「女性活躍推進法」で企業は何をすべき?行動計画例や課題について
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女性活躍推進法とは
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律のこと
女性活躍推進法とは、“女性の職業生活における活躍の推進に関する法律”をいいます。平成27年8月28日に成立し、以下のように定められています。働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性が、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために、女性の活躍推進に向けた数値目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表や、女性の職業選択に資する情報の公表が事業主(※)に義務付けられます。※常時雇用する労働者が300人以下の民間企業等にあっては努力義務
301人以上の労働者を雇用する事業主は取り組みが義務付けされています
平成28年4月1日から、以下の3点について取り組みが義務付けされています。もしこの記事を読んでいるご担当の方の会社が301人以上の従業員が在籍している場合は、自社がこの届出を出しているのか、確認してみましょう。1.自社の女性の活躍状況の把握・課題分析 2.行動計画の策定・届出 3.情報公表届け出が済んでいる企業は、女性の活躍推進企業データベースにて、閲覧できるように公開されています。(誰でも見ることができます)2018年6月現在、9,205社登録されていますので、様々な企業の例を参考にすることが可能です。
女性活躍推進法の背景
将来の労働力不足を解決するため、女性が働ける環境をより整える必要がある
法律が成立した背景には、少子高齢化の影響で、将来の労働力が不足することが懸念されていることがあります。その問題を解決するために、女性が働く環境を整えていくことが必要です。しかし、女性が働くための環境を整備するには、まだまだ不足していることが多いのが現状です。 【関連記事】人手不足の背景とは?必要な対策は「社員が辞めない会社」づくり 厚労省の資料によると、働く女性の現状としてあげられている課題には以下があります。詳しくは、記事の後半に解説いたします。・就業を希望しながらも働いていない女性が約300万人 ・第一子出産を機に、約4割の女性が離職している ・出産、育児後に再就職する女性は、非正規雇用の割合が多い(約6割) ・管理職にあたる女性の割合が12.5%(平成27年)とまだまだ低いこれまでには、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、次世代育成対策推進法などにより、雇用における男女の均等推進や女性の社会進出を支援する対策がありました。 その次の段階として、女性の幅広い社会での活躍を推進していくことを目指しているのが今回の“女性活躍推進法”になります。
女性活躍のための支援や認定について
えるぼし認定
えるぼし認定企業とは、女性活躍推進法において企業が策定した行動計画のうち、取り組みの実施状況等が優良な企業について厚生労働大臣の認定受けた企業のことをいいます。 認定項目は以下の5つがあげられています。・採用 ・継続就業 ・労働時間等の働き方 ・管理職比率 ・多様なキャリアコース認定の評価は、基準を満たす項目に対して3段階あります。平成30年5月18日時点で認定企業は587社にのぼります。 参考:女性活躍推進法に基づく「えるぼし」企業46社認定しました! -義務企業の行動計画策定届出率は85.0%-
企業ブランディングにつながることがメリット
認定を受けた企業は、認定マークを商品や広告、名刺、求人広告などに使用することができます。そのやめ、女性の活躍を推進している優良企業として対外的にアピールできるメリットがあります。 また、各府省等の公共調達において、えるぼし認定企業は加点評価されるよう定められています。女性の活躍を推進している企業が優遇されるというメリットを出すことで、女性活躍推進に取り組む企業を増やすことを目指しています。女性活躍加速化助成金について
