TUNAG登録者数は組合員全体の80%超。「発信」から「対話」へコミュニケーションをシフトする、伊藤忠商事労働組合のTUNAG活用法
1949年に創設された伊藤忠商事労働組合。本部のほかに4つの支部を持ち、約3,150名の組合員を擁しています。歴史ある労働組合では、コミュニケーションのあり方を「発信」から「対話」へ、双方向に変化させたいと考えていました。
「労働組合を、組合員にとってもっと身近な存在にしたい」そんな想いからTUNAG(ツナグ)を導入された組合長の池畑雅人様に、TUNAGの活用法や、登録者数が80%を超えた秘訣について、お話を伺いました。
導入前に課題に感じていたこと
組合活動を「発信」から「対話」へ変える必要を感じていた
~TUNAG導入以前、伊藤忠商事労働組合様ではどのような課題を感じていましたか?~
池畑:組合活動について、以前はホームページなどを使って発信していたのですが、一方通行だと感じていました。
それに、ホームページだと「誰が見たか」までは分かりません。「発信」は労働組合の活動指針の一つにしていましたが、発信だけでは一方通行のイメージがあるので、「対話」に変えていきたいと。
また、労働組合にはこれまで、「組合員を守る」「会社を良くする」という2つの使命がありましたが、2021年度はこれに加えて「きっかけを創る」という、3つ目の使命を定めました。
コロナ禍を経て社会が変わったことで、労働組合の果たすべき役割も変わってきています。
例えば、自律的なキャリア形成や副業、人生100年時代のセカンドキャリアなど、労働組合としてもこういったところを意識してやっていこうと。
この「きっかけを創る」を実現するためには、やっぱり起点を組合員の皆さんの声に置く必要がありました。
しかし、コロナ禍で会えない。マスクをしていてコミュニケーションがしづらい。
そんななか、ホームページなど一方通行の発信には限界があると感じていました。
TUNAGの導入について
スマホアプリで双方向発信できる点に興味を持った
~TUNAGのどんな点に興味を持たれましたか?~
池畑:一番興味を持ったのは、双方向であること。
ホームページは労働組合からしか投稿できませんが、TUNAGは組合員の皆さんからも発信ができますよね。
スタンプや絵文字で組合員の皆さんの反応が分かったり、既読で誰が見たか分かるのもメリットだと思いました。
あと、やっぱり時代はスマホだよねと。
ホームページはパソコンから見ることが前提ですが、TUNAGはパソコンはもちろんスマホでも見られますよね。
今はSNSも色々あって、皆さん忙しい中で、わざわざホームページを見に行くというのは相当ハードルが高いと。
そういう中で、スマホアプリであれば、通勤の電車の中や、スキマ時間に最新の労働組合の情勢が見られるのは、TUNAGのすごいところですね。
~TUNAGのほかに検討していたツールやサービスはありましたか?~
池畑:ハッシュタグで社内の人探しができる別のサービスがあり、最初はそちらの導入を考えたのですが、サービスが限定的でした。
「見つけた後は結局メールで連絡取るんじゃないの?」「ちょっと違うよね」ということになって。
そんなとき、お世話になっている中央労働金庫の支店長さんから「すごいの見つけましたよ」とご紹介いただいたのがTUNAGでした。
支店長さんは、他社の労働組合でTUNAGを活用していることを知って、「これは労働組合活動の根本を変えるかも知れませんよ」と。
それでTUNAG担当者にお話を伺いました。
~最終的にTUNAG導入の決め手となったのはどういったことでしたか?~
池畑:スマホで見やすいというのは大きいですね。
労働組合としては、情宣チラシを発行したときに、何人くらいに見てもらえたかが大事です。
なので、何十人、何百人と既読者数が分かるのは非常に大きいですね。
TUNAGの運用について
一部導入では思うような盛り上がりを作れず、全体導入を決断
~TUNAGの運用方法を教えてください。~
池畑:現時点では書記長が中心になって設計などをやっています。
専従メンバーは全員運用チームということで、TUNAGの管理者になっています。
あと、派遣の方も一部、情宣を載せてくださったりしています。
