わかりやすいマニュアル作りのポイントとは?作成のコツやステップを解説

属人化した業務の標準化、新入社員の早期戦力化、リモートワーク体制の整備など、様々な課題解決の鍵を握るのが、実用的なマニュアルの存在です。しかし、どのように作れば現場で本当に使われるマニュアルになるのでしょうか。本記事では、すぐに実践できる具体的な作成のコツとステップを解説します。

わかりやすいマニュアルのポイント

マニュアルは作っただけでは意味がありません。現場で活用され、業務の効率化と品質向上に貢献してこそ、その価値が発揮されます。

そこでまずは、「誰が見ても分かる」「必要な情報にすぐたどり着ける」「現場で使える」マニュアルを作るための具体的なポイントをご紹介します。

情報が一連の流れとして記載されている

マニュアルの効果を最大限に引き出すには、業務フローに沿った自然な情報展開がされていることがポイントです。

マニュアルには、作業の開始から完了までを時系列で記載することが望ましいとされています。作業手順は、前工程から後工程へと順を追って説明し、各ステップの関連性が明確になるよう心がけましょう。

実際の企業では、作業フローを図示し、それに対応する形で詳細な手順を記載する方法が採用されています。作業の分岐点や判断基準については、業務フロー図などを用いて視覚的に表現することで、直感的な理解を促進できます。

特に新入社員や異動者向けのマニュアルでは、業務の全体像を把握できるよう、プロセス間のつながりを意識した構成が求められます。

デザインに規則性がある

視認性と可読性を高めるマニュアルデザインには、一貫した規則性が重要な役割を果たします。情報の階層構造を明確にし、見出しのレベルごとにフォントサイズや装飾を統一することで、内容の理解が促進されます。

現場では、重要度に応じた色分けや、注意事項を示すアイコンの活用なども効果的です。デザインテンプレートを作成し、それを全社的に展開することで、部署間での統一感を実現できます。

また文字の大きさや行間、余白なども、読みやすさを左右する重要な要素となります。実務においては、A4サイズを基準とした場合、本文の文字サイズは10.5〜12ポイント程度が適切とされています。可読性や業務の細かさ、情報量に応じたデザインにするよう心がけましょう。

関連情報や補足情報がまとめられている

効果的なマニュアルには、主たる業務手順に加えて、関連する情報や補足説明が適切に配置されています。

トラブル対応や例外的なケースへの対処方法など、実践的な情報の掲載が求められます。そのため、想定されるケースごとに対応手順をまとめた補足セクションを設けることが推奨されます。

関連システムの操作方法や、必要な申請書類の記入例なども、実用的な補足情報として重宝されます。

特に注意が必要な作業については、過去のトラブル事例や対策を記載することで、未然防止に役立ちます。こうした情報は、本編とは別にまとめることで、必要な際に素早く参照できる構成となります。

マニュアルを作る前にすべきこと

マニュアル作成プロジェクトの成功には、入念な準備と計画が不可欠です。以下では、効果的なマニュアル作成のための事前準備について解説します。

プロジェクトの目的設定から具体的な作業計画まで、実践的なアプローチを見ていきましょう。

作成スケジュールを決める

マニュアル作成の効率を高めるには、具体的なスケジュール設定が重要となります。企画から完成までの工程を細分化し、それぞれに適切な期間を割り当てましょう。

現場での取り組みでは、情報収集、原稿作成、レビュー、修正といった各フェーズに明確な期限を設定します。

特に重要なのが、関係者との調整時間の確保です。実践的なマニュアル作成には実際に現場で利用する人間からのフィードバックが不可欠なため、その期間も念頭に入れることが重要になります。

そのためにも、繁忙期を避けた現実的なスケジュールを立案することも、マニュアル作成においては重要です。

利用者を明確にする

マニュアルの効果を最大化するには、想定読者の明確化が重要です。

実務経験や業務知識のレベル、職位によって、必要とされる情報の粒度は大きく異なります。そのため、新入社員向け、熟練者向け、管理者向けなど、読者層ごとにコンテンツをカスタマイズすることが推奨されます。

部署特有の専門用語や略語についても、読者の理解度に応じて説明を追加するなどの工夫を施しましょう。

利用シーンを具体的にイメージし、読者の目線に立った情報提供を心がけることで、実用性の高いマニュアルが実現できます。

記載する目的と範囲を決める

マニュアルの有効性を高めるには、明確な目的設定と適切な範囲の設定が重要です。業務の標準化、品質向上、リスク管理など、マニュアル作成の目的に応じて、記載すべき内容は異なってきます。

マニュアルには、対象となる業務の開始点と終了点を明確にし、関連する業務との境界を定めることが求められます。

現場での活用を考慮し、基本的な作業手順に加えて、例外的なケースや判断基準なども含めるかどうかを検討しましょう。

実践的なアプローチとして、目的と範囲を文書化し、関係者間で共有することで、認識の統一を図ることができます。

マニュアルを作成する手順

効果的なマニュアル作成には、体系的なアプローチが不可欠です。以下では、具体的なマニュアル作成手順を紹介します。各ステップにおける重要なポイントと、現場での実践方法について詳しく見ていきましょう。

前提条件を整理する

マニュアルの質を高めるには、業務遂行に必要な前提条件を明確にすることが重要です。実務における前提条件には、必要な権限、アクセス可能なシステム、使用する備品など、様々な要素が含まれます。

