従業員エンゲージメント向上施策を紹介。6つの取り組みと4つのプロセスで組織を変革

現代は人材の流動化やワークモチベーションの多様化が進んでいるため、同じ会社で生産性高く働き続けてもらうためには、会社と従業員の「エンゲージメント」が非常に重要になってきています。

今回は、エンゲージメントの意味や、エンゲージメントの向上にはどのような取り組みがあるのか、そしてエンゲージメントを高める方法を解説します。

エンゲージメントとは?

優秀な人材の流出、組織の生産性低下、従業員のモチベーション不足といった経営課題の根本には「エンゲージメント」の欠如があります。

単なる従業員満足度とは異なり、エンゲージメントは企業の業績や競争力に直結する重要指標です。では、エンゲージメントとは何か、なぜ今の経営に不可欠なのか。その本質についてまずは解説します。

企業におけるエンゲージメントの定義

エンゲージメントとは、会社と従業員の縦の関係、従業員同士の横の関係、双方の信頼関係が築かれている状態のことをいいます。会社と従業員、従業員同士が貢献したいという気持ちでつながっている関係や、愛着心という言葉でも表現されることがあります。

書籍『エンゲージメント・マネジメント戦略』によると、エンゲージメントについての定義は以下のように記載されています。

“従業員の一人ひとりが組織に対してロイヤリティを持ち方向性や目標に共感して『心からの愛着』をもって絆を感じている状態”

同書によると、「会社が好き」という気持ちだけではなく、「仕事のやりがい」「成長実感」など、会社と仕事に対してポジティブな気持ちを持っていることが求められていることが分かります。

▼参考書籍

・稲垣公雄 (2010) 『エンゲージメント・マネジメント戦略』(日本経済新聞出版社)

ワークエンゲージメントとの違い

企業におけるエンゲージメントと類似した概念として、学術的にも使用されるワークエンゲージメントという言葉があります。

「ワーク・エンゲイジメント」(Work Engagement)とは、現・慶應義塾大学教授の島津明人氏(2014)によると、

  1. 「仕事に誇りや、やりがいを感じている」(熱意 / dedication)
  2. 「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭 / absorption)
  3. 「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力 / vigor) 

の3点がそろった状態として定義され、島津氏の研究によると、ワーク・エンゲイジメントは、生活満足感、仕事のパフォーマンスについて、正の相関があるという報告がされています。また、海外の研究でも、従業員エンゲージメントが、仕事のパフォーマンスや会社の業績に対して肯定的な影響を与えるという報告がされています。

厚生労働省発行の「労働経済の分析」(労働経済白書)」においても、「ワーク・エンゲイジメント」は、「働きがい」を分析するための概念として紹介され、活用されています。 平成30年版ではコラム「ワーク・エンゲイジメントが労働者の健康・仕事のパフォーマンス等へ与える影響」で、令和元年版では「『働きがい』をもって働くことのできる環境の実現に向けて」という章で、言及しています。

▼参考

平成30年版「労働経済白書」第Ⅱ部 第3章

令和元年版「労働経済白書」第Ⅱ部 第3章

エンゲージメントと従業員満足度、ロイヤルティとの違い

「エンゲージメント」と「従業員満足度」「ロイヤルティ」は似た言葉に思えますが、実際には全く異なります。

従業員満足度(ES: Employee Satisfaction)は、報酬や労働環境、人間関係などに対する満足度を示します。これは主に会社から与えられる待遇に基づくため、福利厚生や給与条件が悪化すれば低下する可能性があります。

一方、エンゲージメントは、会社と従業員の信頼関係を基盤としています。経営が厳しい状況でも従業員が会社を支え合い、貢献意欲や愛着を持つことで、自発的に能力を発揮し、業績向上につながる強みがあります。

また、ロイヤルティを日本語に直訳すると、「忠誠」「忠義」という意味になります。

エンゲージメントが会社と従業員の「相互」信頼関係なのに対し、ロイヤルティは従業員から会社への「一方的な」忠誠心を表します。

そのため、ロイヤルティが高くてもエンゲージメントの低い組織では、従業員が会社の命令に「忠実に従う」ことはあっても、「主体的に取り組み、クリエイティビティを発揮する」ことは難しくなると考えられます。

