動画マニュアルの事例6選、共有方法、作り方
動画マニュアルは、業務手順や商品の使い方を視覚的かつ直感的に伝える効果的なツールです。テキストベースのマニュアルよりも情報の理解が容易で、視聴者にとって分かりやすいことが特徴です。
本記事では、さまざまな業界での動画マニュアルの活用事例を紹介しながら、具体的な導入・制作のポイントや共有方法に迫ります。動画マニュアルの導入に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
動画マニュアルとは
動画マニュアルとは
動画マニュアルとは、業務の手順や商品の使い方を動画で解説したマニュアルです。動画マニュアルを社内で共有すれば、業務を標準化・効率化できます。以下、動画マニュアルの利用目的として、よくある4つのパターンを紹介します。
- 作業マニュアル動画:社内で使用される作業手順書や機器の取扱説明書を動画化したもの
- 営業マニュアル動画:営業に必要な手順やノウハウを解説した動画
- 社内研修マニュアル動画:社員の教育を目的とした動画
- 商品マニュアル動画:製品の使い方や組み立て方、操作方法などを解説した動画
動画マニュアルと紙マニュアルの比較
動画マニュアルは、視覚と聴覚を活用できるため、情報の理解が進みやすいのが大きなメリットです。テキストや写真に比べて圧倒的に多くの情報を短時間で届けることが可能です。また、一度作成すれば追加の印刷コストがかからず、多人数に共有しやすい点も魅力です。
しかし、作成には専門知識が必要で、制作コストが高くなる場合があります。さらに、修正が困難なため、内容の更新が必要な場合には再撮影や再編集が必要になる点がデメリットです。
一方、紙マニュアルは1,000文字相当の情報を伝えるのが一般的で、視覚的な理解に限定されますが、作成や修正が容易で、コストも低いことが特徴です。
特にメモを書き込んだり、読み手のペースで進められるため、個々の理解度に応じた柔軟な学習が可能です。ただし、持ち運びの手間があり、多人数に配布する場合は印刷コストがかかる点が課題です。
このように、動画マニュアルと紙マニュアルにはそれぞれの特徴があり、利用シーンに応じて使い分けることが重要です。
基準 | 動画マニュアル | 紙マニュアル |
---|---|---|
情報の理解度 | 視覚・聴覚で情報を受け取れるため理解しやすい | 視覚情報のみで理解が進む |
持ち運びの便利さ | スマホやPCで見られるため、持ち運び不要 | 持ち運び必要 |
作成・更新コスト | 高い | 低い |
情報量の多さ | 1分間の動画は180万語に相当する情報量 | 1,000文字相当の情報量 |
動画マニュアルの活用方法
動画マニュアルは、視覚的に理解しやすく、標準化された内容を迅速に広められるため、社内外での活用が効果的です。それぞれの活用方法の具体的な効果について、詳しく解説します。
業務効率化
動画マニュアルを導入することで、作業手順を視覚的に伝えられ、従業員全員が同じ手順で業務を進められます。これにより、手順の標準化が促進され、ミスが減少し、業務の効率化に繋がります。
また、紙のマニュアルと違い、持ち運び不要でスマートフォンやPCから簡単にアクセスできるため、時間や場所を問わず利用できる点も便利です。
教育研修の充実
動画マニュアルは、研修用ツールとしても非常に有効です。新入社員や中途採用者向けに、具体的な作業手順や操作方法を動画で学ぶことができるため、より直感的な理解が得られます。
特に多拠点を持つ企業では、教育内容の一貫性を確保し、全社員のスキルを均質化することが可能です。
情報共有の促進
動画マニュアルは、社内ナレッジの共有にも役立ちます。例えば、社内のポータルサイトやクラウドストレージに動画を格納することで、従業員が自発的に必要な情報を学べる環境が整います。
これにより、従業員間の情報格差が解消され、効率的な情報共有が促進されます。
サービス品質の向上
顧客対応や製品の使用方法を動画でマニュアル化することで、スタッフが一貫した対応を行いやすくなり、サービス品質の向上に寄与します。
特に多言語対応が可能な動画マニュアルでは、外国語を話す顧客にも正確に情報を伝えられるため、より良い顧客体験が提供できます。
動画マニュアルの事例6選(制作、活用篇)
マニュアル動画の制作事例3選
【製造業】岡本工作機械製作所:研削ノウハウマニュアル動画
