組織の構成要素とは?運営に欠かせない原則や強い組織をつくるポイントを解説

組織は、共通の目的を達成するために人々が協力し、役割を分担しながら活動する仕組みです。組織の定義や役割について確認するとともに、強い組織をつくるためのポイントを押さえておきましょう。持続的な成長や成果につなげるための参考にしてください。

組織とは?定義や役割・目的について

組織は営利企業やNPO・自治体・学校など、形態はさまざまですが、いずれも一定のルールや構造に基づいて運営されています。

一般的に、組織は目標達成のためにメンバーが協力し合い、規則や制度・コミュニケーションなどを通じて、効率的・効果的に活動することが求められます。

単なる集団との違い

組織とただの集団との最大の違いは、目的の有無と役割の明確さにあります。同じ空間にいるだけの人々は「集団」ではあっても、組織とはいえません。一般的に、組織には明示された目標があり、それを達成するために各メンバーが役割を担い、互いに補完し合う関係があります。

また、組織は共通のルールや意思決定のプロセスを有し、外部環境に応じて、適宜行動を調整できる柔軟性も備えています。単なる集団が目的や方向性を持たないのに対し、組織は目的に向かって動くのが特徴です。

組織づくりの目的

組織づくりの目的は、個人ではなし得ない大きな目標の達成です。企業であれば利益の追求、教育機関であれば知識の伝達や人格の形成、行政機関であれば公共サービスの提供などが挙げられるでしょう。

これらは全て集団での協力によって可能になるものです。組織として複数の人材が持つ専門性や能力を組み合わせることで、個人では実現できない価値を生み出すことが可能です。

さらに、組織には長期的な目標に向かって持続的に取り組む力や、メンバー同士の相乗効果を引き出す仕組みがあります。こうした枠組みを整えることで、社会的責任の遂行や環境の変化への対応力も高まり、より大きな成果につながります。

組織の構成要素とは?

組織が成立し、継続して機能し続けるには、いくつかの要素が不可欠です。組織の構成要素に関しては、さまざまな理論や専門家の見解がありますが、ここではチェスター・バーナードによる組織成立の三要素を押さえておきましょう。

バーナードによる組織の三要素

経営学者のチェスター・バーナードは、自らの著書において、有名な「組織の三要素」を提唱しました。これは現在でも、組織論の基礎として広く受け入れられています。

彼は、組織が成立し継続的に機能するためには、「共通目的」「貢献意欲」「意思疎通」の三つの要素が不可欠であるとしています。これらの要素は独立して存在するのではなく、相互に影響し合いながら、組織の基盤を形成するものです。それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。

共通目的(Common Purpose)

「共通目的」とは、組織のメンバー全員が共有する目標や使命のことです。組織の目的が明確であれば、メンバーは自分の役割を理解し、組織の方向性と一致した行動を取りやすくなります。逆に、目的が曖昧だと、一人一人の動きがばらばらになり、組織としての一体感も失われてしまうでしょう。

従って組織のトップは、組織の存在意義やビジョンを明文化し、継続的に発信することが重要です。共通の目的は、メンバーの向上基準や日常的な意思決定の軸にもなるため、組織運営の根幹を支える要素といえます。

貢献意欲(Willingness to Serve)

「貢献意欲」とは、一人一人のメンバーが自らの時間や労力、知識などを進んで提供しようとする姿勢を指します。組織の目的を実現するには、メンバーの積極的な参加・協力の意識が不可欠です。

これは給与や報酬といった外的動機だけではなく、「この組織に関わりたい」「役に立ちたい」といった内的動機によっても支えられています。貢献意欲は、組織文化や上司との信頼関係、成長の機会といった要素とも密接に関連しており、単なる労働力の提供を超えた価値をもたらします。

意思疎通(Communication)

「意思疎通」はメンバーが情報や意見を共有し、相互理解を深めるコミュニケーション活動を指します。

メンバーの意思疎通が円滑でなければ、組織内での役割分担や協力体制が機能せず、トラブルや誤解も生じやすくなります。さらに、情報伝達の遅れや齟齬が積み重なり、意思決定の質も低下し、組織全体の生産性にも悪影響を及ぼすでしょう。

組織内の意思疎通の質を高めることで、メンバー間の信頼関係が構築・強化され、意思決定の精度も向上します。

組織運営を支える重要な原則とは?

