企業の理念やビジョンは、単に掲示したり一方的に発信したりするだけでは、社員の具体的な行動にまで結びつきません。そこで注目を集めているのがインターナルブランディングです。本記事では、その概要や重要性、具体的な実践ステップから実際の導入事例までを分かりやすく解説します。
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本資料では、理念浸透を実現するための4つのステップと、理念を浸透させるための20の取り組みを解説しています。
▼このような方におすすめ▼
・経営理念を社内に浸透していきたい方
・施策の効果が出ずにお悩みの方
・理念浸透の取り組みや成功事例を知りたい方
インターナルブランディングは、理念を「知らせる」取り組みではありません。従業員の行動が変わって初めて成果といえます。まずはこの取り組みが何を指すのか、その輪郭をつかんでいきましょう。
インターナルブランディングとは、企業理念やビジョン、ブランドの価値観を従業員に浸透させる取り組みです。従業員一人一人が自社への理解と共感を深め、日々の行動に反映できる状態をつくることを目指します。
重要なのは、理念を単なる「知識」にとどめない点にあります。言葉を記憶しているだけでは、実際の行動にはつながりません。理想的な状態とは、判断に迷った際に理念が具体的な基準として機能することです。
例えば、前例のない顧客対応を求められた場面で、「自社が本来重視すべき価値は何か」を自発的に問い直し行動できる社員がいるなら、それこそが理念が真に定着している証しといえます。
インナーブランディングは「インターナルブランディング」や「インナーマーケティング」とも呼ばれ、基本的には同義で使われます。一般的に国内では「インナーブランディング」、国外では「インターナルブランディング」の表現が用いられます。
つまり、どちらを使っても指す中身は変わりません。社内資料で用語がばらついている場合は、自社での呼び方を一つに決めておくと混乱を防げます。
対になる概念がアウターブランディングです。インターナルブランディング(インナーブランディング)が従業員(社内)を対象とするのに対し、アウターブランディングは取引先・株主・消費者といった社外を対象にしています。両者の違いを整理すると、次のようになります。
従業員が自社の価値を深く理解してこそ、社外へ説得力のあるメッセージを発信できます。社内と社外、両輪で取り組むことが大切です。
全ての企業が同じ緊急度で取り組む必要はありません。ただし、次のような状態にある企業は優先度が高いといえます。自社が当てはまるか確認してみてください。
このような経営層と現場の間に存在する乖離には注意を払う必要があります。理念が現場における意思決定の軸として機能していない場合、部門ごとに判断や行動が揃わなくなる恐れがあります。。
特に多層構造の組織では、経営メッセージが中間管理職で止まりがちです。まずは管理職層が理念を自分の言葉で語れるかを確認しましょう。
従業員が企業の価値観に共感し愛着を持つと、条件面だけでなく心理的な結び付きによって組織にとどまりやすくなり、離職率の低下につながります。逆にいえば、給与や休日といった条件だけで人をつなぎとめている企業は、より良い条件の提示に弱いということです。
採用を加速している企業では、価値観を共有する前に新しいメンバーが増えていきます。リモートワークや時短勤務が広がると、日常的な会話から文化が伝わる機会も減ります。
意図的に理念を伝える仕組みがなければ、一体感は自然には育ちません。組織が大きくなるほど、仕組み化の必要性は高まります。
吸収合併や経営統合を行った企業では、異なる文化や価値観を持つ従業員が共に働くことになります。価値観を共有し、足並みをそろえて働ける環境を整えることが欠かせません。制度の統合だけを進めても、心理的な統合は進まないためです。
ここからは実務の流れを解説します。順番を飛ばすと施策が空回りしやすいため、四つのステップとして押さえておきましょう。
最初に行うのは現状把握です。どこに問題があり、その原因は何かを丁寧に分析します。従業員アンケートや管理職へのヒアリングが基本の手段です。
