POINT
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- 課題:施設ごとに連絡ツールが異なっていた
- 課題:連絡ツールを一本化し、入り口を一つにしたかった
- 運用:業務連絡・コミュニケーション全般をTUNAGに一本化
- 運用:組織診断やカスタムダッシュボードを打ち手のヒントに
- 運用:リレー形式で全員を巻き込み、エンゲージメント向上へ
- 効果:職員から自発的に意見が出るようになった
- 効果:関係性や時間、距離などが一気に縮まった
北海道登別市を中心に、保育園や学童保育施設など6施設を運営する登別立正学園様。「未来を羽ばたく6歳を育てる」「社会、世界で活躍する12歳を育てる」といった学園の理念を実現するため、職員が長く働ける組織作りを目指しています。
職員のエンゲージメントを高めるために、同学園ではどんな工夫をしているのか、その中で、TUNAG(ツナグ)をどう活用しているのか。理事長の木村義恭様と、海の子保育園園長 川野隼人様(以下敬称略)に伺いました。
▼登別立正学園様のTUNAG導入当初のインタビューはこちら
保育現場のICT化を推進し「保育の本質」を目指す – 「モチベーションを高めて気持ちをひとつにする」
導入前の課題
施設ごとに情報共有ツールが異なっており、一本化したかった
〜登別立正学園様では、TUNAG導入前にどういった課題をお持ちでしたか?〜
木村:施設が6つある中で、施設を超えて情報共有できるツールがありませんでした。私用のチャットツールで情報のやり取りをしているところもあれば、また別のチャットツールを使っているところもあって。6つの施設、120名の職員全員が、同じ思いで、温度差なく、タイムリーに情報を共有できるツールが必要だと感じていたんです。
川野:海の子保育園では主にメールツールで情報共有をしていたのですが、別の施設では別のツールを使っているので、他の施設にメールしても一向に返事が来ないといったすれ違いがありました。施設を越えた情報共有でミスマッチが起きないよう「入り口を一つにするツール」が欲しいと思っていたところ、TUNAGを知りました。
TUNAG導入の決め手
スマートフォンで使えて、情報をカテゴライズして発信できる
木村: 多くの職員は、スマートフォンを使うことが「当たり前」になっているので、スマートフォンで使えるツールを探しました。その中で、TUNAGは特別高いスキルがなくても使えて、自分たちに合わせて柔軟にカスタマイズできる点が非常によいと感じました。
TUNAGで一番魅力的なのは、「制度」で情報をカテゴライズして発信できる点です。例えば、「経営計画」という制度については、職員も「経営計画について発信しているからそういうスタンスで読もう」となると思うんですよね。我々が伝えたいことを発信できるシステムや設定があると思いました。
※理事長 木村様
TUNAGの運用方法・具体的な取り組み
入り口を一つに:業務連絡・コミュニケーション全般をTUNAGに一本化
川野:TUNAGは、業務関連だと日報、施設ごとの事務連絡とシフト管理、ヒヤリハット。ほかに、理事長からのメッセージや施設長のコラムなど、学園としての考えを一斉に配信して意思統一していくところで使っていますね。
特に日報では、各施設の取り組みや子どもたちの成長をピックアップして配信しています。コロナ禍で、各園で一緒に交流会をするとかはできなくなってしまいましたが、日報で画像や動画を通して「これができるようになった」「こんな方法を試してみたらすごくよかった」といったことをタイムリーに共有できています。先生方がそれを見ることで保育のヒントになったりとか、同期の先生がこんなに頑張っているんだから負けられないという意識改革になったりとか、そういった刺激をもらう存在にもなっているのが日報です。
※海の子保育園園長 川野様
川野:コミュニケーションについては、誕生日の方が投稿する制度を設けています。うちは想いがある職員がすごく多いので、以前は誕生日のメッセージが40件とか50件届いて一人ひとりに返信してたんですよね。本人が誕生日をゆっくり過ごせるためにも、皆さんにお礼を伝えつつ今後1年の抱負を発信するという制度を設けました。返信の負担をカバーしつつ、人となりを知れたりとか、今後の目標も知れてコミュニケーションの活性化に繋がるような形で運用しています。あとは、フォトリレーについてもコミュニケーションの取り組みとして実施しています。
〜実際の現場では、職員の方はどのようにTUNAGを使われていますか?〜
