声は、採用市場における強力な訴求力を持ちます。従業員が自発的に企業の魅力を発信する状況が生まれれば、採用活動における大きなアドバンテージとなるでしょう。

離職率を下げられる

人材の定着は、企業の持続的成長に不可欠な要素です。働きやすい職場環境の整備により、従業員の帰属意識が高まり、結果として離職率の低下につながります。

注目すべきは、若手社員の定着率向上です。キャリア形成への不安や職場環境への不満は、若手層の早期離職の主要因となっています。充実した育成制度と快適な職場環境の提供により、こうした課題の解決が可能となります。

中長期的な視点から見ると、離職率の低下は採用コストの削減と組織知識の蓄積をもたらします。これにより、企業としての競争力強化が実現できるのです。

働きやすい職場づくりの目標設定と実行ステップ

働きやすい職場は、思いつきの施策を並べるだけでは実現できません。明確な「目標」を設定し、計画的に「ステップ」を踏んで改善していくプロセスが不可欠です。

本章では、企業の担当者が実務で使える、具体的な目標設定の重要性と実行手順(PDCA)を解説します。

なぜ目標設定が必要なのか

働きやすい職場づくりに「目標」が必要な理由は「なんとなく働きやすくする」などの曖昧なスローガンでは、施策が中途半端になったり、経営層と現場で認識のズレが生じたりするためです。

例えば「コミュニケーションが活発で、明るい職場づくり」を目標に掲げるのか、「残業時間を月平均〇時間削減し、ワークライフバランスを徹底する」という目標を掲げるのかによって、取り組むべき施策は全く異なります。

定量目標を設定することで、初めて全社的な共通認識が生まれ、施策の優先順位が決まり、実行後の「成果」を正しく測定できるようになるのです。

働きやすい職場を実現する4つのステップ

働きやすい職場づくりは、一度きりの取り組みではありません。継続的に改善を回すPDCAサイクルが重要です。ここでは、基本的な4つのステップを紹介します。

1. 現状分析(アンケートやサーベイの実施)

最初のステップは、自社の現在地を客観的に把握することです。思い込みで施策を進めるのではなく、まずは従業員が何に課題を感じているのかを明らかにします。

  • 従業員満足度調査(ESサーベイ)の実施
  • 匿名のアンケートによる本音の収集
  • 部署や階層別のヒアリング

これらの方法で、人間関係・労働時間・評価制度・オフィス環境など、どの領域に課題が集中しているのかを特定します。

2. 目標の設定(あるべき姿の具体化)

現状分析で見えた課題に基づき、あるべき姿=目標を具体的に設定します。

このとき、自社の経営理念やビジョンと連動させることが重要です。働きやすい職場づくりが、会社全体のどのミッションに貢献するのかを明確にするためです。

例えば、経営理念に「挑戦」というキーワードがある企業ならば、「心理的安全性を高め、失敗を恐れず活発な議論ができる組織にする」といった目標が理念と連動します。

また、理念として「多様性」や「個の尊重」を掲げているならば、「テレワークと出社を両立し、柔軟な働き方を実現する」といった目標が設定できます。

このように設定した目標を、さらに「離職率を〇%改善する」「ESサーベイのコミュニケーション項目を〇ポイント向上させる」など、可能な限り測定可能な指標(KPI)に落とし込むと、後の効果測定が容易になります。

3. 改善施策の実行

設定した目標を達成するために、具体的な施策を実行します。

(例:目標が「コミュニケーション活性化」の場合)

  • 定期的な1on1ミーティングの実施
  • 社内SNSやチャットツールの導入
  • フリーアドレスの導入やリフレッシュスペースの設置(後の章で詳述)

重要なのは、目標と施策が紐づいていることです。やみくもに流行の施策を取り入れるのではなく、自社の課題解決に直結するものから優先的に実行します。

4. 効果測定とフィードバック(継続的改善)

施策を実行したら、必ずやりっぱなしにせず効果測定を行います。

ステップ2で設定した目標(KPI)がどの程度達成されたのかを、ステップ1と同様のサーベイやアンケートでデータ(離職率、残業時間など)を確認します。

結果を分析し、「なぜ上手くいったのか」「なぜ効果が出なかったのか」をフィードバックし、次の施策や目標の見直しに活かします。この継続的な改善サイクルこそが、働きやすい職場づくりを定着させる鍵となります。

