従業員満足度(ES)の向上施策6選!おすすめの取り組み・施策も紹介

この記事では、従業員満足度を向上させる事例と、ポイントとなる取り組み・具体的な施策などをご紹介します。

従業員満足度を高めたい・組織課題への打ち手に悩んでいるという方は、ぜひ記事の内容を参考にして自社に合った取り組みや施策を検討してみてください。

従業員満足度(ES)とは?

従業員満足度は、従業員が自社や組織に対してどれだけ満足しているかを示す指標です。

「Employee Satisfaction」とも呼ばれ、略して「ES」と表されることもあります。

従業員満足度の指標としては、具体的には以下のようなものです。

従業員満足度の指標

  • 企業文化・ビジョンに共感しているか
  • 上司や同僚との人間関係は良好か
  • 仕事の内容にやりがいを感じているか
  • 給与や福利厚生などの待遇に満足しているか?

従業員満足度が高い組織は、モチベーションや生産性が高く、結果として業績向上にもつながります。

そのため、多くの企業では従業員満足度を重要な経営指標として位置づけ、定期的に調査を実施しています。

従業員満足度を構成する要素

従業員満足度は、労働環境、経営理念・企業文化への共感、職場の人間関係、やりがい、待遇(給与や福利厚生)など、さまざまな要素で構成されます。

ここでは、従業員満足度を構成する要素を、アメリカの臨床心理学者ハーズバーグが提唱した二要因理論に基づき説明します。二要因理論は、仕事への満足度を決定する要因と仕事への不満度を決定する要因が別々でありと定義し、前者を「動機付け」、後者を「衛生要因」としたものです。

従業員満足度における動機付け要因

動機付け要因とは、従業員が仕事に対して満足を実感できるきっかけとなるものです。具体的には、以下のような要因が考えられます。

項目

具体的な説明

達成感

仕事の目標達成や、自分の力で成果を上げたりすること

承認・評価

成果の内容や努力が上司や仲間から認められること

仕事内容

仕事へのやりがいや、関心度が高いこと

役割

実力に見合った適切な役割が与えられ、貢献実感があること

キャリアステップ

キャリアアップやスキルアップの向上が見込めること

これらの要因はマズローの欲求5段階説の「自己実現欲求」と「承認欲求」、「社会的欲求」内の一部の欲求に該当しているとも言えます。これらの要素が満たされることで、従業員の仕事に対するモチベーションや自発性が高まり、パフォーマンスアップを期待ができます。

従業員満足度における衛生要因

衛生要因とは、従業員が仕事や職場に対して感じる不満を表す要因です。具体的には、以下のような要因が考えられます。

項目

具体的な説明

経営方針や事業方針

会社の方針が明文化・浸透しており、背景を理解できていること

職場の人間関係

上司や同僚、後輩との人間関係が良好であること

給与

実力に見合った適切な給与や報酬が支払われていること

労働条件

安全で快適な労働環境下で仕事ができていること

仕事の安定性

仕事の安定性や安全性が保証されていること

これらの要素が欠如していることで、従業員は不満を感じるようになります。その一方で、衛生要因を防止することは職場環境の快適化につながりますが、従業員満足やモチベーション向上につながりにくい傾向にあります。そのため、衛生要因を整えつつ、動機付け要因を高める施策に取り組む必要があるでしょう。

TUNAGを活用した従業員満足向上の事例

従業員満足度に関する取り組みを実施した企業の事例や、働きがいが高い組織として知られる企業の事例をご紹介します。

アルメック株式会社の事例

「活力再生工場」をビジョンに掲げてリサイクル事業を行うアルメック株式会社様。「ES向上プロジェクト」として従業員満足度の向上に取り組んでいましたが、調査結果で「会社の制度や福利厚生制度がよくわからない」という声がありました。

そこで、エンゲージメント経営プラットフォーム『TUNAG』を導入し、福利厚生など会社のことを知ってもらう取り組みを実施しました。部署や拠点を超えた社内コミュニケーション活性化にも取り組みました。

その結果、仕事上の工夫や社内の動きが見えるようになったり、他部署や別の工場とのコミュニケーションが活発になってサポートし合う声がけが増えたと言います。各現場でどんな仕事をしているかが投稿されたり、従業員にどんな人がいるのかをプロフィールで見ることができるようになったのが理由ではないかということです。

