アルバイトの教育における6つの課題とポイント5選を解説
「アルバイトへの教育方法がわからない…」「新人アルバイトへの教育の時間がなかなか取れない…」などのお悩みを抱えているご担当者様も多いのではないでしょうか?
アルバイトの教育体制や早期戦力化の仕組みが実現できれば、店舗の売上アップや定着率の改善、教育コストの適正化など、様々な効果が期待できます。
そこで、この記事では
- アルバイト教育のポイント
- アルバイト教育における課題と対策
- アルバイト教育の仕組み化に成功した事例
について解説していきます。
アルバイトの教育の重要性
アルバイトスタッフへの教育を仕組み化し、早期戦力化や業務の標準化を実現することで、店舗にどのような影響があるのでしょうか。ここではアルバイトスタッフへの教育を仕組み化することによる3つの効果を解説します。
1. 定着率の向上
一つ目のメリットとして、アルバイトスタッフを教育することで定着率の向上が期待できます。
Dip総合研究所の調査(2018年)によれば、全国の長期雇用を前提としたアルバイトの雇用のうち約20%余りが半年以内に離職しているといいます。アルバイトとして需要の高い学生だけで見ると40%足らずという高い離職率です。また、同調査でなぜ辞めるのか理由を調査した結果によると、「人間関係」「制度・条件」「仕事内容」「研修・教育」の4テーマが大半を占めていました。
採用したアルバイトのうち5分の1から半数足らずが辞めていくのであれば、最初からたくさん雇用しておくか、辞めてから急いで補充の採用をするかということになるので、本部の人事部や店長の業務量が増え続け、多くのコストをかけてしまうことになります。
アルバイトと上司をはじめとする職場の人間関係や教育を充実させれば、多数が辞めずに継続して働くことにつながり、習熟度も上がるため多くの教育コストもかけずに済むと考えられます。
参考:アルバイトの人手不足への対策を採用と定着の観点から考える | 社内ポータル・SNSのTUNAG
2.サービス品質の向上
アルバイトを教育することによって細かいスキルが身につくようになると自分の考えで動けるようになり、サービスの品質は向上していきます。不意に想定外の事態が起こったとしても臨機応変の対応ができるので、忙しいさなかでもトラブルを起こさずに運営が続けられるようになるのです。
加えて、アルバイトの動きが良くなることで店舗のQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)の向上が期待でき、お客様の印象UPや客数のプラスに寄与します。このようにアルバイトを教育することでサービス品質は向上し、結果として業績の向上が期待できます。
参考:店舗運営のQSCとは?QSCAとの違い、向上施策3選を解説 | 社内ポータル・SNSのTUNAG
3.安全とコンプライアンスの確保
アルバイトを教育することによって、安全と法令を守れるようになります。アルバイトを原因とする事故や事件が発生した時、決まりや法律を知りませんでしたという言い訳は通用しません。業界規制や法律が厳しい場合、アルバイトが必要なガイドラインや規則を理解していることは非常に重要です。
安全教育や法令教育していないから業務につかせないというのでは、成長しません。安全管理やコンプライアンスに関する教育も施すことによって、リスクを回避しつつアルバイトの成長を促すことができ、店の実力を向上させることにつながります。
アルバイトの教育のポイント6選
1. 店舗のルールや制度についてすり合わせる
アルバイトスタッフの教育方法・ポイントとして、最初に挙げられるのは店舗のルールや制度を明確にして、すり合わせを行っておくことです。すり合わせをするのはアルバイト個人と店長の間だけではありません。そこで働く従業員全員が共通の認識を持っている必要があります。
ルールを作って終わりにするのではなく、店舗の従業員が全員知っておくべきことを明確にし、ルール改定があるたびにすり合わせを行う必要があります。制度やルールが崩れてしまうと、コミュニケーションのずれが生じ、スムーズな店舗運営が難しくなるため、アルバイト教育の土台となる部分だといえるでしょう。
2. 教育担当をつける