女性活躍加速化助成金とは、女性活躍推進法に基づき策定した数値目標や行動目標を達成した事業主に支給する助成金の制度です。▼対象となる目標・取り組みの例 ・女性の積極採用に関する目標 ・女性の配置・育成・教育訓練に関する目標 ・女性の積極登用・評価・昇進に関する目標 ・多様なキャリアコースに関する目標支給額はコースにより定められています。加速化Aコースと加速化Nコースの2種類あります。それぞれ30万円の支給額ですが、各条件をクリアする必要がありますので、事前に確認しておかなければいけません。 加速化Aコースは、取組目標を達成した中小企業が対象となります。加速化Nコースは、加速化Aコースの取組目標達成時からさらに3年以内に「数値目標」を達成し、その状況を公表した企業が対象となります。 大企業の場合は、女性活躍推進法に基づく認定取得を得るか、女性管理職比率が上昇し、業界平均以上であることが必要とされています。 具体的な例としては、以下のような目標があげられます。 参考:女性活躍加速化助成金のご案内
女性活躍推進法に基づき、企業が行うべきこととは
義務付けられている「3つのステップ」を実行する
では具体的に、女性活躍推進法に基づき、301人以上の企業が取り組まなければならないことは何でしょうか。それには、3つのステップが義務付けられており、PDCAを回していくことが必要です。1.状況把握と課題の分析
自社における現在の女性の活躍状況をまずは把握をする必要があり、4項目が定められています。・採用者に占める女性比率 ・勤続年数の男女差 ・労働時間の状況 ・管理職に占める女性比率その他にも任意項目がありますので、状況に応じて把握していく必要があります。これらを把握した上で、課題を分析していきます。
2.行動計画の策定、周知、公表、届出
1で得た分析結果に基づき、下記を行います。・行動計画の策定 ・労働者への周知 ・外部への公表 ・都道府県労働局への届出
3.女性の活躍に関する情報の公表
自社の女性活躍に関する取り組みや状況を公表します。女性の活躍を推進していることは、求職者など、対外的にも良い印象を持ってもらえるメリットがあります。 公表する情報は決められており、以下の項目を1つ以上選択する必要があります。情報については、年1回以上更新し、古い情報を載せたままにしないようにしましょう。・採用 ・継続就業・働き方改革 ・評価・登用 ・再チャレンジ(多様なキャリアコース)参考:女性活躍加速化助成金のご案内
企業が公開している行動計画事例
各企業が公表している行動計画は厚生労働省のサイトより閲覧することができます。ご紹介した3つのステップを進めるための参考としてご覧いただけます。カルビー株式会社
従業員の女性の割合に対して、女性管理職の割合が低いことが課題とされています。目標は管理職に占める女性割合を30%以上にすること。それに対する取り組みは2つあり、キャリア研修を実施し積極的な登用を働きかけること、女性の交流機会を設けキャリア支援をすることをあげています。 将来に対するキャリアイメージを形成したり、不安を取り除くため、女性同士が交流する機会を設けることを意識的に行っています。 参考:http://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/planfile/201603181515050817476_1.pdf昭和シェル石油株式会社
課題は管理職に占める女性の割合が低いことです。女性管理職の人数を2015年度比2倍以上(26人以上)とすることを目標にしています。それに対する取り組みは、以下の4つになります。・女性社員の育成 ・女性社員の前向きなマインドの醸成 ・柔軟な働き方の検討 ・活躍しやすい職場風土の醸成2014年に女性社員を対象にアンケートを実施し、2015年には女性ネットワークを作り、分科会や講演会を実施するなど、具体的な取り組みを行っています。
東急リバブル株式会社
東急リバブル株式会社では、2つの課題をあげています。・管理職に占める女性割合が低い ・将来管理職になりうる職掌に占める女性比率が低いその課題を解決するため、目標を3つ設定しています。
・管理職に占める女性割合比率 2020年 課長職5% 係長15% ・総合職の採用における女性割合30%以上 ・男性に対する助成平均勤続年数割合を70%以上対する取り組みとして、3つ設定しています。
・女性管理職育成プログラム設計・実施 ・女性社員の採用拡大に向けた情報開示 ・男女ともに長期的な活躍が実現できる仕組みづくり特徴は、女性だけでなく男性に対しても働きやすい取り組みを行っていることです。女性が働きやすい環境を整えるために、男性の働く環境の改善もこれからは必須になるでしょう。男女双方の職場環境改善に取り組んでいるかどうかは、女性活躍推進が一歩前に進んでいるかどうかを確認する一つのポイントになりそうです。