アルバイトが定着しない… 原因から解決法まで徹底解説!

厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、令和4年度のパートタイム労働者の離職率は23.1%となっており、約5人に1人が離職していることになります。対して一般労働者の離職率は11.9%です。両者を比較すると、アルバイトの定着率が悪いのは明らかでしょう。

よって、企業・店舗の責任者はアルバイトが離職してしまう原因を知り、対策を施す必要があります。本記事は、アルバイトが定着しない原因から対策までを徹底解説していくので、ぜひ参考にしてください。

アルバイトの定着率が悪いとどうなるのか

アルバイトの定着率が悪いと、単純に人手不足になるだけではなく、コスト面への弊害も及ぼします。その具体的な例として、以下の2点が挙げられます。

採用活動にかかる時間とコストが増える

マイナビバイトがおこなった「採用活動に関する最新調査」によると、アルバイト1名あたりの採用単価は7万円となっており、2021年の調査と比較して1万円高くなっています。もちろん、アルバイト1名を採用するまでに「募集をかける」「応募対応をする」「面接をする」といった時間を要するのも無視できません。

さらに、例えば新人スタッフが1週間や1ヵ月などの短期間で離職してしまうと、そこにかけた人件費や時間も無駄になってしまうでしょう。

つまり、アルバイトの定着率が低いと、お金・時間の面で多大なコストがかかります。それらのコストを抑えるためにも、アルバイトの定着率向上は、企業・店舗における重要な課題の1つです。

新人教育コストが増える

新人教育に多くのコストを割くということは、実は店舗の売り上げ低下を招いてしまいます。

まず、人の入れ替わりが激しくなると、新人教育に多くの時間を割かねばならないのは必然です。その新人教育を担当するのは、多くの場合はベテランスタッフになるでしょう。そうなると、店舗全体の効率性・パフォーマンスが下がり、顧客満足度を低下させてしまいます。よって、顧客のリピート率の低下に繋がり、店舗の売上低下を招いてしまうわけです。

逆にいうと、店舗の売上を維持・向上させていくには、新人教育に割く時間を最小限に抑える必要があります。そのために、アルバイトの定着率を向上させ、新人スタッフのレベルを上げていくことが大切です。

アルバイトが定着しない原因

アルバイトの定着率を向上させるには、スタッフが離職してしまう原因を知る必要があります。新人や中堅のスタッフが離職してしまう原因として、代表的なものは以下の4つです。

職場の人間関係が悪い

職場の人間関係が悪いと、その当事者でなくともストレスを感じてしまいます。特に新人スタッフであれば、その環境下で働くことにこだわる必要はありません。従って、ストレスを感じる環境から脱却するために、離職を考えるのは当然でしょう。

「社員とアルバイト」「ベテランと新人」「男性と女性」「キッチンとホール」など、職場における人間関係には、さまざまなケースがあります。店長などの管理者側からは見えない部分で軋轢が生じていることも考えられるので、俯瞰的な視点から自店の人間関係を見つめることが必要です。

初期の教育や研修制度が整っていない

入社初期の教育・研修制度が整っていないと、新人スタッフは何もわからない環境下で孤立してしまいます。「何をすればいいのかわからない」という不安、「仕事を教えてもらえない」という不満が増大し、離職を決断してしまう要因になるでしょう。

入社直後は、誰しもが業務をこなせるのか不安な時期です。よって、入社直後の教育・研修によって「ここで働いていけそうだ」と実感してもらうことが、早期離職を避けるための1つのポイントになります。

仕事内容や条件が自分に合っていない

募集に記載されていた仕事内容・条件と実態が違うのであれば、新人スタッフは当然不満を感じるでしょう。

応募者は、募集内容に興味や魅力を感じ、その職場で働くことを決意しています。それが、いざ入社してみたら「書いてあることと違う」となれば、モチベーションを維持するのは難しいはずです。

このような入社前後でのギャップを防ぐためには、募集記事に明確な仕事内容・労働条件を記載することが大切です。同時に、求める人材像を記載しておくことで、ミスマッチの抑制効果が期待できます。

また、その業種を未経験のスタッフであれば、実際に勤務してみて「自分には向いていない」と感じることもあるかもしれません。ある程度は仕方がないことかもしれませんが、未経験者に自信を与えられるよう、初期の教育・研修内容を工夫することも大切です。

評価制度が曖昧

アルバイトにとって、上長からの評価は仕事へのモチベーションに大きく起因します。その評価の制度や基準が曖昧だと、スタッフは「頑張っても認めてもらえない」と感じてしまい、離職を招くことになりかねません。

「制度が複雑すぎる」「仕事量と報酬のバランスが合っていない」などが、アルバイトが曖昧だと感じる評価制度の特徴です。

アルバイトにとっては「〇〇をこれくらい頑張れば評価される」といった具合に、ある程度分かりやすい評価制度の方が、それを意識しながら業務に取り組みやすいはずです。

もちろん、「頑張ったところで、それに見合った報酬は得られない」と感じさせてしまうと、モチベーションの低下に繋がってしまうでしょう。

アルバイトの定着率を上げるおすすめの施策

この章では、アルバイトの定着率向上が期待できるおすすめの施策を6つ紹介します。自店・自社に取り入れやすいものから着手していきましょう。

職場のコミュニケーションを改善する

従業員間の承認・賞賛の文化を醸成することで互いに仕事へのモチベーションを高めることができます。そのために有効な手法として、サンクスカードの導入をおすすめします。

サンクスカードとは、従業員間で感謝の気持ちを送り合うカードのことです。カードといっても、昨今はスマホアプリ等でデジタルのサンクスカードを送れるツールがあります。

サンクスカードの導入によって従業員間の承認・賞賛の機会を増やすことで、風通しの良い社風が醸成されていくはずです。アルバイトスタッフ間はもちろん、社員・店長とアルバイト間のコミュニケーション改善効果も期待できます。