教育体制に目を向けると、新人アルバイトに教育担当をつけることも一つの手です。アルバイトはいつも同じ人から教育をしてもらうことで、信頼関係が生じることでコミュニケーションがしやすくなったり、教育担当側もアルバイトの性格や能力を配慮した教育を施すことができるなどメリットがあります。
また、教育担当をつけることで、アルバイトがいつでも気軽に相談や質問がしやすい環境を作ることにもつながります。マイナビキャリアリサーチが2023年に公表した「2022年卒 入社半年後調査」によると、新入社員が教育係に求めることは「いつでも相談や質問がしやすいこと」が67.6%で1位でした。本調査内容はアルバイトが対象ではないものの、職場に慣れていない従業員にとって「誰でもいいから聞いて」ではなく、相談や質問をできる相手が明確にいることはポジティブに働くと言えそうです。
参考:いまどき新入社員の伸ばし方(2023年)~”理想の教育係”とは?~ | マイナビキャリアリサーチLab
3. 業務マニュアル・動画マニュアルを作成する
教育担当も自分の業務がありますから、つきっきりで教育するわけにもいきません。また、シフトが異なる際は必ずしも近くで指導ができるとは限りません。そこで効果的な教材を作成して、自学させるという手段が効果的な場合があります。これには業務マニュアルや、動画マニュアルを用意するのが良いでしょう。
アルバイト自身が早く仕事に慣れて先輩たちのように働けるようになるためにも、わかりやすい教材を渡せば自発的な学習を促すことができます。教育担当が教える内容も減らすことができ、補足する程度で済むようになるでしょう。業務マニュアル・動画マニュアルの用意は、アルバイト教育の習熟速度を速め、教育担当の負担を軽減することができます。
参考:動画マニュアルの事例6選、共有方法、作り方 | 社内ポータル・SNSのTUNAG
4. 徐々に仕事を任せ、業務範囲を広げる
アルバイトを早く一人前にするには、本人の判断でできる仕事を与えるのが効果的です。多少不安があっても思い切って任せてみれば、その仕事がうまくいったときに大きな自信が生まれます。
もちろん失敗したときの不安がありますが、それをフォローするのが教育担当の勤めになります。アルバイトを早く一人前にするためにも、少しずつできることを増やせるような仕組みづくりが重要です。
5. 意見交換の場を作る
アルバイトも他の従業員とおなじように、ミーティングに参加させるのもひとつの手です。意見交換の場を作ることで、気付いていないことを気付かせて、明日の仕事を今日よりもより良いものにしていくことができます。
また、社員や先輩たちと同じような立場で意見を述べる機会をあたえれば、組織への帰属意識を醸成することにもつながります。また、帰属意識の醸成により従業員の主体性が高まれば、店舗内のコミュニケーションも活発になるでしょう。
6.評価制度を導入する
評価制度を導入する際、まずは明確な基準を設定することが重要です。具体的な業務スキル(接客態度、正確性、スピードなど)や勤怠(出勤率、時間厳守)に基づき、誰でも理解しやすい指標を設けましょう。評価制度に不公平感があると、アルバイトのモチベーションが低下してしまいます。
また、評価制度を導入することによって、アルバイトは自身の努力が認められていることが実感できるようになるためモチベーションの向上にもつながります。
アルバイト教育における6つの課題
アルバイトスタッフ教育の重要性を認識しつつも、実際に教育に力を入れることができなかったり、教育が上手く行かない場合もあります。
ここでは、アルバイトスタッフの教育における課題を6つに分類して解説します。
1. アルバイト教育に十分な時間を避けていない
課題の一つ目として、店舗はアルバイトに十分な時間をかけられていないことが挙げられます。店舗運営DX事業などを展開する株式会社ネクスウェイ(東京都江東区)が2016年、全国208名のチェーン展開している店長にアンケート調査を行った結果によると、「時間が足りていないと感じる業務」にスタッフ教育を挙げた人が67.6%にも及んでいました。