調べるべき項目は次の通りです。
これらを数値化しておくと、後の効果測定の基準になります。
次に、ミッション・ビジョン・バリューを誰もが理解できる言葉に整えます。抽象的な表現のままでは浸透しません。「顧客第一」だけでは行動に落ちないため、どんな場面で何を優先するのかまで具体化しましょう。
現状の言葉が現場に響いていないなら、再定義も選択肢です。策定の過程に現場社員を巻き込むと、当事者意識が生まれやすくなります。
言語化した理念を、日常業務に触れる形へ落とし込みます。代表的な施策は次の通りです。
重要なのは一方通行にしないことです。現場のキーパーソンを巻き込み、意見交換やフィードバックの場を用意しましょう。自社の従業員構成や働き方に合う施策を選ぶことが定着の鍵になります。
施策は実行して終わりではありません。エンゲージメントスコアや理念浸透度の変化を定期的に測定し、有効性を検証します。離職率や社内報の閲覧率といった数値も判断材料になります。
改善内容を社内で共有することも大切です。自分たちの意見が生かされていると実感してもらうことで、主体的な参加や信頼感の醸成につながります。
理論だけでは自社への応用イメージが湧きにくいものです。ここでは規模も業種も異なる3社の取り組みを紹介します。
同社は従業員を「パートナー」と呼び、理念体系の中に明確に位置付けています。公式に掲げるOUR PROMISESでは、六つの約束のうち最初にパートナーへの約束が置かれ、顧客への約束はその次に続きます。誰を起点にブランドをつくるのかが、記載の順序に表れているといえるでしょう。
採用サイトでも、ブランドは働くパートナーによって形づくられるという考え方が示されています。行動指針はCRAFT・RESULTS・COURAGE・BELONGING・JOYの5つに整理され、判断の基準として共有されています。
Our Mission, Promises and Values|スターバックス コーヒー ジャパン
2010年の経営破綻後、同社はグループ3万5,000人を超えるスタッフへ、新生JALブランドを浸透させる取り組みを進めました。特徴は進め方にあります。各部署の代表者でプロジェクトチームを発足させ、セミナーのプログラムを一緒につくり上げていく形をとりました。
背景にあったのは現場感覚への配慮です。「また本社が何か始めた」と受け取られては、施策そのものの意味がなくなるという判断でした。
2011年9月にスタートしたセミナーには、1年間で約8,000名のスタッフが参加しました。さらにブランドブックや映像コンテンツの導入も、受講者のモチベーション維持に大きく貢献しています。トップダウン形式による一元的な展開を避け、初期設計から現場を積極的に参画させることこそが、大規模な組織構造において理念の浸透を成功させる重要なポイントです。
【日本航空株式会社様】3万5千人のスタッフにJALブランドを浸透させ、 再生へと、加速する。(経営理念浸透コンサルティング 導入事例)
合成皮革メーカーである同社では、自社製品を身近に感じるための浸透施策を実施しました。製造現場の社員は担当工程に限られた作業を行うことが多く、他工程や完成品を目にする機会が限られています。そのため、新工場のオフィスや食堂の家具に自社製品を取り入れ、日常的に製品に触れられる環境を整えました。
オフィスのデザインは実際に使う社員でチームを結成し、リーダー選出も含めて任せる形を採りました。自分の仕事が社会とどうつながるかを実感できる環境づくりは、製造業やバックオフィス部門でも応用しやすい発想です。
【インタビュー】第一化成株式会社「インナーブランディングを取り入れたオフィスづくりと 新工場にかける想い」 - IRISTORIES - アイリストーリーズ
インターナルブランディングは即効性を期待できるものではなく、理念の発信から行動への落とし込み、そして定着度の検証というプロセスを継続的に巡らせる仕組み作りが不可欠です。
取り組みの第一歩として、まずは現状の理念がどの程度現場に浸透しているかを把握することから着手してみてはいかがでしょうか。実態を正しく可視化できれば、自ずと取り組むべき次の一手が明確になるはずです。