私やほかの本部役員が随時つぶやきを投稿したり、支部のメンバーも使い方に慣れてきて、徐々に投稿をしてくれるようになりました。
~150アカウントの運用から、組合員全員に運用を展開されていった経緯がありますが、なぜだったのでしょうか?~
池畑:いきなり全体導入するのは「うまくいくのだろうか」という不安がありました。
なので、最初は少人数でやってみて、使い方に慣れたり、どういう記事が反応が良いか、トライアルとして半年間やってみようと。
それで、本部役員、代議員、それから一般公募で興味があると応募してくれた人を対象に、150アカウントで半年トライアルを行いました。ただ、これが結構苦労しまして(笑)。
全然盛り上がらず、「150人の小規模では逆に盛り上がらないぞ」と。
コンテンツを提供する側も人数が少なく、大勢でやらないと結局、爆発力がないというか。
それで、議論を経て「もうこれは全体導入をやろう」と決断し、3,300アカウントに移行しました。
人気コンテンツの掲載をTUNAGのみに絞って、登録者数80%超を実現
~全体導入するにあたって、どのようにTUNAGへの登録を促していきましたか?~
池畑:毎年関心の高いコンテンツがありまして、夏頃に会社から労働組合に対して社内等級の分布状況が開示されます。
それを見ると、自分が社内でどのあたりにいるのか、例えば同期の中でトップを走っているか等について、ある程度推測できるわけです。
それまではホームページに載せていましたが、TUNAGにのみ掲載して、登録を促しました。
元々2022年12月末までに登録者数1,500を達成できればいいと思っていたのですが、12月末で2,621アカウント。
組合員数の83%まで伸びてきています。
ここから先は、登録率というより定着率を上げる方向にシフトしていきたいですね。
今、週4日以上ログインするユーザーが50~60人で、登録者全体の2%ほどです。
これを300人ほど、10%に持って行ければ、だいぶ変わっていくのではないかと感じています。
TUNAGを活用した取り組みについて
労働組合を身近に感じてもらえる企画や、動画アーカイブ
~実際に、TUNAGをどのように活用されていますか?~
池畑:「本部役員のつぶやき」では、「労働組合として今月こういう活動をしています」など、組合長のプライベートなことを書いて、身近に感じてもらうような工夫をしていましたね。
最近だと、海外出張リポート。商社ですから、組合員の一部は海外駐在をしています。
コロナ禍の合間を縫って、海外を訪問したときに、例えば「サンパウロでは治安が悪くて路上でスマホを取り出せない」「マヨネーズが1,350円もする」など、こういうことをTUNAGに書くと、東京にいる組合員も「駐在って大変なんだな」と分かるじゃないですか。
駐在員も、自分のところが取り上げられると「ちゃんと僕らのことを見てくれてるな」と感じられて嬉しいですよね。そんな取り組みを日々しています。
他にも、動画のアーカイブ投稿をTUNAGで行っています。
代議員総会でどうしても予定が合わない代議員がいるので、zoomで録画をしておいて、TUNAG上で代議員限定で見られるようにして、投票につなげるやり方をしています。
過去のセミナー動画もTUNAG上で見ることができます。
社内マッチング企画やサンクスカードで、さらなる交流を促進したい
池畑:新しい企画として、TUNAGで社内マッチングをやろうと考えています。
コロナ禍で、若手・中堅組合員が先輩と交流する機会が減ってしまったので、TUNAG上でマッチング企画をして、ランチ代を補助しようと。
例えば、自分の名前と所属、どんな相手とどんな話をしたいかを書いておくと、条件の合った方とマッチングして、ランチができる制度です。
サンクスカードもやりたいと思います。
例えば、年度末に課長から部下に対して送る、部署を超えて、プロジェクトを手伝ってくれた人に感謝を伝えるなど。
そのような使い方ができれば、もっと盛り上がってくるのではないでしょうか。
組合員室の横にはカフェのようなスペースがあり、「最近商売はどうだ」「こんなことで悩んでいます」など、リアルの繋がりがあります。
その組合カフェのオンライン版のようなイメージで、TUNAGを使えればいいなと思っています。
TUNAG導入の効果