また、当該アンケートでは、店長が考える重要な業務として、1位が「接客」(85.1%)、2位が「スタッフ教育」(62.5%)となっています。重要であることはわかっていながら時間が割けていない現状が浮かび上がります。
アルバイト教育に十分な時間を避けていない場合、マニュアルなどを活用して教育を効率化しつつ、店長や社員など教える側の時間がかかっている業務を洗い出し、改善施策を検討しましょう。
参考:「208社の現場の店長に聞いた 本部店舗間コミュニケーションの現状把握調査」から、コミュニケーション最適化を探る | チェーンストアの店舗運営DX/ネクスウェイ
2. 教える人によって教育内容にバラつきがある
アルバイトの教育を担当する人の教育方法が統一されており、誰が教えても均一の内容と量になればよいのですが、そうはいきません。
教育担当も自分の仕事を抱えています。教育担当者の忙しさや性格などによって、丁寧に教える者、簡単に済ませる者など、教育内容にバラつきが出てくることが想定できます。このようなばらつきは、アルバイトが行う業務の質のばらつきになって現れてくるのです。「教えたのに、アルバイトが業務を覚えない」という問題は、教育内容が一律ではないゆえに、担当者の教育内容がアルバイトに適していない状態の可能性も考えられます。
教育担当の違いによるバラつきが極力発生しないように、教育する上での注意点やポイント、教育内容などのマニュアルを用意しておくと良いかもしれません。
3. 教育効果や習熟度の把握がしづらい
アルバイトの教育に時間を割くことができず、担当者が違えば教える内容にも差があるとなると、教育した効果がどの程度あるのかを評価することもできません。アルバイトにはどんどんできるようになっていく人と、なかなかできない人もいます。
それは教育担当が工夫をして教えた効果なのか、本人の資質によるものなのかということについて、客観的に評価する仕組みがないと、効果的な教育法や内容について改善していくことができません。
例えば、研修動画の閲覧率や理解度テストの正答率から、教育の効果や習熟度を把握するなどの施策が考えられます。
4.教育内容の更新と変更が必要
アルバイトに教えることはいつも同じとは限りません。新しい商品、サービスの登場、会社の体制の変更などあればその都度教えていく必要があります。アルバイトは接客の最前線に立つ場合が多いので、サービスや商品の最新情報、店舗の体制を知っておく重要性は大きいといえるでしょう。
しかし、上記で述べてきたようにこの重要な業務を誰がいつ行うのかということが問題になってきます。シフトの問題もあります。全員一斉に通達すべき内容が同時に伝わらないのです。アルバイトが休んでいる間に事情が変わってしまい、次に出勤するときには以前に教わったのとは違う対応をしなければならなくなることもあるでしょう。
このようにアルバイトの教育内容は一度教えて終わりではなく、内容の更新と変更が必要になるものであり、そのコントロールに店長やマネージャーは労力を消費することになります。できるだけ更新作業や周知に時間がかからないよう、マニュアルのデジタル化を推進したり、情報共有の仕組みを見直してみましょう。
5.学習スタイルに工夫が必要な場合もある
アルバイトにはいろんな人たちがおり、それぞれ異なったバックグラウンドを持っています。学歴や出身校を統一して採用するなどの方法をとるのでなければ、それぞれの事情に合わせた教え方を工夫する必要があります。最近は外国人や障がい者の雇用をする場合もありえるので、それにあわせた教育方法の考案は重要になります。
忙しい現場の店長にとって、各人に合わせた指導方法の考案は、簡単なことではなく大きな課題になってくるでしょう。属人的な教育体制になりすぎないよう、各店舗で成功した事例などを共有・蓄積するなどして、全店で教育の効率化を図っていきましょう。
6. 店長や社員が同じ内容を伝えているため非効率になる
アルバイトの採用が多い店舗においては、新入社員に対して何回も同じ内容を繰り返し伝えることになり、非効率な教育体制になっている場合があります。
先述した通り、様々なバックグラウンドを持つ従業員が働くため、時には個別で教育を行うことが求められますが、全従業員に一律で繰り返し伝える必要がある業務については、効率的に教育を施せる仕組みを作ることが重要になります。
