エンゲージメントサーベイの活用事例!おすすめの質問項目例やツールを比較


エンゲージメントサーベイとは?2種類に大別して比較
エンゲージメントサーベイは、従業員のモチベーションやコミットメントを測定するための調査手法です。このサーベイは、弊社・株式会社スタメンでは大きく2つのタイプに分けています。それぞれの特徴と目的について詳しく見ていきましょう。
パルスサーベイ
パルスサーベイは、従業員一人一人の現在の状態や感じていることをリアルタイムで把握するための調査です。このサーベイの特徴は、短期間のスパンで行われることです。具体的には、週一回や月一回といった頻度で実施されます。この結果をもとに、管理職はマネジメントの方法を見直したり、人事部門が従業員のフォローを行うことができます。
そもそも「パルス(pulse)」は、日本語で脈拍を意味します。人が脈拍をチェックし、自分の健康状態を確認するように、組織と個人の関係性の健全度合を測ることを目的としています。
組織サーベイ
組織サーベイは、会社全体や特定の部署の状態を把握するための調査です。このサーベイは長期的なスパンで行われることが特徴で、半年に一回や年に一回といった頻度で実施されます。組織サーベイの結果をもとに、組織の課題や優先順位を明確にし、具体的な改善施策を決定することができます。
社内に複数の組織課題があるとき、どこから取り組めば良いのかわからないという企業も多いのではないでしょうか。そんなときにも、エンゲージメントサーベイが役に立ちます。
ビジョン浸透やコミュニケーションなど、各組織課題の状態を数値で把握することができるので、どこから着手するのが良いかという優先順位づけがしやすくなります。
スタメンの『TERAS』では組織サーベイを支援します
TERASは従業員1人1人の状態把握のためのツールではなく組織単位のエンゲージメントの診断・改善に特化したサービスです。
一般的な従業員満足度調査やサーベイツールとは違い、TERASでは部署やチーム、会社単位でのエンゲージメントスコアを診断します。そのため個人のモチベーションや、プライベートな部分にも左右されがちな調査とは異なり、組織全体で抱えている課題を可視化できます。
診断後の改善施策においても、組織全体をターゲットにした施策を設計・実行できるため、組織に与えるインパクトが大きくなります。
エンゲージメントサーベイに潜む3つの注意点(デメリット)
エンゲージメントサーベイによくある失敗や注意点を知っておくことで、何に気をつければ良いのかが分かり、安心かつ慎重に行動に移すことができます。ここでは、エンゲージメントサーベイに潜む注意点(デメリット)についていくつか紹介します。
1. 調査結果を活用するのが難しい
エンゲージメントサーベイを実施するだけで、自然に組織が良くなるということはありません。結果を分析し、どうすれば組織課題の解決に繋がるのかを考え、施策や取り組みを実施していく必要があります。
ツールの導入を検討する際は、サーベイの実施だけでなく、結果の分析や施策の考案が容易かどうかも重要なポイントとなります。サーベイを実施すること自体が目的にならないよう、ゴールとして、「どんな組織状態になるためにやるのか」という目標を決めて、そこから逆算してサーベイを設計し実施することが大切です。
また、自社の組織内の変化に焦点を当てて、調査結果を活用することも重要です。
例えば、「今はリモートワークだから、この数値が下がるのは想定内だ」「前回の結果を受けて施策をやったけど該当する数値が思うように上昇していない。何故だろう」といった観点で結果を見ることが重要です。
組織を取り巻く様々な要因によって、数値は変動します。数値の変動に一喜一憂するのではなく、自社の組織の変化に集中するのが良いでしょう。
2.「無駄」「意味がない」などと不満を抱かれる場合がある
あまりに実施の頻度が高いと、従業員にとってストレスになる可能性があります。また、実施しているのに結果が現場まで共有されなかったり、結果を受けて会社として何をやるのかを発信しないと、従業員の不満につながりかねません。
エンゲージメントサーベイは年に数回の実施が一般的ですが、自社の業態や繁忙期、企業文化などを踏まえて適切な頻度で実施しましょう。そして、実施後には必ず現場に結果の共有やそれを受けて何を変えるか発信するようにしましょう。
3.ツールを利用する場合にはコストがかかる
エンゲージメントサーベイの専用サービスを利用する場合は、導入に費用がかかります。また、導入後も質問の設計、社内での周知、実施と集計、分析などの運用工数がかかります。