▼関連記事
従業員満足度(ES)の向上施策6選!!取り組みと施策も紹介

エンゲージメント向上の取り組み6選

それでは、一体どのようにしてエンゲージメント向上に取り組めばよいのでしょうか。ここでは、エンゲージメント向上の取り組みの例を紹介いたします。

1)会社の情報、経営者の考えを伝える

会社に対する不信感は、情報不足やトップの考えが十分に共有されていないことが原因となる場合があります。その解決には、会社の目指す方向性や実現したいビジョンを、経営層や上司から定期的に従業員に伝えることが重要です。特に、メッセージが現場に正確に届いているか、矛盾がないかを振り返ることが必要です。

また、従業員が自社の決算情報や新サービスの詳細を知らないケースも考えられます。勉強会の開催やイントラネット、社内報を活用して情報を発信し、従業員への広報を強化することをおすすめします。

【経営理念やビジョンの浸透に取り組む事例】

訪問看護や有料老人ホームを運営する寿々グループ様では、20施設で、1,000人以上のスタッフが働いています。寿々グループ様では、同じ理念の下でサービスを提供する理念追求型経営を大事にしていましたが、グループの規模が大きくなるにつれて経営理念の浸透が難しくなるという課題を抱えていました。

エンゲージメントプラットフォームの「TUNAG」導入後は、経営の思いや会社の情報を動画を活用して投稿したり、各施設の理念が現れた取り組みをTUNAG上で共有し従業員が見れるようにするなど、グループ内の一体感の醸成や経営理念の浸透を図っています。

▼関連事例
理念の浸透とは? 成功させるための具体的なポイントと企業事例7選

▼参考
「グループ内の想いをひとつにつなぐ」経営理念を浸透させるための寿々グループ様の取り組み | 社内ポータル・SNSのTUNAG
社内報とは?主な目的やメリット、おすすめの運用方法を紹介!

2)会社のビジョンや方針に沿った人事制度による評価を行う

経営理念や行動指針の浸透には、人事評価との関連づけを行うことも重要です。評価に納得感を得られない場合、上司や会社への不信感につながることもあります。

また、人事異動や組織の改変などが起こった場合、周りがネガティブに受け取らないよう、できる限り情報をオープンにする方がよいでしょう。

人事制度や評価制度は、経営理念や行動指針を浸透させ、会社の想いを可視化しやすいものです。評価の方法は給与などの金銭的報酬だけでなく、表彰やサンクスメッセージなどの非金銭的報酬を活用することもあります。

▼参考
形だけの評価は不満を招く?組織を成長させる鍵は評価制度を納得させる仕組み
サンクスカードとは?職場に導入するメリットやマンネリ化を防ぐ運用ノウハウを紹介

3)従業員同士を近づける接点を増やす

お互いの信頼関係構築のためには、共に働くメンバーとのコミュニケーションを取る必要があります。しかし、休日にBBQに強制参加させられた…などの例は、お互いの距離をますます引き離してしまいます。

「信頼関係」は長期的な視点を持ち、少しずつ築いていくものです。日報の共有や、シャッフルランチによってお互いを「知る」ことから始め、共通点のあるメンバー同士を近づける機会を設けることから始めるなど、小さなことから自社の従業員の性質に合うことを実施していくと良いのではないでしょうか。

お互いのことをよく知らないまま結婚することが無いのと同じで、少しずつ関係を作っていく根気強さが求められます。

【従業員の双方向コミュニケーションを促進した事例】

「資材を運び、日本の未来を創る」をスローガンに、鉄鋼製品を中心として、年間約250物件、75万トンの運送・搬入を行う中央ロジテック株式会社様では、TUNAGを「ドライバーにとっての情報のプラットフォーム」として活用しています。

例えば事故報告やヒヤリハットの情報をTUNAGで共有したり、経営層と従業員のコミュニケーションを活性化させるための「社長メッセージ」などの取り組みも行っています。また、業務に関する共有にとどまらず、趣味やペットに関する話題もTUNAGで投稿して、従業員同士のカジュアルなコミュニケーションを促進しています。

TUNAGを通じて、従業員の人となりを知るきっかけが生まれ、雑談の機会も増えるなどの効果を実感したとのことです。

▼関連事例
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▼参考
社内コミュニケーション活性化!おすすめツール12選と導入時の注意点
双方向コミュニケーションを活性化させるポイントと成功事例を解説

