効果的なOJTを行う方法とは?現場に負担をかけず会社全体で推進する仕組み
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OJTとは
OJTとは、On the Job Trainingを略した言葉になります。 新入社員で入社した際に、「配属後はOJTを実施します」と人事の方が言っていたことを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。主に、“実際の仕事を通して、商品やサービス知識といった仕事をするために必要なスキルを身に着けていくこと”をOJTといい、一般的には上司やチームの先輩が教育を行っていくことが多いようです。 平成29年に厚労省が発表した調査によると、計画的なOJTまたはOFF-JTを行っている事業所割合は、正社員に対して実施しているものは全体の約7割にのぼるそうで、多くの企業に取り入れられています。 参考:労働経済の分析 -イノベーションの促進とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた課題-OJTを行うメリット
経験がそのまま本人のスキルアップにつながる
OJTは、実際の現場で仕事することになるため、業務に必要なスキルを嫌でも覚えていく必要があります。座学や書籍などで学ぶことも大切ですが、実際に現場に出て体験しながら学んでいくことは、本人のスキルアップに非常に大きな効果があります。低コスト
研修を行う場合、講師や教材などが必要になり、業務外のコストがかかります。それに比べて現場で仕事を学ぶOJTであれば、そのようなコストがかからず、低コストで教育を進めることが可能になります。現場の目標達成にもつながりやすくなる
OJTの中で現場の仕事を進める一員となるため、チームの人員が増えることになります。目標達成のために役割分担をすることで、より目標達成に近づけるチームを作ることができます。リーダー層の育成にもつながる
OJTを行う側として、人に教えるということ自体が、本人の理解をより深めることになります。そのため、新入社員に対して業務や必要な知識・スキルを教えていく教育係には、今後期待している社員を指名すると良いでしょう。一人ひとりに直接指導できる
OJTは、講師一人に対して新入社員を何十名も集めた集合研修と違い、現場でマンツーマンで指導していきます。そのため、本人の理解度や成長度合いによって指導方法を変えていき、本人に合った教育を行いやすい環境にあります。OJTのデメリット
OJTを行う指導者によって受けられる教育の内容に差がある
ある先輩は上手に指導できるが、ある先輩は教えるのが下手……ということが起こるのはデメリットの一つです。同じタイミングでOJTをスタートしても、指導者の能力によって得られる知識やスキルに差が出ることがあります。OJTにおいては、“誰”が指導するのかも非常に重要なポイントといえます。学ぶ内容に偏りが出る
OJTでは、目の前の仕事から行っていくことが多いため、全体の業務に対して、ごく一部分だけしか学べないということも起こります。「今の時期はここの業務の人が足りていないから……」と、その時の現場の状況によっては、行う仕事内容をコントロールできないこともあるため、本人のスキルが一部に偏ってしまうということがあります。受け入れ側の負担が大きい
先程のメリットでは、指導者側の教育、成長にも効果があると紹介しましたが、現場の状況によっては教育できるゆとりが無いこともあります。OJTに時間をとられることによって、指導者の業務時間や仕事量が増えてしまうと、受け入れ側にとっての負担が大きくなります。OJTに対して現場がネガティブなイメージを持っている場合は、このような理由が考えられます。OJTをどのように行うのか、計画を立てることが必要
現場任せのOJTは失敗する
厚労省が発表した労働経済白書によると、若年層の人材育成上の課題として、「業務が多忙で、育成の時間的余裕がない」「上長等の育成能力や指導意識が不足している」「人材育成が計画的・体系的に行われていない」という点があげられています。OJTを現場任せにしてしまうと、現場の指導者がメンバーを放置してしまい、結局は教育が進まなくなってしまうことがあります。 参考:労働経済白書 平成26年版 労働経済の分析資料会社でOJTを計画的に進めるには
1)[人事・教育担当] 会社全体での教育スケジュール・教育体系を明確にする
まずは、どの従業員に、いつ、どのような教育を行い、どのような人材を育てていくのかのプランを固めましょう。新入社員、中堅社員など、社員の社歴や職歴によって得るべきスキルは異なるため、現場のリーダーとも相談しながら検討することがおすすめです。2)[人事・教育担当] 教育を行うことにより“どうなってほしいのか”、目的を明確にする
「OJTをやろう」「メンター制度を行おう」など、“仕組みや制度を運用する“こと自体が目的になっていないでしょうか?OJTなどの教育を行うことは「目的に対する手段」となるため、その教育を行った結果、どういう人になってほしいのか、どんなスキルを身に着けてほしいのかなど、目的や目標を明確にしておく必要があります。 OJTでは、職種ごとに「Aができるようになる」などの細かなステップを決め、その目標に対して何をしていくか、計画を立てていくステップが良いでしょう。この目的や目標、スケジュールは、会社において教育を担当している方が担い、「こういう人材を自社に増やしていきたい」という想いをもって現場のリーダーたちと作っていけると良いですね。3)[現場OJT担当] 決めた目標に対してのステップを決める
Aということができるようになるために、何をどのくらいすればよいのか、経験者である指導者がイメージをもてていないといけません。 能力には個人差もあるため、「自分ができるんだから新人もできるだろう」と安易に考えることもNG。「なぜできないんだ」と責めるのではなく、あくまでもAということができるようになるためにどうすればいいのか、指導者とメンバーでしっかりコミュニケーションをとっていくことが大切です。 ここに関しては、現場の指導者の負担が大きいところです。通常の業務を行いながら指導していかなければなりませんので、指導者だけに負担が偏らないよう、チームで協力してすすめていきましょう。4)[現場OJT担当、人事・教育担当双方で] 行ったOJTについての振り返り、改善
OJTを行ってそのままにしておくのではなく、現場から報告書をあげてもらったりヒアリングしたりすることで、OJTの計画を次にどのように改善すればいいのか、研修全体の見直しを行いましょう。現場の負担が大きすぎる場合は、期間や内容を見直したり、OFF-JTで補える内容はOJTから外したりしていきましょう。教育担当にとっては、ここが一番重要なところかもしれません。現場担当者と会社の人事・教育担当がしっかりコミュニケーションをとること
会社全体での教育を担当する方と、現場のOJT担当のコミュニケーションがとれていないと、その後の新入社員の成長に大きな差が出てしまうことがあります。人事・教育担当の方はOJT開始後も定期的に現場のOJT担当とコミュニケーションをとり、どのように進められているのか、教育担当側でフォローをどのように行うと効率的か、常に状況を把握していくよう心がけていきましょう。定期的なレポートをあげてもらうよう依頼したり、時間をもらってヒアリングしに行くなど、積極的にやりとりをしていきましょう。OJTの行い方
4つのステップを意識して行う
OJTは、もともとアメリカで誕生した教育手法で、以下の4つのステップで行います。1)Show やってみせる 2)Tell 説明・解説する 3)Do やらせてみる 4)Check 補修指導するただこの4つをやれば良いということではありません。 それぞれにおける指導、メンバーとのコミュニケーションをしっかりとれるかどうかが重要です。現場で失敗する例は、TellやCheckがいい加減だったり、Doでメンバーがやってみる姿を見ていなかったりすることが多いのではないでしょうか。