組合員へ展開開始から約2ヶ月で登録率94%達成!〜組合イベントを巻き込んだ登録方法に迫る〜
山口県宇部市に位置する行政機関(市役所)で、約1,000名の組合員を抱える宇部市職員労働組合。
「私たち執行部の活動が、組合員へ十分に伝わっていないという課題意識があり、執行部と組合員、双方向の動きを見える化することで、より多くの組合員に活動に関わってほしい、という想いがありました。」
そうお話いただいている宇部市職員労働組合の中央執行委員長の山根様に、組合員を巻き込むためのイベントやお取り組みの内容から、具体的な活用事例について、インタビューをさせていただきました。
導入前に感じていた課題
〜TUNAG導入のきっかけや導入以前に感じられていた課題について教えてください〜
執行部と組合員の関係性には、元々課題意識は持っていたのですが、ある時「組合員に活動が十分に伝わっていないのでは?」という疑問が確信に変わった出来事がありました。当時、入所3年目の職員が退職されることを知った際、「率直になぜ退職することになったのか?」を今後の参考にもすべく、話を聞いたんですよね。
そもそもではありますが、その方が退職することを知ったのは、退職の手続きをしないといけないという理由で、組合に来られたからなんです。「もっと前に相談しようと思わなかったんですか?」と聞いてみたところ、「組合自体がよく分からなかったんです。」とお話をされまして。その退職された方は、ちょうど今から4年前のコロナ禍で入所だったのですが、組合としてもその間、あまり活動できていない時期だったということもあり、そもそも組合自体の存在も知られていない状態でした。
少なくともコロナ禍の3年間に入所してきた人たちはそういう風に思っているんだと知り、これまで繋いできたものが途絶えたのだと感じました。同時に、組合活動への関心が薄れ、参加が減っていくことは、今の活動さえ継続できなくなってしまうので、深刻な状況にあると痛感しました。早い段階でここに手を打たないとまずいなという危機感を覚え、今の組合活動を変える必要があると感じたことが、1番の導入のきっかけになります。
〜TUNAGを知ったきっかけや他社ツールとの比較状況について教えてください〜
TUNAG自体を知ったきっかけは、2023年5月に開催されたセイコーエプソン労働組合様がご登壇されていたオンラインセミナーへの参加です。当時のオンラインセミナーにて、委員長の品川様が「やらない後悔より、やった後悔。」と仰っていたことが、「なるほど。」と腑に落ちたこともあり、執行部でも非常に悩みましたが、流れを変えるために、導入を決断しました。
また、他社ツールとの比較状況についてですが、社内版Twitter(現✕)のようなツールを1社ほど説明を受けましたが、TUNAGの様に多用途に活用できる感じではなかったり、閲覧状況の細かい分析機能もなかったので、TUNAG一本で検討を始めました。まずは、執行部の活動を見える化することもですし、組合員がどの程度組合に興味があるのか・見てくれているのかという、執行部と組合員の双方向の動きを見える化しないといけないことが必須だと感じていました。
TUNAGを活用した取り組みについて
〜TUNAGでどのようなことが実現できそうでしょうか?〜
何かすごいことを成し遂げられるとは思っていませんが、TUNAGを導入したことによって、委員長としての自分の活動に一本軸ができたなっていうのが率直にありますね。堅い話だけじゃなくて、動画とかも投稿できるので、抽選会の様子を上げたり、組合主催のお祭りの状況を動画でお知らせできたり、また、共済アンケートをはじめ、今まで紙で実施していたものをTUNAGで実施すると多くの方に回答してもらえたりしたので、非常に良かったですね。
〜アンケート回答率や慶弔見舞金の申請数もTUNAG導入後に増加したとお伺いしましたが、効果としてはいかがでしたか?〜
集計結果については、最初は紙で配付したのですが、紙だと回答率が低かったため、TUNAG内で回答を促進したところ、大幅に回答を得ることができました。全体の約55%がTUNAGでの回答で、そのうち半分が終業後の回答だったということが分かり、やはり時間と場所を選ばずに回答できたことやスマホで簡単に入力できたことが回答数が上がった理由であると分析しています。
また、組合としての情報発信ツールを紙媒体以外持ってなかったんですね。過去にホームページを作成したことはあったみたいですが、それも更新が大変で閉鎖してしまったようです。あとは、役員との連絡も基本的にメールなので、例えば、会議の出欠確認をしようとしても、返をする人しない人がいるので、何人来るか当日まで分かりません。
今までの青年部活動も約100人に対して、紙で一人一人に配布していたので、出欠表を配布することも大変でしたが、TUNAG 内のアンケートで簡単に回答できます。また、青年部活動で事前に何を実施したいのか、事前調査から簡単に出来るので、執行部側に日常的に意見を出せるような環境も構築できたことが良いと感じています。