4)従業員の力が十分に発揮できる環境を整える

タレントマネジメントという言葉が浸透してきているように、従業員が持つ能力や資質を十分に発揮できるような環境を整える必要があります。

本当はAというスキルがあり、そこなら100%自分の力が発揮できるが、今はBという仕事をしているため、60%くらいしか発揮できていない。ということが起こると会社と従業員双方にとってよくありません。

例えば診断やアンケートの結果、仕事内容に対するモチベーションが下がっていることが分かった場合、社内でFA制度や公募制度を設けたり、自己のスキルアップを促進するような制度を設けたりします。

メンター制度(ブラザー・シスター制度)などの仕組みをつくることで、社員の離職を防ぐことに効果的であったという例もあります。

▼参考
メンター制度とは何か。導入目的、社員の離職を防ぐポイントとは

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5)従業員の頑張りを称賛する文化を醸成する

従業員の日々の良い行動や頑張りを可視化し、称賛する仕組みを作ることもエンゲージメントを高める一つの取り組みといえます。

日頃の頑張りをサンクスカードや社内表彰などの形で仲間や企業から褒めてもらうことで、「頑張りが認められた」「自分の行動が感謝された」というポジティブな気持ちになり、モチベーションの向上や離職率の改善などの効果が期待できます。

【称賛の文化・仕組みを構築した事例】

ウェディング事業を中心にサービスを展開する株式会社BP様では、エンゲージメントプラットフォームの「TUNAG」で、従業員がサンクスカードを送りやすい仕組みを構築しています。さらに、サンクスカードを送った数・もらった数で評価して、社内で表彰するような体制をとっています。また、アルバイト従業員が1,000人を超える同社では、新人アルバイトの日報に対して先輩スタッフから称賛のコメントを送り、頑張りを評価するなど、会社を挙げて従業員同士が称賛する文化を醸成しています。

その結果、アルバイトの定着率が30%改善されただけではなく、エンゲージメント向上によってリファラル採用が進み、3カ月で300人のアルバイト採用を実現した時期もあったとのことです。

▼参考
「褒める文化」で人材定着率が30%向上!ポイントは「みんなの前で褒める」こと

▼関連事例
アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで

6)従業員のキャリア支援

従業員のキャリア支援は、モチベーションとエンゲージメントを高める効果があります。企業が従業員のスキルアップやキャリア形成に積極的に関与することで、従業員は自分が大切にされていると感じ、より積極的に仕事に取り組むようになります。

具体的には、キャリア面談や外部研修の提供、異動制度の整備などが効果的な手段として挙げられます。これにより、従業員は自分のキャリアビジョンに向けて自律的に成長できる環境が整います​。

エンゲージメント向上の4つのプロセス

エンゲージメント向上には、診断から実行まで体系的なプロセスが必要です。組織の現状把握、課題に応じた施策設計、そしてPDCAサイクルの実行というステップを通じて、従業員と組織の結び付きを強化できるでしょう。

それぞれのプロセスで重要となる実践的なポイントを見ていきます。

1)エンゲージメント診断を実施して、課題を把握する

エンゲージメント向上・強化のためには、組織の現状を把握することがまず最初のステップです。組織診断やサーベイなど、さまざまな企業がツールやサービスを提供しており、そのようなサービスを活用して組織の状態を把握します。

サービスの一つである「TERAS(テラス)」は組織のエンゲージメント状態を可視化し、従業員の課題を多角的に分析する基本無料のエンゲージメントサーベイツールで、離職兆候の早期発見や改善策の提案機能も備えています。

▼参考
エンゲージメントサーベイとは?具体的な質問内容や活用事例を紹介
組織のための基本無料エンゲージメントサーベイツール|TERAS

2)課題解決のための社内施策や制度の設計

課題に対して、どのような社内施策を打つのか、その設計を行います。重要なのはその場限りの施策にしないこと。単発的な社内イベントを行ったり、一時的な研修だけを行うのではなく、長期的な視点で取り組む必要があります。

