インクルージョンとは?ダイバーシティとの違い、導入事例を解説
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インクルージョンとは
インクルージョンの定義と歴史
(inclusion)は、英語の「包括」「包含」という単語から来ています。近年のビジネスの現場において、女性、外国人、LGBT、障害のある人、介護を担う人など、「多様な人々が互いに個性を認め合い、一体となって働く」という状態を指しています。 ビジネスだけではなく、教育現場でも「インクルージョン教育」や「インクルーシブ教育」という言葉があります。障害を持った子供と健常児を分離するという発想ではなく、障害も一つの個性であると捉え、両者が同じ学級で大半の授業時間を一緒に過ごす、という考え方です。 そのような「お互いを認め合う」「共生」の状態を「インクルージョン」と呼ぶ思想は、すでに1980年代には社会福祉のキーワードとして欧米を中心に発生していて、その後ビジネスの現場でも用いられてきました。 日本でも2000年代以降取り入れられ、最近特に人材活用のキーワードとして注目されています。ダイバーシティーとの違い
ビジネス、人材活用の現場では、「ダイバーシティ」という言葉もよく耳にします。企業が、「多様な個性、背景を持つ人材を積極的に採用し、組織にさまざまな人材が存在している」という状態をダイバーシティと呼びます。 それに対して、インクルージョンは「互いに個性を認め、受け入れ合い、一体となって働く」ということを指しています。 つまり、「多様な人材を受け入れる」という意味のダイバーシティが、「受け入れたあと、その人々の個性を活かす」の意味のインクルージョンに、より発展していったということです。 例を挙げると、ある企業が、「多様性を重視しよう」と女性管理職を増やしたり、外国籍の社員を採用するという状況を、「ダイバーシティ」と呼びます。 しかし、女性たちが「子どものお迎えで早く帰宅するのは会社にとって迷惑になる」ことを感じていたり、外国籍の社員が「外国のように、ストレートに発言すると日本では敬遠される」など、従来の価値観が会社内にまだあれば、思うように個性や能力を発揮できないという場合があるのが現状です。 「インクルージョン」では、そのような社員の「個性」を尊重し、孤立を避け、相互に補完しあい、受け入れあって組織を作っていく、ということを目指す考え方になります。 参考:https://www.works-i.com/pdf/w128_toku2.pdf 参考:http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/diversity/002_giji.htmlインクルージョンという言葉が生まれた背景
なぜ今、インクルージョンが注目されているのでしょうか?ダイバーシティだけでは不足
米国特にIT企業など最先端のビジネス現場では、「ダイバーシティ」というコンセプトのみではもはや使われなくなっているという現状があります。 「個性ある人材を採用」したあとは、「いかに活用していくか」「いかに多様性を認め、個性を尊重し合うか」という問題に直面しているといえます。 実際、インクルージョンを行わなければ、せっかくダイバーシティで採用した人材が離職するというのが実情です。略して「D&I」と称されることもあり、「ダイバーシティ&インクルージョン」はセットで抑えておくべき概念と言えるでしょう。インクルージョンを推進することのメリット
社員の離職率を下げる
多様な人材の個性を認め、活かすことで、社員の人々は「自分は会社から大切にされている」という自己肯定感や、「自分は会社の役に立っている」という自己有用感を持つことができます。 そのような心理的メリットは、離職率を下げ、定着率をアップするというデータがあります。企業のイメージアップに貢献
また、会社として「インクルージョンに取り組んでいる」というのは、健全な企業の証でもあります。環境問題への取り組みをPRするなどに代表される、CSR(企業の社会的責任)の一環にもなります。ホワイト企業、ブラック企業という言葉もありますが、「インクルージョンに積極的に取り組んでいる」という姿勢は企業のイメージアップに大きく貢献するはずです。インクルージョンについての課題
効果が表れるのに時間がかかる
インクルージョンが浸透しているという状態は、社員一人一人が「自分は会社から受け入れられている」と安心感を得て、仕事へ集中でき、創造性も発揮できるということ。社員の心理面へ働きかけ、意識の改革を行うというのは、コツコツと積み重ね、時間がかかる作業と心得ておくのが良いでしょう。無意識バイアスとは
「無意識バイアス」という言葉があります。その人を行動だけで判断せず、性別、年齢、人種などで、無意識に偏見を持って他人を評価してしまう行為を指します。 たとえば従来は、「会社にすべての時間をささげられる、残業も制約がない」という男性社員が中心で、その人達だけが個性を発揮すればいい、という考えが古く日本ではあり、まだまだそのような意識の会社も存在しています。 外国人従業員に対しても、日本は島国という風土もあり、多文化・多国籍という状況にも慣れていないので、外国人の活用が進んでおらず、問題山積みと言えます。 そもそも「インクルージョン」が発達しにくい風土であると認識し、時間をかけて施策を行っていく必要があると言えるでしょう。 参考:http://www.ibunkakeiei.com/s-board/data/f108_00.pdfインクルージョンを企業に導入する際のポイントや注意点
