従業員の組織貢献度を向上させるには?成功企業が取り組む施策と効果的な評価方法
組織貢献とはどのような考え方なのでしょうか、エンゲージメントとの関係を含めて、以下で解説します。
従業員の評価は、目に見える成果だけでは語れないという考え方が、多くの企業で広まりつつあります。しかし、可視化されていない成果を評価するのは簡単ではありません。そこで注目されているのが「組織貢献度」という考え方です。本記事では、そもそも組織貢献とは何かを明らかにし、その重要性と評価手法、実際の成功事例、さらにDXを活用した施策についても具体的に紹介します。
組織貢献とは何か
従業員の頑張りが売り上げや数字に直結しないと、どのように評価すべきか迷う経営者も多いのではないでしょうか。近年、チームワークや職場環境の改善など、目に見えない貢献も「組織貢献」として評価する動きが広がっています。
従業員が組織づくりに貢献すること
「組織貢献」とは、単に成果を上げるだけではなく、従業員がどれだけ組織の健全な成長や良好な職場環境づくりに寄与しているかを示す概念です。
要素としては、日々の業務に取り組む姿勢、周囲との協調、自発的な改善提案など、目には見えづらい行動や姿勢などが挙げられます。
また、率先して行動する姿勢によってチームの雰囲気を前向きに変える力も、立派な貢献の一つです。
このような行動が広がれば、自然と職場の信頼関係や風通しが良くなり、組織の活性化につながります。
組織貢献とエンゲージメントの関係
組織貢献の根底にあるのが「従業員エンゲージメント」の高さです。エンゲージメントとは、従業員が自社や業務に対して持つ愛着や信頼、そして主体的に関わろうとする気持ちの強さを指します。
このエンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事が組織にとって重要であると実感し、自ら積極的に貢献するようになります。
実際、エンゲージメントの高い職場では、互いに支え合い、協力し合う文化が自然に育まれていきます。
一方、エンゲージメントが低ければ、組織に対する関心も薄れ、貢献意欲も下がってしまいます。だからこそ、企業が組織貢献を促進したいのであれば、まず従業員のエンゲージメントを高める環境づくりに力を入れることが求められます。
それが最終的に企業全体の成長につながるのです。
組織貢献を高めるための施策
従業員に組織への貢献を促すには、ただ「頑張ってほしい」と願うだけでは不十分です。貢献行動は、意欲や信頼、共感といった内面から生まれるものであり、それを引き出すには企業側の取り組みがカギを握ります。
ここでは、従業員の組織貢献度を高めるために実践したい施策をご紹介します。
企業理念やビジョンの浸透
従業員の貢献意欲を引き出すためには、「なぜこの会社で働くのか」「自分の仕事がどんな意味を持つのか」といった意義付けが不可欠です。
その土台となるのが、企業理念やビジョンの浸透です。人は、共感できる価値観や目指す方向性があってこそ、自ら動こうという気持ちになります。
経営者の言葉を朝礼や社内報で発信したり、理念に沿った行動を称える表彰制度を設けたりすることで、理念を「自分ごと化」する機会が生まれます。
従業員一人一人が自社の価値観に共鳴し、「社会に価値を生み出している」という実感を持てれば、自然と組織への貢献行動も生まれてくるでしょう。
従業員のモチベーション向上施策
従業員が自発的に貢献するためには、その源となるモチベーションを高める施策が欠かせません。
例えば、努力やプロセスを含めて正当に評価される制度の整備は、従業員の働きがいを生む重要な仕組みです。また、将来のキャリアを描けるような研修や成長機会を用意することも、前向きな気持ちを支える力になります。
そして、感謝や称賛を伝え合う文化が職場に根付けば、心理的な安心感が生まれ、周囲を支えようとする行動も促進されます。
働きやすい環境や公平な処遇も、こうした前向きな気持ちを支える土台となります。モチベーション施策に正解はありませんが、従業員の気持ちに寄り添う取り組みが、組織貢献の芽を育てていくのです。
組織内コミュニケーションの活性化
良好なコミュニケーションは、従業員が「組織の一員である」という感覚を育て、自ら貢献しようという気持ちを後押しします。
施策としては、社内SNSやチャットツールの導入、部署横断のプロジェクト、社内イベントなどが効果的です。部署の垣根を越えた対話や情報共有が日常的に行われる職場では、チームワークや助け合いが自然と根付きやすくなります。
これらの取り組みによって従業員同士の相互理解が深まり、「困ったときはお互いさま」という信頼関係が生まれます。
こうした安心できる人間関係の中では、新しい挑戦や提案もしやすくなり、従業員の前向きな貢献行動が活性化されていくのです。信頼をベースにした風通しの良い組織こそが、真の組織力を育てます。
組織貢献を評価・可視化する方法
組織貢献を重視するなら、それを評価制度に組み込み、見える化することも大切です。従業員からすれば、自分の貢献が正当に評価されていればこそ、さらに貢献しようという意欲が湧くものです。
ここでは、組織貢献を評価・可視化する代表的な方法を二つ紹介します。
ピアボーナス制度の導入
ピアボーナス制度とは、従業員同士が日々の「助け合い」や「良い働き」を称賛し、ポイントや少額の報酬を送り合う仕組みです。
