「TUNAGは組合の存在意義が"伝わる"ツール」業界の大変革期における豊田合成労働組合のチャレンジ
創立から70年余り。長い歴史を持つ愛知県清須市に本社をおく、輸送機器・電子機器メーカー豊田合成株式会社の豊田合成労働組合では、組合の活動内容や存在意義が組合員に伝わっていないことを課題に感じていました。
「業界の大変革期だからこそ、チャレンジが必要」「"伝える"から"伝わる"へ」そう話す書記長の源治様と常任執行委員の藤井様、お二人にTUNAG(ツナグ)導入の背景や期待、これからの組織の姿について、お話を伺いました。
導入前に感じていた課題
ペーパーレス化の必要性、情報伝達や横のつながりも課題に
藤井:私自身、職場で感じていたことなんですが、「紙が多いぞ」と。
組合の誰もが使えるツールということで紙というアナログなものを大事にしていたんですが、社会的にペーパーレスを進めなければならない、カーボンニュートラルにも寄与する必要があるというときに、そういう情報発信をしている側が一番ペーパーレスが進んでいない状況がありました。
ここは本部主体でみんなのデジタルリテラシーを高めて、ペーパーレスを進めていこうじゃないかと考えたのが1つです。また、組合の議案書に「組合員みんなで組合活動を決めて、一緒にやろう」と書かれていて、情報発信はたくさんしていたんですが、そもそも見られてないんですよね。
機関紙を配っていてもそういう言葉が出てくるので、どこまで紙を撒いても限界があるなというのは感じていました。特に、コロナ禍になってから、組合員さんの一部から「組合は何をしているかわからない」という声があるのも事実でした。
あと、組合員さんは全体で6,000人弱いるんですが、職場ごとに孤立して、個人商店化してしまっていて。
組合としては横のつながりが一番大切なんですが、それができているのは組合の役職者にとどまっていたんです。
組合ホームページはあるものの、組合員さん同士、ほかの拠点の仲間を知らないことも多かったので、横につながっていけるツールがないかなと探していました。
TUNAG導入のきっかけ
見に行く必要のある「ホームページ」から、受け取れる「アプリ」へ
藤井:最初は組合ホームページの更新をしようと思っていたんです。
10年とか20年前に外注した本当に古い形式のもので、それを更新しようと考えていたんですが、果たしてこれが最適な手段なんだろうかと。
それで、御社も含めていろんなサービスを検討させていただいて、やっぱりアプリなんじゃないかと。
何より、ホームページは自分から見に行くものである反面、アプリは何もしなくても情報を受け取れるというメリットがあるし、みんながスマホで使っているので使いやすさもあるだろうということで、アプリを選定することになりました。
ホームページの更新を考えていた時は、ホームページ制作ツールのプラグインを使って、いろんな機能に対応していこうと思っていました。
ただ、かなり煩雑で、組み立てていくのにものすごく時間がかかるなっていうのもあって。
そもそも、ただペーパーレス化するだけなら、ホームページのリンク集で済んでしまうんですよね。
そうじゃなくて、ワークフローが入れられたり、募集ができたり…そういうものがセットになっていて、やりたいことが全部パッケージになっているようなツールはないのか、いやないだろうなって思っていたときに、源治から「このサービスちょっと聞いてみなよ」と言われたのがTUNAGだったんです。
実際に話を聞いて「これだ!」と思いました。
役員と一般組合員、それぞれに向けた発信や共有ができる
〜他のサービスとも比較検討する中で、何がTUNAG選定の決め手となりましたか〜
藤井:組合役員向けにやりたいことと、組合員さん向けにやりたいことの使い分けができるところです。
それぞれ機能が充実してるんですよね。
役員の中だけで共有したり、承認フローを回したいこともあるし、一方で組合員さんに向けてはペーパーレス化を実現したり、たとえばスキルマーケットみたいな、得意なことやスキルを発信して「ここの部のあの人に聞いてみようか」みたいな横のつながりができる仕組みを作りたかったんです。
