自己肯定感が低い従業員に企業ができるサポートとは。放置するリスクも解説

従業員が萎縮してしまって、本来の能力を発揮できていない従業員に悩む企業もあるでしょう。その原因は「自己肯定感の低さ」かもしれません。自己肯定感が低い人に起こる問題や自己肯定感の低下が企業に与えるリスク、組織としてできるサポートの仕方を解説します。

自己肯定感が低い従業員が抱える課題

「自己肯定感」とは、ありのままの自分を受け入れ、肯定的に捉えられる感覚です。自己肯定感が低いと、ビジネスパーソンとしてもさまざまな問題を抱えることになります。具体的にどのような課題が見られるのでしょうか。仕事に関連するものをピックアップして紹介します。

自信が持てず他者の目や評価を過剰に気にする

自己肯定感が低いと、他人からの評価に振り回されやすく、自律的な行動が難しくなってしまいます。周囲の反応に過敏になってしまった結果、意思決定や提案に消極的になる人も少なくありません。

ビジネスシーンでは、評価への過度な依存がストレスやパフォーマンス低下につながります。そして、さらに自己肯定感が下がるという悪循環に陥りかねません。

失敗を恐れて新しい挑戦に踏み出せない

自己肯定感が低い人の特徴として大きいのは、失敗に対する恐怖心の強さです。それが行動の制約となり、学びやイノベーションが阻害されてしまいます。

「できない可能性」を過剰に気にして、挑戦を避ける傾向が強まると考えられます。職場で新たな役割を与えられたり、課題の解決を依頼されたりしたとき、チャレンジできず成長の機会を逃してしまうこともあるでしょう。

「自分は必要ない」と感じチーム内で委縮してしまう

自己肯定感の低い人は自分に価値を見いだせず、自己否定的になってしまいます。実際はチームに歓迎されていたとしても、「自分は不要な存在ではないか」と自らの価値を見誤って萎縮してしまうケースも少なくありません。

結果として本来の能力を発揮できない、仕事上のチャンスを逃すといった問題につながります。この問題の根本原因は、自己認識のゆがみです。客観的な評価より自己評価が著しく低くなっており、自身のことを「必要のない存在だ」と思い込んでしまいます。

自己肯定感が全社的に下がった場合のリスク

自己肯定感の低い従業員が多くなると、企業にはどのようなリスクがあるのでしょうか。組織として看過できない問題を知ることで、企業が自己肯定感の低下に対して対策を打つ必要性について理解を深めましょう。

主体性や発言が減って課題解決力が下がる

自己肯定感が低い従業員が増えれば、主体的に意見を発する人が減ってしまいます。課題への気付きや解決のアイデアが減少し、課題解決力の低下につながるでしょう。

アイデアが創出できなければ、新たな商品やサービスの開発・現在ある商品・サービスを訴求する戦略の立案が難しくなります。課題解決力が下がると、自社商品の弱点や顧客からのクレームといった問題に対処できなくなり、顧客からの信頼を失いかねません。

ヘルプを出せず追い込まれて離職する従業員が増える

自己肯定感が低い人は、人にヘルプを出すのが苦手な傾向にあります。周囲に頼れないために、キャパオーバーになるほどの無理をすることも多いでしょう。

無理な働き方は、心身の不調を引き起こす原因です。精神や体に不調を抱える従業員が増えれば、離職や休職が増えて企業は人手不足に悩まされることになります。

人手が足りなくなると、過剰な業務負担から心身を壊してしまう従業員が出てきて、さらに離職・休職が増えるという悪循環も考えられます。

自己肯定感が低い従業員に企業ができること

自己肯定感の低さの背景には、幼少期の体験などから来る、癒えない心の傷がある場合も多いです。その傷は根深く、すぐに自己肯定感を上げようと思ってもうまくいかないでしょう。ただ、低い自己肯定感を少しずつ回復させていくために、企業がサポートできることはあります。

自己認識のゆがみを正す評価制度や仕組みを整備する

自己肯定感が低い従業員は、周りからの評価が高いにもかかわらず、自身の価値を低く見積もってしまう傾向があります。これは自己認識のゆがみに起因する現象です。

自己認識を正すには、客観的な視点からの評価・フィードバックが効果的です。具体的な根拠を持って客観的に評価することで、従業員は自分の価値を見直しやすくなるでしょう。