働きやすい職場にするための具体的な取り組み

理想的な職場環境の実現には、具体的かつ計画的な施策の実行が必要です。本章では、実践的な取り組みについて、その導入手順と期待される効果を解説していきます。

オフィス環境を整備する

物理的な職場環境の整備は、働きやすさを実現する第一歩となります。単なる美観の追求ではなく、業務効率と従業員の健康に配慮した環境づくりが求められています。

具体的な施策としては、まず照明や空調の適切な管理が挙げられるでしょう。自然光を取り入れた明るい空間の創出や、季節に応じた快適な温度管理により、従業員の集中力維持につながります。

執務スペースの設計も重要な要素です。従来の固定席だけでなく、業務内容に合わせて働く場所を選べる「フリーアドレス」の導入や、コーヒーを飲みながら気軽に雑談・休憩ができる「リフレッシュスペース」を設置することも効果的です。個人の集中作業に適した静かな空間と、チームでの協働に適したオープンスペースをバランスよく配置することで、多様な働き方に対応できる環境が実現するのです。

ワークライフバランスを意識する

充実した私生活と仕事の両立は、従業員の長期的なパフォーマンス維持に不可欠です。単なる労働時間の削減にとどまらず、質の高い働き方を実現する仕組みづくりが求められています。

その実現に向けて効果的なのが、フレックスタイム制度やテレワークの導入です。業務の性質や個人の生活スタイルに応じて柔軟な働き方を選択できる環境を整えることで、従業員の生産性向上が期待できます。

時間外労働の適切な管理も重要な課題です。残業時間の可視化と上限設定を行い、必要に応じて業務の平準化や人員配置の見直しを実施することで、持続可能な働き方が実現できるでしょう。

関連記事:ワークライフバランスを向上させるには?企業が抱える課題と解決策を紹介

従業員のプライベートの時間が確保できる

仕事と私生活の明確な区分は、心身の健康維持に直結します。有給休暇の取得促進や休憩時間の確実な確保など、具体的な施策の実行が必要です。

休暇取得においては、管理職が率先して休暇を取得する姿勢を見せることが効果的です。計画的な業務遂行と、チーム内での相互フォロー体制の構築により、気兼ねなく休暇を取得できる雰囲気が醸成されていきます。

さらに、育児や介護といったライフイベントに対する支援体制の充実も欠かせません。短時間勤務制度や時差出勤など、個々の事情に応じた柔軟な制度設計により、長期的な就業継続が可能となるのです。

適切な人事評価を構築する

公平かつ透明性の高い評価制度は、従業員の成長意欲を高める重要な要素です。成果主義一辺倒ではなく、プロセスや成長度合いを適切に評価する仕組みづくりが求められています。

評価制度の設計において重要なのが、明確な評価基準の策定です。定量的な指標と定性的な指標をバランスよく組み合わせることで、多面的な評価が可能となります。

定期的な面談の実施も効果的です。上司と部下が率直な対話を通じて目標設定や課題の共有を行うことで、より実効性の高い人材育成が実現できるのです。

DXツールを導入する

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、業務効率化と働きやすさの両立に大きく貢献します。ただし、単なるツールの導入ではなく、業務プロセスの抜本的な見直しを伴う取り組みが求められています。

まず着手すべきは、コミュニケーションツールの整備です。ビジネスチャットやWeb会議システムの効果的な活用により、場所や時間の制約を受けない柔軟な働き方が実現します。

業務管理ツールの導入も重要な施策となります。プロジェクト管理ソフトウェアや勤怠管理システムの活用により、業務の可視化と効率化が図れます。こうしたツールの導入を通じて、従業員の業務負担軽減と生産性向上の両立が可能となるのです。