岡本工作機械製作所の研削ノウハウマニュアル動画では、研削盤にといしを取り付ける手順を紹介しています。実際に作業している動画に合わせ、ポイントをテロップとナレーションで解説しています。作業の流れに沿って解説しているため、作業の流れをイメージしながら学習できるマニュアル動画です。
参照:岡本工作機械製作所:研削ノウハウマニュアル動画
【出版社】日本経済新聞出版:ミニドラマで学ぶ研修教材
日本経済新聞出版は、研修用DVDの販売を目的として、ミニドラマで学ぶ研修マニュアル動画を公開しています。管理職に向けたテレワーク環境でのマネジメントのマニュアル動画は、最後まで飽きずに視聴できる短めの動画です。ミニドラマ形式なので、具体的な状況をイメージしながら学習できるマニュアル動画となっています。
参照:日本経済新聞出版:ミニドラマで学ぶ研修教材
【美容室】ALBUM:シャンプーやスタイリングなどの技術動画
ヘアーサロンALBUMは、新卒から美容師歴2年以内のアシスタントが動画の視聴のみでスタイリストとしてデビューできる技術を身に付けることを目標として、シャンプーやスタイリングなどの技術動画を公開しています。実際に作業している動画に合わせ、ポイントをテロップとナレーションで解説しています。小顔に見せる顔まわりカットといった技術動画だけでなく、縮毛矯正の仕組みを解説した知識動画も掲載されています。
参照:ALBUM アカデミー
マニュアル動画の活用、共有事例3選
【美容室】ウインナー美容室:若手向け講習動画
ウインナー美容室では、接客マニュアルやカット講習の動画などを社員と講習受講者で共有しています。マニュアル動画を講習受講者と共有することで、いきなり講習に入るよりも予備知識がある中で講習を実施できるため、学習吸収度合いを高めることが可能です。動画を共有することで誰がどこまで講習を進めたのか、進捗状況はどの程度なのかを複数のスタッフで共有できるため、若いメンバーのバックアップにもつながっています。
参照:店舗が離れていても情報はタイムリーに共有 - ウインナー美容室(TUNAG(ツナグ)導入事例)
【スーパー】スーパーサンシ:惣菜調理のマニュアル動画
スーパーサンシ株式会社では、業務効率化の一環として作業手順書のマニュアル動画を配信しています。惣菜部門では「カツ丼のつくり方」、水産部門では「アジの3枚おろし」といったように作業の様子を各部門で共有することで、入社したばかりのスタッフに対して基礎知識が入った状態で作業を教えることができ、指導の時間短縮が可能です。また、入社前に動画を視聴してもらうことで、入社に対する不安解消にも活用できます。
参照:スーパーの惣菜調理、安全衛生の教育に動画活用 - スーパーサンシ(TUNAG(ツナグ)導入事例)
【総合ディスカウントストア】 多慶屋:販売商品の検証動画
総合ディスカウントストアの多慶屋では、社員が自分で商品を試した動画を共有することで、社員同士のコミュニケーション活性化に活用しています。たとえば、商品として扱っているくもり止めシートで本当に曇らないのかを試した動画を社内で共有。動画が社内で話題となり、社員達が実際に商品を買いに行ったことがありました。
参照:社員が自分で商品を試した写真や動画をTUNAG(ツナグ)に投稿 - 多慶屋(TUNAG(ツナグ)導入事例)
作業マニュアルを動画化するには
作業の手順や流れをまとめた作業マニュアルや写真を映像・動画化する際には、作業全体の流れが分かるようにする必要があります。また、誰でも理解できるように専門用語をできるだけ使わないようにしましょう。よくある失敗を紹介するのも効果的です。
製造業等の現場での作業手順書
製造業における作業手順書で重要なことは、正しい手順で作業を行い、安定した品質の製品を製造することです。動画マニュアルがあれば、作業工程を標準化でき、誰が製造しても同じクオリティの製品が製造できます。
- 作業手順書に従って作業を撮影する
- 撮影した動画に作業の手順に合わせたナレーション・テロップを挿入する
動画マニュアルを共有する方法
社内のマニュアル動画を共有する方法は、大きく以下の3つに分類できます。
1.研修、ナレッジ共有用の資料格納先に保存しておく
研修を受ける側、社内のナレッジを探している人が、能動的にシェアフォルダ、クラウドストレージ等へマニュアル動画を閲覧しにいく形式です。従業員にPCやスマホが貸与されていない状況では、実現が難しかったり、動画の格納先が十分に周知されていないと、あまり見られない可能性があります。
2.一対多数に共有する