川野:基本的にスマホがメインで、業務中に事務連絡などで見ることはもちろんですし、子育てまっただ中の職員は、家に帰って子どもたちのお世話が終わったタイミングで、ホッとしたときにちょっとゆっくり見ようかなという方もいます。それぞれの生活様式に合わせた使い方ができていますね。チャットも非常に使いやすくて、必要なところで必要なグループだけ、必要な情報を必要なときに、と発信できるのはとてもいいところだなと思いますね。ただ、基本的にチャットは流れがちになってしまうので、とどめておきたい、記録に残したい内容は制度で投稿しています。
もともと情報共有の入り口を1つにしたくて導入したTUNAGですが、活用する中でさまざまな発展性があると気がつきました。ただのコミュニケーションツールや社内SNSではなく、情報を蓄積するデータベースのような役割も担えるんだなと。自分たちの理想に近づけるように制度を構築していける点が魅力です。
「TERAS」で組織診断、「カスタムダッシュボード」で詳細なアプローチ
※登別立正学園様では、組織状態を可視化して打ち手を設計する「
TERAS」(画像左)、TUNAG利用データを企業様ごとにカスタマイズして集計・グラフ化できる「
カスタムダッシュボード」(画像右)も活用しながら、エンゲージメント向上に取り組まれています。
川野:6つの施設はそれぞれ、職員の年齢層やかかわる子どもたちの人数、地域性が異なります。そうした中、どんな課題があるのかを明確化・言語化するために、組織診断や自己評価ができるものを探していたところ、TUNAGの担当の方からエンゲージメント診断ができる「TERAS」を紹介していただいて、導入した次第です。実際、TERASで診断を実施してみた中で、階層ごとにグルーピングして、階層ごとの課題や求められるスキルがかなり見えてきました。こうした部分をもっと細分化できるのではないかと思い、併せてカスタムダッシュボードも活用しています。
また、TUNAGを利用する中では、表立ってリアクションをしてくれる職員がいる一方で、既読・読了はしてくださっているけれども、もう一歩が出ない職員もいます。カスタムダッシュボードを用いることで、そうした職員に対してもアプローチする機会が作れるのではないかと思い、導入に至った次第です。
〜TERASはどのように活用されていますか?〜
川野:TERASの実施後、TUNAGの担当の方から結果の共有やいろいろと助言をいただきながら、理事長と私でどういう課題が見えてくるか細分化しました。それから施設長会議を設けまして、各施設の現状や課題を共有しました。現在は、それぞれの課題がわかってきたところで次の一手をどうするか、模索している状況です。
木村:人間それぞれ一人一人違っててもいいんだけれど、その違ってる部分をうまく組織の中で表現できているのか、これまでどうしても肌感覚だったと思うんですよね。それを可視化することで自分たちの課題を見つけ、強みを発見し、長く勤めてもらえる環境作りを進めていく。その人の承認欲求をしっかりとフォローしてあげることでエンゲージメントは強くなっていくんだろうなと感じています。
例えば、「うちの職員ってチームワークがいいよね」とか、「優しい職員が多いよね」というなんとなくの肌感覚はあっても、それを示す根拠って何ですかと言われたら明言できませんでした。それがTERASを使うことによって具体的に見えてくると思うんです。TERASというのは確かに課題も見えるけれども、強みを可視化できて、それをどう伸ばしていくのかが大切な気がしますし、それができるツールだと思いますね。
リレー形式で全員を巻き込んで運用し、エンゲージメントを高める
川野:管理者は理事長と私が担っています。「採用」「働き方改革」「コミュニケーション」といったさまざまなカテゴリーでは、各施設長をリーダーとし、その下に主幹教諭にも担当として入ってもらって発信する仕組みを作っています。
職員の人となりを知れるようなコミュニケーションのカテゴリーでは、3〜5年目くらいの若い職員に運用のアイデアを出してもらったり、直接運用にかかわってもらったりして、たくさんの先生方を巻き込めるようにしています。リレー形式で年に1〜2回は発信できるような仕組みも取り入れて、できるだけすべての職員が発信できる仕組みを模索しながら運用を進めています。
〜職員の皆さんが全員参加することを重視されているんですね〜
川野:私たちは学園みんながチームだと考えていて、みんなを巻き込むことが、チーム全体のエンゲージメントを高めることにつながってくるかなと思います。
誰かが発信したときに、些細な部分なんですけれどもスタンプやコメントでリアクションをすることで、「見てもらえたんだ」「私の投稿にこんなに良い反応をくれる先生がいっぱいいるんだ」と幸福感や喜びを感じられて、「またやってみたいな」という流れができていくので。子どもたちの成長と同じで、職員も少しずつ自己肯定感が高まったり組織愛が深まったりしていくと思いますので、誰もが投稿できるような仕組みを取り入れてきました。
担当者の伴走や、「エンゲージメントアカデミー」の他社事例
