レジリエンスとは?鍛える方法や組織づくりに取り入れる方法

レジリエンスという言葉を耳にした事はあるでしょうか? ポジティブ心理学の用語として使われていましたが、ストレスが多い現代社会ではこのレジリエンスが欠かせない要素として広く使われるようになりました。 今回は、社会に適応できる能力として注目されている「レジリエンス」についてご紹介いたします。 ⇒社内ポータル・SNS「TUNAG(ツナグ)」が3分で分かるサービス資料はこちら

レジリエンスとは

どんな逆境にも屈しない、柔軟な心

元々レジリエンスという言葉の意味は、跳ね返りや弾力、回復力などの意味合いを持ち、物理学の分野で使われていました。 その後、第二次世界大戦後の孤児について心理学者が研究したところ、(Freud,A.(1944,1973))辛く過酷な環境を生き抜いた戦争孤児が「不幸」のまま大人になった人と、逆境に打ち勝ち幸せになった人の違いとして、「辛い状況にも順応して、生き抜く回復力」を持ち合わせているということが分かり、ポジティブ心理学の世界で扱われるようになりました。 現在では、レジリエンスは「折れない、しなやかな心」というような、“逆境から立ち直り、適応できる能力”という意味合いで定義され、ビジネスやスポーツなど幅広く使われています。

レジリエンスが注目される理由

昨今でレジリエンスが注目されるようになった背景は、多くの企業がメンタルヘルスケアやストレスなどから来る労働環境への適応が問われるようになったことが1つの理由です。 世界保健機関(WHO)が2014年にまとめたリポートを参考に、約90ヶ国を比較したところ、日本は世界のワースト6に入るほど自殺率が高いことが分かっています。 長時間労働やパワハラなど様々な理由があり、現在企業側でも変化を問われる時代になってきました。 しかし、ただ働く環境を整えるだけでは改善につながりません。従業員自身の心がネガティブマインドのままでは、職場全体の雰囲気がよくならず、また別の理由で従業員が心身の病にかかったりする可能性があります。 そこで、従業員自身がレジリエンスを身につけ、社会と適応していく力がキーとなると考えられるようになりました。 2013年のダボス会議でも「レジリエンス」というキーワードが取り上げられ、一躍話題となっています。 テクノロジーの進歩、気候変動、温暖化、地球環境の変化など今後ビジネスをしていく上で、未来の不測の事態に対する推測は難しく、どんな環境でも適応すべき局面が訪れるといわれています。 これらの変化とそれを受けるダメージを糧に吸収し、新しい変化が出来るような柔軟な姿勢、「レジリエンス」が必要となる時代なのです。
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レジリエンスを身につけるメリット

1.自己評価を通じて成長する

人間はつい自分を過大・過小評価しがちです。レジリエンスの基本は自分を客観視する事に始まります。 自分を客観視することができるようになると、自己評価が正当に行えるようになり、物事を広い視野で考える事ができるようになります。 また、自己評価をしていくと、周囲と比べて自分に足りない部分を冷静に考える事ができ、自己研鑽にもつながり、成長を促します。

2.ストレスがたまりにくくなる

現代ではストレスを抱え倒れてしまい、社会復帰を果たせない人も増えています。 レジリエンスを身につける事で、ストレスを適度に受け流す事ができるようになるといわれています。その結果、自分で改善の方法を導き出す力も身につきます。 ストレスのない社会を作る事は難しいかもしれませんが、レジリエンス力を鍛える事はストレスに適応するのに有用だと考えられています。

3.人間関係の改善

仕事をしていると、多くの人が抱えているのが人間関係のストレス。レジリエンスによる柔軟な考え方を持つ事で、人間関係を良くしていこうと前向きに捉え、問題解決に導く力が身につくと言われています。

