ワークエンゲージメントを高める方法を考える際は、単発の施策を増やすのではなく、仕事の資源と個人の資源の両面を整えることが重要です。
厚生労働省では、ワークエンゲージメントを「活力・熱意・没頭」の3つがそろった状態として整理しています。また、仕事の資源と個人の資源が、ワークエンゲージメントの向上に関わることも示されています。
ただし、従業員によって必要な支援や課題は異なるため、一律の施策だけでは十分な改善につながらない場合があります。
この記事では、ワークエンゲージメントを高める要素と具体的な方法を整理し、自社でどのような取り組みから始めればよいかを解説します。
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ワークエンゲージメントを高めるうえでは、仕事を取り巻く環境と、従業員本人が持つ心理的な資源の2つに目を向けることが重要です。
厚生労働省が紹介するJD-Rモデル (仕事の要求度-資源モデル) でも、「仕事の資源」と「個人の資源」がワークエンゲージメントに関わる要素として整理されています。
片方だけを高めようとするのではなく、仕事をしやすい環境づくりと、本人が前向きに働ける状態づくりを組み合わせることがポイントです。
ワークエンゲージメントを高める方法として、まず取り組みやすいのが仕事を取り巻く環境の改善です。
仕事量そのものを減らすだけではなく、業務を進めるための支援や裁量、成長機会を増やすことが重要になります。
困ったときに周囲へ相談できる環境は、ワークエンゲージメントを高める土台になります。
業務上の問題を一人で抱え込む状態では、不安や負担が大きくなり、仕事へ前向きに取り組みにくくなるでしょう。例えば、定期的な1on1を行ったり、チーム内で相談できる時間を設けたりする方法があります。上司だけに支援を任せず、同僚同士でも助け合える関係をつくることが大切です。
自分で仕事の進め方を選択できる適度な裁量は、主体的に働く感覚につながります。
厚生労働省の分析でも、仕事を進める手段や方法を自分で選べる「仕事の裁量度」とワークエンゲージメントの関係が検討されています。細かな手順まで上司が決める環境では、従業員が自分で考える機会が少なくなります。目的や守るべきルールを明確にしたうえで、進め方を本人に任せる範囲を設定するとよいでしょう。
仕事の成果や行動に対して適切なフィードバックを行うことも、ワークエンゲージメントを高める方法の一つです。
結果だけを評価するのではなく、「どの行動がよかったのか」まで具体的に伝えると、本人が自分の強みを理解しやすくなります。改善点を伝える場合も、否定するだけではなく、次に期待する行動まで示すことが大切です。年1〜2回の評価面談だけに頼らず、日常的に短いフィードバックを行える環境を整えましょう。
現在の仕事と将来のキャリアがつながっていると感じられる状態は、仕事への熱意を持つうえで重要です。
厚生労働省も、将来のキャリア展望の明確化やロールモデルとなる先輩社員の存在が、「働きがい」を高めるうえで重要だとしています。社内研修や資格取得支援だけではなく、新しい役割への挑戦や社内公募なども成長機会になります。「この仕事を続けることで何が身につくのか」を本人が実感できる環境をつくることが重要です。
個人の資源は、従業員個人が持つ内的な要因を指します。これらの資源は個人の特性と捉えられがちですが、組織的な働きかけによって後天的に育むことが可能です。従業員が自信を失ったり、将来への希望を持てなくなったりする状況は、職場環境に起因することも少なくありません。これらの資源を育てることで、困難な状況でも高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
自己効力感とは、「自分ならこの仕事をやり遂げられる」と感じられる感覚です。
自己効力感を持てる従業員ほど、難しい業務でも工夫しながら取り組みやすくなります。ワークエンゲージメントを高める方法としては、本人の能力より少し高い目標を設定し、小さな成功体験を積めるようにすることが有効です。成果が出た際には、何が成功につながったのかを上司と振り返ることで、自信を次の仕事にもつなげやすくなります。
変化や失敗に直面しても立て直せる状態は、仕事への前向きな関わりを維持するうえで重要です。
レジリエンスは、困難な状況でも回復しながら対応していく力を指します。失敗を過度に責める組織では、従業員が挑戦を避けるようになる場合があります。失敗から得た学びを共有するなど、再挑戦できる環境を整えることがワークエンゲージメントの向上にもつながるでしょう。
自分の仕事や将来に対して具体的な見通しを持てることは、前向きに働き続けるための重要な要素です。
単に「将来に期待しましょう」と伝えるだけでは、希望を持つことは難しいでしょう。例えば、半年後に任せたい役割や、目指せるキャリアを上司と話し合う方法があります。目標とそこへ至る道筋を具体化することで、現在の業務にも意味を感じやすくなります。
自分の仕事が周囲から必要とされていると実感できると、自分の役割を肯定的に捉えやすくなります。
特に、成果が数値化しづらいバックオフィスやサポート業務では、貢献が見えにくくなりがちです。感謝や称賛を日常的に伝える仕組みをつくることで、本人が自分の貢献を認識しやすくなります。ワークエンゲージメントを高めるためにも、成果だけではなく、周囲への支援や行動そのものを認めることが重要です。
ワークエンゲージメントを高める具体的な方法は、職場環境やマネジメントを改善し、従業員が主体的に働ける状態をつくることです。
代表的な方法として、次の5つが挙げられます。
ワークエンゲージメントを高める方法として、意見や相談を安心して伝えられる環境づくりが重要です。
上司へ相談すると責められる、会議で意見を出しても否定されるという状態では、従業員は次第に発言を控えるようになります。
