組織の目的が企業の未来を変える!明確化のメリットと実践フレームワーク

企業が持続的に成長するためには、組織の目的を明確にし、それを全員で共有することが不可欠です。

この記事では、組織の目的が企業にとってどれほど重要であるかの解説と、目的を明確化するためのステップや目標設定フレームワークを紹介します。
企業が持続的に成長するための強い組織作りの第一歩として、目的の明確化がいかに重要であるかを学びましょう。

組織論を構成する重要な要素

組織とは同じ目的を達成するために構成された集団のことであり、「組織に何が必要か」という議論は、さまざまな経営者や経済学者の間でなされてきました。

組織論を学ぶことは、経営者にとって大きなプラスになるはずです。
さまざまな組織論の中でも、アメリカの経営学者のチェスター・バーナードが、組織を成立させる要素について、以下の3つを挙げています。

共通目的

共通目的とは、組織全体が一丸となって目指すビジョンや目標のことを指します。
共通目的が明確に共有されていれば、社員は自身の業務がどのように組織全体の成果につながっているのかを理解しやすくなり、モチベーションの向上につながります。

一方で、目的が曖昧だったり、上層部と現場で解釈がズレていたりすると、業務の優先順位や判断基準が揺らぎ、非効率な動きや組織内の混乱が生じやすくなります。
共通目的は、単なるスローガンではなく、日常業務に落とし込まれて初めて意味を持つのです。

協働意思

協働意思とは、メンバー同士が自発的に協力し、組織目標の達成に向けて連携しようとする意志を意味します。
協働意思が強い組織では、個々の貢献が単なる自己完結にとどまらず、チーム全体の成果に直結します。

たとえば、プロジェクトの進行中に担当外の課題が発生した際にも、「それは自分の仕事ではない」と線引きせず、「チームとして成功させよう」と主体的に関与する姿勢が見られます。
このような姿勢が組織に根付くことで、部門間の壁が低くなり、情報共有や支援が活発になって、組織としての機動力が高まります。

反対に、協働意思が希薄だと、成果の属人化が進み、全体最適よりも個人最適が優先される環境になってしまいます。

意思疎通

意思疎通、すなわちコミュニケーションは、組織が一枚岩となって動くための要となる要素です。
円滑な意思疎通が図られていれば、誤解や認識のズレが生じにくくなり、業務の効率性や品質が高まります。

例えば、定期的なミーティングで部門間の進捗を共有したり、チャットツールや社内SNSでリアルタイムに連絡を取り合ったりすることにより、情報の遅延や齟齬を防ぐことができます。
逆に、情報の伝達経路が不明確だったり、上意下達のみで意見交換の機会が少ない組織では、問題の早期発見や改善提案がなされにくく、現場の声が活かされません。

双方向かつ継続的なコミュニケーション環境を整備することが、強い組織づくりには不可欠です。

組織における3つの目標

組織が長期的に成果を上げ続けるためには、明確な目標の設定と、それに基づいた戦略的な行動が欠かせません。

本章では、組織における3つの目標をカテゴライズし、それぞれに対するアプローチについて詳しく解説します。

意義目標

意義目標とは、組織の存在理由や社会的使命を反映した目標であり、いわば「なぜこの組織は存在するのか」という根本的な問いに対する答えとなります。
企業理念やビジョン、価値観と密接に結びついており、「社会にどのような価値を提供するか」「顧客にどのような影響を与えるか」といった視点で策定されます。

たとえば、「すべての人に安全な食を届ける」「地方経済の活性化に貢献する」といった目標は、社員の行動の指針となるだけでなく、社会的責任を果たす意識を高める効果があります。

このような意義目標が明確であれば、社員は日々の業務に使命感を持って取り組むことができ、エンゲージメントやモチベーションの向上につながるでしょう。

成果目標

成果目標は、組織の活動によって達成すべき具体的な結果を、定量的に定めたものです。
売上高、利益率、顧客獲得数、市場シェアの拡大など、数値で測れる目標を設定することで、組織全体のパフォーマンスを客観的に評価することが可能になります。

