2:6:2の法則 - 職場/組織のエンゲージメントを高めるために
2020年以降、コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、リモートワークへの移行を余儀なくされている企業も多いと思います。
リモートワークには、感染予防しながら業務できるだけでなく、通勤の手間が省けるなど、様々なメリットが存在します。
しかしその一方で、コミュニケーションの不足により、組織のエンゲージメントが下がってきていると感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、組織のエンゲージメントを高めるためのポイントとして、2:6:2の法則についてご紹介していきたいと思います。
エンゲージメントを高めることは、個別のマネジメントと似ている部分と、全く異なる部分と両側面あります。
組織マネジメントの上で有効な手段だとされているものでも、エンゲージメント向上の観点だと効果が薄かったり、個別アプローチでは効果があっても、組織という集合体へのアプローチでは効果が無かったりするため、同じようにできるものではありません。
2:6:2の法則はエンゲージメントにも当てはまる
2:6:2の法則とは?
パレートの法則から派生したのが一般的に言われる2:6:2の法則で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 一般的に、組織の構成比は、・「上位20%(意欲的に働く20%)」 ・「中位60%(普通に働く60%)」 ・「下位20%(怠け者 20%)」の、2:6:2に分かれるとされています。集団において、全体の2割の人間が意欲的に働き、6割が普通に働き、残りの2割が怠け者になる傾向が高いという法則です。 働きアリの例が有名かもしれませんね。
・ 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。 ・ 働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。 ・ よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。 ・ よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。 ・ よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。 ・ サボっているアリを排除しても、残り8割の中の2割がサボりはじめる。 ・ サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。この働きアリの例を組織エンゲージメントに置き換えると、組織のエンゲージメントの構成は2:6:2に分かれます。エンゲージメントが高い人が2割、普通の人が6割、低い人が2割という感じです。
エンゲージメントが低い層がいなくなっても、エンゲージメントは上がらない
「エンゲージメントが低い層が今多い。おそらく退職していくだろうから、来年からエンゲージント施策に着手していきたいと思っている」 このような話をよく聞きます。つまり解釈していくと……・現状はエンゲージメントの低い従業員が多い ・その低い集団が徐々に退職して抜けていくだろう ・新しく入社する従業員を中心にエンゲージメント施策を実施しよう ・そうすれば、全体的にエンゲージメントの高い組織になるということです。ただこれは大きな間違いだと僕は思っています。そして実際にこのようになった組織を見たことは一度もありません。 働きアリの例を元に解説すると、「2割のサボっているアリを排除すれば、後は意欲的に働くアリか普通にアリだけなるので、全体の生産性(捕食活動)が上がるのではないか」ということなのですが、実際は、サボっているアリの2割を排除すると、これまで良く働いていたり普通に働いていたアリの中から怠け者が出ます。 結果、エンゲージメント向上にはつながりません。
エンゲージメントが高い人たちを更に引き上げても変わらない
