マニュアル作りが上手い人とは?下手な人との違いと作成のコツ
良いマニュアルは、必要な情報が過不足なく盛り込まれており、視覚的にも分かりやすいのが特徴です。マニュアル作りが苦手な人は、マニュアル作りが上手い人を参考にしましょう。作成のポイントや役立つサービスを紹介します。
マニュアル作りが上手い人の共通点とは?
マニュアルは、業務内容やルール、注意点などを分かりやすくまとめたものです。不慣れな人が作成すると、社内での運用が上手くいかず、形骸化する恐れがあります。
マニュアル作りにはいくつかのポイントがあります。まずは、「マニュアル作成が上手い」といわれる人には、どのような共通点があるのかを探りましょう。
ユーザーの視点を意識している
マニュアル作りが上手い人は、常にユーザー(利用者)の視点を意識しています。例えば、新入社員が使うマニュアルと中堅社員が使うマニュアルとでは、使用する用語や盛り込むべき内容の量が異なります。
ユーザーが新入社員であれば、専門用語はできるだけ分かりやすい言葉に変換し、作業手順は省略せずに記載する必要があるでしょう。ユーザーの立場や理解度を考慮しないマニュアルは混乱を招きやすく、すぐに活用されなくなる恐れがあります。
業務内容やワークフローを把握している
マニュアル作りが上手い人は、業務内容やワークフローを把握しているケースが大半です。重要ポイントや注意すべき箇所をよく理解しているため、過不足のないマニュアルが完成します。
一方で、新人担当者に任せれば、より客観的な立場でマニュアルが作成できるというメリットもあるため、マニュアル作成メンバーは、熟練担当者と新人担当者を2人1組にするのが望ましいでしょう。新人担当者がマニュアルを作成する際は、熟練担当者が監修を行います。
関係者へのヒアリングを徹底している
個人の経験や感覚に基づいたマニュアルは主観的になりやすく、重要ポイントが共有されなかったり、現場の実態に即していなかったりというケースが多くなるでしょう。
できるだけ多くの関係者にヒアリングし、具体的なフィードバックをもらうことで、ユーザーが求めているマニュアルを作れます。
また、社内外のさまざまなマニュアルに目を通した上で、「なぜこのマニュアルは使いやすいのか(使いにくいのか)」を分析することも重要です。
「マニュアルが分かりにくい」と言われる理由
苦労して作成したマニュアルなのに、ユーザーから「マニュアルが分かりにくい」と言われた経験はないでしょうか?自分の作ったマニュアルが以下のような特徴に当てはまっていないかをチェックしましょう。
情報が取捨選択されていない
マニュアル作りが下手な人は、情報の取捨選択が苦手です。マニュアルには、必要な情報を過不足なく盛り込む必要がありますが、業務に関する全ての情報を記載する必要はありません。
情報を詰め込みすぎると、要点や注意点が分かりにくく、自分が必要な情報にたどり着くまでに時間がかかります。
社歴が長い会社では、過去の似たようなマニュアルが乱立し、担当者がデータを管理しきれていないケースが少なくありません。全ての情報を洗い出し、必要な情報とそうでない情報を選別しましょう。
視覚的に分かりにくい
社内で活用されていないマニュアルの共通点として、視覚的に分かりにくいことが挙げられます。
- 文字が多い
- フォーマットが一定でない
- 区切りがない
- 具体的な作業内容だけで、全体像が書かれていない
必要な内容が盛り込まれていても、デザインに工夫がなければ、「見にくいマニュアル」になってしまうでしょう。
文字が多いマニュアルは、ユーザーに敬遠されるため、図・グラフ・動画を上手く活用しましょう。業務の目的や全体像が一目で分かるように、ワークフロー図を挿入するのも有効です。
情報が更新されていない
マニュアルは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直しをしてブラッシュアップする必要があります。情報が更新されていないマニュアルは、ユーザーの役に立たないばかりか、現場の混乱を招きかねません。
初回のマニュアル作成は完璧に作り込まず、定期的な更新と改善を前提にするのがポイントです。いつでも変更・追加ができるように、シンプルで分かりやすい内容に仕上げましょう。
マニュアルを改定する頻度は、企業ごとに異なります。半年ごと・1年ごとなど、見直しの時期を決めておくのが理想です。
活用されるマニュアルを作るには?