そういうやりたいことが、もうテンプレートでできている。
「あれもできるの?これもできるの?」という感じで、逆にちょっと大丈夫かなと思っちゃったぐらいなんですけど、実際にアプリを触らせていただいて、信頼を持てました。
源治:ご紹介の中でいいなと思ったのが、TUNAGは担当の方のサポートがあって、みんなが情報を見てくれるような環境を一緒に作ってくださるという点ですね。
あと、これまでは「伝えたいことがちゃんと伝わっているのかな」と思うことも多かったのですが、TUNAGだと投稿に既読がつくので、組合員さんにどれだけ見てもらえているか、解析もできます。
何のために組合活動をやっているのかだとか、活動の中身まで、コンテンツを作り込んでいくことで、組合員さんに示せるっていうのは大きなことだと思いました。
TUNAGを活用した取り組みについて
議事録の掲載やスキルマーケットなど、TUNAGを組合のプラットフォームに
源治:まず、月1回の執行部が集まる会議の議事録は、全部TUNAGにアップロードして、そこからダウンロードできるようにしたり、出欠の確認もTUNAGでしたいですね。
ほかにも、ペーパーレス化は絶対実現したいですし、プッシュ型通知で情報が受け取れるようにするのも、組合の方針がすぐわかってすごく良いので、すぐに取り組みたいと思っています。
今後組合では新しく、チケットの半券補助をする取り組みも始めるんですけど、そういう「1人1回」みたいな条件もTUNAGだとアプリ側で設定できるので、そこも運用に乗せていきたいなと思っています。
藤井:TUNAGを組合活動全般におけるプラットフォームにしたいですね。
TUNAGを使ってみて、「便利だな」「おもしろいな」「組合っていいな」と思ってもらえる仕掛けを作って、そういった口コミが一気に広がっていくようにしたいです。
組合員さん向けのスキルマーケットの仕組みでは、業務に関するスキルだけじゃなくて、たとえば趣味・特技とかもいけますよね。
「これ自分で作ってみたいけど、わかんないから買っちゃおう」みたいな話はよくあると思うんですね。
それがスキルマーケットで「DIYが得意です」と発信している人がいたら、その人に聞いてみようと。
そんなつながりができたら、よりアプリの価値が感じられますよね。
運用について
TUNAG活用のメリットを示して登録率アップを図りたい
〜TUNAGの運用体制について教えてください〜
藤井:本部には専従役員が6名、書記が4名います。このメンバーには全員、管理運用に携わる権限を持たせたいなと。
その中で、実務を担うのは書記ですね。申請関係などを書記の4名にお任せしたいと思っています。
源治:我々本部専従も含めた全執行部の36名には編集権限を与えて、最終的には支部ごとのコンテンツも自分たちで作れるようにしていきたいですね。
〜TUNAGを利用する組合員のみなさまはどのように活用される想定でいますか?〜
藤井:現在、組合員さんは正規雇用で5,500名以上、非正規雇用で約300名いて、その全員に使っていただける想定です。ほとんどの方はスマホからTUNAGにアクセスしていただくと思いますが、スマホがない方には、TUNAGが見れる端末を各支部に支給して、そこからアクセスしてもらうようにしようと思っています
TUNAGへの登録や周知はどのように進める予定でしょうか〜
藤井:先日TUNAGの担当の方ともお話をして、QRコードを渡して登録してもらう形にしようかと。
職場会議と言って、職場委員が組合員さんに対して行う会議があるんですが、その中で展開しようかと考えているところです。
TUNAGを使うことで利用できるコンテンツを設けるなど、メリットを作るなどして登録率を上げていこうかとも考えています。
源治:新入社員の方に向けては、4月の新入社員研修で「労働組合はこんなことをやっています」という説明をしたり、コロナで日帰りにはなっているものの、11月にあらためて研修をやっているので、そのタイミングでの周知もしていきたいです。
