社員の7割以上が福利厚生に不満あり?ダイバーシティの観点から見る令和の制度・福利厚生の充実を図る方法

福利厚生の充実は、社員の採用力や定着率の向上に欠かせない要素です。しかし、働き方や人材が多様化している令和時代において、社員が満足する福利厚生を用意することは簡単ではありません。この記事では、時代と共に変化する福利厚生のニーズと共に、福利厚生の充実を図る方法について解説します。

【時間がない方のためのポイントまとめ!】

  • 約7割の社員は福利厚生に納得していない!
  • 満足度の高い福利厚生に必要なのは量ではなく質
  • プライベートを尊重する福利厚生の需要が高い

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時代とともに変化する福利厚生の要件

福利厚生(この場合は法定外福利厚生を指す)は企業にとって導入義務はないものの、採用力の強化や人材の定着率向上に対して重要な要素となっています。

どのような福利厚生を選択するかは企業が自由に選定可能です。しかし、福利厚生に対する働き手の要望も時代とともに変化しているのはご存じでしょうか?

令和における労働環境と働き手が求める福利厚生のニーズ、企業側が福利厚生に対しどのように向き合うべきかを、まずは紹介します。

福利厚生に「満足」と答える従業員は3割未満

「独立行政法人・労働政策研究・研修機構」は2017年に企業約2,800社、従業員約8,300人に対し、福利厚生施策の実態に関するアンケート調査を実施しました。

「会社の福利厚生に満足しているか」という質問に対し、回答者全体で見た場合の「満足している」という回答は全体の24.4%。「どちらとも言えない」と答えた人の割合は49.4%、「やや不満+不満足」と回答した人は23.9%となっています。

従業員規模別に見た場合、300人以上従業員を抱える企業の割合は比較的高いものの、およそ3割に留まっています。

会社の福利厚生に対して満足している従業員の割合は3割程度であり、およそ6割以上の人材は、福利厚生に満足していないという回答結果となっています。

もし、企業が福利厚生の充実を自社のストロングポイントと考えているのであれば、これは由々しき問題です。法定外福利厚生は会社としては大きな費用がかかるものの、社員はその恩恵をあまり感じられていないということになるのですから。

出典:独立行政法人・労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査

終身雇用制ではない時代で求められる福利厚生

なぜ、会社が注力しているにも関わらず、従業員の福利厚生に対する満足度が低いのでしょうか?

その理由として、大きな要因は3つあります。

  1. 福利厚生の存在自体が認知されていない
  2. 福利厚生を使える雰囲気にない
  3. 現代の働き方に、福利厚生の内容がフィットしていない

それぞれ詳細に見ていきましょう。

1つ目は、「福利厚生の存在自体が認知されていない」というものです。ある企業で、育児休暇・時短勤務の制度を設けているにも関わらず、その利用率が3割に満たないという状況がありました。

人事部が調査した結果、制度の存在自体を知らない社員が多かったのです。このように、福利厚生の制度の存在を社員側に周知していないため利用率が低いということは起こり得ます。

2つ目が「福利厚生を使える雰囲気にない」というものです。例えば、有給休暇の取得率が悪い企業では、従業員が有給休暇を取得しない理由として「自分が休むことで他の人に迷惑を掛ける」「他の人が取っていなくて取りにくい」といった意見がよく見られます。

社内に、福利厚生を利用しやすい雰囲気がなければせっかく用意した制度が利用されず、社員の福利厚生に対する不満を生むことになるのです。

そして3つ目が「現代の働き方に、福利厚生の内容がフィットしていない」というものがあります。一括採用・終身雇用制が当然だった時代の福利厚生は「組織にいちはやく馴染むためのもの」という点にフォーカスされた制度が多く、社員旅行や社内サークルなどに注力されていました。

しかし、終身雇用制ではない会社においては、育児サポート、資格取得のフォローアップなど、個人個人に対する福利厚生が好まれるようになってきました。

時代に合わせて、どのような福利厚生が求められているのかは考えなければなりません。

多様な人材・働き方への対応

グローバル化と共に、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まる職場が増えています。

それに伴い、企業は多様な働き方や価値観に対応した福利厚生を整備する必要があります。例えば、非正規社員に対する福利厚生の制度、ライフステージに合わせた支援、育児を行いながら働く社員に対してのフレックスタイム制度、在宅勤務制度などが挙げられます。

特にコロナショック以降は、在宅ワークを採用する企業も増えており、そのための制度も重要な課題と言えるでしょう。

需要の高い福利厚生制度10選

株式会社OKANが全国の20~50代の働く男女3,760名を対象に行った「withコロナで変化する「働くこと」に関する調査」によれば、従業員が求める福利厚生は以下となっています。

1位・特別休暇
2位・慶弔支援
3位・ファミリーサポート
4位・ヘルスケアサポート
5位・住宅手当・家賃補助
6位・自己啓発支援
同位・介護支援
8位・財産形成支援
9位・子育て支援
10位・保険サポート

2019年度の調査時には3位だった特別休暇が2020年度は1位に、また前年10位だった慶弔支援が2020年度には2位になっています。3位のファミリーサポートは、家族手当や子供の送迎や預かりのサービスで、2019年度にはなかった項目です。

