コミュニケーション能力が高い人の特徴は?スキルを高める方法も解説

ビジネスシーンにおいて、コミュニケーション能力は欠かせない要素として知られています。円滑な人間関係の構築に必要なスキルですが、どのように向上させるべきか分からない人も多いでしょう。コミュニケーション能力の高い人の特徴や、スキルの高め方を解説します。

ビジネスにおいてコミュニケーション能力が高い人の特徴

コミュニケーション能力とは、他者と円滑に意思疎通をすることで、適切に情報や感情を授受する能力です。

ビジネスにおけるコミュニケーションは、単に仲良く会話をすることが目的ではありません。情報を正確に共有し、認識のズレを防ぎ、チームとして問題を解決するなど、常に目的の達成が求められます。

そのため、コミュニケーション能力が高い人とは、相手の意図や背景を正確に汲み取り、同時に自分の考えを分かりやすく伝えることで、お互いが納得できる結論を導き出せる人を指します。

多くの企業が採用や人材育成においてコミュニケーション能力を重視するのは、このような信頼関係の構築と円滑な合意形成ができる人材こそが、組織の生産性向上や円滑な業務遂行に不可欠であるためです。

関連記事:コミュニケーション能力とは?不足する原因と職場改善の具体策を徹底解説

コミュニケーション能力を支える4つの構成

一般的に、コミュニケーション能力は以下の4つの要素で構成されています。聴く力や話す力はもちろん、非言語での表現力や共感力なども、スムーズなコミュニケーションに必要な要素です。

相手の言葉を正しく受け取る『聴く力』

『聴く力』とは、単に相手の言葉を耳に入れるだけではなく、その意図や背景を正確に理解する力です。相手が何を伝えようとしているのか把握し、重要なポイントを識別できる力であり、円滑なコミュニケーションに欠かせない要素です。

コミュニケーション能力が高い人の中でも、特に聴く力に優れている人は、言葉の選び方や文脈などから、相手が本当に望んでいることを理解できます。どのような感情を持っているのか汲み取れるので、顧客との対話でも良い結果を残せるようになります。

相手に合わせて言葉を選ぶ『話す力』

『話す力』とは、相手に分かりやすく適切に、自分の考えを伝える能力です。ただ一方的に話すのではなく、相手の状況や知識レベルなどに合わせて、うまく言葉を選べるのが強みです。例えば、専門用語を使わざるを得ない場面でも、意味を簡潔に説明することで、相手が理解しやすいように工夫できます。

また、具体例を挙げながら話すことで、自分の主張をより明確に伝えるのも得意です。相手がスムーズに理解できるように話せるのに加えて、相手の反応を見ながら話し方を調整できるため、営業で好成績を残せる人材が多くいます。

表情や態度で伝える『非言語表現力』

『非言語表現力』は言葉だけではなく、表情や態度・仕草などによって、相手に情報を伝える能力です。

例えば、笑顔で受け答えする人と、無表情で話し続ける人とでは、相手に与える印象が大きく異なるでしょう。姿勢や視線の向け方なども、相手に自分の意図を伝える重要な手段です。非言語でのコミュニケーションがうまい人は、言葉の内容を補強し、相手に強い印象を与えられます。

ただし、過剰な身振り・手振りや不自然な動きは逆効果になる可能性もあるため、状況に応じた適切な表現を心掛ける必要があります。

相手の感情を理解する『共感力』

『共感力』は相手の感情を正しく理解し、自分の言葉や態度で表現する能力です。相手が抱えている問題や感情に寄り添うことで、「自分のことを分かっている」と思ってもらえるため、信頼関係を深めやすいのが強みです。

例えば、相手が悩みを打ち明けたとき、ただ解決策を提示するだけではなく、うまく共感を示すことで安心感を与えられます。相手の立場や背景を想像しながらやり取りできるので、ビジネスシーンでは交渉やチーム内の連携が求められる際に活躍できるでしょう。

共感力の高い人は、より良い人間関係やチームワークを生み出せるため、業界・職種にかかわらず、広く求められている人材といえます。

コミュニケーション能力が高い人に共通する特徴

コミュニケーション能力が高い人には、単なる技術だけでなく、マインドセットや思考法においてもいくつかの共通点が見られます。

ここでは、ビジネスシーンで信頼を得ている人たちに共通する5つの特徴を解説します。

1. 相手への好奇心や関心を持っている

第一の共通点は、コミュニケーションの土台となるマインドセットとして、相手への好奇心や関心を強く持っていることです。

相手が「何を考えているのか」「どんな背景を持っているのか」「なぜ今この話をするのか」といったことに関心を持つからこそ、自然と質問が生まれ、相手の話を深く聴く姿勢につながります。