現場での混乱を防ぐため、作業開始前に確認すべき事項をリスト化し、システム要件や必要な資格についても明記しましょう。

実践的なアプローチとして、チェックリスト形式で前提条件を示すことで、漏れのない業務遂行が可能になります。特に重要なのが、セキュリティに関する前提条件です。アクセス権限や情報取り扱いの注意点を明確にすることで、安全な業務運営を実現できます。

骨子から考える

効率的なマニュアル作成には、全体構成の設計が欠かせません。業務の流れを俯瞰的に捉え、主要な工程と副次的な作業を整理することで、論理的な構成が実現できます。

実査の作成では、業務の全体像を図示し、それを基に章立てを検討することが効果的です。現場の意見を取り入れながら、重要度や優先順位を考慮した構成を組み立てていきましょう。

さらにこの作成段階で、想定される例外的なケースや判断基準についても検討を加えることで、より実用的なマニュアルとなります。特に複雑な業務プロセスでは、作業の依存関係を明確にし、適切な順序で情報を配置することが求められます。

作成ツールやフォーマットを決める

マニュアルの保守性と利便性を高めるには、適切なツールとフォーマットの選定が重要です。

Microsoft WordやPowerPointといった一般的なオフィスツールに加え、専用のマニュアル作成ソフトウェアの活用も検討しましょう。

現代のビジネス環境では、オンラインでの共同編集や版管理が可能なクラウドベースのツールも注目されています。クラウドベースのツールであれば、マニュアルの共有が簡単になるためです。

フォーマットについては、印刷版と電子版それぞれの特性を考慮し、検索性や更新のしやすさを重視した設計が求められます。

特にデジタル環境では、ハイパーリンクや動画コンテンツの活用など、マルチメディアを活用した効果的な情報提供が可能となるので、文字で書くだけでなく、動画や画像で提供することも選択しに含めましょう。

骨子に沿って内容を作成する

設計した骨子に基づき、各セクションの詳細を丁寧に記述していきます。

作業手順を写真や図解で示し、テキストによる補足説明を加えることが効果的です。

特に注意が必要な作業については、具体的な注意事項や、起こりうるトラブルの対処法まで含めた記述が求められます。

実際の業務シーンを想定しながら、必要十分な情報量を見極めることが大切です。ただし、情報が過剰になり、かえって読みにくくならないように注意しましょう。

使用者に見てもらいアップデートする

マニュアルの実効性を高めるには、現場からのフィードバックとそれに基づく改善が重要です。ドラフト版を実際の使用者に確認してもらい、分かりにくい点や追加すべき情報を洗い出します。

このとき、作成時の一回で終わらせるのではなく、定期的にマニュアルについて意見をもらう仕組みを確立しましょう。

業務プロセスの変更やシステムのアップデートに応じて、適宜内容を更新することで、マニュアルの鮮度を保つことができます。

テンプレートや作成ツールの利用も検討しよう

効率的なマニュアル作成を実現するには、既存のリソースやツールの活用が有効です。下記では、実務で活用できるテンプレートや作成ツールについて、その選定ポイントと活用方法を解説します。

既存のテンプレートを使用する

マニュアルのテンプレートを提供しているサービスも複数あります。例えばPowerPointやWordには、マニュアル用のテンプレートが入っています。他にも、無料で作成できるテンプレートを用意している企業やマニュアル作成ツールもあります。

ただし、このようなテンプレートは最初からデザインがある程度決まっているため、カスタマイズが難しい側面もあります。マニュアル作成の工数を削減するには役立ちますが、望んだとおりのマニュアル作成は難しい点は、留意しなければなりません。

ツールで楽にマニュアルを作る

マニュアル作成を支援するためのクラウドサービスも多く存在します。レイアウト以外に、動画や画像作成といった機能などもあり、こうしたツールを使うとマニュアルが楽に作成可能です。

特に注目すべきは、AI技術を活用した最新のマニュアル作成支援ツールです。これらは、テキストの自動生成や、画像認識による手順の自動抽出などの便利な機能を持っていて、自動でマニュアルを生成することもできます。

また、TUNAGという組織課題を解決できるオールインワンプラットフォームの機能の1つである、「マニュアル機能」で、わかりやすいマニュアルをどこでも手軽に見れるようにすることもおすすめです。

さらにTUNAGではそもそものマニュアル作成を「TUNAGアシスタント※」を活用し、代行作業してもらうことも可能なので、業務効率化の観点でも導入を検討してみてはいかがでしょうか?

詳細はこちら→TUNAG機能一覧

※TUNAGアシスタント…各種業務マニュアル(テキスト・文章)や社内報の作成、インタビューの記事の執筆、表彰制度の企画・運用など、さまざまな業務を代行するサービス。

わかりやすいマニュアルで業務を効率化する

今後のビジネス環境では、デジタル化の進展に伴い、マニュアルの在り方も進化していくことでしょう。従来の文書型マニュアルに加え、インタラクティブなデジタルコンテンツやAI支援ツールの活用が広がっていくと予想されます。しかし、その本質は変わりません。業務の標準化と効率化を実現し、組織のナレッジを確実に継承していくことという基本に立ち返り、自社の特性に合わせた効果的なマニュアル作りを進めていくことが重要です。

実際に作成する段階においては、本記事で紹介した手法やツールを参考に、段階的な改善を進めていくことをおすすめします。まずは小規模なプロジェクトから始め、その経験を活かしながら、全社的なマニュアル整備へと展開していきましょう。

業務効率化の実現に向けて、今日からマニュアル改善の第一歩を踏み出してください。


著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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