働き方改革関連法の全体像を分かりやすく解説!企業がとるべき対策とは?

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働き方改革関連法とは

多様化する働き方に合わせた労働法の改定

働き方改革関連法とは、2018年6月に新たに成立した法案です。この法案により、多様な働き方に対応できる労働基準法に改正されます。 様々な項目が改正されますが、施行については、対象となる企業規模により開始時期が異なることがありますので留意が必要です。 日本は少子高齢化に歯止めがかからず、生産年齢の低下が著しい現状があります。そこで政府は「一億総活躍社会」として多様な生き方に対応できるような労働環境を整える事で、育児や介護で離職せざるを得ない人材の流出を阻害したり、高齢者の再雇用などを目的とした法案を施行しました。 具体的には、多様化する働き方を実現させる社会のために、長時間労働の是正、柔軟な働き方、雇用形態に関わらない公正な待遇などに関連する法の改定です。

成立・施行時期

2018年6月29日に働き方改革法案が成立し、2019年4月以降、改正法が適用されます。また、改正法の適用については、大企業・中小企業によって実施時期が異なります。 ※働き方改革法の「大企業」に該当する企業に分類されるのは、以下の「中小企業」に該当しない企業です。

<中小企業の定義>

・資本金の額またが出資金の総額 小売業・サービス業・・・5,000万円以下 卸売業・・・1億円以下 それ以外・・・3億円以下 ・常時使用する労働者数 小売業・・・50人以下 サービス業・卸売業・・・100人以下 それ以外・・・300人以下 上記の資本金の額またが出資金の総額、または常時使用する労働者数のどちらかに該当する企業は中小企業と分類され、どちらにも該当しない企業は大企業に分類されます。

<働き方改革法の適応時期>

・残業時間の「罰則付き上限規制」 →大企業:2019年4月1日〜 →中小企業:2020年4月1日〜 ・5日間の「有給休暇取得」の義務化 →全企業:2019年4月1日〜 ・「勤務間インターバル」の努力義務 →全企業:2019年4月1日〜 ・「割増賃金率」の中小企業猶予措置廃止 →大企業:適用済み →中小企業:2019年4月1日〜 ・「産業医」の機能を強化(事業主の労働時間把握義務含む) →全企業:2019年4月1日〜 ・「同一労働・同一賃金の原則」の適用 →大企業:2020年4月1日〜 →中小企業:2021年4月1日〜 ・「高度プロフェッショナル制度」の創設 →全企業:2019年4月1日〜 ・「3ヶ月のフレックスタイム制」が可能に →全企業:2019年4月1日〜 各項目においての詳細は後述しますが、適用のタイミングと対象となる企業規模が異なります。適応範囲を把握し、就業規則の改定などに向け、準備をしておきましょう。
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企業が対策すべき7点

今回の働き方改革関連法に基づき、労働基準法が改定されました。それに伴い企業として対応が必要な項目が大きく7項目あります。

1. 時間外労働の上限規制

長時間労働が深刻化しており、メンタルヘルスケアや過労死を防止するために、残業についても上限規制が適応になります。残業時間は原則月45時間かつ年360時間以内です。 繁忙期であっても月に100時間未満、年720時間以内にするよう上限に制限があります。この時間外労働時間を超えてしまうと刑事罰の対象となりますので、勤務時間を把握するなど労務管理が必要となります。 また、月60時間を超える時間外労働には割増賃金の割増率を50%以上にしなければならないという制度がありますが、中小企業においては猶予期間が設けられていました。 この「月60時間を超える法定労働時間外労働の割増賃金率」についての猶予措置が廃止になり、全企業が対象となります。なお施行期日は平成34年4月1日です。 参考:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000177551.pdf

2. 勤務間インターバルの導入

勤務間インターバルとは、勤務後から次の勤務までは一定の時間、休息を取る時間を設ける事が望ましいと努力義務が設けられました。EUでは既に導入されており、24時間で最低でも連続で11時間の休息が義務付けられています。 日本では努力義務のため、休息時間に関しても定めはありませんが、政府は2020年までに勤務間インターバルの導入企業を10%以上にすると目標を掲げています。 併せて勤務間インターバルの導入に取り組んだ企業には助成金(職場意識改善助成金)も新設されています。 参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