実施する場合は費用がどれくらいかかるのか、運用体制として誰が何を担当するのか、などを明確にすることが重要です。
エンゲージメントサーベイ実施の3つのメリット
1. 従業員のパフォーマンスや生産性向上につながる
エンゲージメントサーベイの結果をもとに、従業員に向けて実施している人事施策を継続したり改善したり、新しく作ることができ、それが従業員のパフォーマンスや生産性の向上につながります。
2.離職率低下・定着率向上につながる
組織課題は早期に発見し対応していくことが非常に重要です。例えば離職の問題も、従業員が悩んだり不満を感じていることに早めに気づけば手を打って離職を防止できますが、離職してから問題があったことに気づくのでは手遅れです。
そうした組織課題の予防や前兆把握にも、エンゲージメントサーベイが役立ちます。
エンゲージメントサーベイと離職率の相関を調べることで、「この部署は特に離職が多い」「この店舗は定着率が高い」などの傾向を掴むことができます。傾向をもとに離職予防や新入社員の定着に取り組んでいけます。
さらに、エンゲージメントが向上すれば従業員に「良い会社だから周りに紹介したい」と思ってもらうことができ、リファラル採用(紹介採用)にもつながります。
3.人事トラブルの予防につながる
社内での人事施策の効果を数値化し、その改善方法を検討することで、人事トラブルを予防することが可能です。エンゲージメントサーベイは、施策の効果測定や改善のためのツールとしても活用できます。
エンゲージメントサーベイの実施の8つのステップ
実際にエンゲージメントサーベイに取り組もうと思っている企業は、下記の流れで実施できます。この流れは、利用するツールや方法が変わっても、大きく変わることはありません。
それぞれのポイントに注意してみてください。
1.目的を整理する
エンゲージメントサーベイは使い方次第ではエンゲージメント向上の有効な手段ですが、「サーベイを実施するだけで自然と会社が良くなる」ということはありません。
あくまで、「組織課題を定量的に把握し、社内施策に活かす」「課題の早期発見や前兆把握」「人事施策の効果測定・改善」のための手段であることを前提に、自社でエンゲージメントサーベイをする目的は何なのかを初めに整理しましょう。
2.実施のタイミングと頻度を決める
エンゲージメントサーベイは、目的に応じて最適なタイミングも異なります。例えば、以下のようなイメージです。
例)期末など組織体制や仕組みが大きく変わるタイミングがあり、従業員のエンゲージメントの変化を読み取りたい
→組織が変わった直後とその2〜3ヶ月後に同じ診断をして比較することで、体制変更後の状態を把握可能
例)来期に向けて、組織の現状や課題をを把握したい
→体制変更の少し前に計画的に実施し、打ち手を検討
また、頻度についても月に1回などの頻度だと回答する従業員側も調査をまとめる側も負担になりやすいです。エンゲージメントサーベイや組織診断というよりは、従業員個人のコンディションを把握する「パルスサーベイ」に近くなります。
目的に応じて、年に数回などの適切な頻度で実施することが必要です。
3.質問項目を設計する
調査を意味のあるものにしたいなら、質問文を誰が読んでも解釈が分かれないような明確なものに設計する必要があります。
例えば、「あなたは会社の方針を理解していますか?」という質問文だと、「経営方針」「事業方針」どちらで答えれば良いのかわからず、従業員の間で解釈が分かれる恐れがあります。また、「あなたの上司について当てはまるものを教えてください」という質問文だけでは、「上司」が誰のことを指すのか曖昧になってしまいます。
このように質問文の解釈が分かれると、従業員に一律の質問ができていないことになり、組織状態を正確に把握できません。よって解釈が分かれないように、明確な質問文にすることが重要です。
質問が設計できたら、従業員が回答できるようフォーマットに落とし込んでいきます。集計や分析の手間を考えると、紙ではなくインターネット上で回答できるようにするのがおすすめです。特に、スマートフォンで回答できるサービスを使えば従業員も回答しやすくなります。
4.社内で周知する
調査を実施する前に、必ず社内で周知を徹底しましょう。
その際、「いついつにエンゲージメントサーベイを実施します」という内容だけでなく、「なぜやるのか」「従業員にとってどんなメリットがあるのか」もセットで伝えるようにしましょう。
5.実施
社内での周知ができたら、いよいよエンゲージメントサーベイを実施します。
インターネット上で回答できるタイプであれば、回答ページのURLを送る、QRコードを張り出すなど、自社や各部署に合った形で回答場所に誘導しましょう。