「マニュアル作りが上手くできない」と感じている人でも、いくつかのポイントを押さえるだけで、活用されるマニュアルを作れます。まずは、以下のような点を意識しましょう。
作成の目的とユーザーを明確にする
全ての業務に通用するマニュアルは存在しないため、いつ・誰が・どのような目的で使用するのかを明確にしなければなりません。
これらを曖昧にすると、内容の一貫性が保てない上、作成に多くの時間が費やされてしまいます。大枠を決めるときは、5W1Hを洗い出しましょう。5W1Hとは、以下の英単語の頭文字を取ったもので、情報を整理するのに役立ちます。
- Why:なぜ作成するのか
- What:何をするのか
- When:いつ行うのか
- Who:誰に向けたものか
- Where:どこで使うのか
必要な情報を引き出しやすくする
良いマニュアルは、必要な情報をすぐに引き出せるような工夫がなされています。見出しやタイトルを付けるだけでなく、目次を設定しましょう。
ポイントは、階層構造によって情報を整理することです。例えば、「商品の発送方法」という目次があれば、その配下に「作業の手順」や「準備するもの」といった目次を設定します。
「作業1」「作業2」などの抽象的なタイトルにせず、「通常操作」や「メンテナンス操作」など、一目で内容が分かるようにしましょう。
イレギュラー対応やクレーム事例を漏らさない
多くの人は、想定外の出来事が起きたときにマニュアルを確認します。業務マニュアルには、通常の業務内容のほかに、イレギュラー対応やクレーム事例などを漏らさず記載しましょう。「過去のトラブル事例」や「よくある質問」などの目次を付けると、情報検索がしやすくなります。
過去の事例やミスしやすいポイントを多く記載することで、ユーザーは自分で解決法を見いだせます。加えて、起こり得るトラブルが事前に分かるため、いざというときでも落ち着いて対応できるでしょう。
マニュアルの作成・共有に役立つサービス
マニュアルの作成・共有に役立つサービスには、「Officeツール」「Googleドキュメント・スプレッドシート」「マニュアル作成ツール」があります。特徴を理解し、自社に合ったサービスを選択しましょう。
Officeツール
Officeツールとは、主にExcel・Word・Powerpointを指します。Excelは、データの集計や分析に適しており、マニュアルに集計データを含める際に重宝します。
Wordは、文書作成に特化したツールで、見出しや目次の設定が簡単にできるのが特徴です。Powerpointを活用すれば、テキスト・画像・グラフ・データなどを盛り込んだ視認性の高いマニュアルが完成します。
Officeツールは、あらゆる企業で使われており、扱える人材が多いのがメリットです。一方で、マニュアル作成に特化していないため、マニュアルの品質は作成者のスキルに左右されます。
Googleドキュメント・スプレッドシート
Googleドキュメントは、文書ファイルをオンラインで編集・共有できるサービスです。編集履歴やコメントが残せるため、複数人での共同作業に最適でしょう。
Googleスプレッドシートは、Excelに近い機能を持ったサービスで、データの集計・分析・チェックリストの作成などに役立ちます。
Googleドキュメント・スプレッドシートのメリットは、アカウントさえ取得すれば無料で利用できる点です。リアルタイムで自動保存されるため、誰もが常に最新版を手にできます。ただし、マニュアル作成ツールに比べると、機能やデザインの面でやや物足りなさを感じるかもしれません。
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールとは、マニュアル作成に特化したクラウド型のサービスまたはソフトウェアを指します。
テンプレートが豊富で、誰でもデザイン性の高いマニュアルを作れるのが利点です。更新や管理、情報共有も簡単にできるため、担当者の業務効率化にもつながるでしょう。
ただし、自社に合わないツールを導入すると、使いこなせずにコストばかりがかさみます。導入時は、自社に必要な機能を洗い出し、複数社のサービスを比較する必要があります。
マニュアルの作成や運用に悩む企業におすすめなのが、組織改善のオールインワンツール「TUNAG」です。文字・動画・画像によるマニュアル作成機能が搭載されており、従業員はスマホ上で内容を閲覧できます。
ノンデスクワーカーである現場社員やアルバイトでも利用しやすく、組織の隅々にまで情報が行き届くのが強みです。
コツをつかめばマニュアル作成は上手くなる
良いマニュアルには無駄がなく、必要な情報がしっかり盛り込まれています。作成する前に、いつ・誰が・どのような目的で使うかを明確にすれば、記載すべき内容やデザイン、構成は自ずと決まってくるはずです。
マニュアル作成に苦手意識がある人は、マニュアル作りが上手い人を参考にするところからスタートしましょう。マニュアル作成に特化したツールを活用すれば、作業効率が向上するのはもとより、完成度がグッと高くなります。