その後も従業員同士で感謝を伝え合う「サンクスメッセージ」の取り組みなど、さらなる組織活性化に取り組んでいます。

関連記事:他部署との距離が近くなった理由とは? - 「会社のことを見える化するだけで、“助け合いの声がけ”が増えました。」

株式会社コンヴァノの事例

日本全国にネイルサロンを展開する株式会社コンヴァノ様では、従業員の定着率向上の取り組みの一つとして従業員満足度調査を行っていました。

「調査だけして終わらせていても変わらない」という気持ちのもと、定着率に繋がる取り組みを模索していたという同社も『TUNAG』を導入。

お客様へのネイルサービスで多忙な中でもスタッフ同士で気軽に声をかけ合えるように、TUNAGを通してお互いを知るきっかけを作り、距離感を縮めたりコミュニケーションのハードルを下げることに取り組みました。一例としては、配属が決まったタイミングで新人スタッフが自己紹介を投稿し、人となりが事前に分かるようにして、店長や店舗からもコメントをするというものがあります。

他にも、新人スタッフへのフォローやケアの仕方を店舗を超えて共有する取り組みも行なっています。

関連記事:ネイル業界で人が定着する組織づくりを行うには「ずっと大切な仲間でいられる関係を」

株式会社多慶屋の事例

総合ディスカウントストア「多慶屋」を運営する株式会社多慶屋様。「ES(社員満足)を高めてCS(顧客満足)を高めたい」と考えており、社内の関係性向上を大切にしてきました。

コロナ禍でのコミュニケーションやシフト制ならではの情報共有不足に課題を感じたり、「頑張っている社員を賞賛する文化を根づかせたい」という想いもある中で、コミュニケーションツールとして『TUNAG』の活用をスタートします。

売り場・商品について店舗を超えて情報共有を行なう、社員が自己紹介を投稿して、部署を超えて人となりを理解するなどの取り組みを実施した結果、コミュニケーションが活性化し、情報がTUNAG上に集まり始めたと言います。例えば、商品を使ったレシピを募集して実際に売り場に提示するなど、TUNAG上で全社を巻き込んだ企画も活発に行われるようになりました。

その他にも、社長メッセージを動画で発信することで、一人ひとりの従業員に時差なく情報が届くようになりました。

関連記事:「小売業ならではのコミュニケーションの課題を解決」社員相互の関係性と情報共有の精度が向上した多慶屋様のTUNAG活用事例

有名企業での従業員満足度向上の取り組み事例

従業員満足度を高める取り組みを考えるうえで、日本における「働きがいのある会社」ランキングを見ているとヒントがあるかもしれません。

以下では、従業員満足度の向上に関わりそうなものをいくつかピックアップして紹介します。

セールスフォース・ジャパン

セールスフォース・ジャパンでは、リモートワーク中でも頻繁にオンラインの全社会議を実施しています。また、従業員から質問や意見を集めて会社の運営に反映するなどの取り組みも、働きがいを高めることに繋がっているようです。

さらにリモート環境下であってもオンラインイベントやボランティア活動等の交流の場を設けるなど、帰属意識の向上と勤務場所にとらわれない働き方を両立するような会社を目指しています。

シスコシステムズ

シスコでは、従業員サーベイで集まった様々な意見・フィードバックを基に、リーダーシップチームや一般社員でさまざまな内容を議論・決定しています。

従業員への調査を実施するだけでなく、集まった声をもとに議論して取り組みや施策に反映できれば、従業員満足度も高まりそうですね。

レバレジーズグループ

レバレジーズグループでは「事業部横断制度(LCP)」として、各事業部のトップ人材が講義形式でレクチャーを行う「社内勉強会」、他事業部の日常業務に参加できる「事業部間交換留学」を用意しています。

また、複雑なフローなしで事業部を超えて業務やイベントに参加できるため、他部署で成果が出ている事例を手軽に学び、自部署に持ち帰り、すぐに実践できるのも特徴です。

従業員満足度を向上させる取り組み

従業員満足度を向上させる取り組みを紹介します。

会社の方針や経営の想いを従業員に伝える

従業員が企業文化やビジョンに共感するには、会社の方針をしっかり伝えたり、経営の想いを発信していくことがとても重要です。できれば管理職などのマネジメント層に伝えるだけでなく、全社会議や社内ツールを活用して現場の従業員に直接伝えるとより効果的です。