相手を知ろうとする姿勢が、安心感と「自分を尊重してくれている」という印象を与え、信頼関係の第一歩となります。

2. 相手に合わせた「伝わる」話し方ができる

コミュニケーション能力が高い人は、自分が話すことよりも、相手に伝わることを最優先にします。

自分の知識や言いたいことを一方的に話すのではなく、相手の性格や立場、知識レベルなど、その場の状況に合わせて、言葉選びや話の構成を柔軟に変えることができます。

例えば、専門用語を使わざるを得ない場面でも、相手の理解度に合わせて簡潔な説明や具体例を加える工夫をします。常に相手の受け取り方を考えて話せるため、認識のズレや誤解を防ぐことができます。

3. 「聴く」と「話す」のバランスが取れている

会話のバランス感覚に優れている点も、大きな共通点です。

コミュニケーション能力が高い人は、自分の意見を的確に伝える力だけではなく、「聴く力」を持ち合わせています。

一方的に話し続けることはせず、適切な質問を投げかけたり、相手の話に深く耳を傾けたりすることで、相手が本当に望んでいることや潜在的なニーズを引き出します。この「聴く」と「話す」の最適なバランスが、対話をスムーズにし、相手の満足度を高めます。

4. メタ認知に優れ自分を客観視できる

コミュニケーション能力が高い人は、メタ認知能力(自分自身の状態を客観的に認識する力)に優れています。

会話の最中であっても、「自分の今の話し方は、相手に伝わっているだろうか?」「感情的になりすぎていないか?」「話が長すぎて、相手は退屈していないか?」といったことを、もう一人の自分が冷静にモニタリングしています。

もし目的からズレそうになっても、すぐに軌道修正できるため、感情的な対立を避け、常に建設的なコミュニケーションを維持することができます。

5. 適切な非言語表現を使える

非言語表現を上手に使いこなすことも、コミュニケーション能力の高い人の特徴です。言葉だけではなく、表情や身振り手振り、視線といった非言語的な要素を適切に活用できるので、自分の意図をより明確に相手に伝えられます。

また、相手の非言語表現を読み取る力にも長けており、言葉だけでは伝えきれない、微妙なニュアンスを認識できるのが強みです。

コミュニケーション能力は性格で決まる?

「コミュニケーション能力が高い人は、もともと社交的な性格なのでは?」「内向的な自分には難しい」と考える方もいるかもしれません。

確かに、生まれ持った性格や気質が、コミュニケーションの取り方や頻度に影響を与える側面はあります。

しかし、コミュニケーション能力は性格だけで決まるものではありません。

相手に伝わる話し方や話を聴く技術、自分を客観視する力といった要素の多くは、性格とは別のスキルです。

例えば、性格が内向的であっても、相手の話を深く正確に聴き取り、論理的に自分の考えを整理して伝える技術を磨けば、ビジネスシーンでは「コミュニケーション能力が高い人」として高く評価されます。

逆に、どれだけ社交的で明るい性格であっても、相手の話を聞かずに一方的に話し続けたり、感情的に相手を否定したりすれば、コミュニケーション能力は低いと判断されるでしょう。

コミュニケーション能力は、正しい知識を学び、意識して実践することで、後天的に鍛えることができるスキルなのです。

コミュニケーション能力が低い人の特徴

コミュニケーション能力が高い人の特徴を見てきましたが、逆に低いと見なされてしまう人にはどのような特徴があるのでしょうか。

自分や周囲の人が当てはまっていないか、セルフチェックしてみましょう。

話が一方的・抽象的で伝わらない

コミュニケーション能力が低いとされる人は、会話が伝達ではなく、一方的な発信になりがちです。

相手の理解度や反応を確かめずに自分の言いたいことだけを話し続けたり、相手が話す隙を与えなかったりします。

また、話の主語が抜け落ちていたり、「あれ」「それ」といった抽象的な表現が多かったりするのも特徴です。「結局、何が言いたかったのか」が相手に伝わらず、聞き手が何度も質問して意図を汲み取らなければならないため、コミュニケーションコストが高い相手だと思われてしまいます。

相手の話を聞かず、反応が乏しい

相手が話しているにもかかわらず、スマートフォンを操作していたり、視線を全く合わせなかったりするなど、「聴く姿勢」が見られないのも特徴です。

また、真剣に聞いていたとしても、表情が一切変わらなかったり、頷きや相槌が全くなかったりすると、話している側は「この話に興味がないのだろうか」「しっかり聞いてもらえているのだろうか」と不安になります。

