新卒社員が成長する瞬間は「主語の変化」にある。

− 人と組織が強い会社の深イイ仕掛け -  いよいよ来週より4月に突入します。多くの企業では、新入社員が入社するタイミングですね。 僕もこの時期になると、自分自身の新卒時代を振り返ります。入社式直前に愛知県はずれの山奥の研修施設に集められ、怒涛のような新卒研修合宿を受けた経験を、毎年鮮明に思い出します。社内では恒例行事で精神的にも体力的にもかなりハードなものでした。 その時に、よく言われたことがあります。「新卒社員が会社を支えられるように、成長して欲しい」というメッセージです。 あれから十数年経ちますが、その期待とは真逆で、30名弱いた同期はもう数名までに減ってしまったそうです……。 ⇒お役立ち資料「エンゲージメント向上施策50選」はこちら

新卒社員が強い企業は、成長する

我々スタメンも新卒が強い会社づくりを目指し、会社設立当初から新卒採用を積極的に実施しています。 本来、この規模・フェーズでは中途採用を中心に行う会社が多く、新卒採用自体をしていないこと多いのが一般的です。そんな中でスタートアップの企業としては珍しく、弊社は新卒社員が占める割合が20%を超えています。 そして、彼ら彼女らはそれぞれのフィールドで早くも活躍しています。 テックリードとしてエンジニアチームの技術、組織をマネジメントしていたり、営業組織のエースとして事業成長を引っ張ってくれていたり、品質管理から企画を通じて利用企業の課題解決に向き合っていたりと、新卒1、2年目のメンバーが事業の重要なポジションで活躍をしてくれています。 手前味噌ですが、本当に優秀なメンバーで、それぞれがしっかりと力を発揮してくれていて頼もしさもあります。 成長企業になればなるほど、その傾向が強くなると思いますし、レベルも上がるでしょう。現在注目されている成長企業の多くは、新卒採用に期待と可能性を見出し、積極的に実施しているのではないでしょうか。

新卒世代が重要な役割を担うことができる会社は、強い組織であることが多い

実際に、事業や会社の重要な役割で新卒メンバーがそれぞれ活躍をする環境が形成されていますし、新卒20代で子会社の社長になったり、新卒3年目で事業責任者に大抜擢したりする企業も耳にします。 通常の企業であれば30〜40代が担う重責や役割を、新卒世代が担っている。そのような会社は明るく、風通しも良く、そして強い組織ばかりだと思います。 むしろ、そういった環境が土壌としてあるからこそ、若い新卒世代が成長し、それに伴って企業も成長するのだと納得させられます。 成長企業には、活躍する新卒社員が多いのです。 お役立ち資料「エンゲージメント向上施策50選」はこちら

早期離職してしまう会社に共通すること

早期戦力化や短期的な成果を求めすぎる

一方、新卒採用はするものの、上手く軌道に乗らない企業もあります。それは会社側が、新卒社員に「与えること」よりも、「求めること」に会社の目線が向いてしまっているからではないでしょうか。
・入社から早期で現場に送り出して、戦力化を図ろうとする ・業務取得やスキル取得を最優先して、短期的に過度な成果を作らせようする ・上記の環境下でのパフォーマンスを正として評価をする
このような傾向がある企業が多いように思います。 人員不足を埋め合わせるために新卒採用を行っている背景から、そうせざる得ないのかもしれません。しかし、結果的に早期離職してしまうとすれば、このように新卒社員に「求めること」に重点を置くやり方は間違っていると思います。 お話を伺っていると、問題の原因を受け入れ側である“現場”に向ける経営層もいます。「現場が人を育てられない」この言葉に集約されています。 早期に戦力化を図ろうとし、短期的に成果を上げることを求めながら、うまくいかないと「育成能力が無い」と現場を責める。 現場はその矛盾した状況のしわ寄せがきているわけなので、現場はむしろ被害者側ではないでしょうか。

「与えること」を怠っていませんか?

調査データに目を向けると下記のように離職理由が並びます。
・希望業務と配属のミスマッチ ・報酬待遇や福利厚生への不満 ・キャリアパスへの不安
※参考:新卒入社3年以内離職の理由に関する調査-アデコ株式会社- このような結果は、会社に対する「不満」や「不安」が表れているものであり、離職理由としての本音は別だと思っています。 そんな中、転職メディアはありとあらゆる広告面で「本当にやりたい仕事に出会おう」「勇気を出して一歩踏み出そう」というフレーズで、転職への導線を張り巡らせて転職潜在層を後押しをする。 離職理由に関する根本的な原因の解決をしないまま、転職することを正当化し、転職への動機形成を促していく。その結果、ジョブホッパーのごとく転職を繰り返す層が増えていく……。 この循環で誰が幸せになるのだろうか……。もちろん、このようなサービスを否定するわけではありません。 本質的な問題は、会社から従業員へ“与えること”が欠如していることだと考えています。 「与える」といっても、手取り足取り面倒をみてあげるという意味ではありません。 会社の経営理念や行動指針、ミッション・ビジョン・バリューなどの会社として大切にすることや価値観の伝達。 そして、組織の中で働く上司・仲間の理解、なによりも、既存の社員が“新卒メンバーを理解する”という点がすっぽりと抜けてしまっているんですね。 それなのに、いきなり実務的な内容のインプットを行い・結果を求めてしまう。いくら優秀な人材でも「理解・共感」抜きにいきなり活躍するのは難しいでしょう。結果、日常業務に埋もれてしまう。 そのような積み重ねから、何かしらのきっかけをもって離職へ。そのような流れが起こってしまう。 つまり、エンゲージメントの醸成が不足していること。これが最大の原因だと僕は思います。