川野:僕自身そこまでPCに強いわけでもないですし、技術がすごくあるわけでもないんですが、常にTUNAGの担当の方が「これどうしますか?」「こういう方法がありますよ」と具体的なアドバイスをしてくれます。こちらから「こういうものを作っていきたいんですけど、どうしたらいいですか」と相談もできて、常に伴走してくださってありがたいです。
あとは「エンゲージメントアカデミー」が始まって、学びの機会もすごく増えましたし、同じような悩みを抱えてる企業さんとか、実際にTUNAGを使ってる企業さんの事例も紹介していただけてすごくありがたいなと思っています。エンゲージメントアワードへのエントリーのために関連する記事を読んだりとか、最近ですとカスタムダッシュボードの活用事例が紹介されていたので、他の企業さんはどういうふうに使っているのかなと参考にしています。
※登別立正学園様は、エンゲージメント向上に取り組むTUNAG導入企業の繋がり・学びの場である「
エンゲージメントアカデミー」に参加されています。
TUNAGの効果
職員から自発的に「こんな取り組みがしたい」と意見が出るように
川野:TUNAG導入前の課題であった、「入り口の一本化」はもちろん、最近では先生方から自発的に「こんな制度を作りたい」と意見が出るようになりました。例えば「動画マニュアルを作りたいので制度構築できますか?」というふうに、各園で「こんなことがしたい、そのためにTUNAGをこう使いたい」とTUNAGありきの考え方に変わってきて意見が出るようになったんです。
事務連絡、業務関連のツールとしてTUNAGが定着したことで、業務を効率的にやろうと思った時に「TUNAGにこんな制度があったらいいね」といった意見が出るようになったんだと思います。
木村:エンゲージメントを高めたい、コミュニケーションを活性化したいという想いは、たぶんどの企業・組織も同じだと思うんですよね。それに対していろいろツールも使っていると思います。ただ、「こういうツールを入れたから使ってね」と一方的な命令をするだけでは長続きしません。
気軽に触れてもらったり、「こんなに便利なんだ」「こんなに簡単なんだ」っていうところから入っていかないと長く続かないだろうということで、私たちが一番最初にやったのがスタンプコンテストだったんですよね。スタンプの利用率が一番高い施設には商品を用意して、ゲーム感覚でストレスなく浸透して、そのうちに「こんなこともできるんじゃないか」「こんな制度があったらいいね」とどんどん進化していったように思いますね。
職員同士の関係性や時間、距離などが一気に縮まった
〜コミュニケーション面で、実感されている効果や組織の変化はありますか?〜
木村:入社して間もない職員でも、TUNAGにログインすれば過去にどんなことが行われていたのか、施設で今どんなことが行われているか、その中で自分の立ち位置はどこなのか、簡単に触れられるようになりました。
これまでは誰かに聞いて、伝えてもらうまでのタイムラグがありましたし、入社したばかりの職員がいろいろ聞くのも難しかったでしょう。そういった意味では、TUNAGは職員の関係性や時間、距離などを一気に縮めてくれるツールだと感じています。
組織の目指す姿
経験豊富な職員がより長く働ける環境を構築したい
〜今後、登別立正学園様ではどのような組織を作っていきたいと考えていますか?〜
川野:「幼稚園の先生になりたい」「保育士になりたい」という夢を叶えて入ってきた職員に、「夢を追いかけてきてよかった」と思ってもらいたいです。登別立正学園だからこそ仕事の楽しさを実感できるし、充実感、達成感が得られる。先生方のそうした気持ちを大切にすることが、離職に繋がらずにずっとここにいてくれる一つの要因にもなるかなと思っています。TUNAGでそれぞれの想いや頑張りを共有したり、認め合う機会を創出したりできれば、長く働いてもらえることに繋がると思います。
TERASやカスタムダッシュボードは、組織の状態を見極めるための一つの手段として活用できると思っています。悩みを抱えていそうな職員がいたら先手を打って声をかけられるし、頑張っているのをきちんと評価できる。そうした活用をして、組織としてエンゲージメントを高めていきたいですね。
木村:我々には「未来を羽ばたく6歳を育てる」「社会、世界で活躍する12歳を育てる」といった大きな旗頭があります。それを実現するためには、経験豊富な先生方により長く働いていただいて、これまで培ってきた力を新しく入ってくる先生方に伝えてほしいと思っています。
長く働く中では出産や育児などライフステージの変化もあると思うので、しっかりサポートできる組織でありたいですし、それを応援するツールとしてTUNAGを活用していきたいです。TERASやカスタムダッシュボードも活用しながら、課題や成長のための取り組みを可視化して取り組んでいきたいと思っています。
〜木村様、川野様、お話しいただきありがとうございました!〜