〜TUNAGの運用開始にあたり、具体的に何からスタートしましたか?また、全体導入するにあたって、どのように登録を促していきましたか?〜
まず最初は、執行部メンバーに登録してもらって、会議のお知らせや、週3回の機関紙を投稿して、表示の状態や読みやすさ、使いやすさなどを確認していきました。また、導入当初から抽選会という登録促進にあたっての本丸があったので、抽選会をメインの登録と周知の場とするために逆算をし、11月までに制度(コンテンツ)設計をやっていきながら、テスト走行を始めました。何度か執行部で抽選会のリハーサルをした後、2023年1月下旬から組合員全員に周知していきました。
〜2024年1月時点で登録率94%という驚異的な数字に増加しましたね。そのきっかけとなる抽選会について教えてください〜
今まで組合主催で「ともしび祭り」を毎年開催していたのですが、コロナ禍の3年間でできなくってですね、その代わりになにかイベントをやろうということで、抽選会を始めたのがきっかけです。抽選会の参加率ですが、初年度が88.7%と組合の行事としてはこんなに参加率が高い行事って今までなかったんですよね。
お祭りだと日程の関係で来れないという人もいますが、抽選会であれば誰でも参加可能ですし、レクリエーションとしても非常に面白いということで、次年度は92.5%、その翌年は92.4%という参加率で、この3年間で抽選会の魅力が十分浸透した土壌があったという前提はあります。
例年通り参加してくれれば、登録率9割は行けるんじゃないかっていう期待はあってのスタートでした。そこから、どうやって職場に展開していくかっていう話だったんですけど、組合員が1,000名近くいるので、全員を集めて説明するのはハードルが高いです。職場オルグとかを久々に復活してみて、「不特定多数の人に周知するよりは、一対一で話をした方が絶対ちゃんと動いてくれる。」というのが実感としてありました。
そこで、職場委員の方々に、IDと仮パスワードが掲載された各職場の組合員リストとパンフレットをお渡しして、職場委員から各組合員に周知してもらいました。職場委員には、その場で登録してもらって使い方を確認してもらい、他の組合員にも説明できる体制を取って展開しました。
職場委員の皆様にとっては、今まで慶弔見舞金の署名をする以外に、明確な役割がありませんでした。ですので、職場委員の方に役割を持ってもらうきっかけにしたかったことと、ソフトな責任感を持たせることが狙いでした。自分がきちんと周知しなければ、他の人の応募する権利が無くなってしまうので、こちらの2点を意識して展開していきました。
〜抽選会においてのTUNAGを絡めた具体的な運用について教えてください〜
まず組合員に欲しい賞品のリクエストを募集します。ある程度選別やカテゴライズしながら、参加者の約30%が当選できるぐらいの賞品数をラインナップします。ラインナップした商品をリスト化して、その中から好きな賞品に応募してもらう流れになります。賞品のリクエスト自体は、紙とTUNAGを併用し、ハードルを下げた状態で出してもらいました。この段階でリクエスト賞品が出揃うので、職場にも展開します。
ただ、ポイントになるのが、リクエストは紙でも出来ますが、抽選の応募自体はTUNAGじゃないとできないことです。「早いうちから登録しておいてくださいね。」という形で、職場に案内をしていき、そこから登録が始まった形になります。また、賞品リスト自体は、あえて紙でも配付しました。職場で「賞品どれにする?」「何を選ぶ?」みたいな話題にしてもらったりとか、「登録するのを忘れてたから今登録しないとダメじゃん。」みたいな話になることを想定してのことです。
紙とTUNAGを比較することで、いつでもスマホで見れるメリットを感じてもらう狙いもありました。パンフレットを配る前には6割くらいの登録でしたが、紙で配った段階で8割くらいまで伸びました。残りの登録していなかった2割には、直接ダイレクトメールを送り、「この期間でしか応募が出来ないので、登録してもらえますか?」とお知らせをしました。
せっかくのレクリエーションもきちんと情報が届いてなくて「知らなかったです。」と言われるのが一番辛いので。上記取り組みの結果、抽選会が終わるまでには約94%まで登録されました。不特定多数の人に発し続けるよりは、特定の人にいかにTUNAGを導入することが重要なのかを伝えて、巻き込むことに1番こだわりました。
組織の目指す姿やありたい姿
〜今後、TUNAGを活用してどのように組合活動を発展させていこうとお考えですか?〜
労働組合として、福利厚生の部分もメリットとしてあるので、今後の展開としては、2024年1月から新NISAが始まったりしている中で、資産形成やライフプランに興味がある方を対象にセミナーを実施したりしていきたいです。
あとは、内部事務の効率化として、書記局の方で、慶弔見舞金や時間外申請、休暇申請もTUNAGへの移行に向け試行し始めています。また、組合活動に参加するのと合わせてTUNAGに参加することへのハードルを下げていかないといけないので、組合そのものに関わることへの抵抗感というのを徐々に下げていかないといけないと考えています。