また、多くの場合エンゲージメントサーベイの回答期間には幅を持たせます。業務や出勤日との兼ね合いで、全員が一斉に回答することは難しいからです。期間がしばらくある場合は、必要に応じてリマインドをするようにして、従業員による回答忘れがないようにしましょう。
6.調査結果を分析する
結果が出たら、数字をもとに組織の状態を読み解きます。このとき、「数値結果の良し悪しだけでなく、変化量や要因を理解するか」がポイントです。
例えば、「今はリモートワークだから、この数値がこれくらい下がるのは納得だね」「前回の結果を受けて施策をやったけど、該当する数値が思うように上昇していない。何故だろう。どう改善しようか」といった観点で結果を見ることが重要です。
組織は変化しますし、外部環境も変化します。数値の変動自体は自然なことです。数値の変動に一喜一憂するのではなく、「どれくらい変動したのか」「なぜ変動したのか」を理解し、評価を下すことが重要です。
7.結果をフィードバックする
エンゲージメントサーベイの結果が出たら、必ず現場の従業員にまでフィードバックをするようにします。「こういう結果だからこういう施策を検討しています」という説明をするのが重要です。
結果が出ても現場に共有しておらず、人事や経営側だけで見ているケースが意外に多いですが、結果を共有せずにその打ち手となる施策を行おうとしても、現場の従業員にとって納得感がなく、「また面倒なことを始めるつもりだな」と不満につながりかねません。
全社で伝える機会が難しければ、部門ごとや部署ごと、拠点ごとなどでも構わないので、必ず現場に結果をフィードバックしましょう。
8.改善施策を継続して行う
エンゲージメントサーベイを上手く活用できる会社は「あくまでサーベイは手段」「その後の打ち手や改善活動が重要」と理解しています。一方で、活用できない会社はエンゲージメントサーベイのゴールを「調査を実施すること」「結果を分析すること」にしています。
サーベイを実施したら、その結果をもとに「課題解決のための打ち手の実行」まで行いましょう。また、打ち手は単発で終わらせるのではなく、PDCAをまわしながら半年や一年のスパンで続けていくのがポイントです。
エンゲージメントサーベイのサービスの選び方
エンゲージメントサーベイのサービスはさまざまな企業が出しています。自社で実施する場合とサービスを使う場合の比較や、サービスの選び方として見るべきポイントをご紹介します。
自社で実施する場合について
エンゲージメントサーベイは、自社で実施することもできます。
自社で作成することで実施や集計、分析の手間はかかりやすいですが、質問項目をよりオリジナルで設計しやすいのがメリットです。
もしコストをかけたくない場合や、いきなりサービスを導入するのはちょっと・・・という場合は、自社で設計するという手段もあります。
この記事の「エンゲージメントサーベイの質問項目」の部分も参考に、質問項目を設計してみてください。
専門サービスを使う場合のメリット
自社でゼロから設計するのではなく、コストがかかっても良いから設計や分析の手間をなくしたい。そんな場合は、企業が提供しているエンゲージメントサーベイの専用サービスを活用するのがおすすめです。
また、エンゲージメントサーベイの専門サービスとしてたくさんの組織の診断に携わってきています。サービスによっては、豊富な分析ノウハウをもとに自社で分析がしやすい機能が用意されていたり、分析結果をもとにした打ち手の設計までサポートしてくれるものもあります。
本格的にエンゲージメントサーベイに取り組みたいという場合も、専門サービスを利用するのが良いでしょう。
エンゲージメントサーベイサービスの選び方の5つのポイント
エンゲージメントサーベイのサービスを選ぶときは、以下のポイントを確認するのがおすすめです。
1. 質問項目の内容が目的に合っているか?
サービスによって、質問内容には違いがあります。実際の質問内容を見せてもらうなどして、エンゲージメントサーベイ実施の目的が果たせるか必ず確認しましょう。
2.質問数が多すぎないか? 回答に時間がかかりすぎないか?
質問数があまりに多かったり、回答に時間がかかりすぎると、従業員の負担となります。可能であれば実際にお試しで回答させてもらって、質問数や回答時間をチェックしましょう。
3.部署や役職、その他の属性で分析ができるか?
組織課題の把握と言っても、組織全体の数値を眺めているだけではわからないこともあります。部署や役職、勤続年数、拠点などによってデータを切り出して見ることができるかが重要です。
4.過去データとの比較ができるか?