アルバイト教育の仕組み化に成功した事例3社
1.スターバックスコーヒージャパン株式会社
スターバックスはアルバイトの離職率が低いことで知られています。その秘訣は充実した従業員教育。通常の飲食店では2、3日で終わってしまうような内容に80時間に及ぶカリキュラムが組まれているのです。
従業員教育に際し、スターバックスが最も重視しているのは会社の「ミッション(存在意義)」と「バリュー(価値観)」です。顧客をスターバックスのミッション通り感動できるようにするには何をすべきか考え、それを具体的に行動できるようにするのだといいます。
スターバックスにはサービスマニュアルに相当するものはなく、チェーン店にありがちな画一的な印象を受けません。ミッションとバリューを理解して従業員が自ら考えることを奨励して支持するという姿勢が低い離職率につながっているのではないでしょうか。
参考:離職率の低いスターバックスが従業員に徹底している5つのポイント | リクナビNEXTジャーナル
2.マクドナルド
マクドナルドは「ハンバーガー大学」という従業員教育機関を作っています。ハンバーガー大学は店舗内でのオペレーションだけではなく人材教育に重きが置かれています。マクドナルドではアルバイトスタッフを「クルー」と呼び、クルーはハンバーガー大学で教育を受けることになっています。
マクドナルドは「ハンバーガービジネスではなくピープルビジネスである」とし、ピープルの成長を後押しするという姿勢で臨んでいます。ピープルの成長が企業の成長であるという考え方の元、働くことで成長を感じられる教育が行われているのです。
3.株式会社BP
株式会社BPは、ウェディング事業を中心に不動産や保険など様々な事業を展開している会社です。従業員数は2,000名を超え、その半数はアルバイトだといいます。その定着を図ることが課題となっていました。
そこで、従業員のがんばりを認める「称賛」の活動を「サンクスカード」という形にし、それをスマホのアプリで送れるようにしました。さらに、初出勤から10回目の勤務までの日報を「ひよこ日記」として運用し、その日学んだことやできるようになったことを挙げてもらって、それに対して先輩スタッフがコメントをしたり、スタンプを押す称賛の仕組みを作っています。その運用はSNSのように広がり見せ、良いサービス事例の共有や、やりがい、自信を醸成することにつながっています。
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教育の仕組みを整え、サービス向上や定着率改善を見込む
アルバイトを効果的に経営に生かしている大手チェーンの教育方法をみていると、ミッションやバリューといった根幹になる部分を認識してもらったうえで、自発的な動きを促し、成長を後押しするという方策が見て取れます。
また仕事を通じで承認される喜びを得ることも大事なことです。そのためのいろいろなツールも開発されてくるようになりました。人的資本の成長が企業の成長であるとの見方もあります。アルバイト教育に対する見方を変えることで、店舗のサービス向上やアルバイトの離職率の改善が見込めるかもしれません。
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TUNAGは新人教育からペーパーレス化、社内交流活性化まで、各社の組織課題・業務課題に合わせて様々な施策をカスタマイズできるクラウドサービスです。PCだけでなくスマホにも対応しており、社用PCや法人メールアドレスを持たない社員やアルバイトの方にも、迅速かつ正確に情報を届けることが可能です。
社員やアルバイトの方に「長く働いてもらうための仕組みづくり」をアプリ内で行え、採用・教育コストの削減、店長業務の負担軽減、サービス品質の向上など様々な導入効果のお声をいただいています。
例えば、
- 新人のアルバイトスタッフが動画マニュアルを見て、基本業務や店舗のハウスルールを学び、教育を半自動化
- 新人のアルバイトスタッフの習熟度を可視化し、習熟状況に応じて個別具体的な教育の実施
- 店舗間のナレッジ共有や店舗日報により、アルバイトも他店舗の業務を把握可能
などの効果が期待できます。