具体的な評価の施策としては、360度フィードバックの導入や、従業員自身の活躍や成長を振り返る仕組みづくりが挙げられます。

成功体験を得られる参加型の教育手法を取り入れる

自己肯定感を高めるには、小さな成功体験を積み重ねていく必要があります。達成難易度の低い業務を任せる、成功体験が積める研修やイベントが効果的です。

中でも、実際に手を動かして成果物をつくる参加型の「ワークショップ」は、自己肯定感が低い従業員にとって自身の強みを認識するきっかけになります。
たとえば以下のような内容であれば、自分の行動や発想が可視化され、達成感を得やすくなります。

  • 社内イベントの企画案をチームで考え、発表まで行うワークショップ
  • グループで1枚の模造紙に自分たちの業務改善案をまとめるアクティビティ
  • 感謝をテーマに、感謝カードを書いて相手に手渡すワークショップ

「できるか不安…」と思わせないように、正解のないテーマや軽い内容から始めるのがポイントです。小さな成功体験を通して、自己肯定感の芽が育っていきます。

心理的安全性が確保される環境をつくる

心理的安全性とは、安心して自分の意見や主張を発信できる状態を指します。自己肯定感が低い人は失敗を恐れたり他人の目を気にしすぎたりする傾向があるため、心理的安全性の確保が不可欠です。

安心して発言できる土台があれば、自己肯定感が上がりやすくなります。「多少失敗しても責められない」「周囲に頼ることは迷惑ではない」と実感できれば、自己肯定感の低さからチャレンジや周囲に頼ることを避けるという課題を解決できるでしょう。

そのためにもまず、上司やリーダーが積極的に発言をしたり、失敗したときにも叱責するのではなく、サポートして同じ失敗を繰り返さないように指導するといった行動の変化から始めることが重要です。

TUNAGで自己肯定感の低さをサポート

自己肯定感が低い従業員へのサポートは、長期的な視点で仕組みづくりから考える必要があります。そのために活用できるツールの一つが、組織改善クラウドサービス「TUNAG(ツナグ)」です。施策の一例として、TUNAGを使ったサポート方法を紹介します。

日報を自身の活躍を客観的な判断する材料に

自己肯定感を上げるには、360度フィードバックのような他者視点はもちろん、自身で記録した「活躍や成長の事実」を客観的に見つめることが大切です。

TUNAGではスマホからも簡単に日報や週報・月報の報告が可能で、後から振り返りもできます。客観的に自分の行動や業績を見返すことが、本来の能力を知る助けになるでしょう。

社内掲示板やタイムラインで社内の取り組みを周知

ワークショップのような取り組みを進めていても、従業員に伝わっていなければ意味がありません。全社的に届く手段で、自己肯定感を上げるための取り組みを周知する必要があります。

TUNAGには、企業からのお知らせが従業員のスマホに届く社内掲示板や、課題解決のための取り組みを投稿できるタイムラインがあります。これらの機能を活用すれば、自己肯定感向上に対して企業が実施している施策が従業員に伝わりやすくなるはずです。

サンクスカードや社内チャットで心理的安全性を高める

TUNAGの「サンクスカード」は、従業員同士で感謝を伝え合える機能です。称賛し合う文化は、心理的安全性の確保につながります。自己肯定感が低いと褒められることに違和感を覚えるかもしれませんが、全社的に称賛文化が浸透していると、自身への称賛も受け入れやすくなるでしょう。

社内チャットも、コミュニケーションを活性化して安心して発言できる土台づくりに有効です。活発にコミュニケーションを取るのが当たり前という風潮であれば、ヘルプが必要なときに声を上げやすくなります。

自己肯定感の低い従業員には組織で対応を

自分自身をありのまま受け入れ肯定する「自己肯定感」は、仕事への向き合い方や意欲にも影響を及ぼします。自己肯定感の低い従業員がいる場合、組織の衰退や離職を防止するためにも、企業として対策を取る必要があるでしょう。

ただ、自己肯定感の低さは単発の施策では解決が難しい、根深い問題です。土台づくりから丁寧に取り組み、心理的安全性を確保した上で自己認識のゆがみを正すサポートをしていきましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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