エンゲージメントサーベイは、年に数回実施しながら数値の推移や変化を見ることも多いです。以前実施した際のデータと比較して分析がしやすいかも、ぜひ確認しましょう。
5.結果をもとに打ち手のサポートまでしてくれるか?
何度も書いている通り、エンゲージメントサーベイは「やって終わり」ではなく、改善活動まで回すことで、初めて組織課題の解決につながります。もし結果が出た後の改善施策までサポートしてくれるサービスがあれば、ぜひ検討して見るのが良いでしょう。
エンゲージメントサーベイの効果的な質問項目事例
エンゲージメントサーベイの会社での活用事例
実際にエンゲージメントサーベイを活用している企業の事例をいくつか紹介します。
オムロンの事例
オムロングループでは、2016年よりエンゲージメントサーベイ「VOICE」を実施しています。「経営陣が社会的課題の解決に取り組む社員の生の声を聴き、経営課題を特定しアクションを起こすこと」が目的です。
例えば2021年に実施した調査では、「業務効率性改善に向けたアクションの継続」「新たに顕在化したパフォーマンスマネジメントの課題」について従業員から声が寄せられ、会社として2021年度にIT基幹システムの刷新やマネージャーのフィードバック力向上の取り組みを推進しました。
参照元:従業員との対話 | ステークホルダー エンゲージメント | サステナビリティ | オムロン
味の素の事例
味の素グループでは、従業員エンゲージメントのスコアを中期経営計画のKPIの一つとして設定し、エンゲージメント向上に取り組んでいます。
エンゲージメントサーベイは、「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)の自分ごと化」のサイクルがうまく回っているかどうかのモニタリング機能を担う位置付けになっています。サーベイの結果を経営陣に共有し、会社としてさらなる改善に取り組んでいくというサイクルです。
参照元:
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/pdf/2018/SDB2018_P5-6.pdf
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/csr/pdf/2020/SDB2020jp_050-056.pdf
エンゲージメントと従業員満足度の違いは?
ここ数年で「エンゲージメント」に注目が集まっています。新型コロナウイルスの感染拡大やリモートワークへの移行により、コミュニケーション・離職率・生産性などへも影響が懸念され、エンゲージメントはさらに注目されています。
今回は、エンゲージメントの向上に取り組める「エンゲージメントサーベイ(従業員エンゲージメント診断)」についてご紹介します。
エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、経営者をはじめとするすべての従業員が信頼関係で結ばれた状態をいいます。
エンゲージメント(英語:engagement)の言葉の意味は、直訳でいうと「婚約」、「契約」という意味ですが、ビジネス用語としてのエンゲージメントとは、「企業や商品などへの愛着心」という意味などで使われています。
※弊社サービスTUNAGでは、会社と従業員、従業員同士の信頼関係の構築が、エンゲージメントの基盤であると定義しています。
エンゲージメントを高めることで会社と従業員の間には強い信頼関係が生まれ、従業員同士の間にも同様に信頼関係がしっかり築かれている状態となり、従業員のパフォーマンス向上や離職率低下などの効果が期待できます。
エンゲージメントと従業員満足度の違い
エンゲージメントと混同されがちな概念に「従業員満足度」があります。
「従業員満足度調査」とは、会社が用意している待遇に対する従業員の「満足度」を調査するものです。給与額、休暇日数、福利厚生などに対して、従業員がどれだけ満足しているかの度合いを調査し、その改善につなげるという施策です。
ただし、従業員満足度の向上は必ずしも組織課題の解決につながりません。「給料や福利厚生には満足しているけど、経営や会社に不満を感じている」という社員もいます。また、従業員満足度は会社から与えられるものの上に成り立っているため、何らかの理由で待遇を維持できなくなった場合、満足度は容易に下がってしまうリスクがあります。従業員満足度に注力するだけでは、強い組織づくりは難しいと言われています。
一方、エンゲージメントが高い従業員が増えると、信頼関係で結ばれた土台ができあがり、新型コロナウイルスの流行のような外部環境の変化があったときでも、会社と従業員が支え合う強さにつながります。