上司からの評価だけでは拾いきれない小さな貢献を、従業員同士の視点で可視化し称えるこの制度は、導入する企業も増えています。
導入の効果は、称賛文化の定着と貢献行動の活性化の両面にあり、「誰かが見てくれている」という安心感が、従業員の前向きな行動を引き出します。
さらに、経営理念と連動させた評価設計を行えば、理念の浸透と貢献意識の強化も同時に実現できます。
エンゲージメントサーベイの実施
従業員の組織貢献度を定量的に把握したい場合に有効なのが、エンゲージメントサーベイの活用です。これは従業員と会社との結び付きの強さを測る調査で、年1〜2回程度、匿名のアンケート形式で実施されます。
「仕事に誇りを感じているか」「会社の理念に共感しているか」など、エンゲージメントや貢献意識に関わる設問を通じて、部署ごとの課題や状態を明らかにできます。調査結果は、組織改善の方向性を探る手がかりとなり、施策の効果測定にも活用可能です。
重要なのは、結果を社内にきちんとフィードバックし、改善アクションへとつなげることです。サーベイはあくまで「スタート地点」であり、従業員の声を反映した組織づくりが本当の目的です。
TERAS(テラス)は、エンゲージメントサーベイを無料で実施できるツールです。エンゲージメントサーベイを実施したくてもコストやリソースが割けないとお悩みの企業は、ぜひ一度試してみてください。
組織貢献を促進する成功事例
実際に従業員の組織貢献度を高めることに成功している企業の事例を見てみましょう。
ここでは「従業員エンゲージメントを高め、従業員が働く意義を感じられる組織へ」変革を遂げた株式会社アサヒケーティーと、「店舗の壁を超えたコミュニケーションでブランド力向上」を目指すフェイラージャパン株式会社の取り組みをご紹介します。
いずれも公表されている事例から学び、組織貢献向上のヒントを探ってみましょう。
エンゲージメントを高め、従業員が働く意義を感じられる組織へ「株式会社アサヒケーティー」
ユニフォームレンタルやクリーニングなどを手掛ける株式会社アサヒケーティーは、社内の一体感を高めるため、部署の垣根を越えた情報共有と相互理解の仕組みづくりに注力しています。
そこで導入したのが、全従業員が閲覧・投稿できる社内SNSです。この「見える化された社内広場」により、離れた拠点の活動や他部署の取り組みをリアルタイムで知ることが可能になり、従業員同士が互いに刺激を受け合える風土が形成されました。
さらに、日常の感謝を伝える「サンクスカード」機能を活用し、称賛の文化も定着。従業員からは「投稿に反応があると、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる」といった声が聞かれています。
こうした取り組みにより、同社では従業員のエンゲージメントと組織貢献度の双方が大きく向上し、現場と経営層が同じ方向を向いて歩める組織づくりが進んでいます。
参考:目指したのは「広場」のような交流の場。エンゲージメントを高め、従業員が働く意義を感じられる組織へ | TUNAG(ツナグ)」
店舗の壁を超えたコミュニケーションでブランド力向上「フェイラージャパン株式会社」
高級ハンカチやバッグで知られる「FEILER(フェイラー)」ブランドを展開するフェイラージャパン株式会社は、店舗間の情報格差や孤立感を解消するため、スマートフォン対応の社内アプリを導入しました。
それまでもサンクスカードや掲示板の取り組みがありましたが、店舗設置PCに依存していたため利用が限定的でした。
アプリの導入後は、現場スタッフ同士が接客の成功事例や売れ筋商品をリアルタイムで共有し、互いに「いいね」やコメントで称賛し合う風土が形成されました。
その結果、店舗を越えた学びや気付きが広がり、本部からのブランドメッセージも全員に浸透。スタッフのエンゲージメントが高まっただけでなく、「自分がブランドを支えている」という意識が芽生え、協働によるブランド価値の向上へとつながっています。
参考:全国の百貨店に展開する「FEILER」店舗の壁を超えたコミュニケーションでブランド力向上を目指す | TUNAG(ツナグ)
組織貢献を高めるためにDXの推進を
組織貢献を高めるには、従業員一人一人の意識改革だけでなく、それを支える仕組みづくりも欠かせません。
従業員が「この会社にもっと貢献したい」と思えるような環境を整えるには、理念の浸透や称賛文化の定着、情報共有の活性化といった取り組みを日常の中に自然に組み込む必要があります。その実現において、DXの活用はもはや欠かせない要素です。
TUNAG(ツナグ)は、そうした組織づくりを支援するために生まれたエンゲージメントプラットフォームです。社内SNS機能、サンクスカード、アンケート、掲示板などを通じて、従業員間のつながりを深め、理念や情報をダイレクトに届け、行動につなげることができます。
スマホ・PCどちらからでも利用でき、現場スタッフから本社まで誰もが参加しやすいのが特長です。
実際に多くの企業がTUNAGを活用し、組織貢献度とエンゲージメントの向上に成功しています。導入によって「従業員がつながり、自分の役割を実感し、前向きに行動する」企業文化が根付き、離職防止やブランド力の強化といった副次的な効果も生まれています。
良い制度や理念を設計しても、浸透しなければ意味がありません。TUNAGのようなツールがあれば、それらを日常の中に自然に根付かせ、従業員自らが動き出す組織へと変わっていけるはずです。