もちろん、発信したからといって全ての従業員が共感してくれるとは限りません。しかし少なくとも、「社長 / 経営陣が何を考えているのか分からない」「上司によって言っていることが違う」といった従業員の不満を解消することには繋がります。

社内コミュニケーションの活性化

チームや部署を超えてコミュニケーションを活性化し、社内の関係性を良好に保つことも大切です。他部署の業務や頑張りを見える化したり、部署や役職を超えて交流する機会を作ったりすることで、従業員同士で人となりを知るきっかけになり、会社への理解が進み、業務でも連携しやすくなります。

違う人間同士である以上、全ての従業員同士が仲良くなるというのは現実的ではありませんが、コミュニケーション活性化によって業務上の不必要な摩擦を減らし、生産性を向上することができます。

関連記事:職場コミュニケーションを改善する取り組み施策&活性化事例6選

エンパワーメント(権限委譲)

仕事のやりがいには、従業員が成長できるような業務を与えることと、適切なフォローを行うことがポイントになります。そこで重要になるのが、「エンパワーメント」という考え方です。エンパワーメントは「権限委譲」「能力開花」といった意味で、人材育成やマネージメントの手法の一つとして注目されています。

上司や管理職が持っている権限を少しずつ部下に与えることで、仕事の遂行方法や意思判断を自発的に行うチャンスを作り、部下の持つ能力を引き出すことが必要です。

関連記事:エンパワーメントとは?意味や使い方を簡単にまとめました

福利厚生の充実

福利厚生を充実させることで、従業員の暮らしを安定・向上させたり、スキルアップをサポートすることができます。生活やキャリアに関わってくる部分であり、従業員満足度の向上には福利厚生の充実も欠かせません。

ただし、一度導入した制度を廃止した場合にかえって従業員満足度の低下につながってしまうこともあります。「世の中で人気だから」「従業員が欲しいと言っていたから」という理由だけで導入するのではなく、かかる費用や運用工数、本当にニーズがあるのかなどを検討するようにしましょう。

関連記事:福利厚生の種類・人気ランキング、内容や事例まとめ

従業員満足度を高める具体的な施策アクション事例

従業員満足度を向上させるための具体的な施策について、おすすめのものを4つ紹介します。ぜひ参考にしてください。

社長メッセージ

従業員に会社の方針や戦略を伝えたり、社長や経営陣の想いをきちんと届けるには、「社長メッセージ」「トップメッセージ」などが有効です。

朝礼や全社会議で伝えるという方法もありますし、組織規模が大きければコミュニケーションツールなどを活用して、コラムやつぶやき、動画などの形式で伝えることもできます。

社内イベント

社内イベントは目的に応じて企画・運営することで、コミュニケーションを促進したり、現場の声を聞いたり、帰属意識を高めたり、従業員を労ったり、さまざまな効果に繋がります。

実際に顔を合わせて実施するイベントはもちろん、ビデオ通話ツールを使ったオンラインイベントも拠点や働き方を問わず参加できるためおすすめです。

サンクスメッセージ

サンクスメッセージは、日々の業務の中で感謝の気持ちを伝える施策です。感謝や称賛はダイレクトに従業員満足度に繋がるため、取り組んでいる企業も多いです。

以前から紙で実施しているという企業も多いかと思いますが、「記入や集計の工数が少ない」「従業員の頑張りや良い行動が見える化する」という理由で、ITツールを活用した実施がおすすめです。

関連記事:サンクスカードとは?職場に導入するメリットや運用ノウハウを紹介

1on1面談

上司と部下が定期的に個人面談を行うのが1on1面談です。日々の業務を振り返ることで部下の成長を促す、コミュニケーションのきっかけを作る、目標達成のためのズレや遅れを修正するなどの効果があります。

従業員満足度の要素の中では、特に「企業文化・ビジョン」「上司や同僚との人間関係」「仕事やりがい」と関連する施策です。

従業員満足度向上の取り組みを行う上での注意点

従業員満足度を向上させる取り組みは、一歩間違えると従業員の不満につながってしまうこともあるので、注意が必要です。ここでは、取り組みを行う上で、いくつか気をつけるべきポイントを解説します。

従業員の意見を積極的に反映させる

従業員のニーズは多様なため、全ての意見を反映することは難しいですが、従業員の声を積極的に施策へ反映することは重要です。また取り組みを実施する際は、意図や従業員へのメリットを明確に伝えることで、従業員もより自発的に施策に参加することができるでしょう。