組織づくりやマネジメントにおいて、レジリエンスが果たす役割

つまづいても立ち直りが早く、強固な組織へ

ビジネスでは失敗から学ぶ事も多くあります。失敗して終わりではなく、そこから何を学び、何に活かすか。そしていかに早く立ち直るかが重要です。また、その経験をフィードバックし、メンバーの成長や事業の成長などに役立てる事も大切です。 レジリエンスが浸透している組織では、失敗から学び、立ち直る力もあるため、日々の行動量や行動の質を上げていくことができるでしょう。「失敗したけど、またトライしよう」「叱られたり辛いことも多いけど、なんとかなるさ」と前向きに捉えることができる人が増えると、チーム全体の雰囲気も良くなりそうですね。

ダイバーシティ・マネジメント

政府は外国人労働者の受け入れを増やす意向を示していますが、人材不足の日本では、外国人労働者の雇用や女性の活用などダイバーシティ・マネジメントは避けられない課題となってきます。 ダイバーシティの環境下では、年齢、性別、国籍などの違いで、個人の思考や価値観が多様化します。多様化に対応する方法として、組織内でレジリエンスを高めることが有効だと考えられています。 欧米ではすでに多くのグローバル企業がレジリエンスの理論に基づいた研修や組織づくり、人材育成などに注力しています。

想定外の事態にも即座に対応

期日に納品されない、納期が間に合わない、予期せぬクレーマーの対応……など、不測の事態が起こる事もしばしばあります。その度に動揺し、誰かを責めるだけでは何も解決ができません。 レジリエンスが身につけていれば、「起こってしまった事は仕方がない」と、落ち着いて対応することができます。そういった切り替えがすぐできることで、まずは目の前の課題を解決することに集中し、スピーディーな対応が可能となります。

レジリエンスを身につける方法

レジリエンスの思考は子供の頃の環境が大きく影響するといわれています。特に親から否定されてきた人はネガティブな思考を持ち続ける事が多いそうです。 過去の経験が、本人の物事の考え方や性格に影響しますが、今からでも日頃のマインドの持ち方で感情がコントロールできるようになります。レジリエンスを身につけるための方法を具体的に見ていきましょう。

自分の思考癖を把握する

レジリエンスを身につけるには、まずは自分の思考癖を把握する必要があります。マイナスな局面において、自分は一体どんな考えを持ってしまうのかを過去を振り返りながら見直してみましょう。 その際の注意点として、過去の自分を否定したり、責めたりするのではなく、ただただ受け止めるだけで構いません。まずはじっくりと内観してみましょう。
「どうせ私なんて…」 「あの時失敗したから、また失敗するかも…」 「上手くいかないのは私のせいじゃない…」
などネガティブな要素が出てくるという方は、自尊心が傷つけられた過去に影響を受けているかもしれません。しかし、そうなってしまった事を責めたり、誰かのせいにするのではなく、将来のために今の思考をどう変えるかを考えます。 Panasonicの創業者である松下幸之助など、貧しくて苦しい状況下でもポジティブに捉え、成功を手にした方は沢山います。長年培ってきた思考を意識することから始めてみると良いでしょう。

思考をコントロールする

思考の癖を把握したら、次はコントロールしてみることにトライします。なぜネガティブになっているのかを客観的に受け止め、分析します。 例えば以下のように考え方を少し変えてみるようなステップを踏んでみます。
・他人のせいにしてしまうのであれば、自分ごととして捉える ・悲観的に考える事まずは止めてみる ・なんとかなる。と開き直ってみる ・自分はこういうことに対して、辛く感じたり、イライラしたりするんだと冷静に受け止める ・こうあるべきだ。などと決めて考えず、多方向から物事を見る柔軟性を身につける
ネガティブになってしまった要素に対して、感情的にならず冷静に判断していく事で思考をコントロールしていきます。