新人社員研修や、特定の職種の従業員に対して、一対多数でマニュアル動画を送信する形式です。メールやチャットでも送信可能ですが、所属グループ毎にメーリングリストや、チャットのグループがないと送信側の作業が煩雑になります。
3.一対一で送る
メール、チャット等で、一対一でマニュアル動画を送付するパターンです。
動画マニュアルを作成する3ステップ
動画マニュアルを作るには、動画を撮影できる機器と撮影した動画を編集できるソフト・ツールが必要です。簡単な動画マニュアルならスマホだけで作成することができます。実際に以下の3ステップで動画マニュアルを作成することができます。
撮影の準備と機材の選定
動画マニュアルの作成には、まず適切な撮影機材と編集ツールを選ぶことが大切です。基本的な動画であれば、スマートフォンと無料の編集アプリを活用することで簡単に作成できます。
ただし、より高品質な動画を作成する場合は、専用カメラやマイク、照明の使用が推奨されます。高解像度の映像やクリアな音声を確保することで、視聴者に伝わりやすいコンテンツが実現します。照明は自然光をうまく取り入れるか、専用ライトを使って均一な明るさを保つと効果的です。
構成案と台本の作成
動画マニュアルの効果を最大限に引き出すためには、構成案と台本の作成が不可欠です。まず、伝えたい内容を視聴者が理解しやすい順序で整理し、台本にまとめます。各シーンの長さや伝えるべきポイント、使用するテロップの内容も台本に記載することで、スムーズな撮影が可能になります。
また、視聴者の関心を引き続けるため、全体のストーリー性や流れを意識することが重要です。作業工程を細かく区切り、複数のシーンに分けることで、視聴者が負担を感じずに学習を進められます。
撮影と編集の実施
動画撮影では、作業の流れが視覚的に理解できるように、さまざまなアングルやズーム機能を活用します。例えば、重要なポイントはクローズアップで撮影することで、視聴者により具体的に伝えることができます。
撮影後は編集作業に移り、不要なシーンをカットしたり、ナレーションやテロップを追加して、視覚的にわかりやすい内容に仕上げます。字幕を加えることで、音声を出せない環境でも視聴しやすくなります。また、動画の長さが長すぎると視聴者の集中力が低下する可能性があるため、適切な長さに調整することもポイントです。
動画マニュアルの作成におすすめのツール、ソフト
動画マニュアルは、動画編集専用のソフト・ツールを使用することで効率よく作成できます。動画編集アプリでも動画マニュアルは作成できますが、動画マニュアル制作に特化したソフトの方が初心者でも扱いやすいです。パソコンにインストールする必要がなく複数のスタッフで共有できるクラウドタイプと、パソコンへのインストールが必要がなものの購入費用だけで利用できるインストールタイプがあります。
パワーポイントを使った動画マニュアルの作成
Microsoft パワーポイントの「スライドショーの記録」という機能を使えば、スライドショーを使って説明する様子を録画することで、音声入りのマニュアルビデオを作成できます。パワーポイントを使ってプレゼンテーション用の資料を日常的に作成している場合におすすめです。すでに作成しているプレゼンテーションをベースに動画を録画するため、手間と時間をかけずにマニュアル動画を作成できます。新たに動画編集ソフトを導入する必要もありません。
参照:プレゼンテーションを記録する - Microsoft サポート
無料アプリを使った動画マニュアルの作成
有料の動画編集アプリには動画マニュアル作成に不要な機能も多く、操作も複雑です。無料の動画編集アプリでも必要な機能が搭載されているためマニュアル動画を作成できます。ただし、トリミングやナレーション・テロップの追加といった動画の編集に慣れていないと、マニュアル動画の作成に時間がかかったり、納得できるクオリティにならないかもしれません。
最後に:双方向のコミュニケーションで理解度の確認を
上述の動画マニュアルの共有パターンのように、マニュアル動画は状況に応じて適切な方法で共有する必要があります。マニュアル動画を作成した側としては、「送ったから見ておいて」だけではなく、双方向のコミュニケーションを通じて、どれだけの人が見ているか、どの程度理解しているか、作業を再現できるか、疑問が生じていないかといった理解度や今後の課題を把握することで、動画マニュアルの効果を確認できます。
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