管理職やリーダーと一緒に取り組みを推進する

従業員の職場環境や業務内容に直接関わっているのは、部長や課長といった管理職やチームリーダーであることが多いです。管理職やリーダーを旗振り役として、従業員へ取り組み内容の周知を徹底したり、リーダー自身も取り組みに積極的に関わることで、全社的な取り組みとして従業員が認識しやすくなります。

また、日々のコミュニケーションの中においても、積極的に従業員満足度に関連する会話をすることで、動機付け要因(満足度に関わる要因)や衛生要因(不満に関わる要因)の整備にもつながるでしょう。

従業員満足度の調査方法

従業員満足度向上の取り組みによる成果を図る上で、現時点での従業員満足度を調査することは欠かせません。また、従業員満足度の調査の結果をもとに施策を打つことで、より適切な取り組みを実施することができます。ここでは、従業員満足度の調査方法を解説します。

自社でアンケート調査を行う

Google formや紙に印刷したアンケートを配布し、従業員の仕事や職場に関する満足度を5段階評価で図ります。また、自由解答欄を設けることで、従業員の意見やアイデアを具体的に知ることができます。

自社でアンケート調査を行う際には、目的を明確にして、質問項目を設定することが重要です。下記は、アンケート調査の質問項目の例です。

  • 仕事の内容に満足していますか?
  • 上司に相談しやすい環境が整っていますか?
  • 自身の業務内容や成果に適した給与が支払われていますか?
  • 労働環境は安全で快適ですか?

面談調査を行う

従業員一人ひとりに対して、現在の仕事内容や職場環境に関する面談を行い、従業員満足度を図ります。面と向かって会話することで、会話の中で従業員の自然な反応を見れることが大きなメリットです。ただし、従業員規模が大きい企業においては全員に実施することが困難であるため、全社の従業員満足度を図る施策として取り入れるのは難しいでしょう。

従業員満足度を図るサーベイツールを活用する

企業が提供するサーベイツールを活用することも従業員満足度を図るうえでは効果的です。サーベイツールには、エンゲージメントサーベイや組織サーベイなどさまざまな種類があります。

アンケート調査と実施することは似ていますが、企業が提供するサーベイツールは、ロジックに基づき提供されているため安心感があり、一定の基準で従業員満足度を図れるというメリットがあります。

また、ツールが自動で回答の収集や分析を実施してくれるため、担当者の負担を軽減することも可能です。

従業員満足度とエンゲージメントの違い

従業員満足度と混同されがちな概念に「エンゲージメント」があります。

従業員満足度は、給与・福利厚生など会社が与えたものの上に成り立ちますが、新型コロナウイルスの流行など外部環境の変化で会社の業績が悪化し、福利厚生や給与が悪化したりすると、一気に下がってしまうというデメリットがあります。

一方、エンゲージメントとは会社と従業員との信頼関係で、会社経営が厳しい時こそ最大の効果を発揮し、会社全体で一丸となって支え合う強さがあります。

「エンゲージメントが高く従業員が会社を信頼しているから、従業員満足度が高まる」という状態が理想的です。

従業員満足度向上だけでなく、エンゲージメント向上を

給与や福利厚生は永遠に上げ続けることはできません。また、外部環境の影響で給与や福利厚生が悪化すると、従業員満足度は一気に下がってしまう可能性があります。

一方、会社と従業員との信頼関係である「エンゲージメント」が高ければ、外部環境の変化にも左右されにくい強い会社になります。

従業員満足度に取り組むのなら、「エンゲージメントが高く従業員が会社を信頼しているから、従業員満足度が高まる」という状態を目指してみませんか?

従業員満足度調査に限らず、どんな組織でも施策や取り組みを行う場合には、効果検証と運用改善が重要です。

『TUNAG』は、組織課題への打ち手として様々な施策・社内制度のPDCAを回せるプラットフォームです。専任のトレーナーが制度設計、ツールの運用から改善までを一貫してサポートします。

社長メッセージ、サンクスメッセージ、1on1、社内での情報共有など、エンゲージメントを高めるための様々な施策・制度を運用することができます。

従業員満足度、働きがい、エンゲージメントの向上を目指すなら、ぜひ『TUNAG』をご活用ください。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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