同窓会じゃないですけど、新入組合員さんのコンテンツを作って、拠点がバラバラになってもコミュニケーションとか交流が組合員としできるっていうコンテンツも面白いかもしれないですね。
期待する効果
「労働組合があってよかった」と実感してもらうことがゴール
〜これからTUNAGを活用するにあたって、どんな効果を期待していますか?〜
藤井:一言で言えば、「労働組合があってよかったな」「組合員でよかったな」という声が感じられることですよね。
TUNAGのコメント欄とかが活性化していくことで、そういった声を感じられるのがゴールだと思っています。
源治:本当に、組合の存在意義っていうのは昔からの課題ですからね。
ほかに、目に見えるところでいけば、完全ペーパーレス。紙を無くしたいです。
藤井:あと、組合員としてのメリットをしっかり知ってもらうという意味でも、組合員さん同士の口コミは重要だと思います。最初はTUNAGを嫌がる人もいるでしょう。
たとえば、今当組合ではSNSの公式アカウントを運用しているんですが、登録者数は全体の2〜3割程度です。
結局個人のSNSに、会社や組合の情報を送って欲しくないということですよね。
その一方で、TUNAGは完全に組合活動専用のクローズドのアプリなので、そこでうまく口コミが広がれば、利用者は増えていくだろうという気がしてます。
組織の目指す姿
業界の大変革期だからこそチャレンジを
藤井:自動車業界は100年に1度の大変革期と言われています。
だからこそどんどんチャレンジしていかなきゃいけない。
本当に変わっていかなきゃいけない時期に、我々も含めて直面しているんだと思います。
組合員さんの中には「組合が何のためにあるかわからない」「会社が利益を出しているから組合がなくても大丈夫」という声もありますが、たとえば春闘や協議のように、労働組合があることで享受できているものがあるんです。
TUNAGのアプリから、そういった組合の活動が見えるようにチャレンジしていかなきゃいけないと思っています。
源治:我々のような70年を超える会社であっても、ひとたび変化に乗り遅れてしまうと雇用すら危うい状況になってしまう。組合として、そんな危機感を強く持っています。
組合員さんも多様化していて、考え方も年齢層も、働き方も、ダイバーシティの観点で言えば、LGBTQの人たちも考慮する必要があります。
そういったいろんな観点で、組合員さん1人ひとりが持っている能力を最大限発揮できる環境を作っていかないと危ないんだという意識があります。
そんな中、組合員さんを見ていると、コミュニケーションがうまく取れていない。
藤井がチャレンジと言いましたが、1人ひとりが認め合い、お互いに刺激を受けて高め合っていかないといけない。
そうしたつながりを作るという意味で、TUNAGはその助けになるんじゃないのかなと思います。
一方通行でなく、双方向でコミュニケーションが取れる組織へ
源治:もう1つ、「伝えたいことがちゃんと組合員さんに伝わってますか?」という課題意識ですね。
これまで文字だと見てもらえないから動画で配信してみようだとか、いろんな方法を試したものの、それでもなかなか伝わらなかった。
藤井:「伝える」ということはみんなやってきてると思うんですよ。「伝える」から「伝わる」へ、ということでしょうかね。
一方通行ではなく、双方向でコミュニケーションが取れるようなものを考えたときに、「組合員さんのお金でそんなこと…」みたいな考えもあるのかもしれないんですけど、必要なところでみんなが喜んでもらえるものを作っていかなきゃいけない立場として、否定する理由がなかったんですよ。
もちろん、「TUNAGを使えない組合員も出てくるんじゃないか」という議論もしたんです。
いろんな環境で働いている方がいらっしゃるので、そういう意味でも紙は残すべきだというのがこれまでの考えでしたけど、紙を残したからといって「伝わる」のかといったらそうじゃないよねっていう。
だからこそ、支部に端末を支給するとか、使える環境を整備したりして、誰もがTUNAGを使えるようにする。
「本当に伝わっていますか?」というところに重きを置くようにしています。