感覚的に捉えてしまいがちな「関係性」や「信頼」の部分を定量的に把握することで、正確に現状を把握できるのがエンゲージメントサーベイの重要性の一つです。
エンゲージメントが高い企業は、離職率も減る傾向にあるといわれており、離職率が低くなれば採用費を抑え、その分の費用を従業員への待遇に還元することもできるので、結果的に従業員満足度にもつながると言えます。
エンゲージメントサーベイが注目され4つの理由・背景
多くの企業が取り組み始めているエンゲージメントサーベイ。注目されている理由についても簡単に紹介します。
1.人材の流動化
人材の流動化が進んだ現在、採用・教育のコストを考えると会社としては「採用した従業員にいかに長く働いてもらうか」を考える必要があります。
従業員に長く働いてもらうために、エンゲージメントを調査して離職予防などに取り組む企業が多くなっています。
2.人的資本経営への取り組み
ここ数年で話題となっている「人的資本経営」も、エンゲージメントサーベイが注目される理由の一つです。
人的資本経営が注目を集めるきっかけとなった人材版伊藤レポートでは、人的資本経営に必要な取り組みとして従業員エンゲージメントが挙げられており、人的資本経営への取り組みとしてエンゲージメントサーベイに取り組む企業も今後ますます増えてきそうです。
3.リモートワークなど新しい働き方の普及
新型コロナウイルスの流行や働き方改革によってリモートワークが普及した結果、会社としては従業員の感情や心理状態が分かりづらくなりました。
これまでは顔を合わせる中で「今日は調子が良さそう」「何だか最近元気がないな」と感じ取れていた従業員の様子が分かりづらくなり、エンゲージメントサーベイに取り組む企業も増えています。
4.人事の役割の拡大
以前と比べて人事の役割が拡大し、人事が経営側と連携しながら組織開発を行う際に定量的な結果が必要になったことも一つの理由です。
人材の流動化や働き方の多様化が進む現代社会では、人事には従来の採用・教育のみならず、定着支援や組織開発といった領域まで期待されるようになっています。こうした領域について人事が経営側と連携しようとしたとき、組織状態が分かるエンゲージメントサーベイのような定量的な調査結果が役立ちます。
サーベイは、その瞬間の組織の状態を示すもの
把握だけでは、PDCAサイクルはまわらない
“現状把握をして、目標設定をする。そして進捗管理を行うPDCAサイクルを作り出すことが、組織改善への最も効果的なアプローチです!”と説明を受けたことがあるのではないでしょうか。しかし、本当にPDCAサイクルは実施できるのでしょうか。
ステップ1:現状把握
現状把握のためにサーベイを実施しますが、実施には下記のような工程があります。・調査期間 ・集計 ・分析 ・レビューざっと見積もっても調査開始から1ヶ月はみたほうがいいでしょう。特に分析とレビューはその粒度にも寄りますが、調査会社からの結果のフィードバックをもらい、社内考察を付け加えて経営陣にレビューされるのが一般的な流れです。そうすると1ヶ月は最低でもかかるでしょう。
ステップ2:目標設定
レビューを元に、対処すべき箇所の特定と改善の目標設定が行われます。会社全体の施策は当然ありますが、並行して部署やユニット単位での目標設定をする場合が多いのではないでしょうか。 そして目標達成のための具体的なアクションも決めることになるでしょう。目標設定と改善アクションが決まるまでには、おおよそ1ヶ月前後はみたほうがよいですね。ステップ3:施策実施
一般的にサーベイ後のアクションプランとして定番なのが「1on1」と呼ばれる上司部下の個別面談です。面談のルールや議題などは課題に応じて変化していきますが、僕の出会ったサーベイ実施企業のすべてが「1on1」は漏れなく実施していました。 施策を実施する前に、従業員へ目的や背景の説明をしますので、スタートするまでには時間がかかります。また、実際に1on1を行う頻度は、月に1〜2回が多いと思います。ステップ4:進捗管理
アクションプランが各部署やユニットでしっかりと機能しているか、その進捗管理が必要です。月に1〜2回、確実に実施されている状態を作るには、2〜3ヶ月の運用期間をみるといいのではないでしょうか。 上記の通りに一連のPDCAサイクルのステップを洗い出してみました。 ……みなさんは、このサイクルで本当に組織の改善ができると思いますか? サーベイを実施した時点から施策が一定の運用状況になるまでに、既に約半年の期間を費やしているのです。常に変化する組織状態の中で、半年は長くないでしょうか。 僕は全く機能しているとは思えません。やればやるほど現場との温度感は広がっていくでしょう。なぜなら、会社が見た組織の状態は、すでに過去のものになっているのですから。サーベイからスタートすると、改善サイクルが長期化する