レジリエンスについて紹介されている書籍

<広告ビジネスの次の10年>

日経トレンディで掲載された「必要なのはレジリエンス!?今時のビジネス書」から抜粋になりますが、本書ではマーケティングのデータ化などにより8割の広告マンがいらなくなる時代がくると予測しています。 広告の他にも金融でも同様の現象は起きており、証券マンも半数に減少するといわれています。 そんな時代に必要とされるスキルや身につけておくべき知識などが紹介されており、その中でレジリエンスについて触れられています。

<レジリエンスの鍛え方>

本書はレジリエンスを学ぶ上で基本的な話から、身につけるための「レジリエンス・トレーニング」本です。 著者の具体的な体験を元に以下の内容で構成されています。
(1)ネガティブ感情の悪循環から脱出する (2)役に立たない「思いこみ」をてなずける (3)「やればできる!」という自信を科学的に身につける (4)自分の「強み」を活かす (5)こころの支えとなる「サポーター」をつくる (6)「感謝」のポジティブ感情を高める (7)痛い体験から意味を学ぶ

<吉田麻也 レジリエンス――負けない力>

サッカー日本代表の吉田麻也さんの自叙伝ですが、ビジネス書としても読みやく幅広い年代に読まれています。 また、世界でもトップクラスのチームでレギュラーを獲得するのはフィジカルはもちろん、メンタルも一流である必要がある事が伺えます。 その考え方が、レジリエンスとして紹介されており、ビジネスの面でも発揮できる本です。

レジリエンスを学ぶことができる研修例

レジリエンスを身につけるために、外部の研修を活用する方法もあります。

<SMBCコンサルティング>

三井住友銀行グループが開催している「レジリエンス研修」です。ストレス耐性を身につけ、ピンチをチャンスに変える考え方から、モチベーションの向上やチームワークにつなげることを狙いとしています。 参考:https://www.smbcc-education.jp/training_detail/レジリエンス研修/?c=2&t=etc

<パーソル総合研究所>

人材派遣会社のパーソルが開催している「しなやかで折れない心を鍛えるレジリエンス研修」です。レジリエンス強化のための訓練を、各フェーズに分けて学び、セルフマネジメント力を身につけることを狙いとしている研修です。 参考:https://rc.persol-group.co.jp/learning/openseminar/resilience/

<トヨタエンタープライズ>

トヨタのグループ会社が開催している「ストレスに負けない!レジリエンス 研修」です。組織力強化を目的とし、前向きな姿勢を維持し、心の健康を維持することを学びます。 参考:http://kensyu.toyota-ep.co.jp/service/【販売店】ストレスに負けない!レジリエンス研/

まとめ

これからの時代を生き抜くために、レジリエンスを身につけることはとても重要です。 個人としてもそうですが、組織の中でもレジリエンスを身につけた従業員が増えることで、より強い組織づくりにつなげることができるでしょう。社内で活躍している人は、レジリエンスを身につけているのか、改めて調査・分析してみても良いかもしれません。 そのような方が普段どんなことを考えているのか、その価値観や行動を他の従業員も習うことができれば、外部の研修を導入したりせずとも、自社で従業員の教育やマネジメントを行うことができるでしょう。 企業として、どんな逆境にも打ち勝つ強固な組織づくりのために、社内でのレジリエンスについて考えてみてはいかがでしょうか。

エンゲージメントを高めるための社内制度のプラットフォーム『TUNAG(ツナグ)』について

TUNAG(ツナグ)では、会社と従業員、従業員同士のエンゲージメント向上のために、課題に合わせた社内制度のPDCAをまわすことができるプラットフォームです。 会社の課題を診断し、課題に合った社内施策をご提案、その後の設計や運用のサポートまで一貫して行っています。課題の診断は、弊社の診断ツールを使い把握することが可能です。ツールと専任のコンサルタントの支援で、経営課題を解決に貢献いたします。 社内での研修、教育の実施をTUNAG(ツナグ)の中で運用したり、強いレジリエンスを持つ社員のインタビューなどを社内報に掲載するようなイメージでご紹介するなど、さまざまな取り組みを実践することが可能です。
▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。

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