またエンゲージメント向上のためには、以下の4ステップがあると考えており、各組織の課題やフェーズに合わせた施策を設計・運用していくことが求められるでしょう。

  1. 知る:組織のビジョンや理念など、従業員に経営の意図に沿った情報やそれらの背景や思いが届き、「組織や人」を知る。
  2. 理解する:従業員が「組織や人」を知ることをきっかけに会話が生まれ、コミュニケーションの質が高まり、会社や仲間への理解が深まる。
  3. 共感する:会社や仲間への十分な理解が得られていくと、会社や他者の出来事を自分ごととして考え、感じることができ、共感が生まれる。
  4. 行動する:理解や共感が深まることで、自身の働き方や考え方、発言などの行動の質が変わる。

そして、その施策によって課題が解決されたのかどうかをどのように測定するのかを決めておくことで、施策の評価を明確にすることができます。

3)施策の意図を周囲に説明した上で実行する

エンゲージメント向上施策で最も重要なのは、その意図を従業員に明確に伝えることです。どれほど優れた施策でも、従業員がその目的や背景を理解していなければ、形骸化や抵抗感の原因となってしまいます。

施策の説明では、なぜ今この取り組みが必要なのか、組織の課題とどう結びついているのかを具体的に示すことが求められます。経営層や人事部門だけでなく、現場のマネージャーを巻き込んで、各部門の状況に合わせた説明を行うことで、従業員の理解と共感を得やすくなるでしょう。

多くの企業では、施策の意図を十分に伝えないまま実行に移してしまい、従業員から「また新しい制度か」という反応を受けるケースがあります。施策実行前に説明会や対話の機会を設け、従業員の声に耳を傾けながら進めることが、エンゲージメント向上への確実な一歩となるのです。

4)社内施策のPDCAサイクルの実行

課題解決のために、どれだけ素晴らしい施策や制度を設計できても、実行しなければその効果は分かりません。「社内制度や施策を実行しても効果が出ない」という場合、その原因はそもそも「実行されていなかった」ということもよくあります。

会社の経営課題に対して最適な社内施策の立案と運用、その後の効果測定までが一貫していなければ、その社内施策の効果測定をすることはできません。

TUNAG(ツナグ)では社内施策の設計から運用のための社内体制づくり、PDCAの実行を自走できるようにすることまでを伴走して支援します。人事評価や日報、社内ポイントのように特定の課題解決に合わせたサービスではなく、会社それぞれの課題に対して実行していきます。

▼関連資料
3分でわかるTUNAG

エンゲージメントを高めるための3つのポイント

エンゲージメントを高めるためには、企業や組織に合った取り組みを行うことが重要で、画一的に「これが重要です」と答えがあるわけではありません。ただ、その中でも共通して重要なポイントが3つあります。ここでは、エンゲージメントを高める際に大切な3つのポイントを解説します。

1. 組織内の中間層をターゲットにする

エンゲージメント向上の鍵は「組織内の中間層をターゲットにすること」です。「2:6:2の法則」によれば、集団の2割が意欲的に働き、6割が普通に働き、残りの2割が意欲が低い傾向にあります。この中で、上位2割の積極層に注目しがちですが、組織全体を強化するには、6割の中間層を重視することが重要です。この層は少しの働きかけで上位層に近づける可能性が高く、逆に放置すれば下位層に流れるリスクもあります。

中間層がどちらに寄るかで組織の力は大きく変わります。そのため、施策を設計する際にはこの6割が何を感じ、どう考えるかを重視しましょう。また、中間層を上位層に近づけるには、経営層のビジョンや求めるアクションを明確に伝えることが大切です。この層は会社に貢献したい気持ちはあっても、具体的な行動が分からないことが多いため、明確な指針が背中を押す助けになります。

▼関連記事
2:6:2の法則 - 職場/組織のエンゲージメントを高めるために | 社内ポータル・SNSのTUNAG

2. 複数の施策を継続的に行う

2点目のポイントは、「複数の施策を継続的に行うこと」です。一つの施策だけでエンゲージメント=信頼関係を構築するのは難しく、組織の課題は複数にわたることがほとんどです。たとえば、理念浸透に課題がある場合は社長からのメッセージを定期的に配信し、情報共有に問題がある場合はナレッジシェアの仕組みを導入するなど、現状の課題や理想の組織像に応じた施策を組み合わせて実行することが重要です。

さらに、自社の課題や目指す理想の組織像は、外部環境の変化とともに変わっていきます。施策を一度きりで終わらせるのではなく、組織の「今」に合わせて継続的に見直し、実施することで、課題を放置せず成長を促すことができます。