改善サイクルが長期化してしまうのは、スタートを「サーベイ」にしているからだともいえます。多くの企業は組織改善への第一ステップとして「組織の問題箇所」から探そうとしますが、よくよく考えてみると実はおかしな話なんです。 体調が悪く病院に診断を受けに行った時に、医師に「どこか痛む場所はありますか?」と聞かれて「いやそれがわからないんで、先生診察してください」と答えているようなものです。 体調が悪いのであれば、「頭痛」なのか「腹痛」なのか、該当する箇所くらいはわかります。これと同じように自分の会社なのに「問題がまったくわからない」という経営者はいないと思うんですよね。(少なくとも僕は一度もお会いしたことがないです)

「習慣になる施策」こそが、組織課題を改善する
施策を継続的に行い、習慣化させることが一番難しい
サーベイ実施から組織改善を始めようとすることに対して、組織改善のスピードが遅くなり、長期化することなどをお話しましたが、言いたいことは「サーベイだけに頼る組織課題改善へのアプローチ」は機能しないということです。 ここでキーワードとなるのは「習慣化」です。組織課題の改善は一朝一夕で叶うものではありません。そして一過性であっても意味がありません。これはダイエットの話によく似ています。 ご自身や周りの方でダイエットを実施されたことのある方を思い出してみてください。 有酸素運動を頑張り、食事制限を行い、目標達成しました!という話はよく聞きますよね。それ自体は大変素晴らしいことだとは思うのですが、1年以上その体重を維持し続けている方は少ないものです。(ダイエットあるあるですよね) 理由は明確で、ダイエットのために行った短期的な施策だからです。 その状態を作ることができたのは今までの習慣と異なること(一時的な運動や食事制限)をしたからです。再び元通りの生活習慣に戻ってしまえば、せっかく減った体重も元通りにリバウンドしてしまいます。 これと全く同じことが組織改善でも起こります。サーベイ結果をもとに、今までに取り組んでいない施策を(短期的に)実施してスコア(体重)の改善を目指す。目標達成後は通常ルーティンへと戻っていく。気付くとまた課題が生まれる……。これでは何も変わっていないことと同じです。 つまり、ダイエットも組織改善も習慣を変えることがとても大事だということです。一時的な対処で凌ぐような改善は、もう終わりにしませんか? しっかりと習慣を持続させ、自走し続ける方法こそが、組織課題を改善するたったひとつの正攻法なんです。
「習慣づくり=社内制度の運用」というアプローチ
TUNAGにあるのは、社内施策を習慣化できる仕組み
みなさんは「社内制度」と聞いて、どのようなイメージをお持ちになるでしょうか。「ユニークな社内制度」や「休日取得や福利厚生」、「年に一度やシーズナブルなもの」がイメージとしてあると思います。 TUNAGでは日次で行われる日報や、日々飛び交うサンクスメッセージ、社内報に近いコラムなど、様々な社内で施策されるもの“全てを包括”して「社内制度」と呼んでいます。 課題を改善するための、習慣づくりとして社内制度の運用をTUNAGでは徹底的に行っています。 例えば、導入企業様の多くが運用している社内制度に「サンクスメッセージ」があります。用途は様々ですが、称賛の文化形成を狙いとして運用されることがほとんどです。
施策の習慣化ができる、唯一の「社内制度プラットフォームサービス」
これはTUNAGが日本で唯一の「社内制度プラットフォームサービス」だからです。余談ですが、国内の企業のほぼすべてがこの「社内制度」の運用が上手くいっていません。むしろ社内制度の運用率が高い企業がエンゲージメント高いと言っても過言でないでしょう。 何度も繰り返しになってしまいますが、サーベイだけに頼るエンゲージメント施策は一時的な処置に過ぎません。習慣化する施策を打ち続けて、自走していく仕組みづくりをすることこそが根本的な解決へと向かいます。 サーベイで対処できるほど簡単なものでもなく、単発的なものでもありません。いつまで高額な費用投資をして、その場凌ぎの改善ばかりを繰り返していくのでしょうか。 社内制度を軸とした習慣づくりこそが、組織課題を改善するたったひとつの正攻法です。▼『TUNAG』について 『TUNAG』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。

エンゲージメントサーベイ「TERAS」の活用事例
エンゲージメントサーベイ「TERAS」の導入事例を紹介します。
登別立正学園
