ビジネスにおける問題解決とは?考え方や具体的なステップを解説
売上の減少や離職率の増加といった課題に直面したとき、どう対応するべきでしょうか?問題解決は、こうした現実的な障害を克服し、事業成長を実現するためのプロセスです。本記事では、問題解決に必要なステップや考え方、スキルを分かりやすく解説し、解決力を高める方法を具体的に紹介します。
問題解決とは?具体的に何を指す?
ビジネスにおける問題解決とは、目標達成に向けて障害となる要素を取り除くことです。まずは、問題解決の基本概念や必要性、課題との違いについて理解しておきましょう。
「問題を解決する」とはどういうことか
問題解決とは、現状と理想のギャップを埋めるために、根本原因を特定し、適切な手段で対処するプロセスを指します。単に目先の対処ではなく、再発防止の観点から障害の本質にアプローチすることが重要です。
問題を解決し理想的な状態にするには、何が障害となっているのか正しく理解し、その原因を分析した上で、効果的な方法を模索しなければいけません。単なる症状の対処ではなく、根本的な原因にアプローチする必要があります。
なお、一般的に既存の障害を取り除くのが問題解決といわれていますが、将来的に発生する可能性のある障害に対する準備をしたり、自ら設定した障害を乗り越えたりするのも問題解決の一種です。
なぜビジネスに問題解決が必要なのか
ビジネスシーンにおいて、問題解決は欠かせない要素です。難度や規模の差はあれ、常に問題を解決しているといっても過言ではありません。例えば、顧客対応の遅延に早期対応することで、顧客満足度が20%向上した企業もあります。このように、問題解決の迅速さは業務効率の改善や顧客満足度向上、コスト削減に直結します。競争力の高い企業は、このスキルを活用して市場での優位性を確立しています。
問題を放置すると全体の業務効率が悪化したり、営業の機会を失ったりするケースもあるでしょう。逆に、スピーディーに問題を解決することで、業務の円滑化や顧客満足度の向上・コストの削減といった成果を上げられます。
問題解決能力の高い社員のいる企業は、市場での競争力も高く、画期的な商品・サービスを生み出せるケースも少なくありません。そのため多くの企業は、問題解決能力のある人材を求めています。
「問題」と「課題」はどう違う?
「問題は現状の障害やネックとなる具体的な事象を指し、たとえば『売上が前年同期比で20%減少している』などです。
一方、課題とは目標を達成するため、解決すべきテーマを指します。問題よりも抽象的であり、具体的な問題を解決するための方針を示す場合もあります。ビジネスでは自社の課題を明確にすることで、その中にある具体的な問題を特定し、解決策を検討するのが一般的です。
問題解決に必要なステップ
問題解決は、単なる思いつきや直感に頼るのではなく、計画的・段階的なアプローチが必要です。問題の解決に至るステップを、具体的に確認していきましょう。
1.問題の定義
問題を明確に定義することは、解決に至る第一歩です。問題を正確に認識し、その範囲や影響を理解することが、解決のポイントとなります。目の前にある障害がどのように発生したのか、どの部門やプロセスに影響を与えているのかなど、詳しく調べることが大切です。
たとえ問題があることを認識していても、本質的なところを理解していなければ、的外れな解決策を打ち出す可能性があるので注意しましょう。
2.原因の分析・把握
問題をきちんと定義したら、原因を深く分析する必要があります。表面的な症状だけではなく、問題の背後にある、根本的な原因を把握しなければいけません。
原因の分析には「5 Whys(なぜを5回繰り返す)」や、「フィッシュボーンダイアグラム」などの手法を用いるのがおすすめです。問題の分析を誤ると、解決策が一時的な対処で終わってしまうケースが多く、再発のリスクが高くなります。
3.解決策の立案
問題の原因を突き止めたら、具体的な解決策を立案します。解決策は、現実的で実行可能なものでなければなりません。複数の解決策を考慮し、それぞれの利点やリスクを比較検討しましょう。
解決策が効果的であればあるほど、解決後の成果も大きくなるため、慎重に策定する必要があります。また、利害関係者と積極的に意見を交換・共有することで、多角的な視点で解決策を導き出すことも大切なポイントです。
4.解決策の実行・評価
立案した解決策を実行に移す段階では、関係者と協力しつつ、できる限り計画的に進める必要があります。解決に必要なタスクを割り出し、分担やスケジュールを細かく設定しましょう。加えて、進捗を詳細に管理し、適宜改善する必要があります。
さらに、施策の実行後は、きちんと成果を分析・評価することも大事です。関係者からフィードバックを受け、きちんと再発防止策を講じるとともに、改善が必要な点を洗い出し、次の施策につなげる工夫が求められます。
問題解決に役立つスキル・考え方
ビジネスパーソンとしてスムーズに問題解決を図るために、身に付けるべきスキルや基本的な考え方も押さえておきましょう。以下の思考方法やフレームワークなどを活用すれば、より効率的な問題解決が可能になります。
MECE
MECE(Mutually Exclusive、 Collectively Exhaustive)とは、問題解決の基本的な考え方で、元々は「重複しない」「漏れのない」状態を指す言葉です。問題の原因を分析したり解決策を提示したりする場面において、重複や漏れなく問題を整理し、有効な解決策を導き出しやすくなります。
ビジネスシーンではとりわけ複雑な問題を分解し、全体像を把握するのに役立つので、日頃からMECEに物事を考える癖を付けるとよいでしょう。
ゼロベース思考
ゼロベース思考は、既存の前提にとらわれず、物事を広く捉える考え方です。従来の方法や慣習・前例・過去の実績だけを当てにするのではなく、新しい視点で問題を捉えるアプローチであり、新商品やサービスの開発などの場面で役立ちます。
ゼロベースで考えることで、革新的な解決策が見つかることも多く、従来の枠に囚われない柔軟な解決策を提供できるようになります。
各種フレームワーク
問題解決にはロジックツリーやSWOT分析、さらに上記のように5 Whysや、フィッシュボーンダイアグラムなどのフレームワークも有効です。これらを活用することで課題を構造化し、抜け・漏れのない形で論理的に整理できます。
複雑な問題に対しても段階的に解決へと導きやすくなり、解決策の立案や意思決定もスムーズに進められるでしょう。問題解決の質を向上させ、スピーディーな対応ができるように、さまざまなフレームワークを学び、実践で生かしてみましょう。
問題解決力を高めるには?
問題解決力を高めるには、何よりも実践を積み重ねることが重要です。学んだ考え方やフレームワークを日常業務に積極的に取り入れ、自分なりにブラッシュアップを図りましょう。他者の解決事例や成功・失敗体験から学び、柔軟な考え方を身に付けることも大切です。
また、自分の問題解決のプロセスを振り返り、どのステップが効果的だったか、逆に改善すべきところは何か検証してみましょう。実践と評価・改善のプロセスを繰り返すことで、さまざまな問題に柔軟にアプローチできるようになります。
問題解決力を磨いて競争に勝ち抜く
問題解決力は、ビジネスシーンで必須の能力であり、多くの人が身に付けるべきスキルでもあります。まずは正確に問題を定義し、本質的な原因の把握に努めましょう。その上で、現実的で実行可能な解決策を導き出すことが重要です。
さらに、MECEやゼロベース思考といった考え方や、フレームワークなども活用することで、複雑な課題にもスピーディーに対応できるようになります。実践と評価・フィードバックを重ねることで、ビジネスパーソンとして問題解決力を磨き続けましょう。