では、エンゲージメントの高い上位2割の人たちを集中的に育成したとします。その2割の人たちのエンゲージメントを上げることは比較的簡単です。そもそもエンゲージメントが高い状態なので。 ただ一方で、6割の普通の人たちや、2割の低い人たちとの温度差は、どんどん広がっていくことになります。 そうすると何が起こるかというと、エンゲージメントが高い2割の人たちが「ここでは物足りない」といって退職してしまう可能性があります。もしくは、組織の極端な2極化を招き、結果的に、全体としてはエンゲージメントが低下することも。 「会社に対して意欲的な層が抜けてしまった」「会社が二極化してしまいバラバラになってしまっている」 こうした事例もよく聞きますが、そのような企業のほとんどが間違ったエンゲージメント施策をしていることが多いように感じます。 なぜなら「エンゲージメントが高い層」に対して一生懸命施策を展開しているのみで、組織全体へのアプローチをしていないからです。 その代表例は「一般的な社内SNS」ではないでしょうか。あえて“一般的”と付け加えているのですが、社内SNSツールを利用している企業の利用率はだいたい2割程度といわれています。 そう、2割程度の利用率です。その2割が「エンゲージメントの高い層」に該当するのです。つまり、全体へ施策を投じているつもりが結果的に「エンゲージメントの高い層」2割への施策にしかなっていないのです。エンゲージメントを高めるには「6割の中間層」への施策を
エンゲージメントを高める方法で一番ベストな方法は「中間層の6割」にアプローチをすることだと考えています。中間層の引き上げしか、全体のエンゲージメントを高める方法はないと思っています。中間層を引き上げていくことで、高い上位2割の人たちを更に引き上げることもできます。 中間層の6割が引き上がることで、下位2割への影響度合いについては2パターンが考えられれます。1つは引っ張られて引き上がる。もう1つは中間層と下位層との差が開く。 どちらのパターンもありますが、中間と下位の差が開き、2極化をしても、結果として全体への影響度合いは下層の2割です。つまり、全体への影響力はそれほどないと考えていいと思います。6割の中間層へのアプローチを元に設計されたTUNAG(ツナグ)
このような考え方の元、TUNAG(ツナグ)は設計されたサービスです。TUNAG(ツナグ)は、6割の中間層へのアプローチを前提としています。その一番代表的な事例がTUNAG(ツナグ)の利用度合い示す数値である「ログイン率80%」という基準です。 上位層+中間層の合計値である80%以上の従業員に利用されるという基準を設定して、企業の活用度合いのジャッジをしています。そして、TUNAG(ツナグ)は多くの企業が80%以上のログイン率を出しています。この部分だけとっても「一般的なSNS」との違いは明確だと思います。 今回はTUNAG(ツナグ)の設計の考え方にあたる2:6:2の法則についてご紹介しました。次回は、今回お話した、「中間層への具体的なアプローチ方法」をご紹介していきたいと思います。 後編:2:6:2の法則 - 職場/組織のエンゲージメントを高めるために【後編】 【関連記事】 エンゲージメントとは?意味、効果、高める方法を解説▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。
中間層の6割のタイプは2つにわけられる
中間層の6割は、高い層と比べると低い、低い層と比べると高い。エンゲージメントの状態がその企業にとっての平均値の集団であるということがポイントです。 この層は大きくは2つに分けられると思っています。1.自ら平均値に位置したいタイプ 2.今は平均値に位置するタイプ
1.自ら平均値に位置したいタイプ
はじめに、自ら平均値に位置したいタイプ。この層のエンゲージメントを底上げるすることは非常にハードです。なぜならこの層の特徴は前後をよく観察している傾向が高く、自らが平均値に位置したいというニーズが強いからです。 底上げをしていくことに多少なりとも心理的ハードルがあり、時間を要するケースがあります。だからこそ、じわじわと組織全体のエンゲージメント度合いをあげていくことが求められます。 一方で、今の時代は、平均値に位置するタイプこそが、個人的には組織エンゲージメントを上げる起爆剤になり得ると考えています。2.今は平均値に位置するタイプ
このタイプは、エンゲージメントを育成していきやすい層です。あるきっかけを元に、本来の自分が持っている能力や魅力を開花させて成長していくケースが多いです。 いままで平均的なパフォーマンスだった従業員が短期間に急成長をしていき、一気にハイパフォーマーになるケースがあります。そういった方がこのタイプに当てはまります。 このタイプのきっかけになるのが、周囲との相互のエンゲージメント度合いであると僕は思っています。 新卒1年目の社員が一気に成長し、チームリーダーに抜擢されたケースがあります。入社前のインターンも実施していたのですが、順風満帆に成長したわけではありませんでした。どちらかというと良くも悪くも平均的なパフォーマンスだったと記憶しています。 ところが、ある時期を境に、急激に成長し、一気にチームリーダーに抜擢され、組織を牽引する存在となりました。その時の過程を振り返ると、明らかに会社や周囲に対してのエンゲージメントが構築されていき、成長とともにエンゲージメントも高まり、行動が変わっていったのです。 その過程のプロセスを振り返ると『知る・理解する・共感する』というステップを通じてエンゲージメントが高まり、本来持っていた本人の能力や努力が開花していったと感じています。中間層の6割へのアプローチをしていくには、“社内制度”がベスト