現状だと、役員しかTUNAGを投稿してなくて、返備やリアクションもほとんどない状況なので、そういうのをやってもいいんだよと組合全体に認識を広げていきたいです。例えば、「委員長のつぶやき」などのカジュアルな投稿も発言をし続けていきながら、ある程度土台を作れた段階で、管理者以外の組合員が活用できる様なコンテンツにまで拡充していこうとも考えています。
更には、今後の展開という意味では、市役所を早期退職された方などを対象にしたコンテンツを作ろうかなと思っています。外から市役所を見てどう感じたとか、良かったと思う部分もあれば、逆にここはおかしいよねとか、辞める時とはまた違った想いがあるんじゃないかなとか思っています。組合員も「あの人今何してるんだろう。」って興味があったりするのかなと思っています。
もしくは、管理職になって組合員でなくなった人などに、近況報告だったり、組合活動に対してどう思うかなど、話を聞いてみたりも実現したいですね。他にも、新入職員が4月に入所したタイミングで職員紹介の冊子を発行しています。顔写真付きで掲載するので、昔からその機関紙を職員の顔を覚えるために閲覧されている方とかもいます。その新人紹介をラフにTUNAG内でリレー形式にするのもおもしろいかなと思っています。組合員の人となりを知れて興味を持ったり、組合員同土の交流に繋げていきたいです。
〜今後TUNAG運用にあたって期待する効果について教えてください〜
期待している効果としてはとりあえず僕に声をかけてほしいですね。「この前の投稿を見たよ。」や「この前の投稿内容みたけど、あれってどなってんの?」など、内容問わず、色々と声をかけてほしいです。私たちとしては、組合活動の内容を発信していくので、まずはちょっとだけ気にしてもらえるようになってほしいです。
もちろん楽しいことばかりではないですし、堅い話やネガティブな話題もあります。且つ組合で取り組んでいること自体が1日2日で変えられるようなことではないんですよね。急な変化や成果は感じにくいかもしれませんが、それらが「今、自分たちの身に起こっていることなんだ。」「自分たちの将来を決める話なんだ。」と感じてもらいたいです。そして、執行部にTUNAGを通じてどんどん情報や意見が届いて、組合員全員が参加する組合活動になっていくことを期待しています。
〜どんな組織を作っていきたいですか?〜
役員体制もなかなか人が集まらないので、こちらからお願いしてやってもらうことが多いです。そもそも組合って自分たちのためにやってるんじゃんって話なので、それをちゃんと伝えないといけないし、認識してもらいたいです。組合に関わってくれる人が増えていければ、組合活動の重要性が理解され、誰かが引き継いでいかないとっていう意識が少しずつ芽生えてきて、支えてくれる人が少しずつ増えていくんじゃないかと思っています。
また、世間的には明るい話題は決して多くない中でも、抽選会をはじめ、祭りなど、ちょっとした楽しみを提供することで、宇部市役所で良かったなと思ってもらえるような、いわゆるエンゲージメントも向上できるといいなと思っています。あとは、職場オルグと等も冊子を多くの枚数を印刷していますが、今後はTUNAGに投稿することで、後で見返すことも出来るので、業務効率化や費用削減、組合活動の継承にも繋げていきたいです。
さらに、今のやり方では、子育てをしながら組合活動をやる、まして委員長長をやることで多大な負担が生じています。自治体業務の電子化やDXが進む中、組合活動はその辺りが進んでません。次の世代に繋げていくためにも、私の代で、誰でも組合活動ができる環境を整備していきたいです。
〜最後にTUNAGの活用を検討されている組合の方に向けてメッセージをお願いします!〜
組合離れだったり、執行部の持続的な体制維持が課題だと言うのは全国共通だと思っています。少しでも組合員と執行部の距離を縮めていくっていう観点において、これまでと同じことをやってても変わらないんじゃないのか、という危機感のもとで、今回TUNAGの導入に至りました。他労組様の活用事例を情報交換出来る繋がりが作れたらありがたいと思っています。ぜひいろんな課題や悩みを共有しながら解決に向けて取り組んでいければと思っています。
また、イベントを通して初期登録を獲得する手法は、非常に有効です。ぜひマネしてください(笑)一方で、イベント後のログイン率を保つのは、やはり大きな課題です。これは一周回って、そもそもの、執行部としての発情力が問われていると感じています。今後の導入を検討される団体においては、こういった「通年の、平時の、みんなの興味を引く発言」についても、イメージを膨らませておくと良いのではないかと思います。その組織ならではの、「組合員に刺さるネタ」がきっとあると思います。そういった観点でも、TUNAGユーザー間でぜひ情報共有(ネタ共有)をしていければと思います。
〜山根様、お話しいただきありがとうございました!〜