アルバイトの成長できる環境を整える

入社初期の教育・研修制度を整えることで、離職を抑制する効果が期待できます。例えば、オリエンテーションの時間を設けることで、「この職場でやっていけるだろうか」といった不安を軽減できるはずです。また、新人スタッフの成長を促すために、研修に動画を用いてわかりやすい教育を実施することも有効です。

アルバイトが成長できるよう環境を整えることで、スタッフの成長欲求を刺激する効果があります。こちらは、仕事へのモチベーションに直結し、経営理念や行動指針の浸透にも繋がるでしょう。

シフト体制に融通を利かせる

アルバイトスタッフは、学業や家事などと並行して勤務している方がほとんどでしょう。学校や家庭の事情によるシフト変更・交代に柔軟に対応できるよう、シフト体制に融通を効かせることで、アルバイトの定着率アップが期待できます。

また、「もしものときは、休んだり交代したりしても大丈夫」という前提があれば、学生や主婦のスタッフは安心感を感じられるはずです。

もちろん、その制度を確立するためには、シフト変更・交代に関する仕組みを整える必要があります。「急なシフト変更時のフローチャート」などを用意しておくといいかもしれません。

採用方法に工夫を加える

逆転の発想で考えると、離職しにくいスタッフを採用することが、定着率を上げるための1つのコツだといえます。そのための採用方法として有効なのが、リファラル採用・アルムナイ採用です。

リファラル採用とは、既存スタッフからの紹介で採用する手法です。実際に働いているスタッフから直接話を聞いたうえでの紹介となるため、求人の内容と現実のギャップを縮小する効果が期待できます。

アルムナイ採用とは、過去に退職したスタッフに声掛けし、再雇用する手法です。過去に在籍していたスタッフなら、ある程度業務内容・社風・企業文化などを理解してくれているはずです。アルムナイ採用によって雇用したスタッフは即戦力として活躍してくれるうえ、早期で再離職する可能性は低いと考えていいでしょう。

公平な評価制度を構築する

アルバイトスタッフにとって、昇給・昇格は仕事へのモチベーションを左右する要素の1つです。社員・アルバイトに関わらず、成功する評価制度は主に以下の3つの要素で構成されています。

  1. 定量評価(結果)
  2. 定性評価(プロセス)
  3. 定量・定性評価割合(①・②のウェイト)

上記の3つの要素のうち、どこを重要視するのかは、企業・店舗によって違ってくるでしょう。まずは、それぞれの定義や意味合いを明確にしたうえで、ミーティングや1on1の機会を使って個々のスタッフに理解してもらうことが大切です。

適正な報酬制度を整備する

「仕事量と報酬のバランスが合っていない」となると、アルバイトの離職を招いてしまいかねません。よって、勤続年数や業務スキルに合わせて適正な給与を与えられるよう、報酬制度を整えることが大切です。

また、繁忙期手当・目標達成に合わせたインセンティブなどの賞与制度を整えるのも、スタッフにとって魅力的な職場環境となるでしょう。報酬制度も評価制度と同様に、明確な定義・基準を個々のスタッフに伝えることが大切です。

承認・賞賛の文化を醸成し、アルバイトの定着率を約30%向上させた事例はこちら!

ホテルやレストランの運営・映像事業・不動産事業・保険事業など幅広いサービスを展開する株式会社BPの事例を紹介します。

1,000人以上のアルバイトスタッフを抱える同社は、アルバイト含む従業員間の賞賛文化の希薄化を課題として捉えていました。その課題を解決するために、社内コミュニケーションツール「TUNAG」を導入しました。

同社での「TUNAG」の主な活用法は、サンクスカードや日報制度です。さらに、サンクスカードと表彰制度を紐づけて、サンクスカードを送った数やもらった数が多い社員を表彰する取り組みを行っています。また、新人スタッフは初出勤から10回目の勤務までの様子・感想を「ひよこ日記」という日報に記します。それに既存スタッフがコメント・スタンプなどを送信できるようにしました。こうした取り組みが新人のモチベーション維持や新しい人材の定着に繋がっています。

結果的に、同社はアルバイト定着率をツール導入前と比較して30%向上させることに成功しています。

導入事例記事はこちら>>>アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで

まとめ|アルバイトがより職場に定着するために

アルバイトの定着率を向上させるためには、まずはアルバイトが離職してしまう原因を知ることが大切です。何事も、結果には必ず原因があります。そして、その原因に対して適切な対処をすれば、結果を改善することは可能なはずです。

社内コミュニケーションの活性化や、評価・報酬制度の整備など、アルバイトの定着率向上のためにやるべきこと・できることはたくさんあります。自社が抱えている課題を捉え、適切な対策を実行してください。

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