このことからわかるように、社員が望む福利厚生制度は社会的背景や家庭の事情によって変化し、企業はその変化をキャッチアップし続けて制度をアップデートすることが求められます。

出典:<withコロナで変化する「働くこと」に関する調査④>コロナ禍で顕著になった”企業と従業員の関係希薄化” 会社に愛着が湧く理由トップは「特になし」 31.3% | 株式会社OKANのプレスリリース

量ではなく質とニーズを重視した福利厚生

福利厚生の充実を図るためには、単に制度の数を増やすのではなく、従業員のニーズに応える質の高い制度を提供することが重要です。

現代の多様化する働き方やライフスタイルに対応するため、どのような福利厚生制度が求められるのかを具体的に見ていきましょう。

多様な働き方を支援することで定着率を向上させる

従業員が自分のライフスタイルに合わせて働ける環境を提供することは、定着率の向上に直結します。

子育て中の社員にはフレキシブルな勤務時間や在宅勤務の選択肢を提供し、介護を必要とする社員には特別休暇を設けるなど、個々のニーズに応じた支援が求められます。

例を挙げると、ヤフー株式会社では、子育て経験のある社員に子育てに関する相談ができる「サポーター制度」が用意されています。

このように、形式的な制度だけではなく、社員にとって本当に必要な制度を考えて充実させていくことで、定着率向上を図ることができます。

出典:ヤフーのDE & I ― 社員有志プロジェクト「パパママ PJ」

成長を支援して社員の将来に投資

社員の中には「仕事に必要な資格が欲しいけれど、取得するお金がない」という人もいます。

そういう人に対して、資格取得の支援を福利厚生に盛り込んでおくことは効果的です。「この会社に入社すれば〇〇という資格が取得できる」は採用力の強化や自社に優秀な社員を増やすことにもつながります。

また、社員の中に「資格を取得すること」への意識が生まれれば、社内全体の技術・モチベーション向上をもたらします。

特に、現代は将来への不安から、会社で働く理由に「スキルアップ」を求める社員も増えています。そうした成長意欲の高い社員を支援することは、社内全体のエンゲージメントを高める効果があります。

今ある制度の質の向上で充実度を高める

既存の福利厚生制度を見直し、その質を向上させることも重要です。

例えば、働く女性が増えたことで女性社員の福利厚生を充実させることは各企業の課題となっています。その中で、育児休暇だけではなく、搾乳施設や育児施設の社内設置、オンライン婦人検診、子どもの行事で取得できる「キッズデイ休暇」などの制度を設けている企業もあります。

休暇取得を認めるだけではなく、社員にとって必要な福利厚生を考え、導入することが今ある制度の質を高め、それが企業の採用力や定着力強化につながります。

制度を可視化して利用しやすい環境を作ろう

制度があっても利用されないという状況は避けねばなりません。社員の福利厚生に貢献しないだけでなく、制度を維持するためのコストを払い続けるだけの結果となり、企業にとってメリットがないからです。

そうならないために、福利厚生の制度を周知し、可視化することが必要となります。

弊社の「TUNAG」では、福利厚生の制度を可視化すると共に、社員が制度を利用しやすい環境の構築が可能です。

【社内報・社内掲示板】制度の存在を周知し続ける

「TUNAG」では、会社からのお知らせが各自のスマホに直接届く社内報・社内掲示板を利用することができます。これらを活用して、福利厚生制度の情報を定期的に更新し続けましょう。

社員がいつでも制度の詳細を確認できる環境を整えることで、利用率を高めることができます。

また、「TUNAG」ではワークフローを作成することが可能であり、スマホから制度利用の申請を簡単に行えるようにすることで、より利用率が向上する効果が期待できます。

▶ 組織に一体感を生むWEB社内報の運用ステップ

【社内アンケート】社員の声を反映し制度利用を働きかける

福利厚生の充実には、社員のニーズを正確に把握することが欠かせません。定期的に社内アンケートを実施し、社員が求める福利厚生を把握しましょう。

アンケート結果を基に制度を見直し、社員の声を反映することで、より実効性の高い福利厚生制度を構築することができます。

また、アンケートを通じて社員が制度を利用する際の障害や問題点を把握し、それを改善するための施策を講じることも重要です。

【クーポン】会社が福利厚生に力を入れていることをアピール

福利厚生の一環として、社員に対して利用可能なクーポンを提供することも効果的です。例えば、レジャー施設やレストランで使えるクーポン、健康管理に役立つサービスの割引クーポンなどを提供することで、社員の生活の質を向上させることができます。

「TUNAG」では、コンビニやカフェ、映画館など、日常的に使える厳選された福利厚生クーポンを用意しています。会社が福利厚生に力を入れていることをアピールし、社員の満足度を高めることができます。

時代と共に変化を続けるニーズを満たす

福利厚生の従業員満足度は、日本全体で見ても低い傾向にあります。その理由は制度が周知されていないことや、制度を使いづらい社風、制度が時代に合っていないなど様々な原因が考えられます。

福利厚生の充実は、企業のブランドイメージをアップし、採用力のアップや社員の定着率向上にも貢献します。形式的な福利厚生ではなく、社員が安心して働けるための福利厚生制度を導入しましょう。

また、福利厚生に対するニーズは、社会背景やライフステージなど、時代と共に変化し続けます。時代の変化を的確に捉えた制度を用意することが重要です。

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