新卒社員が成長する時の共通点

成長する瞬間は「主語の変化」にある

新卒社員の育成・成長の過程に、ある共通点があります。それは「主語が会社である発言が増える」ことです。 「会社」の部分は、事業や部署、チームなどに置き換わる場合もあります。新卒育成の上手い企業の新卒社員は、入社から早い段階でこの傾向にあります。 なぜ主語が会社であることが成長のバロメーターになるのか?実際に体験したケースがあります。 以前、ある新卒社員が爆発的に成長をした瞬間を目の当たりにしたことがあります。 その社員は、入社時に期待が高かったかというと、そうではありません。むしろ心配されているくらいでした。そして周りにはたくさんの優秀な同期たちがいました。 日々の会話でも、そして仕事上の社外コミュニケーションをとる場合でも、「私」が主語のことが多い人でした。「私はこうです」や、「私はこう思っています」といった感じで。 しかし、ある時期から主語が「会社」に変わっていったんですね。そこから急角度で成長曲線を歩んでいきました。 あっという間に重要な仕事を任されるようになり同世代の顔・会社の顔として活躍をすることとなりました。 何年か後に、この出来事を振り返って話を聞きました。印象的だったのは、「会社、事業、仲間のことが理解できるようになり、自分の役割が明確になった時に、自然と変わっていった」という話でした。 つまり、自分の中で会社や組織に対して本当の意味での“信頼関係”が形成できたということです。 同じような事例はTUNAG(ツナグ)を活用したコミュニケーションの中でも見られます。

新卒が活躍する会社にするために

「集めること」はゴールではない。「育てること」からスタートしていくもの

スポーツでは下馬評を覆して、ジャイアント・キリングされるシーンが度々あります。 高校野球でも、全国からスカウトをした超強豪の私立高校を差し置いて、公立高校が優勝をすることもあります。記憶に新しいのは優勝こそ逃しましたが去年の金足農業の大躍進などですね。 そういったストーリーを紐解くと必ずでてくるキーワードは「信頼・一体感・貢献」などです。つまりエンゲージメントの力そのものなんですね。 これは新卒採用においても、同じことなんです。「どれだけ優秀な学生を集めるか」ではなく、「集めた学生をどう成長させるか」。 新卒社員は、「集めること」がゴールではありません。むしろ、「育てること」からスタートしていくものです。 入社した瞬間からが本番であり、やっとスタート地点に立ったようなものです。

情報を与え、理解度を高めること

会社から「与える情報」を新卒社員に均一に伝えていくことと、その理解度を上げることが、まずは会社が取り組むべき一番のポイントだと僕は思います。 入社後、新卒社員は情報やノウハウを大量にインプットしていくわけですが、その過程で会社の考えや事業の方向性、会社が大切にしている理念や行動指針などの土台もしっかり積み上げられていかなければなりません。 この土台づくりこそ真っ先に会社が取り組むべき内容なのです。これは新卒社員に限ったことではなく中途入社社員にも共通しています。 目先のこと(つまりは早期の戦力化や成果)を求めてしまうと、本来大事な土台づくりが疎かになります。それが、会社と従業員のすれ違いを起こしたり、不信感、不安感を募らせる結果になってしまいます。 弊社で考えるエンゲージメント経営は、「会社と従業員、従業員同士の相互の信頼関係」をつくり、その上に立脚する形で、愛着や帰属、貢献、推奨といった、「働きがい」や「働きやすさ」を得てもらうことを目指します。 最初にご紹介した、新卒社員を大抜擢するような会社では、新卒社員は会社からの情報を得て理解し、事業を成長せざるを得ない環境に置かれます。 その結果、土台が早期に積み上がり、活躍できているのではないでしょうか。エンゲージメントが高い企業ほど、新卒の育成も上手いのです。 ※弊社で考えるエンゲージメント向上に必要な土台のイメージ

すべての会社はエンゲージメントによって変わる

TUNAG(ツナグ)では、上記のようなステップでエンゲージメント向上を目指していますが、組織をデータで分析したり、組織論が存在したり、新しい組織体系が注目されたりと、こと「組織を強くする方法」は多く世の中に存在します。 そんな中で、僕たち“TUNAG(ツナグ)”の目指す世界観や思想は、間違いなくこれからの「ベーシック」になるはずだと強い気持ちを持っています。(「正しい」という表現でなく、あえて「ベーシック」という言葉の方がしっくりきていますが。) 何事も基本は大事。基本を習得するためにスポーツでは練習法やドリルなどが存在しています。強い組織づくりのための基本として、「TUNAG(ツナグ)を活用すること」が、その選択の一つとなるようにしていきたいと考えています。
▼『TUNAG(ツナグ)』について 『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。 会社様ごとにカスタマイズでき、課題に合ったアクションを継続的に実行できるところに強みがあります。 「施策が長続きしない」「定着しない」というお悩みがございましたら、「現在のお取り組み」のご相談を無料で行っておりますので、お問い合わせください。
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著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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