登別立正学園では、6つの異なる施設が存在し、それぞれの施設の特性や課題を明確に理解するために「TERAS」を導入しました。このツールを使用することで、組織の課題や強みを可視化することができ、カスタムダッシュボードを活用して詳細なアプローチを行うことができるようになりました。結果として、階層ごとの課題や求められるスキルが明確になり、組織内のコミュニケーションやエンゲージメントが向上しました。今後は、組織のエンゲージメントをさらに高め、職員の想いや頑張りを共有・認め合う文化を築くことを目指しています。
施設ごとにバラバラだった連絡ツールを一本化。自己肯定感を高め「長く働ける組織」を作る、登別立正学園のTUNAG活用法
株式会社光
株式会社光は、組織体制の変更を受けて、社内の組織状態を把握し、人事制度を改善するために「TERAS」を導入しました。このツールの導入により、組織の課題や改善すべき点を数字で可視化することができ、具体的なアクションを起こすための指針として活用しています。今後の展望としては、「人を大事にする会社」を目指し、社員間のコミュニケーションを活性化させ、組織の状況を定量的に把握することで、組織の成長を促進する方針を持っています。
月間10時間以上の時間削減を実現:社員が集まる情報共有プラットフォームを目指し、TUNAGを活用
TERASで提供したい価値とは
「2:6:2」の組織分布を可視化すること
TERASは、スタメンが提唱するエンゲージメント経営の可視化を実現する「組織診断サービス」です。従業員一人ひとりを数値化するわけではなく、期待や満足度合いを調査するのでもなく、「組織状態の可視化」を行います。
具体的にいうと、組織診断結果で『2:6:2』の組織分布が分かります。(図を参照ください)
では、この2:6:2の組織分布が可視化されることに、どのような意味があり、どんなことができるのでしょうか。
TUNAGのサービスにもリンクするのですが、組織を動かし、エンゲージメントを高めるためには、「中間層の6割」を動かすことが必要だと考えています。(※詳しくはこちらのコラムをご覧ください。)
そして、エンゲージメント向上は、一時的に取り組んでも効果は出ません。「持続可能なエンゲージメントを構築」することこそ、エンゲージメント経営を行ううえで重要だと考えています。
TERASでは組織を「上位」「中間」「下位」の3つに分布することで、中間層に対してどのようにアプローチすべきかを検討できるようになっています。
しかし、診断が正解だとは思っていない
ここまで診断のことを書いておいて、振り出しにもどるようですが……。エンゲージメント経営において、「診断」をすることだけが正解だとは思っていません。
なぜなら、診断をして組織状態を把握するだけでは、まだ何もアクションしていないのと同じだからです。
現状、診断結果を見て満足してしまうケースが非常に多いと感じています。また、診断結果だけを現場に渡して、終わりにしてしまっていないでしょうか。
重要なのは、診断の結果を踏まえて、「組織状態を改善するために効果的なアクション(施策)」をとることだと思っています。もちろん、組織状態を可視化できる点にはメリットがあり、お客様からのニーズもあります。
でも、そんなに長くこの組織診断ブームは続かないと思うんですよね。
診断した後に、結果を踏まえた「打ち手」がなければ意味がありません。診断をし続けているだけでは、本来「組織を改善していかなければならない」という目的を見失い、診断すること自体が目的になりかねません。
診断を続けることで、その「打ち手」につなげなければ意味が無いということを、みなさん気づき始めていますし、打ち手の実行につなげることをさらに重視するようになると思います。
TERASとTUNAGは、ともに活用することで最大の効果を発揮します。僕は、TERAS単体では、組織改善の実現は難しいと考えています。ですので、TERASで“組織状態を把握”したうえで、TUNAGで“最適な打ち手を運用する”ことがベストだと思っています。
TERASと他のサービスとの違い
TERASは「組織診断ツール」ですので、当然ですが、「診断」に特化しています。
何がわかるかというと、
・組織のエンゲージメント状態がわかる
・更にエンゲージメントを構成している4つの要素ごとにわかる
・組織に必要な8つ項目の課題がわかる
こんなことがわかるのが特徴です。
ただ、正直に言うと、このような点は、他の組織診断ツールでも同じようなことがわかります(笑)「2・6・2」の組織分布が分かる点で特徴はありますが、もう少し他の組織診断ツールとの違いをご紹介していきます。
1.「打ち手」を設計することを前提としてしていること
もともと、エンゲージメント診断は、TUNAGの中に無いサービスでした。サービスを提供するうえで、2018年頃に必要になると感じ、開発した経緯があります。検討した当時、記憶が定かでないですが、導入企業数は50〜60社くらいだったと思います。