3. 施策を企画・運用した場合、効果検証・改善を行う

3点目のポイントは「施策を企画・運用した場合、効果検証・改善を行うこと」です。2点目のポイントでエンゲージメントを高めるには、複数の施策を継続的に実施し続けることが重要だとお伝えしましたが、全ての施策が成功し、百発百中でエンゲージメントを高め続けるとは限りません。むしろ取り組みを始めた当初は失敗の方が多くなる可能性があります。

重要なのは、施策を行う目的を明確にし、その目的が今の運用のままで達成できるのか、できないのであれば何を変えるべきかを高速で検証・改善することです。

エンゲージメントが高い状態とはどんな状態?

エンゲージメントが高い組織には、共通する特徴があります。人事・経営層として目指すべき理想的な組織状態を、具体的に確認していきましょう。

1)従業員が会社と仲間を信頼できている

従業員が本来の力を発揮するには、会社と従業員、または従業員同士での信頼関係を築くことが重要です。同僚、上司という近い関係はもちろん、従業員と会社の関係でも信頼関係が必要です。

会社と従業員という縦の関係、従業員同士の横の関係、双方の信頼関係があることが重要です。

2)仕事に対して貢献意識があり、前向きな気持ちを持てている

従業員同士の人間関係が良好なだけでなく、仕事そのものに対してポジティブな気持ちで取り組めていることも求められます。

仕事の難易度が高すぎず低すぎず、本人の目標と仕事・会社の目標が反対方向を向いていない状態が理想だといえます。仕事内容にもやりがいを感じ、顧客から感謝されるものである方が、前向きな気持ちで取り組めます。

3)自分の会社や事業を、家族や知人にも勧めたいという気持ちがある

会社の待遇や環境に満足しているだけでなく、他人にも勧めたいという気持ちになっている状態は、エンゲージメントが高い状態といえます。エンゲージメントサーベイなどでは、NPS調査を利用することもあります。

分かりやすい指標としては、リファラル採用(社員紹介採用)が挙げられます。従業員からの紹介採用が多い会社はエンゲージメント経営がうまくいっている会社といえるのではないでしょうか。

▼関連記事 

リファラル採用とは?メリットとデメリット、報酬など制度運用方法を解説!

エンゲージメントを向上させるメリット

エンゲージメント向上への投資は、組織に複合的な効果をもたらします。職場の活性化による生産性向上、離職率低減による人材コストの削減、そして顧客満足度向上による企業価値の向上という三つの主要なメリットが期待できるのです。

これらは独立した効果ではなく、相互に影響し合いながら組織の持続的成長を支える基盤となります。経営層や人事部門が注目すべき具体的な効果を詳しく見ていきましょう。

職場の活性化と生産性の向上

エンゲージメントが高い組織では、従業員の主体性と積極性が大きく向上します。企業への愛着と自身の役割への意義を感じることで、従業員は単なる業務遂行を超えて、より良い成果を追求するようになるのです。

この変化は個人レベルにとどまらず、チーム全体のパフォーマンス向上につながります。主体的な従業員同士が協働することで、アイデアの共有や改善提案が活発化し、業務効率の改善や新たな価値創造が生まれやすくなります。

製造業では品質向上や工程改善、サービス業では顧客対応の質的向上といった形で具体的な成果として現れることが多いでしょう。

結果として、組織全体の生産性が向上し、売上や利益といった財務指標にも好影響を与えます。

離職率の低減と人材の定着

エンゲージメントの高い職場環境は、従業員の定着率を大幅に改善します。自社に対する強い帰属意識と、キャリアを企業と共に歩みたいという意欲が、離職を思いとどまらせる最大の要因となるのです。

人材の流動化が進む現代において、優秀な人材の確保と定着は経営課題の最優先事項です。採用コストや教育投資の観点からも、既存従業員の定着は新規採用よりも費用対効果が高く、組織の知識やノウハウの蓄積にも寄与します。

特に専門性の高い職種や管理職層の定着は、組織の持続的成長に不可欠な要素といえるでしょう。エンゲージメントが高い組織では、従業員が自発的に後輩育成や技術継承に取り組む傾向も強まり、組織全体の人材力が底上げされます。