◾️関連するお役立ち資料
『【DX・業務効率化編】導入事例集 | TUNAG(ツナグ)』

管理職のマネジメント能力を向上させる

働きやすい職場の実現には、管理職の意識改革とスキル向上が不可欠です。部下の成長支援と組織目標の達成を両立できるリーダーの育成が、重要な課題となっています。

特に重要なのが、コーチング能力の向上です。部下の主体性を引き出し、適切な権限委譲を行うことで、組織全体の活性化につながります。定期的なマネジメント研修の実施により、こうしたスキルの習得を支援することが望ましいでしょう。

併せて、ダイバーシティマネジメントの視点も欠かせません。多様な価値観や働き方を受容し、個々の強みを活かせる組織づくりが、現代のマネージャーには求められているのです。

関連記事:マネジメント能力とは?構成スキルや高める方法、育成のポイント

働きやすい環境を構築した企業事例

理論だけでなく、実際の成功事例から学ぶことも重要です。本章では、働きやすい職場環境の構築に成功した企業の具体的な取り組みを紹介していきます。

関連記事:社員が働きやすい環境とは?特徴や環境づくりのポイント、成功事例を紹介

全従業員が感謝を送り合うことであたたかい職場を作る「みしまプラザホテル」

みしまプラザホテルでは、アルバイトを含むすべての従業員の努力や貢献を「見える化」し、称賛し合う独自のコミュニケーション施策を展開しています。

特に注目すべき取り組みが、称賛文化を促進する「褒め〜る。」のデジタル化です。従来は紙媒体と称賛専用アプリを併用していましたが、現在は称賛機能にとどまらず、社内コミュニケーション全体を支援するプラットフォームTUNAG(ツナグ)へ移行。これにより、「褒め〜る。」は日常的な投稿コンテンツの一つとして自然に組み込まれるようになりました。

投稿の心理的ハードルが下がったことで、従業員同士が役職や雇用形態を問わず称え合う文化が醸成され、相互理解やモチベーションの向上に繋がっています。

参照:アルバイトまで情報が行き渡る。 全従業員で送り合う感謝の声が「あたたかい職場」をかたち作る。

「この会社が大好きだ」と言ってもらえる組織へ「有限会社光田モータース」

自動車販売・整備を手がける光田モータースでは、コロナ禍で失われた従業員間のコミュニケーションを、デジタル技術を活用して再構築することに成功しています。

同社では、従業員の誕生日祝いや感謝の気持ちの共有、さらには社内通貨「ミツダポイント」の導入など、独自の仕組みを構築。各拠点からメンバーを選出したプロジェクトチームを結成し、従業員主導での活性化策を展開しています。

こうした取り組みにより、人間関係が原因での退職者がいなくなるなど、具体的な成果を上げています。

参照:「この会社が大好きだ」と言ってもらえる組織へ:光田モータースが脱アナログとコミュニケーション活性化を実現するまで

物流業界ならではの従業員交流や離職率を改善「株式会社ダイセーセントレックス」

食品や日用品の物流を担うダイセーセントレックスでは、外勤が多いドライバー職特有の課題に着目し、革新的な解決策を実現しています。

社長による定期的な情報発信や、管理職へのインタビュー記事の配信など、経営層の考えや人となりを従業員と共有する仕組みを確立しました。

さらに、荷待ち時間などの隙間時間を活用したデジタルコミュニケーションの促進により、従業員同士の相互理解を深めています。

その結果、2020年に27.9%あった離職率が、2021年には17.3%まで改善するなど、具体的な成果を上げています。

参照:物流業界ならではのコミュニケーションや離職率の課題を改善 - 株式会社ダイセーセントレックスのTUNAG活用事例

◾️関連するお役立ち資料
『エンゲージメント向上施策50選 | TUNAG(ツナグ)』

働きやすい職場で企業としてさらなる飛躍を

働きやすい職場環境の構築は、もはや企業の持続的成長に欠かせない要素となっています。従業員一人ひとりの満足度向上が、組織全体の生産性向上につながることは、多くの企業事例が証明しています。

これからの企業経営において重要なのは、従業員の声に真摯に耳を傾け、継続的な改善を図る姿勢です。完璧な職場環境は一朝一夕には実現できませんが、地道な取り組みの積み重ねが、確実な成果につながるのです。

本記事で紹介した施策や事例を参考に、自社の状況に合わせた働きやすい職場づくりを進めてみてください。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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