相手に安心して話せるという土壌を提供できないため、深い情報や本音を引き出すことが難しくなります。

自分の意見や感情を優先してしまう

コミュニケーションの目的は、合意形成や相互理解です。

しかし、コミュニケーション能力が低い人は、目的よりも自分の意見を通すことや、自分の感情を優先してしまう傾向があります。

相手から意見や反論が出た際に、すぐに「でも」「しかし」と否定から入ったり、感情的に反論したりしてしまいます。相手の意見を受け止め、尊重する姿勢が欠けているため、建設的な議論ができず、「あの人とは話しにくい」と敬遠される原因となります。

コミュニケーション能力を高めるには?今日からできる具体的な方法

コミュニケーション能力は、日々の意識と実践によって鍛えることができます。ここでは「マインド」「テクニック」「環境」の3つの側面から、今日からできる具体的な方法を紹介します。

【マインド編】相手の置かれた立場や背景を考慮する

相手の立場や背景をきちんと考慮することは、共感を示すだけではなく、こちらの主張を聞いてもらうためにも必要です。特に意見が対立した場合に、相手の思いやニーズが分かっていれば、落とし所を探りやすくなります。

また、文化的な背景や個人的な経験の理解にも努めることで、相手がどのような価値観を持っているのか、把握できるようになるでしょう。ビジネスシーンでは、相手の役職や業務内容に応じて、具体的な支援やアドバイスをすることで、信頼関係の構築にもつながります。

【テクニック編】傾聴力を鍛える

傾聴力を鍛えることは、コミュニケーション能力を高めるための基本的なステップです。ただ話を聞くだけではなく、相手の話に注意を向け、何を伝えたいのかを深く理解する姿勢が求められます。

相手に「しっかり聞いてもらえている」という安心感を与える、具体的な技術を紹介します。

バックトラッキング(オウム返し)

バックトラッキングとは、相手が使った言葉をそのまま繰り返す(オウム返しする)技術です。「〇〇だったんですね」「〇〇と感じたのですね」と返すことで、相手は「話をしっかり聞いてもらえている」「自分の意図が正しく伝わっている」と感じ、安心感を持ってさらに深く話してくれるようになります。

ミラーリング・ペーシング

ミラーリングは、相手の表情や仕草、姿勢などを鏡のように合わせる技術です。ペーシングは、相手の声のトーンや大きさ、話すスピードに合わせる技術を指します。

人は自分と似た動きやペースの人に無意識的に親近感や安心感を抱きます。これらを活用することで、相手との心理的な距離を縮め、信頼関係を築きやすくします。

関連記事:傾聴の重要性とは?ビジネスで活用する方法と組織への効果を解説

【テクニック編】PREP法で分かりやすく伝える

分かりやすく伝えるスキルを磨くには、普段から話の「型」を意識して練習するのが効果的です。

ビジネスシーンで特に役立つのが「PREP(プレップ)法」です。これは、Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論を再度強調)の頭文字を取ったもので、この順番で話すと思考が整理され、相手に最も伝わりやすくなります。

  • P(結論): 「〇〇を提案します」
  • R(理由): 「なぜなら、〇〇という課題があるからです」
  • E(具体例): 「例えば、先日〇〇の場面で…」
  • P(結論): 「したがって、私は〇〇を提案します」

日頃からこの型を意識して話す練習を重ねることで、論理的で分かりやすい伝え方が身につきます。

【環境編】話しやすい環境づくりに努める

話しやすい環境を整えることも、スムーズなコミュニケーションに必要な要素です。リラックスできる静かな場所での会話や、相手がプレッシャーを感じないフレンドリーな雰囲気をつくるなど、相手に安心感を与えるように努めましょう。

また相手が自分の意見を率直に伝えやすいように、批判的な態度をせず、積極的に受け入れる姿勢を示す必要もあります。たとえ結果的に、相手の提案を受け入れなかったとしても、意見を尊重する姿勢を貫くことが大事です。

こういった配慮により、相手は安心して自分の考えや感情を共有できるようになるため、より深い信頼関係が生まれます。

コミュニケーション能力を高めて信頼を得る

コミュニケーション能力は、ビジネスでもプライベートでも、人間関係を築く上で欠かせないスキルです。『聴く力』『話す力』『非言語表現力』『共感力』の4つの領域を意識して伸ばすようにすれば、スムーズに意思疎通ができるようになるでしょう。

さらに相手の置かれた状況や、話しやすい環境を意識することも重要です。日常的に分かりやすく説明する練習も積み重ねることで、相手とスムーズなコミュニケーションを取れるように努力しましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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