中間層の中には、組織のキーマンが存在することもあります。上位2割に位置するエンゲージメントの高い層はハイパフォーマーであることには間違いはないのですが、組織全体の活性化という観点でいくとそうでないケースもあります。 意外に中間層の中にキーマンがいたりするのも事実です。ここでいうキーマンとはコミュニケーションのハブ(結節点)となっているケースです。逆説的ですが、キーマンの多いこの中間層のエンゲージメントが低下すると、組織全体で下降していくケースがあると考えています。 このように実は中間層の6割へのアプローチは、極めてセンシティブなものです。センシティブなものである、という点で、アプローチ方法は“社内制度”がベストだと考えています。その理由を次にご紹介いたします。社内制度には、必要な要素が集約されている
社内制度が中間層の6割に対して効果的なアプローチとなり得る理由は2つあります。 ※TUNAG(ツナグ)では、会社内で実施されるあらゆる制度、施策などを総称して「社内制度」と表現しています。1. 社内制度は「知るきっかけ」を無理なく提供することができる 2. 利用しないといけないという建前づくりができる
1.社内制度は知るきっかけを無理なく提供することができる
まずは、「知るきっかけ」を継続的に作り続けることが社内制度の魅力です。「知るきっかけ」を作ることは、社内制度でなくても実施は可能です。ただ、継続性を持たせていくことができる方法としては、社内制度の形をとる以外に少ないのではないでしょうか。 例えば、毎月入社した人が全社へ自己紹介することを会社のルーティンの制度として設けたり、毎月一つの部署にフォーカスした社内報コンテンツを展開することも一つです。 これらは、毎月、毎週と、サイクルを設定して実施することができます。こういった展開を行うことができるのは、“社内制度”という仕組みをとっているからこそです。 また、見落としがちな視点ですが、社内制度は“業務からは切り離された存在”であるということです。仮に、業務メールにて、社長さんのコラムを毎週やられている企業があったとします。だいたい既読率は20%くらいでしょう。メールなので埋もれてしまうというケースもありますが、一番大きな理由は“心理的ハードル”です。 業務の延長線上でそのメールを受け取ってしまうと、仕事自体に影響が出てしまいます。心理的に業務から切り離した状態を作ることも必要です。 そういう意味でも社内制度は、社内で業務から切り離されたところで運用されている存在であることもポイントなのです。2.利用しないといけないという建前づくりができる
中間層の心理的に、「積極的に自ら行動する」ということは、非常に難易度が高いものです。上位層の2割は放っておいても勝手に行動しますが、中間層は行動まで踏み切れないことが多くあります。 その中間層に対して、「一歩踏み出させる」効果を期待できるのが社内制度です。社内制度はその特性上、会社が主導で運用するものですので、「利用しないといけない」状況を作り出すことも可能です。 我々はそれを「マイルドな強制力」と表現しているのですが、無理やり実施させる強制力は無く、会社の制度ですのでもう少しニュアンスはやんわりとします。どちらかといえばやることが当たり前で、実施しないといけないという心理的状況を作りやすいものです。 上記の理由が、中間層の一歩踏み出すための「建前」となり制度利用を促します。もともと中間層は、周囲への観察力に優れており、かつ、周りからはみ出てしまうことを極端に嫌がります。 自主的なものであれば、手が挙がる可能性は低いですが、社内制度となると真逆に作用します。「やらないとはみ出てしまう」という状況になり、制度利用をすることが平均的になるのです。 おそらくですが、会社への届け出などの提出率で一番高いのは、中間層ではないでしょうか。それと同じ効果を作ることができます。 TUNAG(ツナグ)では2:6:2の法則による、中間層へのアプローチ方法として社内制度が効果的であるという考え方から、国内で唯一の社内制度のプラットフォームとしてサービスを展開しています。 社内制度の運用は非常に難易度も高く、ノウハウもまだまだ少ない状況です。TUNAG(ツナグ)上では実に50万程の社内制度の利用事例があります。エンゲージメントを高めるための一つの解として、引き続き社内制度のプラットフォームの立ち位置を追求していきたいと思います。▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。