5W1Hとは?構成要素の意味や正しい順番、具体的な活用事例を紹介

5W1Hは、情報伝達に課題を抱えている場合に役立つフレームワークです。有効に活用すれば、ビジネスやマーケティングにも好影響をもたらすでしょう。5W1Hの具体的な意味や正しい順番、活用事例を紹介します。

5W1Hとは

フレームワークとは、思考を整理するための枠組みを指します。5W1Hとはどのようなフレームワークなのか、まずは基本的な意味を押さえておきましょう。

情報整理のフレームワークのこと

5W1Hは、情報を整理して正確に伝わりやすくするフレームワークです。文章を書く際や話をする際に5W1Hを意識すれば、伝えたい情報を過不足なく正確に伝えられます。

5W1Hの構成要素は、以下の6つです。

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • Why(なぜ)
  • How(どのように)


それぞれの頭文字をとって5W1Hと呼んでいます。

ビジネスシーンで5W1Hを活用すれば、情報が正確に伝わるようになるため、認識の齟齬による業務の停滞を防げるでしょう。

5W2Hや5W3Hとの違い

5W1Hにはさまざまな派生形があり、代表的なのが5W2Hと5W3Hです。5W2Hは5W1Hに「How Much(いくら)」を、5W3Hはさらに「How Many(何個、どれだけの数)」を追加しています。

商談や契約など金額が絡むシーンでは、5W2Hの活用が効果的です。金額と併せて数量も考慮したい場合は、5W3Hのフレームワークが役立ちます。

まずは5W1Hの意味や活用方法を理解し、伝える内容をより具体化したい場合に5W2Hや5W3Hの活用も検討するとよいでしょう。

5W1Hの活用で期待できること

5W1Hを使うと、ビジネスにおいてさまざまなメリットがもたらされます。5W1Hの活用で期待できることを見ていきましょう。

業務の改善点が見つかる

5W1Hで情報を整理すれば、業務の改善点を洗い出せます。業務に対して投げかけた問いに論理的に回答できない部分が、ボトルネックになっていると判断できるためです。

日々の業務だけでなく既存の施策に対しても、5W1Hを使って改善点を探せます。なかなか目標を達成できない施策がある場合は、5W1Hでボトルネックを見つけてみましょう。

戦略を論理的に立案できる

事業戦略を立案する際、5W1Hフレームワークを活用することで、論理的かつ体系的なアプローチが可能になります。このフレームワークは、戦略の各要素を系統立てて分析し、因果関係を明確にすることで、より論理的な戦略立案を促します。

例えば、マーケティング戦略を立案する際は、各要素で次の視点から内容を論理的に検討できます。

  • When:戦略開始のタイミングや実行期間
  • Where:対象エリアや使用する媒体
  • Who:販促のターゲット
  • What:販売する商品やサービスの内容
  • Why:販促・タイミング・実行期間などの理由
  • How:施策の内容


この方法は、感覚的な判断ではなく、データや事実に基づいた論理的な意思決定を促進し、より説得力のある戦略策定につながります。

新たな施策の発見につながる

5W1Hは問題を多角的に捉え、思考を整理できます。これにより、今まで気づかなかった側面に目を向けたり、異なる要素を新しく組み合わせたりすることが可能になります。結果として、従来の方法では思いつかなかったような斬新なアイデアが生まれる可能性が高まります

既存の商品やサービスを見直す際も同様で、5W1Hの枠組みを用いて再検討することで、新たな視点からの改善案を見出せるでしょう。

このように、5W1Hは単なる情報整理のツールを超え、創造的思考を促進し、革新的なアイデアを生み出すきっかけとなる効果的な手法なのです。

5W1Hの構成要素と正しい順番

5W1Hの構成要素は、情報を整理しやすい順番で並べられています。正しい順番とそれぞれの内容を確認しましょう。

1.When(いつ)

Whenは、時間や期間、現在を起点とした指定の時間を指す要素です。Whenを明確にすることで、具体的なスケジュールやタイムラインを把握できるため、関連するタスクや期限に対応しやすくなります。

時間の情報が明らかになれば、関係者全員が計画的に行動できるようになるでしょう。タスクの優先順位を決めるシーンでも、時間の情報は重要です。

2.Where(どこで)

場所を表すWhereは、物理的な場所や環境を明確にする要素です。出来事・行動が発生した背景や、環境の範囲・広がりなど、情報の空間的な文脈を確認するのに役立ちます。

Whereに該当する具体例は、会議の実施場所やプロジェクトの現場、商品の配送先です。現実世界の位置情報以外に、パソコンの保存場所を特定する際もWhereを使います。

3.Who(誰が)

個人やチームを指す要素がWhoです。特定の行動や出来事において、誰がどのように関係しているのかを示します。タスクの担当者や問題発生時の連絡先、プロジェクトのメンバーなどが代表例です。

Whoを明確にすることで、関係者の責任や役割も明らかになります。単に名前や役職を伝えるだけでなく、その人の人となりや背景を添えるとより親切です。

4.What(何を)