PCからTUNAGにしたことで、アンケートの回答率が50%→75%に
~TUNAG導入の効果を実感されたできごとがあれば教えてください~
池畑:伊藤忠商事はカンパニー制を採っていて、年に1回カンパニーの幹部と労働組合の経営協議会が開催されます。
事前にカンパニー員に回答してもらうアンケートがあり、ホームページで実施していた頃は、回答率が良い時で40~50%程度。
それに対してTUNAGでアンケートをやるようになって最初の協議会では、回答率が75%を超えました。
これは結構すごいことで、スマホで回答しやすくなったことも関連していると思っています。
組合員の声が聞けるようになり、支部からの発信が出てきた
池畑:TUNAG上で「労働組合に期待すること」を聞いてみたのですが、300人くらいから回答があって。
パソコンの時代よりも、カジュアルな雰囲気で回答してくれるようになりましたね。
「組合長さんお疲れ様でした」「みんなで会える企画をやってほしい」「プレゼント企画、仕事の合間の宝くじみたいで楽しみです」「会社ともっと賃金交渉をしてほしい」など、短くカジュアルに書いていいんだという文化が徐々にできてきたと思います。
最近、東京支部の組合員が「ボウリング大会をやりました」「クリスマスリースのセミナーをやりました」など、楽しい報告を上げてくれるようになりました。
どうしても僕だと硬い内容の投稿が多くなってしまうのですが、それだとあまり盛り上がらないし一方通行になってしまいます。
だから誰でも発信して良い雰囲気作りや、組合員さんが勇気を出して投稿してくれたときはコメントやスタンプで反応することを、積極的にやっていきたいです。
組織が目指す姿
組合員にとって身近な労働組合を目指す
~伊藤忠商事労働組合様として、どんな組織を作っていきたいと考えていますか?~
池畑:「組合員を守る」「会社を良くする」「きっかけを創る」。
労働組合にとって一番大事な3つの使命を達成するために、TUNAGをどんどん使いこなしていきたいですね。
支部間交流も、今後はウィズコロナ、アフターコロナを見据えてリアルの会も増やしていって、より身近で一体感のある労働組合にしたいですね。
何かプレゼントがあったり、お得な情報があったり、悩んだときには相談できたりする。
やっぱり、そういう機能を発揮できる組織にしていきたいですよね。
この3年間組合長を経験して痛感するのは、「多様性は組織を強くする」ということです。
役員にも個性があり、いろいろな意見が出るのでまとめるのは大変ですが(笑)、議論を経てできあがったものは、外に出たときにものすごく打たれ強いのです。
TUNAGは全組合員のプラットフォームなので、将来的には組合員が意見交換できる場になっていけばいいなと思います。
今後は、今あるデータをもっと生かして、どうやったらもっと刺さる内容にできるか、どういう表現だと既読者が増えるか、データ分析ができればと思います。
TUNAGにはダッシュボード機能もありますし、月次で詳細レポートもいただいているので、こういったデータの活用が、今後の課題かなと思っています。
コミュニケーションを補完するツールなら、TUNAGはおすすめ
~最後に、これからTUNAGの活用を検討されている労働組合の方に向けて、メッセージをお願いします~
池畑:TUNAGの登録者数を増やすには、キラーコンテンツが必要だと思います。
私たちの場合は、社内等級の分布状況がキラーコンテンツでした。労働組合としてはつい会社との交渉のことなどを発信したくなりがちなのですが、組合員さんが労働組合に求めているのは「楽しさ」や「お得情報」だったりします。
そうしたニーズを汲みながら運用していくことが大切ですよね。
あとは、初期登録の依頼メールについて、迷惑メールと誤解されない様に事前に周知しておくなど、そういうところを1つ1つ積み重ねていくと、登録者数はそれなりの数字になると思います。
特にコロナ禍だからこそ、TUNAGをおすすめしたいですね。
なかなか会えないし、会ってもマスクをしていて表情が読み取りにくい。
それを補完して、コミュニティを盛り上げて一体感を高めてくれるツールだと思うので、皆さん導入に向けて一歩踏み出してほしいですね。
~池畑様、お話ありがとうございました!~