TUNAGのサービスの流れ(組織改善のために、社内制度を運用すること)はしっかりとできていたので、エンゲージメント診断を開発するうえで考えたのは、「打ち手」につながる診断結果を出すことでした。
ですので、「打ち手を考えるための診断結果」が出るように、質問の構成が作られています。結果の項目には「理解・共感」や、「承認欲求」などが並びますが……、TUNAGを提供しているみなさんからすると、聞いただけでもいろいろな「社内制度」が浮かんできますよね。
2.未来を向いた組織づくりのために、TERASにこめた「思想」
『エンゲージメント状態の可視化』
この定義を定めて説明しろと言われると、みなさん困ると思います。なぜなら、エンゲージメント自体の定義が曖昧で、考え方も異なっているからです。
スタメンでは、エンゲージメントを「会社と従業員、および従業員同士の相互信頼関係」と定義しています。ですので、TERASは、簡単に「信頼関係を可視化したもの」と解釈するのが一番近いですね。
では、信頼関係とは何か?信頼関係を構成する要素はには、5つあげられます。これらの要素が分かるように、診断の質問項目に入れています。
似たような言葉に「信用」があります。「信用」は、過去の評価だといわれています。ローンとかがわかりやすいですね。その人の勤め先や勤続年数、年収、資産などから評価されますので、必ず数字で表すことができます。
一方で、「信頼」は未来に向かっているといわれています。過去のできごとを含めて、将来的な目線での行動や感情を指します。信頼貯金とか信頼残高という言葉がありますよね。言葉の通り、信頼を積み重ねた結果、未来への安心や期待を抱いてもらうということです。
スタメンにおいて、信頼関係の構築をエンゲージメントの定義とする理由も、より「未来」に目を向けた組織でありたいと思っているからです。
「組織診断ツール」との付き合い方
日本人は目に見えるものが好きなのか、今は組織診断ツール市場のブームの絶頂期なんだと思います。目に見えるものは安心感があり、比較もしやすいし、上がった下がったがわかりやすいですし。
しかし、数字とにらめっこを続けても、一向に組織が良くならないと気づき始めているはずです。仮に今、市場規模が2,400億だとしたら、10年後はどれくらいになっているでしょうか。
絶対、下がっていると思うんですよね。
では、斜陽化が進む市場なのになぜ組織診断ツールである『TERAS』を開発したのか?
それは、組織状態の改善のための打ち手をより“正確に”定めていくためです。TUNAGでいうと、「社内制度」をどのように設計し、どのように運用していけばいいかを、より正確に行うためです。
離職やコミュニケーション不足などの課題が見えていたとしても、その改善策は、会社の規模や業種・人数構成など、様々な要素によって無限に考えられますし、今の組織の状態に合わせて常に変えていくべきだと思っています。
そこで、『TERAS』は診断結果をベースに、より効果的に適切なアクションを起こせるようにしていくことが狙いでもあります。
エンゲージメントを高めるためのステップを、途中で止めないこと
エンゲージメントを高めていくためのステップを、スタメンでは以下のように設定しています。
① 組織の中に課題が発生します
② その課題を改善するために社内制度を設計します。
③ 施策を運用すると、施策に期待する効果がでます。
④ そこに、一工夫をして『見える化』をします。
⑤ そうすると、副次的にエンゲージメントが上がることになります。
これを、スタメンが実施しているサービスに当てはめてみます。
① TERAS
② TUNAG
『TERAS』は①のステップを担っていることが分かります。今の世の中的には、①を可視化することが流行っています。でも、次に待ち構えるのは②ですよね。
つまり、必然的に僕たちの得意領域(エンゲージメント経営コンサルティング)にマーケットが近づいてきてくれているともいえます。「診断の次に何をやるか」というところですね。
エンゲージメント経営のサイクルを網羅すること
これからは、「上記のサイクルをどれだけ組織の中で回していくか」「回し続けていく、仕組みやノウハウをもっているか」この2点で、大きく勝負が分かれる時代になってくると思っています。
スタメンは、エンゲージメントのプロフェッショナルとして、『TERAS』(診断)と『TUNAG』(アクション)を提供し、これからも企業のエンゲージメント経営を実現するためのお力添えを続けていきます。
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