これらの目標は、中長期の経営戦略と連動して策定され、各部門やチームの行動計画の基盤ともなります。

たとえば、「売上前年比120%の達成」や「新規顧客300件の獲得」といった具体的な目標があれば、進捗管理や評価もスムーズに行えます。
また、成果目標の定期的なレビューにより、現状の課題や改善点を早期に把握でき、戦略の柔軟な見直しにもつながるでしょう。

行動目標

行動目標とは、社員が日々の業務の中でどのように振る舞い、どのような価値基準に基づいて行動すべきかを示すガイドラインです。
こうした行動目標は単なるスローガンではなく、組織文化や倫理観、業務遂行の基準にまで関わる重要な要素です。

たとえば、「顧客第一の姿勢を貫く」「チームワークを大切にする」「報連相を徹底する」といった行動目標は、具体的な行動基準として社員に浸透させることで、組織全体の一貫性を保つ効果があります。

こうした行動目標を明文化し、評価制度にも組み込むことで、社員の行動に方向性を持たせるとともに、組織全体の信頼性やブランド価値の向上にもつながります。

目標設定のフレームワーク

曖昧な目標では、従業員の行動が分散し、成果に結びつきにくくなります。
そこで活用されるのが、SMARTやOKR、KPI、ベーシック法などのフレームワークです。

これらの手法を導入することで、目標が具体的かつ実行可能になり、組織の方向性と個々の行動が一致しやすくなります。

本章では、各フレームワークの特徴と活用ポイントを詳しく解説し、目的達成に向けた道筋の描き方を紹介します。

SMART

SMARTは、目標を明確かつ達成可能に設定するための代表的なフレームワークです。

具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、関連性(Relevant)、期限付き(Time-bound)という5つの要素に基づいて目標を設計します。

SMARTを用いることで、行動指針が定まり、進捗の可視化やフィードバックが容易になります。
また、目標の現実性と意義を再確認する機会にもなり、チーム全体の納得感と実行力が高まります。

KPI

KPI(Key Performance Indicator)は、目標の進捗を定量的に把握するための重要な指標です。
たとえば「月間売上500万円」「お問い合わせ数100件」「ユーザー継続率90%」など、業績を具体的な数値で可視化します。

KPIを導入することで、目標に対する現在地が一目で把握できるようになり、早期の軌道修正が可能となります。

また、KPIはチームや部門単位で設定することが多く、業務の優先順位付けや評価制度との連動にも活用されます。
定期的なレビューにより、現場との温度差を防ぎつつ、成果志向の風土を育てる手段としても有効です。

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、目標(Objective)と主要な成果(Key Results)をセットで設定するフレームワークです。

たとえば、「顧客満足度を向上させる(Objective)」に対して、「顧客アンケートのNPSスコアを+10改善」「カスタマーサポートの初回対応率を95%にする」といった成果指標を複数設定します。

OKRの特徴は、野心的な目標と透明性にあります。
組織全体で目標を共有し、上下・横断的に連携しながら進めることで、部門間の連動性や一体感が高まります。

成果の達成度を定期的に確認しながら進めるため、柔軟性と挑戦の文化を生み出すのに適した手法です。

ベーシック法

ベーシック法は、シンプルかつ実践的な目標設定手法で、主に「何を達成したいのか(目標)」「どのように行動すべきか(手段)」という基本に立ち返って設計されます。

特に小規模組織やフレームワーク導入に不慣れな組織にとっては、複雑な指標を使わずに、明快かつ実行しやすい形で目標を定められるのが利点です。

シンプルながら組織の方向性を明確にし、日常業務に目標を自然に組み込むことが可能となります。

組織の目的を見直し、持続的な成長を目指す

組織の目的を定期的に見直し、経営層と従業員全体で共有することが、企業の持続的成長を支える礎になります。

経営環境の変化に合わせて、目的や目標を柔軟に見直し、それに対応する戦略を策定することが重要です。
定期的な目標設定と評価を行うことで、組織は常に改善を続け、長期的に安定した成長を達成することができます。

組織の目的を明確化することは、単に目標を達成するための手段にとどまらず、組織の未来を築く基盤となります。

目的を共有し、従業員全員がその実現に向けて積極的に取り組む環境を整えることで、組織全体のパフォーマンスが向上し、持続的な成長へとつながるでしょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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