効果的な組織運営には、普遍的な原則に基づいた管理手法が必要です。これらの原則は時代や業界を問わず、組織の基盤として機能します。

まず、明確な権限と責任の分担が必要です(権限責任一致の原則)。各メンバーの役割と責任範囲を明確にし、意思決定の権限を適切に配分することで、効率的な組織運営が可能になります。

次に、統制範囲を明確にしなければいけません(統制範囲の原則)。一人の管理者が効果的に監督できる部下の数には限界があるため、適切な組織階層を設計する必要があります。

また、専門化の原則により、各メンバーが得意分野に集中できる環境を整え、生産性の向上を目指しましょう。定型化された業務は部下にあたるメンバーに任せ、上司に当たる管理者は、組織の意思決定に関わる業務に従事すべきです(権限委譲の原則)。

これらの原則を適切に適用することで、組織は持続的に成長・発展しやすくなります。組織づくりの参考にしてみましょう。

強い組織を育むためのポイント

組織の力は、制度や構造だけではなく、人や文化によっても支えられています。持続的に成果を出す強い組織には、共通する特徴があります。以下のポイントを押さえつつ、柔軟性・安定性のある組織づくりに注力しましょう。

目的と役割の明確化・共有

強い組織の基盤となるのは、全メンバーが組織の目的と自分の役割を深く理解し、互いに共有していることです。目的は単に文書で定めるだけではなく、日常業務や意思決定の場面において、具体的に示す必要があります。

各メンバーは、自らの役割が組織全体の目標達成に、どのように貢献するかを理解していなければいけません。共通の目的意識があれば、一人一人の力が、組織全体の成果に結び付きやすくなります。

定期的なミーティングやワークショップ、目標管理制度などを活用して、目的とメンバーの役割の認識を擦り合わせることが重要です。

人材の多様性と成長を支える仕組み

組織の競争力は、人材の多様性と成長によって高まります。異なる背景や価値観を持つメンバーが活躍できるようにするには、画一的な評価や昇進の仕組みを見直し、それぞれの強みを生かせる環境の構築が必要です。

強い組織ほど個人の可能性を最大限に引き出し、変化するニーズに対応できる戦略を持っています。メンタリング制度や外部研修への派遣など、多様な成長機会を提供することでメンバーの成長意欲を刺激し、組織への貢献度を高めましょう。

信頼と対話を重視した組織文化の形成

強い組織の根底にはメンバー同士の信頼と、意見を率直に言い合える対話の文化があります。

メンバー間に強固な信頼関係があることで、それぞれが失敗を恐れずに挑戦でき、困難な状況でも助け合う姿勢が生まれます。

また、オープンな対話が促進されることで、立場や役職に関係なく意見が交わされ、多様なアイデアやイノベーションが生まれやすくなるでしょう。変化に柔軟に対応できる組織づくりにもつながります。

組織の構成要素を理解し強化を図る

組織づくりは、基本的な構成要素を理解することから始まります。バーナードによる「組織の三要素」の考え方をはじめ、さまざまな組織論において必要な要素が提唱されているので、一度参考にしてみるとよいでしょう。

また、組織運営の基本原則を踏まえつつ、目的と役割の明確化や人材の多様性の活用、信頼に基づく組織文化の形成などに取り組むことが大切です。組織のリーダーや管理者は、こういった知識を生かし、一人一人が能力を最大限に発揮できる環境づくりに努めましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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