社員個別に状況を把握
インクルージョンは、社員各自のモチベーションや有用感など、心理的側面に作用する制度です。そのため「インクルージョンが進んでいるかどうか」という達成具合については、社員個別に面談をしてヒアリングをする、アンケートを取るなどして、丁寧に状況を把握していく必要があります。 アンケートの内容としては、たとえば管理職の社員に対して、「部下を男女の差別なく接しているか?」「育児休暇を取りたいという男性社員の相談を受けた場合、どう感じるか?」など、インクルージョンに関する質問を投げかけてみましょう。 管理職だけでなく、部下である立場の人にも、「日本人と外国籍の同僚とのコミュニケーションに違いはあるか?」「介護や育児を理由に、早退しやすい環境であるか?」など、立場の異なる人に、様々な角度から質問を投げかけ、社員各自に思考を促します。 「自分以外の社員の個性を尊重できているか」と意識させることから始めると、インクルージョンへの問題意識も芽生えやすいでしょう。成果を数値化することも大切
社員の個性を認めることが、生産性の向上のつながるとアピールすることも有効ですし、実際にインクルージョンが離職率の低下につながるというデータもあります。 上層部や投資家に納得してもらうには、そのような数値化した成果も意識すると良いでしょう。 離職率を下げることは、採用に関する費用・時間のコストも当然下がります。関連したデータを集め、提示することで、「インクルージョンが業績向上にどう結び付くのか」と、懐疑的な人にも協力してもらえるよう働きかけます。新しい施策を提案する
施策としては、働き方の変化への提案があります。「リモートワーク制度」など、会社以外でも自宅でも勤務できるという制度です。導入をしたところ、社員が強制的な出社から自由になり、自己管理力が高まって生産性が上がる、なども期待できます。 「サバティカルプログラム」という休暇への施策もあります。有給休暇とは異なり、自由や理由で1か月、場合によっては1年にわたり休暇を申請できる制度です。研究によると、6~7年など同じ企業にある程度長く勤務すると、革新性、創造性が低下するという傾向があると言われています。 自由に使える期間が、社員リフレッシュさせ、新たな活力の創成につながりますし、休暇中に大学院に行くなどスキルアップを図る社員もいるでしょう。そのような人的資源の質の向上が、企業の生産性へ結びつくという効果も期待できます。導入する企業事例
ソニー株式会社
ソニーでは、「ダイバーシティ&インクルージョン」というコンセプト大きく打ち出している企業の1つです。”高収益のサステナビリティを支えるのは社員一人ひとりのサステナビリティである”と掲げ、社員がいかに定着して働き続けられるか、という点を重要視しています。 具体的な制度として、最長2年まで、休職して留学できる”フレキシブルキャリア休職”制度や、2018年には、全社員がテレワーク制度を利用できるようにし、また利用可能日数も月10回まで、時間単位利用原則制限がないとしている“フレキシブルワーク制度”というものもあります。 また、育児との両立する社員を応援する“Working Fathers' Meeting”と“イクボス&働くママMeeting”というイベントを実施。当事者だけでなく上司も参加し、グループで共有するそうです。 その他、LGBTの方への理解を深めるイベントに積極的に参加するなど、積極的にインクルージョンを導入しています。 参考:https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/employees/engagement/index2.html三井住友ファイナンシャルグループ
2015年度以降、“男性の育休取得率100%を目指し、お子さんが生まれた男性従業員とその上司に対して人事部から取得勧奨メールを送付”しているそうです。2017年度では、約230名の男性従業員が育休を取得したと公表しています。 今後増えるであろう、介護と仕事の両立の問題についても積極的に取り組んでいます。 介護休業は1年迄取得可能であるほかに、“介護を事由とする時差出勤制度を導入する等、法定を上回る両立支援制度を整備”しているそうです。 従業員向けの“介護サイト”や情報誌で、介護のノウハウやアイディアを学べるようなツールを提供しています。 ワーキングマザーの多い部署では、“自宅や保育所等の近隣拠点での勤務を認める「サテライトオフィス」”を導入しています。 参考:https://www.smbc-card.com/diversity/idea/index.jsp多様な価値観への対応が求められる
長期的な取り組みでも、一歩ずつの積み重ねが重要
日本ではまだまだインクルージョンは浸透していないと言われています。反面、企業としてインクルージョンに積極的に取り組むことは、差別化、競争力の強化につながります。長期的な効果を期待して取り組む姿勢が大切でしょう。エンゲージメント向上のための社内制度のプラットフォーム『TUNAG(ツナグ)』について
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多様な価値観を認め合うことが求められる時代になった今、相互理解は非常に重要です。経営理念や行動指針の浸透など、会社と従業員のコミュニケーションを円滑なものにするだけでなく、従業員同士でもコミュニケーション促進を行うことができます。
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