まずは、上司が部下の話を途中で否定せずに聞くことや、1on1で意見を伝える機会を設けることから始めましょう。「評価の場」ではなく「相談の場」として位置づけ、「最近困っていることはある?」という質問から始めることで、部下の本音を引き出せます。
心理的安全性は「何を言っても許される状態」ではありません。相手を尊重するルールを持ちながら、業務上必要な意見や失敗を共有できる状態をつくることがポイントです。
公正で透明性の高い評価制度は、従業員に安心感を与えるワークエンゲージメントを高める重要な方法です。
努力しても評価されない状態や、評価基準が上司によって違う状態では、仕事への熱意を保ちにくくなります。評価項目を明確にし、従業員が「何をすれば評価されるのか」を理解できる制度にする必要があります。
ただし、制度を作るだけでは十分ではありません。評価者による判断のばらつきを抑える研修や、評価結果を伝える面談まで含めて設計することが重要です。従業員が結果だけでなく評価の理由まで理解できれば、次に取るべき行動も明確になります。
従業員の経験や役割に合った裁量を与えることは、ワークエンゲージメントを高める方法の一つです。
裁量が少なすぎると受け身になりやすい一方、大きすぎれば責任や判断の負担が増えてしまいます。そのため、「裁量を増やせば増やすほどよい」と考えないことが大切です。
実践的な方法として、ジョブ・クラフティング研修の導入が効果的です。従業員が自身の仕事を主体的に再設計する方法を学び、仕事の意味づけを変えることで、同じ業務でも充実感が大きく変わります。これは仕事の資源を自ら作ることなので、自己効力感の向上にもつながるでしょう。適材適所の人材配置と社内公募制度の導入により、従業員自身がキャリアを選択できる環境を作ることで、長期的なモチベーション維持が可能になります。
仕事を通じて成長できていると感じられる環境づくりは、ワークエンゲージメントを高めるうえで重要です。
厚生労働省の分析でも、「仕事を通じて成長できている」という認識とワークエンゲージメントの関係が示されています。成長機会というと研修を想像しがちですが、日常業務の中にも多くの方法があります。例えば、新しいプロジェクトへの参加や後輩指導、部署を越えた仕事なども成長につながります。
一律に研修を受けさせるのではなく、本人が伸ばしたい能力と業務上期待する役割をすり合わせましょう。
ワークライフバランスの実現は、仕事の資源と個人の資源を同時に強化する重要な施策です。
従業員が状況に応じて働き方を選択できる環境は、ワークエンゲージメントを支える要素になります。長時間労働や通勤負担などが大きい状態では、仕事への意欲があっても疲労によって維持できない場合があります。
疲労が蓄積すると活力や熱意が低下し、ワークエンゲージメントも下がる傾向にあります。労働時間の適正化により、従業員は十分な休息を取り、リフレッシュした状態で仕事に向かえます。
有給休暇取得の促進には、管理職が率先して休暇を取ることが重要です。計画的な休暇取得と業務カバー体制の整備により、安心して休める環境を作ります。
この好循環により、持続可能な高パフォーマンスが実現し、組織全体の創造性も向上するでしょう。

ワークエンゲージメント向上の取り組みは、多岐にわたる施策を同時並行で進める必要があるため、統合的な管理が成功の鍵となります。TUNAGは、組織状態の可視化から改善施策の実行まで、オールインワンで提供するプラットフォームです。
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ワークエンゲージメントを高めるためには、制度を作って終わりにせず、実施状況を確認しながら改善を続けることが重要です。
施策が定着しない、拠点ごとに浸透度が違うといった課題がある場合は、組織改善ツールを活用する方法も検討してみてください。
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ワークエンゲージメントを高める方法について、よくある疑問をまとめます。
仕事の資源と個人の資源の両面を整えることが重要です。
上司からの支援や適切な裁量、フィードバック、成長機会などを増やすことが、ワークエンゲージメントを高める方法として考えられます。
仕事量だけでなく、サポート不足や裁量の少なさ、評価への不満、成長実感の不足などが関係している可能性があります。
従業員サーベイや1on1などを通じて、自社では何が不足しているのかを把握することが改善の第一歩です。
組織サーベイや1on1、社内コミュニケーションなどを一元化できる組織改善ツールがあります。
TUNAGでは、サーベイによる課題把握からサンクスカードや1on1などの取り組み、利用データを活用した効果検証まで、継続的な組織改善を支援できます。
ワークエンゲージメントの向上は、一時的な取り組みではなく、継続的な組織改善活動として位置づけることが重要です。短期的な成果を求めすぎず、中長期的な視点で着実に改善を進めていきましょう。
ワークエンゲージメントが高まることで、離職率の低下、生産性の向上、イノベーションの創出など、様々な効果が期待できます。従業員が仕事に誇りを持ち、主体的に取り組む組織は、変化の激しい時代においても競争優位性を維持できるでしょう。採用コストの削減、顧客満足度の向上、業績向上といった経営指標の改善にもつながります。
成功のポイントは、経営層のコミットメントと現場の巻き込みです。トップダウンとボトムアップの両方のアプローチを組み合わせることで、全社的な改革が実現します。また、定期的な効果測定により、PDCAサイクルを回すことも重要です。
最後に、ワークエンゲージメントの向上は、従業員の幸福と組織の成長を両立させる最良の方法といえるでしょう。従業員一人ひとりが活き活きと働ける環境を整えることで、組織全体のパフォーマンスが向上し、持続的な成長が実現します。今こそ、ワークエンゲージメント向上に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。