特定の行動や出来事の内容・対象を表すWhatは、情報の本質を理解するために欠かせない要素です。具体的には、商品・サービス・テーマ・コンセプトなどが該当します。

Whatを整理することで、行動や出来事の詳細を把握できるほか、必要なリソースや手段も明確化されます。関係者が取り組むべき業務内容や達成すべき目標も分かりやすくなるでしょう。

5.Why(なぜ)

Whyは理由や目的を示す要素です。「なぜこのプロジェクトを立ち上げる必要があるのか」「この問題が生じた背景には何があるのか」といったことを明らかにします。

Whyの情報をそろえると、問題解決に向けた原因の分析や、戦略立案の際の背景理解に役立ちます。顧客の購買動機を分析するシーンでも、Whyの明確化が求められるでしょう。

6.How(どのように)

特定の行動や出来事における方法・過程は、Howの項目で整理します。進行方法や製造工程といった、目的達成までの道筋を明らかにする要素です。

Howが具体的に示されることにより、ステップやアプローチへの理解が深まります。全員が同じ方向に進めるようになるため、一貫性のある結果を出すことが可能です。

5W1Hの派生フレームワークも知っておこう 

5W1Hの派生形には、5W2Hや5W3HといったHのみが増えるタイプだけでなく、6W2Hや6W3Hなどの形もあります。ゴールデンサークル理論と呼ばれる2W1Hも覚えておきましょう。

6W2H

6W2Hは5W2Hに「Whom(誰に)」を追加したフレームワークです。Whoも一緒に含まれているため、WhoとWhomは対象が異なります。

マーケティングにおいては、販売する商品やサービスのターゲットやペルソナを設定することが重要です。Whomが含まれた6W2Hを活用することで、ターゲットやペルソナまで考えた提案を行えます。

6W3H

6W2Hに「How many(何個、どれだけの数)」の要素を加えたものが6W3Hです。How manyでは数量の情報を整理します。

これまで紹介した中で最も多くの要素を含むフレームワークです。さまざまな情報を網羅的に把握できるため、新しいことを始める際のアイデア出しや行動確認で役立つでしょう。

相手に情報を伝達する際も、5W1Hから6W3Hまで要素の幅を広げるのが理想です。内容を不足なく伝えられるほか、認識の齟齬によるミスの発生も予防できます。

2W1H(ゴールデンサークル理論)

2W1Hは、「Why(なぜ)」「How(どのように)」「What(何を)」の順で構成されるフレームワークです。人の感情に強く訴えたいケースで活用され、ゴールデンサークル理論とも呼ばれます。

「What(何を)」から始まる5W1Hは、理論的かつ合理的な手法ではあるものの、感情に訴える力は弱めです。一方、2W1Hでは「Why(なぜ)」から説明するため、相手から共感を得やすくなります。

2W1Hは情報整理・整頓のフレームワークというより、ブランディングや共感を促す側面が強いフレームワークです。

5W1Hの活用事例

5W1Hはビジネスのさまざまなシーンで活用できます。具体的にどのような使われ方をしているのか、活用事例をチェックしましょう。

ミーティングを開催する場合

ミーティングの開催を関係者にアナウンスする際は、5W1Hを活用して次のような内容を盛り込みます。

  • When:開催時刻、開催時間
  • Where:開催場所
  • Who:参加者、人数、司会
  • What:議題、問題点
  • Why:ミーティングを開催する理由とゴール
  • How:会議で用いる資料や道具、議決方法


単に時間と場所のみを伝えるのではなく、事前にさまざまな情報を共有することで、ミーティングがよりスムーズに進行するでしょう。

マーケティング戦略を検討する場合

化粧品販売会社が自社製品のマーケティング戦略を検討する場合、5W1Hの例は以下の通りです。

  • When:9~10月
  • Where:ECサイトや小売店での販売
  • Who:冬の肌乾燥が気になる20代女性
  • What:自社の美容クリーム
  • Why:売上の向上
  • How:お試しサイズを併せて販売し、自社の会員にはお知らせを配信


マーケティング戦略ではWhyの項目が重要です。リピート率の向上や認知度アップなど、目的が変わればその他の項目も異なります。

新商品を開発する場合

新しい商品やサービスを開発する際も、5W1Hを活用できます。各項目の具体例を見ていきましょう。

  • When:通勤中
  • Where:屋外(自転車での走行中)
  • Who:20代女性
  • What:自転車通勤に適したバッグ
  • Why:自転車にカゴがついていないから
  • How:両手でハンドルを握って安全に自転車を運転できる


上記の情報を整理してコンセプトを明確にしておけば、「20代女性だからデザインも重視したい」「ビジネスで使うため機能も充実させたい」と、商品仕様のイメージも膨らんでいきます。

5W1Hのフレームワークをビジネスで活用

5W1Hは情報を整理して過不足なく正確に伝えるためのフレームワークです。業務の改善点の洗い出しや戦略の立案、新しいアイデアの創出にも役立てられます。

各要素の意味や考え方を深く理解し、必要に応じて5W2Hや5W3Hなどの派生形も活用するとよいでしょう。

業務効率化」の他の記事を見る

TUNAG お役立ち資料一覧
TUNAG お役立ち資料一覧