3. 5日間の有給休暇の義務化

年10日以上の有給休暇を保有している従業員は、必ず5日以上の有給取得が義務化さるようになります。こちらに関しては、全企業が対象で2019年4月1日からが適用になります。

4. 高度プロフェッショナル制度について

年収が1,075万円以上(平均給与額の3倍を上回る水準)で、一定の専門分野を扱った職種の労働者が対象になります。労働者の同意があれば、労働時間の規制や割増賃金支払いの対象外とする制度になります。 参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000365015.pdf

5. 産業医の機能強化

従業員の健康管理に関して産業医などに対して、労働時間など必要な情報提供が義務付けられます。これにより企業としても労働時間の把握義務などが発生します。 労働者が安心して産業医による健康相談が受けられるようにするため、企業としても取り扱いルールを明確にし、推進する必要があります。労働者が産業医に直接相談ができるための環境整備やその仕組みの構築及び告知します。 参考:https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000166490.pdf

6. フレックスタイム制の変更について

フレックスタイム制は、これまで最大1ヵ月単位での運用となっていましたが、最大で3ヵ月でも適用する事が可能となります。これにより、繁忙期に時間外労働などが偏ってしまっている場合などは平準化されるようになります。

7.同一労働・同一賃金について

正規・非正規での格差を是正するために、同一賃金・同一労働の原則が適応になります。この適応により、同じ業務内容であれば非正規雇用の従業員にも均等待遇を与える必要があります。 ただし、正規雇用の社員の場合は転勤の可能性があったり、責任の範囲が異なる事もあると思います。これらのように差異についての説明が明示できる内容があれば同一賃金である必要はありません。

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企業で準備・整備しなければならないこと

労務管理の徹底

各項目において適用開始に向け、制度の見直しが必要になります。有給休暇の義務化に関して言えば、全企業が対象となりますので、労務担当者は有給消化率の確認などが発生します。 また、労働時間に関しても労務担当者は把握しておかなければなりません。時間外労働の上限が定められており、守らなければ刑事罰を受ける事にもなります。 また労働時間については産業医等への情報提供も必要となりますので、いつでも提供できるように労務管理をしておきましょう。

制度の見直し

これまで1ヵ月単位だったフレックスタイム制が3ヵ月まで運用が可能となるので、必要であれば制度も見直す必要があります。併せて勤務間インターバルを導入する際は、フレックスタイム制の導入なども検討される事項です。 例えば、深夜0時まで残業をしていた場合、翌朝の就業開始時刻である8時では8時間しかインターバルが取れないため、10時出社を可能にするなどの対応が必要となります。その運用に伴い、フレックスタイム制の導入なども実施しましょう。 その他にも高度プロフェッショナル制度であれば、コンサルタントや研究職など対象となる職種やその対象者に対し、従業員の同意を得る必要があります。

就業規則の改定

制度の見直しが完了したら、その内容に併せて就業規則の改定が必要となります。10名以上の従業員を雇っている場合、就業規則の作成、及び労働基準監督署に届出をしなければなりません。

労使協定の締結

就業形態の変更や就業規則を変更したりした場合には労使協定を締結する必要があります。労使協定は、労働者と企業間で取り交わされる約束を書面にしたものです。 特に今回の改定では、時間外労働の上限について変更になります。これまでは、36協定や特別条項の上限に明示的な法的根拠がなかったため、残業時間を無制限にした協定を締結する事も可能でした。 結果として罰則の適応を免れる事となり、いくつかの企業で脱法行為が行われてきました。今回の改定には、法に基づいた時間外労働の上限が定められましたので、その旨を明記した協定を締結する必要があります。 この他にも高度プロフェッショナル制度を採用する場合は、労働者との合意が必要となりますので必ず締結するようにしましょう。

企業規模や改定内容によって施行時期が異なるので注意

働き方改革関連法は、改定項目も多く、2019年4月1日から一斉に開始される項目もあれば、該当する企業規模によって開始時期が異なる項目もあること事もポイントです。 自分の会社がどのタイミングで、何を変更されるのかを事前に把握し、法に則った企業運営をしましょう。

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今回の働き方改革法の改正により、より従業員と会社の関係について見直しをする必要が出てくるでしょう。

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著者情報

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