顧客満足度と企業信頼度の向上

従業員のエンゲージメント向上は、提供する製品やサービスの品質向上に直結します。仕事に対する熱意と意欲が高まることで、顧客への対応がより丁寧かつ親身になり、細部まで配慮された価値提供が可能になるのです。

この効果は特に顧客接点の多い業種で顕著に現れます。小売業やサービス業では従業員の対応が顧客体験を大きく左右し、製造業でも品質へのこだわりが製品価値として反映されます。エンゲージメントの高い従業員は、顧客の期待を超える価値提供を自発的に追求するようになるでしょう。

結果として、顧客満足度の向上がリピート率や口コミでの評判向上につながり、企業のブランド価値が高まります。長期的な顧客関係の構築は、安定的な収益基盤の確立にも寄与します。

組織の現状を把握するためのエンゲージメントサーベイという選択肢

エンゲージメント向上の第一歩は、組織の現状を正確に把握することです。感覚的な判断ではなく、データに基づいた客観的な分析が求められます。エンゲージメントサーベイは、従業員の意識や組織の課題を可視化する有効な手段として、多くの企業で導入が進んでいます。適切なツール選択と活用方法を理解することで、組織改善への確実な道筋を立てることができるでしょう。

エンゲージメントサーベイを無料で実施できる「TERAS」

株式会社スタメンが提供する「TERAS(テラス)」は、基本無料で利用できるエンゲージメントサーベイツールとして、多くの企業の組織診断を支援しています。組織のエンゲージメント状態を可視化し、従業員の課題を多角的に分析することで、データに基づいた組織改善の第一歩を踏み出すことができるのです。

TERASの特徴は、単なるアンケート集計にとどまらない分析機能にあります。離職兆候の早期発見機能により、優秀な人材の流出を未然に防ぐことが可能になり、改善策の提案機能では、診断結果に基づいた具体的なアクションプランの立案をサポートします。

無料でも本格的な組織診断が可能なため、エンゲージメント向上への取り組みを検討している企業にとって、初期投資なしで現状把握ができる有効な選択肢となります。まずは自社の組織状態を客観的に把握し、課題を明確化することが、効果的な組織改善への第一歩となるでしょう。

エンゲージメント向上に必要な機能がそろったオールインワンツール「TUNAG」

TUNAG(ツナグ)は、エンゲージメント向上や組織課題の解決に必要な機能がそろったオールインワンツールです。各社の組織課題や目指したい組織像に合わせて、必要な施策をオリジナルで設計することができます。また、マルチデバイス対応で、社用端末や法人メールアドレスを持たない従業員も利用することが可能です。

伝えるべきメッセージや情報を従業員にスムーズに届け、従業員同士のコミュニケーションが活性化を促す。そんな循環をTUNAGで構築し、エンゲージメント向上や経営理念の浸透などを実現します。

1)会社やトップからの情報発信

経営陣が考えていること、会社の課題やビジョンなど、トップからのメッセージを発信する例です。代表が日々考えていることや会社の方向性などをコラムとして発信したりするケースが多くありますが、これまで「メール」で配信しても返信が無かったりと、反応を得ることが難しかったのではないでしょうか。

TUNAGでは、「既読数」を把握したり、気軽にコメントやスタンプなどを送るなどのSNSとして使いやすいという利点があり、メッセージの浸透に貢献しています。

拠点が離れていたり普段頻繁にコミュニケーションが取れなくても、TUNAGを通してダイレクトに発信することができます。言葉や結果だけでなく、意図や背景までも含めて伝達できることがメリットです。

ビジョンや理念に触れる回数が増えることで必然的に浸透が進み、意思統一や意識レベルの向上を促します。加えて過去の発信を確認したり、新しく入社された方も閲覧できることで、早期立ち上がりに大きく寄与します。

 2)コミュニケーションが発生する活用事例「サンクスメッセージ」

日々の行動の中で感謝や称賛を送り合うサンクスメッセージを通して、個人の行動にフォーカスすることでコミュニケーションを生み出しています。

普段面と向かって感謝を伝えられない事や照れてしまう事、改めて感謝を伝えたい事などをピックアップし皆に共有することで当人同士のコミュニケーションだけでなく、多方面でのコミュニケーションのきっかけを生み出しています。

3)社内の情報共有が促進される活用事例

個人ごとやチームごとの日々の成功体験やノウハウの共有、課題や困りごとへのアドバイスなどをリアルタイムに共有することが可能です。

上司・部下や部署内での情報共有だけでなく、部署の垣根を超えた情報共有も可能で、横断的な会社の動きを見える化することでより一層の連携や新たな気付きを得るきっかけにつながります。

4)プロフィール機能の活用事例

TUNAGには、マイページにプロフィール機能があります。趣味や特技、好きな音楽などのカジュアルなものから、学歴や職歴、受賞歴まで幅広く個人の人となりを把握することができます。(プロフィール項目は会社によって自由に設定できます)

プロフィールをきっかけに思わぬ共通点を見つけて会話したり、部署移動後の同僚が一目で分かるので溶け込みやすい効果もあります。またタレントマネジメントなどの人材管理にも活用可能です。

エンゲージメント向上の施策や取り組みを検討中の方は、ぜひTUNAGの無料サービス資料をご覧ください。

▼関連資料
3分でわかるTUNAG

TUNAGを使ってエンゲージメントを向上した事例

エンゲージメント向上の取り組みは、企業規模や業種によって最適なアプローチが異なります。実際にTUNAGを活用して組織改善を実現した企業の事例から、自社に適した施策のヒントを見つけることができるでしょう。

株式会社アワーズ

アドベンチャーワールドを運営する同社では、女性社員の離職防止が大きな課題でした。企業内保育園「キラボシ」を開設すると同時に、TUNAGを活用して保育園の活動を全社に発信し、インナーブランディングを推進しています。

特に効果的だったのは、産休・育休中の社員もTUNAGで会社の情報を閲覧できる仕組みです。復職への不安軽減につながり、女性管理職・リーダーが6年間で2名から17名へと大幅に増加しました。理念に基づいたサンクスカード「心の花束」や社内SNS「Smile+」の運用により、多様な人材が活躍できる組織文化の醸成に成功しています。

女性管理職・リーダーが6年で8.5倍に。企業内保育園とアドベンチャーワールドが推進する理念経営とは | TUNAG(ツナグ)

株式会社山福

食品商社・メーカーである同社は、情報共有の習慣がなく、拠点間のコミュニケーション不足が深刻な課題でした。TUNAGを導入し、製造現場からの情報発信を促進したところ、若手社員による自発的な商品開発が活性化するという予想外の効果が生まれました。

物理的な距離を超えた「チーム山福」としての一体感が生まれ、部門や拠点の壁を越えた協働が実現しています。

この取り組みが評価され、エンゲージメントアワード2024では総合グランプリを受賞。情報発信の文化醸成が、従業員の主体性向上と事業競争力強化につながった好事例として注目されています。

創業80年、組織変革に成功。M&Aや事業拡大の溝を埋めたWeb社内報運用の秘訣 | TUNAG(ツナグ)

渡辺パイプ株式会社

全国600拠点、6,000名の従業員を抱える同社では、拠点間のコミュニケーション不足が長年の課題でした。TUNAGで「SCリレーコラム」という営業所長がリレー形式で拠点を紹介する企画を開始したところ、拠点を超えた相互理解が深まりました。

社長自ら「トップスピリッツ」で会社の方針や施策の目的を発信し、従業員からスタンプで反応が寄せられるなど、双方向のコミュニケーションが実現。物理的に離れた拠点で働く従業員同士が、どんな人が働いているのかを知り、組織の一体感醸成につながっています。

600拠点の従業員6,000名がつながる。コミュニケーション課題を解決した渡辺パイプの挑戦 | TUNAG(ツナグ)

エンゲージメント向上で組織を活性化する

職場のエンゲージメントを高めるためには、社員一人一人が自分の役割に誇りを持ち、仲間と共に働く喜びを実感できる環境づくりが重要です。そのためには、会社と従業員の信頼関係を構築する経営理念やビジョンの浸透や、従業員同士の信頼関係を構築する社内コミュニケーションのタテ軸とヨコ軸のつながりが必要です。

また、ツールや仕組みの導入はその第一歩であり、日常的なコミュニケーションの見直しや改善につながります。組織の目標を共有し、共に成長していくことで、個人と組織の双方にとって持続可能な発展が期待できます。

TUNAGを利用して、自社に合ったエンゲージメント向上への取り組みを始めてみましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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